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金融商品時価の「レベル別開示」義務化、1年遅れに 自社への影響精査を

企業会計基準委員会(ASBJ)は2019年7月4日、企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」(以下、時価算定基準)を公表した(時価算定基準の詳細は2019年2月20日のニュース『金融商品の時価の「レベル別開示」義務化で上場会社への影響は?』を参照)。「2021年」4月1日以後に開始する連結会計年度および事業年度の期首から「レベル別開示」が義務付けられることになる。

レベル別開示:金融商品の「時価」を「算定日において市場参加者間で秩序ある取引が行われると想定した場合の、当該取引における資産の売却によって受け取る価格又は負債の移転のために支払う価格」(いわゆる“出口価格”)と定義したうえで、金融商品の時価を算定する際に使われるインプット(=時価の算定式に入力する数値)の影響度(重要度)のレベルに応じて、時価を「レベル1の時価」「レベル2の時価」「レベル3の時価」の3つに分類し、各レベル別の開示を求めること。

公開草案では、「2020年」4月1日以後に開始する連結会計年度および事業年度の期首からの適用義務化が提案されていたが、「システムの開発やプロセスの整備及び運用までを含めると十分な準備期間が必要であるとの意見や、具体的な実務の運用を検討するためにより時間を要するとの意見が寄せられた」ことから、適用義務化を1年遅らせ、「2021年」4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首からとした(2020年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首からの早期適用も可。また、さらに1年早い「2020年3月31日以後終了する」連結会計年度および事業年度の連結財務諸表および個別財務諸表からの早期適用も可)。企業側の声に配慮した格好。時価算定基準の導入に伴い、金融商品の時価を算定する日本独自の基準であった実務対応報告第25号「金融資産の時価の算定に関する実務上の取扱い」は、時価算定基準の適用義務付けと同時に廃止される。我が国でも、金融商品について、国際会計基準審議会(IASB)および米国財務会計基準審議会(FASB)とほぼ同じ内容の時価(公正価値)に関する詳細なガイダンスが定められたことになる。

時価算定基準を公開草案と比較してみると・・・

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