自社株買いは、現金による剰余金の配当と同様、剰余金を原資として株主に現金を渡す(株主は株式を会社に渡し、その反対に会社は株主に現金を渡す)ことから、株主に対する利益還元策の1つとして位置づけられている。「加速型自社株買い(ASR=Accelerated Share Repurchase)」とは、その名称からもイメージできるように、自社株買いを大量かつ一気に行おうというものだ。
通常、自社株は株式市場を通じて購入するが、会社が望む株式数を取得するには数回を要する。これに対し加速型自社株買いでは、投資銀行等を介して“一度で”株式を取得する(投資銀行等は市場から貸株により調達する)。自社株買いの規模が大きい分、株式市場に対しては強いメッセージとなり、株価向上につながりやすい。また、EPS(earnings per share=1株当たり純利益)の改善幅も大きい。
米国では、医薬品大手のメルク社が50億ドル、IT大手のアップルが120億ドルの加速型自社株買いを行っている(いずれも2013年)。一方、日本企業による加速型自社株買いの例は・・・
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