2022/12/28 2022年12月度チェックテスト第3問解答画面(不正解)

不正解です。
開示府令の改正案によりますと、2023年3月期の有価証券報告書から、女性活躍推進法等に基づき、「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女間賃金格差」を公表している会社及びその連結子会社は、これらの指標を有価証券報告書等において記載することが求められるようになります。もっとも、ここで「その連結子会社」にも「「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女間賃金格差」を公表している」がかかることから、女性活躍推進法等に基づき、「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女間賃金格差」を公表している会社が有価証券報告書を提出している場合であっても、女性活躍推進法等に基づきそれらの指標について公表を求められていない連結子会社の分まで開示しなければならないわけではないので、開示府令改正案の読み方には注意が必要と言えます。

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2022年12月5日 「人的資本、多様性に関する開示」を巡る誤解(会員限定)

2022/12/28 2022年12月度チェックテスト第3問解答画面(正解)

正解です。
開示府令の改正案によりますと、2023年3月期の有価証券報告書から、女性活躍推進法等に基づき、「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女間賃金格差」を公表している会社及びその連結子会社は、これらの指標を有価証券報告書等において記載することが求められるようになります。もっとも、ここで「その連結子会社」にも「「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女間賃金格差」を公表している」がかかることから、女性活躍推進法等に基づき、「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女間賃金格差」を公表している会社が有価証券報告書を提出している場合であっても、女性活躍推進法等に基づきそれらの指標について公表を求められていない連結子会社の分まで開示しなければならないわけではないので、開示府令改正案の読み方には注意が必要と言えます。

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2022年12月5日 「人的資本、多様性に関する開示」を巡る誤解(会員限定)

2022/12/28 2022年12月度チェックテスト第2問解答画面(不正解)

不正解です。
東証に設置された「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」の第4回会合で示された調査結果によると、適合計画の期間が短ければ短いほど時価総額は市場平均を上回っている(=市場から高く評価されている)一方、長ければ長いほど時価総額の変化市場平均を下回っている(市場から低く評価されている)ことが分かりました(以上より、問題文は正しいです)。そして、市場平均を上回るか下回るかの境目が「3年」となっており、これは市場が「適合計画の終了時期としては、同計画開始から3年後が妥当」と評価していることを示していると言えることから、経過措置の終了時期は新市場区分の開始(2022年4月4日)から3年後の「2025年3月」が最有力候補と言えそうです(経過措置終了後に1年間の改善期間が設けられるのであれば、実質的には2026年3月までとなります)。

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2022年12月2日 東証の市場再編フォローアップ会議で「経過措置」の終了時期がおおむね固まる(会員限定)

2022/12/28 2022年12月度チェックテスト第2問解答画面(正解)

正解です。
東証に設置された「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」の第4回会合で示された調査結果によると、適合計画の期間が短ければ短いほど時価総額は市場平均を上回っている(=市場から高く評価されている)一方、長ければ長いほど時価総額の変化市場平均を下回っている(市場から低く評価されている)ことが分かりました(以上より、問題文は正しいです)。そして、市場平均を上回るか下回るかの境目が「3年」となっており、これは市場が「適合計画の終了時期としては、同計画開始から3年後が妥当」と評価していることを示していると言えることから、経過措置の終了時期は新市場区分の開始(2022年4月4日)から3年後の「2025年3月」が最有力候補と言えそうです(経過措置終了後に1年間の改善期間が設けられるのであれば、実質的には2026年3月までとなります)。

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2022年12月2日 東証の市場再編フォローアップ会議で「経過措置」の終了時期がおおむね固まる(会員限定)

2022/12/28 2022年12月度チェックテスト第1問解答画面(不正解)

不正解です。
令和5年度税制改正において電子帳簿保存法が改正され、電子帳簿における検索機能の確保が不要とされる“足切りライン”が現行の「売上高が1千万円以下」から「売上高が5千万円以下」に引き上げられる(電子帳簿の検索機能の確保が不要な事業者の範囲が広がる)見込みです(問題文は正しいです)。

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2022年12月1日 電子帳簿保存法が大幅緩和 大企業も猶予措置の適用対象に(会員限定)

2022/12/28 2022年12月度チェックテスト第1問解答画面(正解)

正解です。
令和5年度税制改正において電子帳簿保存法が改正され、電子帳簿における検索機能の確保が不要とされる“足切りライン”が現行の「売上高が1千万円以下」から「売上高が5千万円以下」に引き上げられる(電子帳簿の検索機能の確保が不要な事業者の範囲が広がる)見込みです(問題文は正しいです)。

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2022年12月1日 電子帳簿保存法が大幅緩和 大企業も猶予措置の適用対象に(会員限定)

2022/12/27 生物多様性COP15、「30by30」という歴史的合意も情報開示義務の期限は示されず

2022年12月19日のニュース『生物多様性、COP15に期待される定量目標の設定など「具体的な成果」』参照)で既報のとおり、・・・

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2022/12/27 生物多様性COP15、「30by30」という歴史的合意も情報開示義務の期限は示されず(会員限定)

2022年12月19日のニュース『生物多様性、COP15に期待される定量目標の設定など「具体的な成果」』参照)で既報のとおり、生物多様性条約に基づく国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)が、2022年12月7日から19日にかけてカナダのモントリオールで開催されたが、大手企業や投資家など約1万8000人が参加し、日本からも、トヨタ自動車 環境部 コミュニケーション室 担当部長で、経団連自然保護協議会の企画部会長も務める饗場崇夫氏(トヨタ自動車(株))がCOP15のサイドイベントであるBusiness and Biodiversity Forum(ビジネスと生物多様性フォーラム)に登壇するなど多くの企業が参加、生物多様性への関心の高さをうかがわせた。

生物多様性条約 : 生物多様性の保全、生物多様性の構成要素の持続可能な利用、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正で衡平な配分を目的として、1993年に発効した条約。米国を除く194か国で締約されている。
COP15 : COPとは「Conference Of the Parties」の略で「コップ」と読む。「Parties」とは条約を結んだ締約国の集まりのことである。生物多様性条約が発効した翌年1994年より締約国会議(COP)が開催されており、日本でも2010年に愛知でCOP10が開催され、10か年計画が立てられたが、目標達成には至らなかった。ちなみに、2021年11月1日~12日に英国グラスゴーで開催されたCOP26とは「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議」のことである。

企業において生物多様性への理解や情報開示が気候変動ほど進まない中、COP15では、気候変動におけるパリ協定のような定量目標の設定など、“目に見える成果”が期待されていたが、最終日となる19日、2030年までの世界目標となる「ポスト生物多様性枠組」を参加した198か国の賛同を得て採択した。ポスト生物多様性枠組は、「2030年」をゴールとする23のターゲットと、「2050年」をゴールとする4つの目標で構成される。主なものは以下のとおり。

パリ協定 : 2015年末にパリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で採択された2020年以降の温暖化対策の国際的枠組み。パリ協定では、18世紀後半に起きた産業革命前と比較し、気温の上昇を「2℃以内」にとどめることを目標としており、各国に対し、温室効果ガスの排出削減目標を設定のうえ、5年ごとに進捗報告およびより厳しい目標への更新を行うことを義務付けている。

(1)2030年までに陸域と海域のそれぞれ30%以上を保護・保全
(2)2030年までに、官民から年2,000億ドル以上の資金を調達
(3)先進国から途上国への資金拠出を2025年までに年200億ドル、2030年までに年300億ドルとする
(4)大企業や金融機関に対して、自社事業、サプライチェーン、ポートフォリオにおいて、生物多様性に関するリスク評価を行い、情報開示することを求める
(5)世界の食料廃棄を半減し、過剰消費削減
(6)生態系を破壊する補助金を、2030年までに年5,000億ドル以上削減
(7)遺伝子情報による利益を先進国企業と途上国で配分する仕組みを開発

このうち最も注目されるのは、(1)の「2030年までに陸域と海域のそれぞれ30%以上を保護・保全する」というターゲットだ。このターゲットは、2030年と30%の「30」をとって、「30by30」と呼ばれる。現状、世界で保護・保全の対象となっているのは、陸域で17%、海域では10%に過ぎない。これをそれぞれ30%に引き上げるには相当な努力が必要になることは明らかだが、今のところ、例えば「国別の目標値」など、ターゲットの達成に向けた具体策は明らかにされていない。

また、貴重な生態系を多く抱えるブラジル、インドネシア、コンゴなどからは、財政的な裏付けがないことへの懸念が示された。こうした懸念を解消すべく設定されたターゲットが、上記(2)(3)だ。(3)の先進国から途上国への資金拠出については、既にドイツがCOP15前の今年(2022年)10月に「2025年までに年15億ユーロ(約2,100億円)」とすることを発表しており、COP15開催中にも、フランスが「2025年まで年10億ユーロ(約1,400億円)」とすることを発表した。また、COP15の開催国であるカナダも「年間3.5億カナダドル(約400億円)」とするとした。

このように、COP15では「定量目標の設定」という期待にはある程度応える形となったが、気候変動に比べ理解されていない生物多様性のリスクを周知するという意味で物足りないのは、情報開示に関するターゲットだろう。上記(4)のとおり、「大企業や金融機関に対して、自社事業、サプライチェーン、ポートフォリオにおいて、生物多様性に関するリスク評価を行い、情報開示することを求める」とのターゲットは盛り込まれていたものの、民間イニシアティブ Business for Natureなどが求めていた「2030年までの情報開示義務化」といった情報開示の期限は示されなかった。気候変動開示についてはISSBを中心に開示ルールの開発が進んでいるが、生物多様性に関する情報開示はこれに大きく遅れをとる可能性もあろう。

ISSB : International Sustainability Standards Board(国際サステナビリティ基準審議会)。資本市場向けのサステナビリティ開示の包括的なグローバル・ベースラインを開発するため、IFRS財団が2021年11月に設立した団体。

2022/12/27 【2022年11月の課題】外国籍役員の処遇(会員限定)

外国籍役員の処遇に関する基本的な考え方

日本企業では役位別に報酬テーブルを設けているケースが一般的ですが、このような企業が外国籍の人材を本社役員に登用する場合、その報酬テーブルをそのまま適用するのは困難であることが少なくありません。その理由として、各国の報酬水準や報酬慣行には大きな差異があることが挙げられます。その結果、報酬水準や報酬慣行を含む日本企業の報酬制度では外国籍の人材に対し十分なアトラクション(惹きつけること)効果、リテンション(引き留めること)効果をもたらすことができず、人材獲得の競争力が確保できないという問題が生じます。

そこで、外国籍の人材を採用する場合には、登用するポジションの役割・職責とあわせて、当該候補者の国籍、出身国、前職等の人材市場における報酬水準・報酬慣行、さらには転居を伴うかどうかなどを踏まえて処遇を検討する必要があります。このように候補者の属性を踏まえて個別に検討すべき論点が多いことから、一般的には採用の都度、個別に処遇を検討することとなります。

以下、具体的な検討内容について解説します。

1.外国籍の人材を業務執行役員として登用する場合

(1)外部から招聘する場合
■報酬水準

業務執行役員の報酬水準は、様々な調査結果から、国や地域により大きな差異があることが分かっています。日本企業が外国籍の業務執行役員候補者を探す場合、欧米の人材市場が中心となりますが、欧米企業と比較すると日本企業の報酬水準は一般的に低いため、日本人と同じ報酬水準を前提とすることは現実的ではありません。そこで、候補者の属する人材市場における報酬水準を調査し、人材獲得の競争力を確保できるように報酬水準を設定することが基本的なアプローチとなります。

ただし、候補者に複数の国や広範な地域を管掌させることや、複数の機能や事業を担ってもらうことを期待する場合には、単一の報酬べンチマークだけでは不十分な可能性があります。候補者が担う役割や職務の大きさ、担当する地理的範囲等も考慮して、候補者が属する人材市場の報酬水準の調査する必要があります。

報酬べンチマーク : 競合他社で同様の仕事をする労働者に支払われている報酬を調査すること。自社の労働者に支払うべき給与の目安を決定するために行われる。

■報酬体系
報酬体系についても、人材市場における慣行を踏まえて検討する必要があります。例えば、候補者が属する人材市場において株式報酬が一般的である場合、株式報酬ないしそれに代わり得る報酬がないと、十分なアトラクション効果を得られない可能性が高くなります。

ただし、日本本社の株式を活用した中長期インセンティブを付与する場合には、付与方法についても検討が必要です。対象者の居住地等によっては、日本本社の株式の付与が難しい場合や、付与に際してコストが膨らむ場合があるため(詳細は【2019年7月の課題】海外子会社の役員に対する株式報酬の付与 参照)、株価に連動する現金報酬(ファントムストックSAR(Stock Application Right)と呼ばれる仕組み)を代替手段として活用することも選択肢の一つとなります。

ファントムストック : 通常、「自社株連動型報酬」と訳される。架空(ファントム=Phantom)の株式(ストック=Stock)を付与し、一定期間経過後、その間における株価の上昇・下落等を反映させた「株価×付与数」を現金で支給するいわば「株式報酬を現金で代替した報酬」である。ファントムストックを使えば、実質的に株式報酬を支給した場合と同じインセンティブ効果を作り出すことができる。
SAR(Stock Application Right) : 直訳すれば、「株式評価益権」となる。“株式”評価益といっても、SARでは実際に株式が付与されることはなく、「付与時点からの株価の上昇分」を現金で支給する。すなわちSARは、株価に基づき金額が計算されるとはいえ、あくまで「現金報酬」の一つに分類される。

こうしたインセンティブ報酬をはじめとする報酬体系については、候補者側が要望を出してくることも珍しくありません。ただ、自社の報酬の方針や日本人役員の報酬体系との整合性を全く無視するわけにもいかないでしょう。そこで考えられるのが、「日本人役員との報酬の共通化」です。この点については後述します。

■その他の報酬
上記以外にも、外国籍の人材を獲得する場合にしばしば必要となる報酬があります。代表的なものとして以下のものがあります。

①セベランス・ペイ(Severance Pay)
セベランス・ペイとは、会社都合の解任に伴う手当であり、欧米企業においては一般的に見られるものです。日本企業にとってはあまり馴染みがありませんが、欧米の人材市場から人材を獲得する場合には検討する必要があります。各国のセベランス・ペイの金額等については、人事アドバイザリー会社などを通じて情報を得ることが可能です。自社でセベランス・ペイを設定する際には、候補者の属する人材市場の状況を十分に調査したうえで検討する必要があります。

②サイン-オン・ボーナス(Sign-on Bonus)
通常の報酬パッケージとは別に、登用に際して支払う報酬です。アトラクションに直接的な影響を与える要素の一つであり、業務執行役員を外部から招聘する場合には検討する必要があります。現金報酬として支払うこともありますが、リテンションや在任期間におけるパフォーマンスの発揮を促すことを目的に、譲渡制限付株式など、中長期タームの報酬を活用することも考えられます。

③転居を伴う場合のベネフィット等
外国籍の人材が業務執行役員への就任に際し日本に転居する必要がある場合には、上記①②のような報酬パッケージに加えて、転居に伴う“ベネフィット”の支給も検討する必要があります。具体的には、住居に関する手当、医療保険、税金の申告に関する支援や税率の違いに対するグロスアップ(手取り保証)、帰国時の費用、子女の教育手当などがあります。

(2)内部から登用する場合
外国籍の人材を内部から業務執行役員に登用する場合には、現職の給与をベースに、登用後の役割や職責に応じて昇給等を行うという形が基本となります。

ただし、登用後の役割や職責が大きく変わる場合、例えば海外拠点の統括から日本本社、あるいは全社を統括することになる場合などには、必ずしも昇給等のみによるこれまでと連続的な処遇ではなく、新たなベンチマークや考え方に基づいた報酬体系へと変更することも考えられるでしょう。

2.社外取締役を外部から招聘する場合

社外取締役の場合、地域による報酬水準の格差が業務執行役員のように大きくないことから、報酬水準は日本本社の社外取締役の水準をベースに考えればよいでしょう。ただし、取締役会議長や筆頭社外取締役といった役職にある社外取締役については、いまだ欧米企業の報酬水準が日本企業の水準を大きく上回っていますので、もしそのような役職を任せる場合には、欧米企業の水準を考慮する必要があります。

また、報酬体系についても、地域によらず年次賞与などのインセンティブ報酬を支給することは一般的ではなく、基本報酬のみを支給するのが通常です。ただし、米国企業では社外取締役に株式報酬を付与するのが一般的であるため、米国企業出身者を招聘する場合には、本人から株式報酬を求められることも考えられます。仮に社外取締役に株式報酬を付与する場合、株主総会により役員報酬議案の決議を経て、改めて株式報酬制度を確立する必要があります。

3.報酬開示上の論点

取締役または執行役として登用した外国籍役員の報酬額が1億円を超える場合には、有価証券報告書において個人別に連結報酬額を開示する必要があります。

多くの場合、外国籍役員は日本人役員より報酬が高額であるため、個人別の報酬開示により、報酬の“逆転現象”が浮き彫りになることを懸念する企業も少なくないと思われます。しかし、ここまで解説してきたような内容について、報酬諮問委員会等を通じて十分に審議することにより、客観的かつ透明性のある決定プロセスを経ている場合には、外部から批判を受ける可能性は低いでしょう。実際、外国籍の人材を取締役または執行役に登用している企業の多くは、有価証券報告書において、その報酬の考え方や決定プロセスを正面から説明しています。

4.日本人役員との処遇の共通化の検討について

ここまで述べてきたことは、候補者の属性等を踏まえ、人材市場の報酬水準・慣行等に基づき、「個別に」報酬制度を設計することを前提としています。しかし、自社全体のガバナンスという目線に立てば、処遇の一部または全部を共通化することも考えられます。特に、本社を中心とした求心力を重視する経営スタイルの場合には、外国籍の役員や海外子会社のマネジメント層に対しても報酬の共通化を積極的に進めることで、全社的な目線の共有を図ることが可能となります。

処遇を共通化するための対応は以下のようなSTEPに分けることができます。

■STEP1
・報酬の目的の共通化(報酬の方針や報酬の狙いを共通化)
・目指す報酬水準を定義(ベンチマークにおける50%ileを目指すなど、競争力に関する考え方の統一)

%ile : 統計用語で、「パーセンタイル」と読む。パーセンタイルとは、全体を100として小さい方から数えて何番目になるのかを示す数値のことであり、50パーセンタイルが中央値となる。例えば、報酬額が「15パーセンタイル」であるという場合、「100人のうち低い方から数えて15番目」ということになる。

■STEP2
・インセンティブの仕組みの共通化(財務評価と非財務評価のウエイトの共通化、KPIの共通化、LTI(Long Term Incentive=長期インセンティブ報酬)の一部を共通のプランとするなど)

■STEP3
・グローバル共通の報酬レンジの運用
・インセンティブ報酬制度の完全同一化

こうした共通化・同一化を図ることにより、全社的な目線の共有促進に加え、一貫性を持った報酬の運用等が可能になります。一方で、共通化・同一化によるデメリットも考えられます。例えば、報酬水準を共通化することにより、日本人役員も含む全役員の報酬が高額化してしまう可能性があります。また、報酬設計の柔軟性が低下することも考えられます。報酬設計の柔軟性が失われると、戦略上必要な人材を確保するために必要な報酬パッケージを提供できなくなってしまう可能性もあります。こうした事態を避けるために必要に応じて「例外的対応」を行うとするならば、例外的対応が頻発してしまうリスクもあります。

こうした懸念点を踏まえ、日系グローバル企業等においては、上記のSTEP2までを検討することが一般的となっています。欧米企業でもSTEP3までを制度として確立している企業は少なく、制度設計の柔軟性を保ちながら自国の報酬慣行をベースとした報酬制度を設定するのが一般的と言えます。

おわりに

外国籍役員の登用に際しては、当該候補者に対する処遇の個別検討が必要になるとともに、日本人役員との報酬逆転等は、役員報酬制度全体のあり方を検討するトリガーともなり得るでしょう。日本企業においても今後徐々に広がることが予想される外国籍役員登用の検討を契機に、自社における取締役会の多様化、およびそれに伴う役員報酬の多様化、自社にとって望ましい役員の処遇のあり方について議論を深めることが期待されます。