ファミリーマート事件
ファミリーマートは公正性担保措置を講じた。具体的には、取締役会は特別委員会を設置し、特別委員会に対して①ファミリーマートの企業価値の向上に資するかという観点から、非公開化取引の是非について検討・判断するとともに、②ファミリーマートの一般株主の利益を図る観点から、取引条件の妥当性及び手続の公正性について検討・判断した上で、③TOBについて取締役会が賛同するべきか否か、及び、ファミリーマートの株主に対してTOBへの応募を推奨するべきか否かを検討し、取締役会に勧告を行うこと、④取締役会における非公開化取引についての決定が、ファミリーマートの尐数株主にとって不利益なものでないかを検討して取締役会に意見を述べることを諮問し、その意見をファミリーマートに提出することを委嘱した。
また、取締役会は特別委員会に対し、必要に応じ自らの財務若しくは法務等のアドバイザーを選任することについて権限を付与することを決議し、特別委員会は、独自のリーガル・アドバイザーとして大手法律事務所を、独自のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者評価機関として大手ファイナンシャルアドバイザリー会社を、それぞれ選任した(なお、他の潜在的な買収者による対抗的な買収提案が行われる機会を確保すること(マーケット・チェック)は行っていない)。
しかし、取締役会は、特別委員会の選任した大手ファイナンシャルアドバイザリー会社が伊藤忠商事の提案価格はファミリーマートの価値を反映していないという助言をしたにもかかわらず、伊藤忠商事の提案価格を受け入れた。そこで東京地裁は、「一般株主にとってできる限り有利な取引条件の獲得」に向けた交渉等を行う手続はなされなかったとして、「公正な手続」とは認めなかった。そして、「TOB公表前の市場株価」と「同種事例の買収プレミアム」を重視し、「ファミリーマートと特別委員会がそれぞれ選任した算定機関の算定結果」や「特別委員会がこれらの算定機関の助言に基づいて決定していた交渉方針」などを総合的に考慮し、TOB価格(2,300円)を上回る「公正な価格」(2,600円)を認定した。
東京高裁も、「価格水準が不十分といった特別委員会からの意見が尊重されず、TOBが一般に公正と認められる手続きにより行われたと認めることはできない」として、「公正な手続」とは認めず、地裁の判断を支持した。
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