周知のとおり、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)は2024年3月29日、サステナビリティ開示基準の公開草案を公表したが、同案は現段階では気候変動開示の基準を定めたものとなっている(今後の展開については、2024年7月5日のニュース「コンサルに数千万円はザラ 中堅以下の上場企業がサステナビリティ分野で“全方位戦略”を取ることの是非」参照)。このため、同基準では当然ながら温室効果ガス排出量(以下、GHG排出量)の開示を求めているが、GHG排出量のうちスコープ2に該当するものの算定方法は2種類ある。それが「ロケーション基準」と「マーケット基準」だ。
SSBJ : 日本における非財務開示の基準を作成する団体。IFRS(国際財務報告基準)の母体であるIFRS財団が「国際サステナビリティ基準審議会(ISSB=International Sustainability Standards Board)」を設立し、非財務開示の国際的な基準「サステナビリティ報告基準」を策定することを受け、日本では財務会計基準機構(FASF)が母体となり、IFRS財団におけるISSBに相当するSSBJ(Sustainability Standards Board of Japan)が2022年7月1日に設立された。
スコープ2 : Scope1:報告企業が所有又は支配する排出源から発 生する直接的な温室効果ガス排出
Scope2:報告企業が消費する、購入又は取得した電 気、蒸気、温熱又は冷熱(以下あわせて「電気等」という。)の生成から発生する間接 的な温室効果ガス排出をいう。
Scope3 :Scope1、Scope2 以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
スコープ2のGHG排出量は主に電気の消費量から算定される。「ロケーション基準」と「マーケット基準」それぞれの具体的な内容は下表のとおり。・・・
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