2022/12/05 「人的資本、多様性に関する開示」を巡る誤解

既報のとおり、(2022年)11月7日に公表された開示府令の改正案では、「サステナビリティに関する企業の取組みの開示」における「人的資本、多様性に関する開示」項目の一つとして、下記の記載が求められている(2022年11月7日のニュース「気候変動情報、一律の開示は見送り」参照)。

金融庁「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案の公表について「1.主な改正内容」の「(2)人的資本、多様性に関する開示」より抜粋
女性活躍推進法等に基づき、「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女間賃金格差」を公表している会社及びその連結子会社に対して、これらの指標を有価証券報告書等においても記載を求めることとします。

本開示が必要となる会社の範囲については未だに疑問や誤解が少なくない。まず、会社側からよく聞かれるのが、・・・

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2022/12/05 「人的資本、多様性に関する開示」を巡る誤解(会員限定)

既報のとおり、(2022年)11月7日に公表された開示府令の改正案では、「サステナビリティに関する企業の取組みの開示」における「人的資本、多様性に関する開示」項目の一つとして、下記の記載が求められている(2022年11月7日のニュース「気候変動情報、一律の開示は見送り」参照)。

金融庁「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案の公表について「1.主な改正内容」の「(2)人的資本、多様性に関する開示」より抜粋
女性活躍推進法等に基づき、「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女間賃金格差」を公表している会社及びその連結子会社に対して、これらの指標を有価証券報告書等においても記載を求めることとします。

本開示が必要となる会社の範囲については未だに疑問や誤解が少なくない。まず、会社側からよく聞かれるのが、「グローバルベース」あるいは「連結ベース」での開示が求められるのか、というものだ。このうち「グローバルベース」での開示が不要であることは論を待たない。「女性活躍推進法等に基づき、「女性管理職比率」・・・中略・・・を公表している会社及びその連結子会社に対して、・・・中略・・・記載を求めることとします」とあるとおり、本開示が求められるのは「女性活躍推進法等」の適用対象となる会社、すなわち「日本国内にある会社」に限られる。したがって、海外子会社など日本国内にないグループ会社のデータの開示は必須ではない。

また、「連結ベース」での開示も必須とされていない。「「女性管理職比率」・・・中略・・・を公表している会社及びその連結子会社に対して、・・・中略・・・記載を求めることとします」という文章における「公表している」は、下図のとおり「会社」と「連結子会社」の両方にかかる。すなわち、ここでは「公表している会社」と「公表しているその連結子会社」を別個のものと扱っているため、「公表している会社」と「公表しているその連結子会社」のデータを一体的に(すなわち連結ベースで)開示する必要はない。

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したがって、例えば上場会社である親会社が「純粋持株会社」で、社員数が30人(≧100人)しかいないという場合には、女性活躍推進法上、親会社には上記3項目のデータをいずれも公表する必要はなく(厚生労働省の周知リーフレット参照。なお、女性活躍推進法上、「女性管理職比率」「男性の育児休業取得率」「男女間賃金格差」のうち、「女性管理職比率」「男性の育児休業取得率」の公表は選択制となっている)、それゆえ有価証券報告書で開示する義務もない。ただし、その連結子会社が女性活躍推進法に基づき上記3項目のいずれかを公表している場合には、有価証券報告書でも当該公表している項目を開示しなければならない。この場合、当該連結子会社が非上場でそもそも有価証券報告書を開示していないことも考えられる。この場合には、「親会社」が自社の有価証券報告書で連結子会社のデータを開示する必要がある。

なお、改正開示府令案と同時に公表されたガイドライン「記述情報の開示に関する原則(別添)」の(注2)の最終段落には「人的資本、多様性に関する開示に当たって、女性管理職比率、男性の育児休業取得率、男女間賃金格差といった多様性に関する指標については、投資判断に有用である連結ベースでの開示に努めるべき」とあるが、これはあくまでガイドライン上の要請であるため、開示するかどうかは会社側の任意となる。例えば「主要な連結子会社」のデータのみ開示することも考えられる。

2022/12/02 東証の市場再編フォローアップ会議で「経過措置」の終了時期がおおむね固まる

周知のとおり、東証上場会社のうち上場維持基準を満たしておらず、経過措置の適用を受けている会社(以下、経過措置適用会社)は、上場維持基準の適合に向けた計画等(以下、適合計画)の開示が求められることになる。東証によると、経過措置適用会社は2022年10月末現在で507社あり、その内訳はプライム市場271社、スタンダード市場194社、グロース市場42社となっている(なお、これまでに適合計画を開示した会社は586社あるが、そのうち67社は既に基準に適合し、12社は非公開化に伴い適合計画を取り下げている)。経過措置終了時に上場維持基準に適合しておらず、さらにそこから1年間の改善期間を経ても適合に至らなければ、監理・整理銘柄への指定を経て上場廃止になってしまう。既上場会社にとって、「上場会社でなくなる」ことのインパクトは大きい。新市場区分に移行(2022年4月4日~)してから1年という節目が近づく中、経過措置適用会社の経営陣や投資家の間では「経過措置はいつ終了するのか」という、不安の入り混じった関心が益々高まっている(後述するとおり、他の市場に上場するという選択もあり得る)。こうした中、東証に設置された「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」(以下、フォローアップ会議)で、経過措置の終了時期がおおむね固まった。・・・

上場維持基準の適合に向けた計画等 : 上場会社が、上場維持基準のいずれかに適合しない状態となった場合に提出を求められる 「上場維持基準の適合に向けた計画」および「計画に基づく進捗状況」を指す。「上場維持基準の適合に向けた計画」には、上場維持基準の適合状況、計画期間並びに上場維持基準の適合に向けた取組の基本方針、課題および取組内容を記載する。また、「計画に基づく進捗状況」には、上場維持基準の適合状況の推移および計画期間、取組の実施状況および評価、上記2つの項目を踏まえた今後の課題・取組内容を記載する。
監理・整理銘柄 : 上場廃止基準に該当し、上場廃止が決定した銘柄のことを「整理銘柄」というが、上場廃止が決定した場合には、投資家が整理売買を行うことができるよう、原則として1か月間、整理銘柄に指定し、上場廃止の事実を投資家に周知させる。これに対し、上場廃止基準に該当する恐れがあるものの上場廃止が決定したわけではない銘柄は「監理銘柄」に指定され、その後上場廃止が決定した場合に整理銘柄に指定されることになる。

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2022/12/02 東証の市場再編フォローアップ会議で「経過措置」の終了時期がおおむね固まる(会員限定)

周知のとおり、東証上場会社のうち上場維持基準を満たしておらず、経過措置の適用を受けている会社(以下、経過措置適用会社)は、上場維持基準の適合に向けた計画等(以下、適合計画)の開示が求められることになる。東証によると、経過措置適用会社は2022年10月末現在で507社あり、その内訳はプライム市場271社、スタンダード市場194社、グロース市場42社となっている(なお、これまでに適合計画を開示した会社は586社あるが、そのうち67社は既に基準に適合し、12社は非公開化に伴い適合計画を取り下げている)。経過措置終了時に上場維持基準に適合しておらず、さらにそこから1年間の改善期間を経ても適合に至らなければ、監理・整理銘柄への指定を経て上場廃止になってしまう。既上場会社にとって、「上場会社でなくなる」ことのインパクトは大きい。新市場区分に移行(2022年4月4日~)してから1年という節目が近づく中、経過措置適用会社の経営陣や投資家の間では「経過措置はいつ終了するのか」という、不安の入り混じった関心が益々高まっている(後述するとおり、他の市場に上場するという選択もあり得る)。こうした中、東証に設置された「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」(以下、フォローアップ会議)で、経過措置の終了時期がおおむね固まった。

上場維持基準の適合に向けた計画等 : 上場会社が、上場維持基準のいずれかに適合しない状態となった場合に提出を求められる 「上場維持基準の適合に向けた計画」および「計画に基づく進捗状況」を指す。「上場維持基準の適合に向けた計画」には、上場維持基準の適合状況、計画期間並びに上場維持基準の適合に向けた取組の基本方針、課題および取組内容を記載する。また、「計画に基づく進捗状況」には、上場維持基準の適合状況の推移および計画期間、取組の実施状況および評価、上記2つの項目を踏まえた今後の課題・取組内容を記載する。
監理・整理銘柄 : 上場廃止基準に該当し、上場廃止が決定した銘柄のことを「整理銘柄」というが、上場廃止が決定した場合には、投資家が整理売買を行うことができるよう、原則として1か月間、整理銘柄に指定し、上場廃止の事実を投資家に周知させる。これに対し、上場廃止基準に該当する恐れがあるものの上場廃止が決定したわけではない銘柄は「監理銘柄」に指定され、その後上場廃止が決定した場合に整理銘柄に指定されることになる。

2022年11月25日に開催された第4回フォローアップ会議では、主に以下の4つの論点が議論された。

① 経過措置の終了時期はいつとすべきか
② 終了時期を超える計画を開示している会社の取扱いについてどう考えるか
③ 経過措置の終了時期を決めるに際して、終了時期を超える計画の開示をいつまで認めるか
④ 経過措置の終了時期までの計画期間の延長であっても、制限を設ける必要はあるか

フォローアップ会議では単純に①の論点のみ検討すれば済むようにも見えるが、②~④の論点も検討せざるを得なくなったのは、そもそも新市場への移行時に東証が経過措置の終了期限および適合計画の期間の上限を明示しなかったことによる。その結果、適合計画の終了時期が上場会社によってまちまちとなり、今後決定する経過措置の終了時期と経過措置適用会社が開示している計画期間の終了時期にズレが生じることになった。また、新市場移行後に上場維持基準に抵触し、新たに適合計画を開示せざるを得なくなった上場会社もある。要するに、(a)計画期間を短く設定していたため、経過措置が終了する前に計画期間が終了するパターンと、逆に(b)計画期間を長く設定していたため、計画期間が終了する前に経過措置が終了するパターンが混在することとなり、論点②から④の検討も不可避となったというわけだ。

これらの論点を整理したのが下図である(第4回フォローアップ会議の資料3の2ページ参照)。
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東証が想定する経過措置の終了時期を示す手がかりとなるのが、下図の調査結果だ(第4回フォローアップ会議の資料3の4ページ参照)。これは、プライム市場の流通株式時価総額基準(100億円)に未達であった同市場の上場会社を適合計画の期間ごとに分け、それぞれの株価(時価総額)が2021年6月末から2022年9月末にかけてどのように変化したかを示している。
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この調査結果によると、適合計画の期間が短ければ短いほど時価総額は市場平均を上回っている(=市場から高く評価されている)一方、長ければ長いほど時価総額の変化市場平均を下回っている(市場から低く評価されている)。そして、市場平均を上回るか下回るかの境目が「3年」となっている(上図中、「2~3年」では市場平均を2%上回っているが、「3~4年」になると市場平均を7%下回っている)。これは、市場が「適合計画の終了時期としては、同計画開始から3年後が妥当」と評価していることを示している。したがって、経過措置の終了時期は新市場区分の開始(2022年4月4日)から3年後の「2025年3月」が最有力候補と言えそうだ(経過措置終了後に1年間の改善期間があるため、実質的には2026年3月までとなる)。

フォローアップ会議のメンバーの間でも、「経過措置の終了時期は3年後、2025年3月末にすべき」(三瓶メンバー)、「市場再編から3年という2025年3月を終了期限にしてはいかがか」(熊谷メンバー)、「2025年3月末で一律で終了させることが適当」(永見メンバー)、「常識的に考えて、短くて2年、どれだけ長くても5年かと考えております」(神田メンバー)、「私も2025年3月末をもって一律に終了するという考えです」(安藤メンバー)、「皆様が仰っているように、3年、あるいは3年プラス1年の改善期間が良いのではないかと思っております」(黒沼メンバー)といった意見が多数を占めている。その根拠として、「中計など経営計画の達成に必要とされる一般的なリードタイムは世間では3年というコンセンサスがありますし、実際に6割の企業は3年以内の期間で適合に向けた計画を開示しております。また、意見募集での投資家の意見としても、3年程度をあげる声が多く、資料3の4ページ(当フォーラム注:上図のプライム企業における適合計画の終了時期と時価総額の変化の図)で、こちらは非常に面白い分析だと思いますが、市場が許容する期間としても3年だということが示されております。」(三瓶メンバー)と、上記調査結果が挙げられている。

リードタイム : スタートからゴールまでに要した時間のこと

ただし、上図で、「経過措置終了(原則)」とあるように、「例外」を設けるかどうかも今後の論点となる。この点について、ゲストスピーカーの大和総研 政策調査部 神尾主任研究員は、「特定の時期(例えば2025年3月や2027年3月)に全面的に経過措置を終了させる方法」と「段階的に終了させる方法」の2つを挙げている。同氏によると、「段階的」とは、公表済みの適合計画の期間が特定の時期を超えた場合に、(1)当該適合計画の終了時まで経過措置を認める方法、(2)特定の時期に上場会社の計画期間の更新の終了や、上場維持基準に適合しない会社の新規での経過措置適用を終了する方法、(3)経過措置に適用される緩和された上場維持基準を引き上げていく方法などが考えられるという(第4回フォローアップ会議の議事録の10ページ参照)。経過措置終了時期の「例外」については引き続き議論が必要だろう。

なお、経過措置の適用を受けているプライム市場上場会社の中には、経営陣が「仮に経過措置終了時にプライム市場の上場維持基準に適合していない場合でも、スタンダード市場に鞍替えすればいい」と楽観視しているケースもあるかもしれない。しかし、プライム市場とスタンダード市場は、新市場に移行する前の東証一部・二部のような「上位市場・下位市場」という関係ではなく、「独立した別の市場」と位置付けられているため、プライム市場からスタンダード市場への鞍替えは「新規上場」ということになり、通常のIPO時と同様、証券会社と証券取引所の両方の審査を受けなければならない。一般的に、通常の新規上場時は管理体制を強化した状態で審査に臨むが、上場後は管理体制が緩みがちになると言われている。一度管理体制が緩んでしまった既上場会社が、厳しい審査を無事に通過できる保証はどこにもない。また、経過措置終了間際にはスタンダード市場に駆け込みで鞍替えするプライム市場上場会社が相次ぎ、証券会社や証券取引所の審査キャパシティが不足して“渋滞”を引き起こすことも予想される。もし市場の鞍替えも視野に入れているのであれば、早めに主幹事証券会社に相談しておくべきだろう。

IPO : Initial Public Offeringの略で新規株式公開を指す。

2022/12/01 電子帳簿保存法が大幅緩和 大企業も猶予措置の適用対象に

2022年1月1日から施行された改正電子帳簿保存法に対応するためのシステム構築が間に合わないと訴える企業が続出する中で、・・・

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2022/12/01 電子帳簿保存法が大幅緩和 大企業も猶予措置の適用対象に(会員限定)

2022年1月1日から施行された改正電子帳簿保存法に対応するためのシステム構築が間に合わないと訴える企業が続出する中で、政府は昨年(2021年)末、改正電子帳簿保存法の施行から「2年間」は電子データではなく「紙」での帳簿書類の保存を認めるとの措置を、「2023年12月31日まで」の経過措置として急遽導入したところだが(2022年1月11日のニュース『改正電子帳簿保存法に対応したシステム構築に2年間の猶予措置が実現、「やむを得ない事情」はどこまで説明する必要がある?』および同ニュースで引用しているニュース参照)、今月(12月)中旬に方向性が固まる令和5年度税制改正で電子帳簿保存法が再び改正される。今回の電子帳簿保存法の改正の目玉として、現行の経過措置が、内容を見直したうえで「恒久化」されることが当フォーラムの取材により判明した。

現行の経過措置に代わる新たな猶予措置の具体的な内容は下記のとおり。

現行の経過措置(令和5年12月31日まで)を期限の到来をもって廃止。それに代わり、「相当の理由」によりシステム対応を行うことができなかった事業者については、「紙」での保存に加え、(税務署による)データのダウンロードの求めに応じることができるようにしておけば、電子帳簿保存法が求める検索機能の確保要件等を不要とし、そのデータの保存を可能とする新たな猶予措置を「恒久措置」として規定する。

電子帳簿保存法が求める検索機能の確保要件 : 電子帳簿について、次の要件を満たす検索機能を確保しておくことを求めるもの。
(1)取引年月日、勘定科目、取引金額その他のその帳簿の種類に応じた主要な記録項目を検索条件として設定できること
(2)日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること
(3)2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること

この新たな猶予措置でまず注目されるのが、適用対象について何ら制限がないということだ。つまり、中小企業のみならず、上場企業のような大企業であっても、「相当の理由」によりシステム対応を行うことができなかった事業者に該当すれば、当該猶予措置の適用対象となることが当フォーラムの取材により確認されている。

企業にとっては、「相当の理由」とは具体的にどのようなものが想定されているのかということが気になるところだろう。現行の経過措置の適用を受けるためには「やむを得ない事情」があることが求められるが、この「やむを得ない事情」と「相当の理由」を比較した場合、適用要件としては「やむを得ない事情」の方が厳しいと言える。すなわち、必ずしも「やむを得ない事情」が存在しなくても、何らかの理由でシステム対応ができなかった場合には、新たな猶予措置の適用対象になるということだ。また、新たな猶予措置の適用を受けるための手続きは不要(税務当局の承認は不要)であるため、「相当の理由」があるかどうかは企業が自ら判断することになる。さらに、上述のとおり新たな猶予措置は恒久措置であり、適用期限はないため、「相当の理由」が存在する限り適用を受け続けることができる。

この点では新たな猶予措置は現行の経過措置よりも“緩い”と言えるが、注意しなければならないのは、新たな猶予措置の適用を受けている場合でも、必ず「電子データ」の保存は必要になるということだ。現行の経過措置は、電子データを保存することができなかったことについて所轄税務署長が「やむを得ない事情」があると認めた場合、電子データの保存に“代えて”、紙(出力した書面)での保存を認めるというものであり、電子データの保存が免除されている。これに対し、新たな猶予措置の下では電子データを破棄してはならないということを、社内に周知する必要がある。

また、今回の電子帳簿保存法改正では、他にも猶予措置が導入される。現行電子帳簿保存法では、「売上高が1千万円以下である事業者」はすべての検索機能の確保要件が不要とされているが、この“足切りライン”を「売上高が5千万円以下である事業者」に引き上げる。つまり、より多くの事業者において検索機能の確保要件が不要となるわけだ。上場企業で売上高が5千万円以下というところは存在しないと思われるが、買収したスタートアップ企業などの中には対象になるところが出て来る可能性があろう。さらに、税務当局から事業者に対する、①電子データを出力したことにより作成した書面(整然とした形式および明瞭な状態で出力され、取引年月日等および取引先ごとに整理されたものに限る)の提示・提出の求め、および②そのデータのダウンロードの求めに応じることができるようにしていれば検索機能要件を充足しているものとみなす、との猶予措置も導入される。この2つの猶予措置は、冒頭で紹介した「相当の理由」がある場合の猶予措置と比べると、もう少しシステム対応が進んだ事業者向けのものと言える。

検索機能の確保要件 : 電子帳簿について、次の要件を満たす検索機能を確保しておくことを求めるもの。
(1)取引年月日、勘定科目、取引金額その他のその帳簿の種類に応じた主要な記録項目を検索条件として設定できること
(2)日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること
(3)2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること

なお、いずれの猶予措置も、現行の経過措置の適用期限(2023年12月31日)到来後の2024年1月1日開始となる方向となる方向だ。

2022/11/30 2022年11月度チェックテスト第10問解答画面(不正解)

不正解です。
上場会社では2023年3月1日以降に開催される株主総会から株主総会資料の電子提供制度が開始されますが、改正会社法は2022年9月1日に施行済みであり、信託銀行等では同日から書面交付請求の受付が開始されていることから、書面交付請求に関するルールの根拠を明文化するのであれば、株式取扱規則(規程)を2022年9月1日より前に改定(書面交付請求を書面で行う等のルールの明確化)しておくべきでした(問題文は改正会社法の施行日と株主総会資料の電子提供制度の開始日を混同しており、誤りです)。

こちらの記事で再確認!
2022年11月29日 総会資料の電子提供に先立ち「必ずすべき事項」と「推奨される事項」(会員限定)

2022/11/30 2022年11月度チェックテスト第10問解答画面(正解)

正解です。
上場会社では2023年3月1日以降に開催される株主総会から株主総会資料の電子提供制度が開始されますが、改正会社法は2022年9月1日に施行済みであり、信託銀行等では同日から書面交付請求の受付が開始されていることから、書面交付請求に関するルールの根拠を明文化するのであれば、株式取扱規則(規程)を2022年9月1日より前に改定(書面交付請求を書面で行う等のルールの明確化)しておくべきでした(問題文は改正会社法の施行日と株主総会資料の電子提供制度の開始日を混同しており、誤りです)。

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2022年11月29日 総会資料の電子提供に先立ち「必ずすべき事項」と「推奨される事項」(会員限定)

2022/11/30 2022年11月度チェックテスト第10問解答画面(正解)

正解です。
金融庁の金融審議会・ディスクロージャーワーキング・グループでの議論が決着し、第1・第3四半期報告書が廃止されることとなりました。なお、日本経済新聞の一面に「四半期決算短信を任意に」との見出しが掲載されたことから、見出しだけ読んで「第1・第3四半期報告書の廃止に合わせて四半期決算短信が任意化される」と早とちりした向きも少なくないようですが、四半期決算短信の任意化はあくまで「継続的に検討」「将来的に検討」とされており、現段階では未定に等しいと言えます(問題文は誤りです)。

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2022年11月25日 四半期開示に関する議論が事実上決着、「四半期決算短信を任意に」は誤解(会員限定)

2022/11/30 2022年11月度チェックテスト第9問解答画面(不正解)

不正解です。
金融庁の金融審議会・ディスクロージャーワーキング・グループでの議論が決着し、第1・第3四半期報告書が廃止されることとなりました。なお、日本経済新聞の一面に「四半期決算短信を任意に」との見出しが掲載されたことから、見出しだけ読んで「第1・第3四半期報告書の廃止に合わせて四半期決算短信が任意化される」と早とちりした向きも少なくないようですが、四半期決算短信の任意化はあくまで「継続的に検討」「将来的に検討」とされており、現段階では未定に等しいと言えます(問題文は誤りです)。

こちらの記事で再確認!
2022年11月25日 四半期開示に関する議論が事実上決着、「四半期決算短信を任意に」は誤解(会員限定)