成功している企業は、商品名からその企業名がすぐに思い浮かぶような“売れ筋商品”を持っていたり、優良な顧客を囲い込んでいたりすることが少なくない。こうした実例を念頭に、ビジネスシーンでしばしば使われる言葉が「80対20の法則」だ。
80対20の法則はビジネス以外でも使われるが(例えば「物事の8割は、2割を見れば分かる」など)、ビジネスシーンでよく聞かれるのは、「売上の80%は、全商品のうち上位20%の商品が生み出している」「売上の80%は上位20%の顧客が生み出している」といったもの。この法則を発見したイタリアの経済学者パレートの名前をとって「パレートの法則」とも呼ばれ、マネジメントセオリーの1つとして多くのビジネスマンに信奉されてきた。
この信奉を揺るがしかねないのが、ビッグデータだ。ビッグデータとは、一言で言えば「膨大なデジタルデータ」のことであり、インターネットの普及やコンピューターの処理速度の向上などに伴い、それをビジネスに活用することが注目されるようになった。
80対20の法則によれば、売上増加のためには、上位20%の顧客を対象に新商品を開発したり営業を強化したりする方が、全顧客を対象にするよりも効率が良い。しかし、「ビッグデータ」の分析により各顧客に最適な商品を見つけ出して販売することができれば、より大きな売上の増加が期待できる。実際、ビックデータの活用が進む欧米では、顧客の金融取引データや商品の購入履歴などからリスク量を分析し、それに応じて保険料を加減算する保険会社も出てきている。
また、大手資産運用会社の投資部門のトップからは、「ビッグデータの有効活用が企業の今後のビジネスのカギを握る」との声が聞かれる。ただ、「80対20の法則」から「ビックデータ」へのシフトは経営手法の転換に等しい。検索やGmailなどの無料アプリケーションによって蓄積したビッグデータを活用して広告ビジネスを展開するグーグルや、購入者の好みに合わせた商品を勧める「レコメンド機能」で売上を伸ばすアマゾンは、ビッグデータの分析の改善を積み重ねた末に、成功を手にしている。
ビッグデータを有効活用し、それを売上増加につなげるためには、一定期間の試行錯誤が必要であり、多くのトライアル&エラーを重ねる覚悟が経営陣には求められる。
