2024/07/31 2024年7月度チェックテスト第2問解答画面(正解)

正解です。
東証が2023年3月にプライム市場およびスタンダード市場の上場会社に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請しましたが、当該要請に未対応の企業も少なくありません。そのような中、当該要請に未対応の企業の取締役の選任議案に反対する機関投資家も現れ始めています(問題文は正しいです)。

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2024年7月2日 東証、“一覧表”への掲載よりも「実質面」を重視した新たな方策を今秋以降検討へ(会員限定)

2024/07/31 2024年7月度チェックテスト第1問解答画面(不正解)

不正解です。
DOEとは純資産配当率のことです。「年間配当額÷純資産(期首時点と期末時点の『純資産の部』合計額の平均 )」によって算出されます。株主還元の数値目標としてDOEを用いる上場企業の数が増えており、DOEは株主還元の指標として着実に存在感を高めています。一方、株価純資産倍率とはPBR(Price Book-value Ratioの略)とも言われ、株価を1株当たり純資産で除して算定します。DOEとPBRは別々の指標であるため、問題文は誤りです。

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2024年7月1日 株主提案の根拠としてDOEが使用されるケースが急増(会員限定)

2024/07/31 2024年7月度チェックテスト第1問解答画面(正解)

正解です。
DOEとは純資産配当率のことです。「年間配当額÷純資産(期首時点と期末時点の『純資産の部』合計額の平均 )」によって算出されます。株主還元の数値目標としてDOEを用いる上場企業の数が増えており、DOEは株主還元の指標として着実に存在感を高めています。一方、株価純資産倍率とはPBR(Price Book-value Ratioの略)とも言われ、株価を1株当たり純資産で除して算定します。DOEとPBRは別々の指標であるため、問題文は誤りです。

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2024年7月1日 株主提案の根拠としてDOEが使用されるケースが急増(会員限定)

2024/07/30 【役員会 Good&Bad発言集】介護問題とビジネスリスク

上場会社A社の取締役会において、社外取締役が「団塊の世代が後期高齢者になる中、今後、介護問題は今以上に社会問題化していくことが予想されます。当社におけるビジネスケアラーなどの介護問題とビジネスリスクの関係について、皆様のご意見をお聞かせください。」との発言があり、これに対して次の3人が下記の発言を行いました。誰の発言がGood発言でしょうか?

取締役A:「当社が介護ビジネスを始めるべきかどうかということですね。当社は介護ビジネスに知見を有しているわけではないので、当社がビジネスとして介護事業に取り組むことは、それこそビジネスリスクを高めてしまうことになりかねません。」

取締役B:「従業員が介護状態になるリスクですよね。当社は定年制を採用していますし、要介護状態になるのは通常は退職してからです。現役世代にはあまり関係がない話で、ビジネスリスクとしては無視できるレベルかと考えます。」

取締役C:「介護する側の話ですよね?介護は長男の嫁が担うものである以上、当社の40代から60代にかけての女性従業員のうち長男の嫁が果たして何人いるのかと言う話ですよね。ビジネスリスクとしてはそれほど大きくないのではないでしょうか。」

取締役D:「当社は40代から60代にかけての従業員が多いことから、これからますますビジネスケアラーが増えていくでしょうし、介護離職もすでに発生しています。ビジネスケアラーの存在や介護離職の発生により『人材不足の深刻化』というビジネスリスクが高まります。人的資本経営の観点からも早急な対策が必要です。」

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2024/07/30 【役員会 Good&Bad発言集】介護問題とビジネスリスク(会員限定)

<解説>
いよいよ団塊の世代全員が後期高齢者に

第1次ベビーブーム(1947年から1949年)のときに生まれた世代は、日本における人口構造上目立った存在であるため、ひとくくりに「団塊の世代」と総称されることがあります。その「団塊の世代」が2025年には全員が後期高齢者(75歳以上)になるため、今後、要介護者の人数が急増することは確実視されています。要介護者の多くはすでに会社を離れていますが、その子供の世代は40代から50代とまさに「働き盛り」の世代であり、その「働き盛り」の世代が「親」「義理の親」などの介護問題に直面することになります。以前は「兄弟で分担して介護」「専業主婦の妻が中心になって介護」というケースも多く見受けられましたが、一人っ子が増え、共働きが増え、未婚者が増えたことで、以前よりも介護の問題が子の世代にのしかかる負担は増えたと言えます。また、高齢化とともに認知症の患者も増え、介護問題がより深刻化しているとも言われています。

こうした中、家族の負担を軽減し、介護を社会全体で支えることを目的に2000年に創設(施行)されたのが介護保険制度です。40歳以上から徴収する介護保険料と公費(税金)により運営されており、介護サービス費用の9割(8割)を介護保険でまかなうことができます。

もっとも、実際には介護サービスだけで必要となる介護のすべてに対応できるわけではありません。親世代の「老老介護」「認認介護」など厳しい状況を目の前にし、子世代としても介護問題にかかわらざるを得ず、場合によっては介護を理由とした離職を選ばざるを得ない従業員も少なくありません。

老老介護 : 高齢者が高齢者を介護すること
認認介護 : 認知症患者が認知症患者を介護すること

2030年にはビジネスケアラーが300万人越え

介護を理由に離職する従業員は年間10万人ほど存在すると言われています。離職しないまでも、「ビジネスケアラー」(働きながら家族などの介護をする人)として、介護と仕事の両立に苦しんでいる従業員も大勢います。厚生労働省の試算によると、2030年には家族を介護する833万人のうち、約4割の318万人がビジネスケアラーになると予測しています(「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン-入門編-」の3ページより引用)。

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また、仕事と介護の両立困難に関連する企業の経済損失額を、従業員3,000名の製造業をモデルとして試算したところ、1社あたりの損失が6億2415万円になることも分かりました(「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン-入門編-」の3ページより引用)。

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企業としては、働き手が少なくなる中、介護を理由とした離職の回避に向け、知恵を絞るとともに、ビジネスケアラーに対して手を差し伸べること(両立支援)も必要となります。

厚生労働省は、それぞれの企業が、「自社における仕事と介護の両立支援の意義や重要性が可視化」できるように、「仕事と介護の両立支援が与える自社への影響を整理・分析すること」を勧めています(仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン-入門編-5ページより引用)。
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また、企業が取り組むべき介護両立支援のアクションをステップごとに整理したのが次の表です(仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン-入門編-8ページより引用)。もっとも重要になるのが、右側の「人事労務制度の充実」です。ビジネスケアラーになっても安心して働ける人事労務制度が整うことで、従業員の満足度は高まり、生産性の維持などの効果も期待できるでしょう。

74041d

介護両立支援のアクションの詳細については、「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」や厚生労働省の特設サイト「仕事と介護の両立~介護離職を防ぐために~」を参考にしてください。

さて、以上の解説をご覧いただければ、誰の発言がGOOD発言か、もうお分かりですね。正解は以下のとおり。

<正解>
GOOD発言はこちら

取締役D:「当社は40代から60代にかけての従業員が多いことから、これからますますビジネスケアラーが増えていくでしょうし、介護離職もすでに発生しています。ビジネスケアラーの存在や介護離職の発生により『人材不足の深刻化』というビジネスリスクが高まります。人的資本経営の観点からも早急な対策が必要です。」
コメント:取締役Dの発言は、社外取締役のビジネスケアラーについての問題提起を正しく理解しつつ、当社の状況(40代から60代にかけての従業員が多い)を踏まると人材不足の深刻化への影響は大きいといったビジネスリスクの指摘と、当該リスクへの対応として従業員の介護問題に寄り添うことの必要性、それが人的資本経営につながることを指摘できている点がGOODです。なお、取締役Cの“非常識”発言があった後の発言ですので、取締役Cの発言の問題点を明確に指摘できていれば、よりGOODでした。

BAD発言はこちら

取締役A:「当社が介護ビジネスを始めるべきかどうかということですね。当社は介護ビジネスに知見を有しているわけではないので、当社がビジネスとして介護事業に取り組むことは、それこそビジネスリスクを高めてしまうことになりかねません。」
コメント:取締役Aは「ビジネスケアラー」の意味を分かっていなかったと思われます。介護ビジネスへの進出リスクを問われていると早とちりした点がBADです。

取締役B:「従業員が介護状態になるリスクですよね。当社は定年制を採用していますし、要介護状態になるのは通常は退職してからです。現役世代にはあまり関係がない話で、ビジネスリスクとしては無視できるレベルかと考えます。」
コメント: 取締役Bも「ビジネスケアラー」の意味を分かっていなかったと思われます。介護される側の話が問われていると誤解した点がBADです。

取締役C:「介護する側の話ですよね?介護は長男の嫁が担うものである以上、当社の40代から60代にかけての女性従業員のうち長男の嫁が果たして何人いるのかと言う話ですよね。ビジネスリスクとしてはそれほど大きくないのではないでしょうか。」
コメント:取締役Cの発言は、社外取締役の発言の趣旨が介護する側の話であることに気付けている点はGOODとしても、全体として「介護は長男の嫁が担うもの」という家制度や男女の役割を固定化した古すぎる価値観に基づいているため「問題発言」と言わざるを得ません(そもそも直系血族ではない「子供の配偶者」には介護の義務はありません)。昭和の思考回路をアップデートしない(できない)まま、令和の時代の企業をマネジメントしている取締役Cの存在こそがビジネスリスクそのものと言えるでしょう