2014/12/01 女性活躍法、従業員or役員どちらが先?(会員限定)

 衆議院の解散に伴い、秋の臨時国会で成立が見込まれていた法案の成立に影響が出ている。「女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)案」もその1つだ。

 女性活躍推進法では、安倍政権の目玉政策である「女性が輝く社会の実現」に向け、労働者(派遣社員や、パート・アルバイトも含む )が301人以上の事業者に対して、(1)女性採用比率等の女性の活躍に関する状況の把握、改善すべき事情の分析、(2)(1)を踏まえた定量的目標や取組内容を中身とする「事業主行動計画」の策定・公表を義務付けている。

 女性活躍推進法の施行日として予定されていたのが「2016年4月1日」。衆議院解散により、臨時国会での同法案の成立はなくなった。政府は年明け2015年の通常国会での同法案成立を図るものとみられるが、「2020年に、女性が指導的地位に占める割合を30%とする」との目標を政府が掲げている以上、法案成立が次の国会にズレたからといって、施行日が大きく後ろ倒しにされることはないだろう。衆議院解散前に予定されていたスケジュールでは、法案成立後に政府が上記の「事業主行動計画」の目標設定や情報公開の方法を示す指針を策定し、各企業はこの指針をもとに、2016年4月1日の施行日を目指して定量的な数値目標を織り込んだ行動計画を作ることになっていたが、企業としては、引き続きそのつもりで動いておいた方がよい。

 もっとも、政府が求める行動計画は“女性の活躍全般”に関するものであるだけに、具体的に何から始めればよいのか頭を悩ます企業もあるようだ。この点、まずは女性役員・管理職の登用・確保から始めるべきだろう。上場企業は、2014年10月23日に公布された内閣府令の改正により、「2015年3月期」の有価証券報告書から「女性役員の比率」の記載が義務付けされることになっているうえ、海外の投資家等にその取組みをアピールするには、役員・管理職の数が“分かりやすい数字”として重視されることは間違いないからだ。

 その際、経団連が公表をしている「女性の役員・管理職登用に関する自主行動計画」を参考に、自社の行動計画における数値目標などを検討するといいだろう。

 すでに水面下では女性の役員候補の争奪戦も起こっている。企業側の準備も待ったなしと言えそうだ。

2014/12/01 【2014年11月の課題】重要な意思決定:解答(会員限定)

経営判断における取締役の善管注意義務、忠実義務

 経営環境が厳しければ厳しいほど、取締役は会社の将来を左右する経営判断を求められる機会が多くなります。このような場合でも取締役は萎縮することなく、積極果敢な経営姿勢により事業を発展させていきたいものです。

 ただ、会社のために良かれと思って行なった経営判断であっても、結果的に会社に損害を与えてしまうことはあり得ます。例えば、大規模な設備投資を行なって新規事業に乗り出したものの、当初想定していた販売計画は到底実現に至らず、大幅な予算未達となってしまい、設備投資額の回収が進まないうちに当該事業からの撤退を余儀なくされたようなケースです。

 その結果、会社は巨額の減損損失を計上して最終赤字に転落したとします。そして、これに怒った株主の一部が、会社に損害を与えるような経営判断をした取締役に対して、会社への賠償を求める株主代表訴訟を起こしてきたと仮定した場合、果たして取締役は会社に対して損害賠償責任を負わなければならないのでしょうか。

 取締役が損失に対して責任を負うかどうかは、取締役の行為が「善管注意義務」に違反するかどうかによって判断することになります。具体的に説明しましょう。

 取締役には、会社との委任関係に基づいて「善良な管理者の注意」をもって職務を遂行する義務(善管注意義務)があります(会社法330条、民法644条)。また、会社法では、取締役に対し「法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行なう義務」(忠実義務)を求めています(会社法355条)。

 この忠実義務と善管注意義務の関係を説明する学説は諸説あるのですが、忠実義務とは「善管注意義務を明確化したもの」と考えればよいでしょう。

 このように、取締役は会社に対して善管注意義務を負っていますので、それを怠って会社に損害が生じた場合には、これを賠償する責任を負うことになります(会社法423条1項)。

経営判断の原則(Business Judgment Rule)

 そして、経営判断の局面で取締役に善管注意義務違反が認められるかどうかは、取締役が「経営判断の原則」に従っていたかどうかが考慮されます。

 経営判断の原則とは、「会社が損害を受けたとしても、取締役の意思決定の過程と内容に著しく不合理な点がない限り、取締役の善管注意義務違反を問わない」というものです。

 経営判断の原則に従っていたかどうかは、具体的には、以下の観点から判断されます。

(1) 事前に十分な調査・研究および情報収集を行なったか(=専門家の意見を聞いたり、広範囲に情報を集めて市場の状況を確認したりしたか)
(2)経営判断に際して、取締役会等で十分な検討を行なったか
(3)通常の経営者としての合理的な判断を行なったか

 仮に取締役の経営判断によって会社に損害が生じたとしても、上記(1)~(3)に従っていたと認定されれば、取締役は損害賠償責任を免れることができます。この場合、「従っていた」のかどうかを訴訟時に立証するのは取締役自身です。そこで、万が一訴訟という事態になっても困らないよう、経営課題に関する検討資料を整備し、取締役会議事録等に検討・審議の詳細を記載し、専門家(弁護士、公認会計士、税理士、経営コンサルタントなど)の意見書を取得・保存しておくことが重要です。その前提として、普段の職務遂行にあたり、「どこまでやれば、善管注意義務違反の追及に耐えられるか」という意識を保持し続け、経営判断の原則に則っているか否かを気を緩めることなく検証する姿勢も必要になります。

 ただし、そもそも法令・定款に違反する場合には、経営判断の原則は適用されないため、たとえ上記(1)~(3)に従っていたとしても、法令・定款に違反していたこと自体により善管注意義務違反を問われることになり、会社に損害が生じれば損害賠償責任は免れません。

 法令や定款違反もなく、「経営判断の原則」に従っていたことを証明できれば、たとえ経営判断の結果が重大なもの(会社が倒産あるいは深刻な経営危機に陥った、著しく企業価値が低下した状態で身売りすることになったなど)であったとしても、取締役が損害賠償責任に問われることはまずないと考えていいでしょう。

 もちろん、経営判断が重大な結果を招けば、経営責任を取らざるを得なくなるケースもあるかも知れませんが、会社の将来性が危ぶまれるにもかかわらず次の一手を打たずに漫然とそのような状況を放置していた場合も、善管注意義務違反に問われる可能性があります。

 結論として、取締役は経営判断の原則に従っていたことを事後的にも証明できる資料を整えながら、積極果敢な経営姿勢が求められるということになります。

2014/12/01 【2014年12月の課題】コーポレートガバナンス・コードへの対応

2014年12月の課題  コーポレートガバナンス・コードへの対応

 金融庁と東京証券取引所は、2015年6月からの「コーポレートガバナンス・コード」の導入に向け、有識者会議を設けてその内容を検討しています。コーポレートガバナンス・コードとは、コーポレートガバナンスを実現するための上場企業の行動指針であり、企業にComply or Explain(従うか、あるいは従わないことを説明するか)を迫るうえ、東証の上場規則にも盛り込まれることから、上場企業に対して事実上の強制力を持ちます。同コードの導入に備え、上場企業としてはどのようなことを準備しておくべきでしょうか。

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2014/11/30 2014年11月度チェックテスト第10問解答画面(不正解)

不正解です。
 特許権を取得すれば、排他的な権利活用やロイヤリティの確保が可能になります。その一方で、特許権の取得により出願内容は公開され、自社の研究開発状況が他社に知られ、模倣・類似品が出回る恐れがあります。また、特許権による保護期間が満了すれば、誰でも無料で自社の技術を使用することが可能となってしまうという問題もあります。そこで、あえて特許権を取得せずに自社の技術を「営業秘密」として自社内で秘匿化する知的財産戦略が注目されています(特許権の取得をオープン戦略と呼ぶのに対し、これをクローズ戦略と言います)。ただ、クローズ戦略は、他社が特許権を取得してしまうと、これに対して対抗できなくなるという大きなリスクを伴います。オープンまたはクローズ戦略のどちらを採用すべきかは、他社の動向を見極めながら慎重に決断すべきと言えます。

こちらの記事で再確認!
2014/11/28 日本企業のシェアが途上国企業に奪われた本当の理由(会員限定)

2014/11/30 2014年11月度チェックテスト第10問解答画面(正解)

正解です。
 特許権を取得すれば、排他的な権利活用やロイヤリティの確保が可能になります。その一方で、特許権の取得により出願内容は公開され、自社の研究開発状況が他社に知られ、模倣・類似品が出回る恐れがあります。また、特許権による保護期間が満了すれば、誰でも無料で自社の技術を使用することが可能となってしまうという問題もあります。そこで、あえて特許権を取得せずに自社の技術を「営業秘密」として自社内で秘匿化する知的財産戦略が注目されています(特許権の取得をオープン戦略と呼ぶのに対し、これをクローズ戦略と言います)。ただ、クローズ戦略は、他社が特許権を取得してしまうと、これに対して対抗できなくなるという大きなリスクを伴います。オープンまたはクローズ戦略のどちらを採用すべきかは、他社の動向を見極めながら慎重に決断すべきと言えます。

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2014/11/28 日本企業のシェアが途上国企業に奪われた本当の理由(会員限定)

2014/11/30 2014年11月度チェックテスト第9問解答画面(不正解)

不正解です。
 問題文の「改正会社法の施行日は平成27年5月1日」という点は適切です。しかし、「社外取締役を選任していない上場会社(3月決算を前提)が株主総会で「社外取締役を置くことが相当でない理由」を説明しなければならなくなる」のは、平成27年3月期の定時株主総会からとなります(問題文は、改正会社法の適用タイミングを「平成28年3月期の定時株主総会から」とする点で誤りです)。

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2014/11/21 改正会社法の施行日が確定!改正後最初の株主総会を迎えるのは?(会員限定)

2014/11/30 2014年11月度チェックテスト第9問解答画面(正解)

正解です。
 問題文の「改正会社法の施行日は平成27年5月1日」という点は適切です。しかし、「社外取締役を選任していない上場会社(3月決算を前提)が株主総会で「社外取締役を置くことが相当でない理由」を説明しなければならなくなる」のは、平成27年3月期の定時株主総会からとなります(問題文は、改正会社法の適用タイミングを「平成28年3月期の定時株主総会から」とする点で誤りです)。

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2014/11/21 改正会社法の施行日が確定!改正後最初の株主総会を迎えるのは?(会員限定)

2014/11/30 2014年11月度チェックテスト第8問解答画面(不正解)

不正解です。
 ESGとは、「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を組み合わせたものです。東京証券取引所では「ESGに配慮している企業は、経営の持続的な成長が見込めるとして、投資パフォーマンス向上にもつながる」として、ESGをテーマにモデルケースとして15社を選定し公表しています(こちらを参照)。また、2006年に国連が提唱した責任投資原則には、機関投資家の投資判断プロセスにESGを反映させるべきであることや、投資対象企業にESGに関する情報開示を求めることなどが盛り込まれています。そこで、ESGへの取り組みを投資判断の要素に加える機関投資家が増えています。
 ESGは、機関投資家の多くで投資判断要素に組み込まれており、機関投資家はESGを「企業が規模に応じた社会的コストを適切に負担しているか」といった「義務」として捉えているわけではありません。以上より、問題文は誤りです。

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2014/11/20 ESG(会員限定)

2014/11/30 2014年11月度チェックテスト第8問解答画面(正解)

正解です。
 ESGとは、「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を組み合わせたものです。東京証券取引所では「ESGに配慮している企業は、経営の持続的な成長が見込めるとして、投資パフォーマンス向上にもつながる」として、ESGをテーマにモデルケースとして15社を選定し公表しています(こちらを参照)。また、2006年に国連が提唱した責任投資原則には、機関投資家の投資判断プロセスにESGを反映させるべきであることや、投資対象企業にESGに関する情報開示を求めることなどが盛り込まれています。そこで、ESGへの取り組みを投資判断の要素に加える機関投資家が増えています。
 ESGは、機関投資家の多くで投資判断要素に組み込まれており、機関投資家はESGを「企業が規模に応じた社会的コストを適切に負担しているか」といった「義務」として捉えているわけではありません。以上より、問題文は誤りです。

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2014/11/20 ESG(会員限定)

2014/11/30 2014年11月度チェックテスト第7問解答画面(正解)

正解です。
 2014年2月に策定された日本版スチュワードシップ・コードでは、機関投資家による投資先企業との「対話」が極めて重視されています。そのため自社へ投資をしてもらいたい上場会社からの「回数稼ぎ」のアポイントメントが増え、機関投資家側がそれへの対応に忙殺されてしまうといった問題点が報告されています(よって、問題文の内容は適切です)。

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2014/11/18 スチュワードシップ・コード導入で聞かれる機関投資家の悲鳴(会員限定)