2022/11/15 四半期決算短信のエンフォースメント、投資家の声受け“揺り戻し”も(会員限定)

既報のとおり、第1四半期報告書、第3四半期報告書の廃止は既定路線となっており、第2四半期報告書については、たとえ名称は「半期報告書」となったとしても、これまで通り第2四半期報告書を作成し、その対象期間(3月決算企業であれば7~9月)についてのみ監査法人のレビューを受ければよいという整理となることも確実となっている(2022年10月3日のニュース「10月5日からDWGが再開、見えて来た第2四半期報告書の取扱い、第1・第3四半期決算短信へのエンフォースメントの行方」参照)。

四半期報告書の見直し、特に第1四半期報告書、第3四半期報告書の廃止に伴い重要性が高まる第1・第3四半期決算短信については、四半期決算短信を公表したことを金商法上の臨時報告書で開示させることにより、四半期決算短信による開示を金商法の対象に取り込み、同法上の罰則等の対象とする(エンフォースメント)案が浮上していたが、第1・第3四半期の四半期報告書のみを対象とした虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告事案が少ない(1件)ことから、エンフォースメントの対象とする意義は薄いとして、見送られる方向となっていたところ(上記で引用のニュースの上から2段落目、2022年10月3日のニュース「10月5日からDWGが再開、見えて来た第2四半期報告書の取扱い、第1・第3四半期決算短信へのエンフォースメントの行方」の下から2段落目参照)。しかし、ここに来て、投資家サイドから「決算短信のエンフォースメントはやはり必要なのではないか」との声が改めて高まっている。

エンフォースメント : 法や規則といったルールを執行すること

投資家が想定しているエンフォースメントの手法は以前検討されていた上記の臨時報告書方式だが、当フォーラムの取材によると、これが実現するとしても、企業にとっては事務負担が少ない簡素なものになる模様。今月25日に開催されるディスクロージャーワーキング・グループでは四半期開示がテーマとされ、その中で、この臨時報告書方式の件も話題に上る見込みだ。企業側にも「簡素なものであれば導入もやむなし」との空気が広がりつつあり、一転して実現する可能性は決して低くない情勢となっている。25日のディスクロージャーワーキング・グループに注目されたい。

2022/11/14 WEBセミナー『令和4年11月「企業内容等の開示に関する内閣府令」改正(案) そのポイントと向き合い方』配信開始!

新型コロナウイルス禍において会員の皆様に必要な情報をいち早くお届けするべく、2022年11月14日(月)より下記のWEBセミナーの配信を開始いたしました。

テーマ 講 師
令和4年11月
「企業内容等の開示に関する内閣府令」改正(案)
そのポイントと向き合い方
一橋大学大学院・経営管理研究科教授
金融庁「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」メンバー
日本IR協議会 客員研究員
円谷 昭一(つむらや しょういち)様

■WEBセミナーの詳細

セミナー
の内容
金融庁は(2022年)11月7日、「サステナビリティに関する企業の取組みの開示」「コーポレートガバナンスに関する開示」などに関する開示府令の改正案を公表しました。本改正は「令和5年(2023年)3月31日以後に終了する事業年度」、すなわち3月決算企業であれば進行期に係る有価証券報告書から適用されるため、早々に開示内容の検討を開始する必要があります。ただ、開示府令を見ただけでは何をどの程度の深度で書けばよいのか分からない部分が多いことに加え、サステナビリティやコーポレートガバナンスへの取り組みは各社によって異なり、そもそも開示内容に正解はないため、頭を悩ませる企業も少なくないことでしょう。
そこで本セミナーでは、企業情報開示の専門家である一橋大学大学院・経営管理研究科教授の円谷昭一先生に、『令和4年11月「企業内容等の開示に関する内閣府令」改正(案)そのポイントと向き合い方』と題し、今回公表された開示府令改正案、企業内容等開示ガイドライン、記述情報の開示に関する原則のポイントを解説していただきつつ、同改正案が開示を求める主要事項のベースにある考え方や、開示を検討するにあたってのスタンス、留意点等について、円谷先生のお考えを示していただきます。
講師の
ご紹介
円谷 昭一(つむらや しょういち)様
一橋大学大学院・経営管理研究科教授
金融庁「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」メンバー
日本IR協議会 客員研究員

会員の方は下記URLよりWEBセミナーを視聴いただくことができます。
■会員向けURL(ログインが必要です)
/member/webseminar-webseminar-l/65508/

非会員の方は下記URLよりWEBセミナーの視聴をお申込みいただけます。
■非会員向けURL(グーグルフォームが立ち上がります)
https://forms.gle/Mf1AkFav14EMkeLj7

<収録月>
2022年11月

<収録時間>
46分

<視聴環境>
ブラウザー上で視聴できます。インターネットエクスプローラー、エッジで再生できない場合は、ChromeまたはFirefoxなど他のブラウザーをお試しください。また、インターネットに接続する際にプライベートネットワークやプロキシサーバーを経由している場合やファイアーウォールのセキュリティレベルが高い場合には、サンプル動画が再生されない可能性があります。
万が一、こちらのサンプル動画が再生されない場合、端末を管理するシステム管理者にお問い合わせください。

2022/11/14 ESG指標のインセンティブ報酬への組み込みについて、グローバル機関投資家が議決権行使基準を設定

「ESG指標をどのようにインセンティブ報酬に組み込むべきか」という問いは世界中の上場企業を悩ませており、日本企業でも日々進展の見られる分野となっているが、役員報酬プラクティスに強い影響力を持つ英国のLGIM(Legal & General Investment Management)が2022年10月に更新した役員報酬に関する議決権行使基準(LGIM’s UK principles on executive pay – October 2022)に、この点についてかなり踏み込んだ新基準が盛り込まれた。

その内容は、・・・

LGIM : Legal & General Investment Management の略称で、欧州でも有数の規模を誇る英国の大手保険グループ Legal & General Group の一員であるグローバル機関投資家
ネットゼロ : 温室効果ガスの排出量から吸収量や除去量を差し引いた合計をゼロにするにすること。

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2022/11/14 ESG指標のインセンティブ報酬への組み込みについて、グローバル機関投資家が議決権行使基準を設定(会員限定)

「ESG指標をどのようにインセンティブ報酬に組み込むべきか」という問いは世界中の上場企業を悩ませており、日本企業でも日々進展の見られる分野となっているが、役員報酬プラクティスに強い影響力を持つ英国のLGIM(Legal & General Investment Management)が2022年10月に更新した役員報酬に関する議決権行使基準(LGIM’s UK principles on executive pay – October 2022)に、この点についてかなり踏み込んだ新基準が盛り込まれた。

その内容は、2025年以降に提案される新しい役員報酬ポリシーにおいて、ネットゼロ目標に対する評価がLTI(Long Term Incentive=中長期のインセンティブ報酬)において20%以上のウエイトを占めていない場合、当該役員報酬議案に反対する、というものである。

LGIM : Legal & General Investment Management の略称で、欧州でも有数の規模を誇る英国の大手保険グループ Legal & General Group の一員であるグローバル機関投資家
ネットゼロ : 温室効果ガスの排出量から吸収量や除去量を差し引いた合計をゼロにするにすること。

さらに、このネットゼロ目標はスコープ1スコープ2だけでなく、スコープ3までを含めたフル・バリューチェーンでの目標達成度を測定するものでなければならず、また恣意的な運用にならないようSBTi承認()を得ていることが望ましいという、極めて要求水準の高いものとなっている。

スコープ1 : 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出のこと
スコープ2 : 他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う温室効果ガスの間接排出のこと
スコープ3 : 事業者自ら排出している温室効果ガス(二酸化炭素等)であるScope1、Scope2以外の間接排出、具体的には「事業者の活動に関連する他社」による温室効果ガスの排出のこと
フル・バリューチェーン : 購買した原材料に対し、技術開発、生産、販売、人材育成といった一つひとつの企業活動が価値を付加し、最終的に顧客に対する価値が生み出されるという一連の流れのこと

 Science-based Targets initiative(科学的根拠に基づくイニシアティブ)による承認のこと。SBTi承認を受けるためには、温室効果ガスの削減目標を設定してSBT事務局に提出し、SBT事務局から目標の妥当性について確認を得る(有料)必要がある。SBTi承認の認定基準は環境省の資料を参照。

Science-based Targets initiative(科学的根拠に基づくイニシアティブ) : 企業に対し「科学的根拠」に基づく「二酸化炭素排出量削減目標」を立てることを求めるイニシアチブであり、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)、国連グローバル・コンパクト(UNGC)、そして、気候変動対策に関する情報開示を推進する機関投資家の連合体のCDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)の4団体によって2014年9月に設立された。同イニシアチブでは、企業に対し、長期的視点に基づいた温室効果ガスの削減ビジョンや目標を設定することを推奨しており、目標設定を支援するためのガイダンスなども策定している。

LGIMは、2050年のネットゼロ社会を目指すうえでのマイルストーン(中間地点)である「2030年」まで残り5年となる2025年からの新基準を適用することを予定している。適用開始までまだ時間はあるが、LGIMは早期に告知することで企業側に注意喚起し、十分な対応を図ってもらうための猶予期間を設けたい、としている。これは、スコープ3まで含めたフル・バリューチェーンでの目標設定という点は投資先企業にとって難易度が高いということを、LGIMも認識しているということを示している。

いまだ日本企業においては、ESG指標を①年次インセンティブ(賞与等)で評価するのか、②LTIで評価するか、あるいは③その両方で評価するのか、また、ESG指標による評価にどの程度のウエイトを持たせるのか、といった論点について各社の考え方や対応に濃淡がある。こうした中、役員報酬プラクティスで日本に先行する英国で、「LTIにおいて20%以上のウエイトでネットゼロ目標(しかもスコープ3まで含む)を設定すべし」という具体的な基準が投資家サイドから出てきたことは注目に値するだろう。

同様に英国の役員報酬プラクティスに対して影響力のあるInvestment Association(英国投資協会:通称“IA”)は2022年11月9日に各企業の報酬委員長宛にレターを発出している。3ページという簡潔なレターの中でも論点は多岐にわたっている。その中でもESG指標については、「ESG Metrics in Executive Remuneration(役員報酬におけるESG指標)」と見出しをつけて言及している。レターでは、従来は「ネットゼロ・コミットメント」を表明している企業や、ESG指標が事業戦略上マテリアル(重要)な企業においてのみ、ESG指標のインセンティブ報酬への組み入れが重要視されてきたが、同協会の会員である投資家の中には、「一部の企業に限定されることなく、全ての企業において同様の対応が求められる」と考えている者もいるとしている。こうした中、同協会としては、役員報酬におけるESG指標が①戦略に紐づいており、②定量的であり、③不要な複雑さを伴わないことを求めており、さらに、投資家の期待として、それらのESG指標の進捗状況がどのように測定されるのか、そして目標値に対する実績を対外的に開示・説明していくことを求めている。

冒頭でも触れたように、ESG指標を報酬に反映することは日本企業にとっても重要な課題となっているのみならず、進展のスピードも速いだけに、経営陣としては、英国と同様の展開が早晩訪れる可能性を想定しておく必要があろう。

2022/11/14 【WEBセミナー】『令和4年11月「企業内容等の開示に関する内閣府令」改正(案) そのポイントと向き合い方』

概略

【WEBセミナー公開開始日】2022年11月14日

金融庁は(2022年)11月7日、「サステナビリティに関する企業の取組みの開示」「コーポレートガバナンスに関する開示」などに関する開示府令の改正案を公表しました。本改正は「令和5年(2023年)3月31日以後に終了する事業年度」、すなわち3月決算企業であれば進行期に係る有価証券報告書から適用されるため、早々に開示内容の検討を開始する必要があります。ただ、開示府令を見ただけでは何をどの程度の深度で書けばよいのか分からない部分が多いことに加え、サステナビリティやコーポレートガバナンスへの取り組みは各社によって異なり、そもそも開示内容に正解はないため、頭を悩ませる企業も少なくないことでしょう。
そこで本セミナーでは、企業情報開示の専門家である一橋大学大学院・経営管理研究科教授の円谷昭一先生に、『令和4年11月「企業内容等の開示に関する内閣府令」改正(案)そのポイントと向き合い方』と題し、今回公表された開示府令改正案、企業内容等開示ガイドライン、記述情報の開示に関する原則のポイントを解説していただきつつ、同改正案が開示を求める主要事項のベースにある考え方や、開示を検討するにあたってのスタンス、留意点等について、円谷先生のお考えを示していただきます。

【講師】
一橋大学大学院・経営管理研究科教授
金融庁「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」メンバー
日本IR協議会 客員研究員
円谷 昭一(つむらや しょういち)様

セミナー資料 令和4年11月「企業内容等の開示に関する内閣府令」改正(案)そのポイントと向き合い方.pdf
セミナー動画

令和4年11月「企業内容等の開示に関する内閣府令」改正(案)そのポイントと向き合い方

65515

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2022/11/14 WEBセミナー『令和4年11月「企業内容等の開示に関する内閣府令」改正(案) そのポイントと向き合い方』(会員限定)

概略

【WEBセミナー公開開始日】2022年11月14日

金融庁は(2022年)11月7日、「サステナビリティに関する企業の取組みの開示」「コーポレートガバナンスに関する開示」などに関する開示府令の改正案を公表しました。本改正は「令和5年(2023年)3月31日以後に終了する事業年度」、すなわち3月決算企業であれば進行期に係る有価証券報告書から適用されるため、早々に開示内容の検討を開始する必要があります。ただ、開示府令を見ただけでは何をどの程度の深度で書けばよいのか分からない部分が多いことに加え、サステナビリティやコーポレートガバナンスへの取り組みは各社によって異なり、そもそも開示内容に正解はないため、頭を悩ませる企業も少なくないことでしょう。
そこで本セミナーでは、企業情報開示の専門家である一橋大学大学院・経営管理研究科教授の円谷昭一先生に、『令和4年11月「企業内容等の開示に関する内閣府令」改正(案)そのポイントと向き合い方』と題し、今回公表された開示府令改正案、企業内容等開示ガイドライン、記述情報の開示に関する原則のポイントを解説していただきつつ、同改正案が開示を求める主要事項のベースにある考え方や、開示を検討するにあたってのスタンス、留意点等について、円谷先生のお考えを示していただきます。

【講師】
一橋大学大学院・経営管理研究科教授
金融庁「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」メンバー
日本IR協議会 客員研究員
円谷 昭一(つむらや しょういち)様

セミナー資料 令和4年11月「企業内容等の開示に関する内閣府令」改正(案) そのポイントと向き合い方.pdf
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令和4年11月「企業内容等の開示に関する内閣府令」改正(案) そのポイントと向き合い方

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2022/11/11 コーポレートガバナンスに関する改正開示府令案が求める「具体的な検討内容」とは?

既報のとおり金融庁は(2022年)11月7日、「サステナビリティに関する企業の取組みの開示」「コーポレートガバナンスに関する開示」などに関する開示府令の改正案を公表したが(2022年11月7日のニュース「気候変動情報、一律の開示は見送り」参照)、その中で、多くの上場企業から疑問の声が挙がっているのが、「コーポレートガバナンスに関する開示」における取締役会などの活動に関する記載事項だ。

コーポレートガバナンスに関する開示(第二号様式 記載上の注意「(54)コーポレート・ガバナンスの概要」)には下記の規定がある。

i 最近事業年度における提出会社の取締役会、指名委員会等設置会社における指名委員会及び報酬委員会並びに企業統治に関し提出会社が任意に設置する委員会(指名委員会等設置会社における指名委員会又は報酬委員会に相当する任意の委員会を含む。)の活動状況(開催頻度、具体的な検討内容、個々の取締役又は委員の出席状況等)を記載すること。

注目されるのが、「具体的な検討内容」という記述だ。今回の改正開示府令案のベースとなった金融庁・金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループが2022年6月に公表した報告書では、ここは「主な検討事項」とされていた(18ページ最終行、19ページ中段参照)。同様に、現行開示府令上、「監査役及び監査役会(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)」の活動状況についても「主な検討事項」の記載が求められているが、改正開示府令案ではこれが「具体的な検討内容」という文言に変更されている((56)監査の状況参照)。

大手人事コンサルティング会社 ウイリス・タワーズワトソン(以下、WTW)の調査によると、TOPIX100構成企業の71%は報酬委員会の審議・検討内容を開示しているものの、そのうち44%は相応の内容を開示している一方で、27%は具体性に乏しい開示となっていた(WTWのリリースの2ページ③参照)。すなわち、いまだ開示していない29%の企業を加えれば、TOPIX100構成企業でさえ半数以上が報酬委員会の活動状況の「具体的な検討内容」を開示しているとは言えない状況となっている。

この改正の背景には、・・・

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2022/11/11 コーポレートガバナンスに関する改正開示府令案が求める「具体的な検討内容」とは?(会員限定)

既報のとおり金融庁は(2022年)11月7日、「サステナビリティに関する企業の取組みの開示」「コーポレートガバナンスに関する開示」などに関する開示府令の改正案を公表したが(2022年11月7日のニュース「気候変動情報、一律の開示は見送り」参照)、その中で、多くの上場企業から疑問の声が挙がっているのが、「コーポレートガバナンスに関する開示」における取締役会などの活動に関する記載事項だ。

コーポレートガバナンスに関する開示(第二号様式 記載上の注意「(54)コーポレート・ガバナンスの概要」)には下記の規定がある。

i 最近事業年度における提出会社の取締役会、指名委員会等設置会社における指名委員会及び報酬委員会並びに企業統治に関し提出会社が任意に設置する委員会(指名委員会等設置会社における指名委員会又は報酬委員会に相当する任意の委員会を含む。)の活動状況(開催頻度、具体的な検討内容、個々の取締役又は委員の出席状況等)を記載すること。

注目されるのが、「具体的な検討内容」という記述だ。今回の改正開示府令案のベースとなった金融庁・金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループが2022年6月に公表した報告書では、ここは「主な検討事項」とされていた(18ページ最終行、19ページ中段参照)。同様に、現行開示府令上、「監査役及び監査役会(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)」の活動状況についても「主な検討事項」の記載が求められているが、改正開示府令案ではこれが「具体的な検討内容」という文言に変更されている((56)監査の状況参照)。

大手人事コンサルティング会社 ウイリス・タワーズワトソン(以下、WTW)の調査によると、TOPIX100構成企業の71%は報酬委員会の審議・検討内容を開示しているものの、そのうち44%は相応の内容を開示している一方で、27%は具体性に乏しい開示となっていた(WTWのリリースの2ページ③参照)。すなわち、いまだ開示していない29%の企業を加えれば、TOPIX100構成企業でさえ半数以上が報酬委員会の活動状況の「具体的な検討内容」を開示しているとは言えない状況となっている。

この改正の背景には、現状、各会議体等の活動状況として、各会議体等の規程をそのまま引用したような記述が多くの企業で見られるという実態がある。例えば、取締役会の活動状況であれば「取締役会規程の決議事項について決議した」「投資案件について議論した」、指名委員会の活動状況であれば「指名について議論した」といったものだ。このような記述からは具体的な議論の内容が見えず、投資家等にとってはほとんど意味のない情報と言わざるを得ない。そこで、例えば「米国における投資案件について議論した」「指名のロングリストをショートリストに絞り込んだ」といった一定程度の具体性をもった記述を求めるというのが、今回の改正の趣旨であることが当フォーラムの取材により確認された。

企業側からは「具体的な議論の内容を競合他社に知られたくない」といった声も聞かれるが、今回の改正では、機密情報の開示まで求めているわけではない。例えば投資案件であれば、具体的な投資金額を記載することまでは必ずしも想定されていない。「投資案件」といった議論のテーマのみにとどまらず、「何の投資案件なのか」といった程度まで踏み込んだ記載が求められているということだ。

また、従来の「主な検討事項」の開示という要請も引き続き生きていると考えてよい。すなわち、改正案では、「主な検討事項」を「具体性をもって」記載せよ、ということが要請されていると言えよう。

2022/11/10 電子提供制度下の新たな招集通知モデル 「一体型アクセス通知」とは?

2023年3月から株主総会資料の電子提供制度がスタートし、上場会社は強制的に同制度に対応しなければならなくなる。本稿では、制度開始に備えて全国株懇連合会(以下、全株懇)は2022年10月21日に公表した「書面交付請求対応指針」「電子提供制度における招集通知モデル(電子提供措置事項の一部を含んだ一体型アクセス通知)」のうち後者について解説する。

・「書面交付請求対応指針」の解説は2022年11月2日のニュース「期中株式取得者は株主総会資料の書面交付請求ができなくなるケースも」参照・・・

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2022/11/10 電子提供制度下の新たな招集通知モデル 「一体型アクセス通知」とは?(会員限定)

2023年3月から株主総会資料の電子提供制度がスタートし、上場会社は強制的に同制度に対応しなければならなくなる。本稿では、制度開始に備えて全国株懇連合会(以下、全株懇)は2022年10月21日に公表した「書面交付請求対応指針」「電子提供制度における招集通知モデル(電子提供措置事項の一部を含んだ一体型アクセス通知)」のうち後者について解説する。

・「書面交付請求対応指針」の解説は2022年11月2日のニュース「期中株式取得者は株主総会資料の書面交付請求ができなくなるケースも」参照

一口に招集通知と言っても、「狭義の招集通知」と「広義の招集通知」の2つがある。「狭義の招集通知」とは、株主総会がいつ(日時)、どこで(場所)、何を決議または報告するのか(目的)等を記載したもの。狭義の招集通知に株主総会参考書類(例えば、役員選任議案として候補者の氏名や略歴等を記載したり、定款変更議案として新旧対照表を記載したりする書類)、議決権行使書面、事業報告、連結計算書類、計算書類、監査役の監査報告、会計監査人の監査報告を加えたものを「広義の招集通知」と言う。一般的に、招集通知と言えば「広義の招集通知」をイメージすることが多いものと思われる。

株主総会資料の電子提供制度がスタートしても、株主総会前に株主に送付する書類がゼロになるわけではない。株主総会がいつどこで開催されるのか、株主は電子提供措置事項(電子提供された株主総会資料)にどうやってアクセスするのか(株主総会資料が掲載されたウェブサイトのURL)、インターネットによる議決権行使が可能な会社では株主はどのようにして議決権行使ウェブサイトにアクセスするのか(議決権行使ウェブサイトのURL)、が分からなければ議決権を行使しようがない。そこで同制度スタート後は、電子提供措置事項へのアクセス方法等が記載された「アクセス通知」を「議決権行使書面」とともに株主に送付することになる。アクセス通知は従来の「狭義の招集通知」に相当する。

株主総会資料の電子提供制度スタート後は、パソコンやスマートフォンを持っていないなどの理由で電子提供措置事項にアクセスできないという株主が出て来ることもありうるため、株主総会の基準日までに申し出(書面交付請求)をすれば、株主総会資料を書面(電子提供措置事項記載書面)で受け取ることができる仕組みも用意されている。つまり、同制度の下では、書面の交付を請求した株主には、上記のアクセス通知、議決権行使書面、電子提供措置事項記載書面の3つの書面が送付されることになる。

ただし、アクセス通知と電子提供措置事項記載書面の記載事項は、【表1】のとおり一部重複している(表中グレーの部分)。

【表1】狭義の招集通知(アクセス通知)と電子提供措置事項記載書面の記載事項
記載事項 参考条文 狭義の招集通知(アクセス通知) 電子提供措置事項記載書面 全株懇の提案
株主総会の日時及び場所 会社法 298 条1項1号 電子提供措置事項の一部を含んだ一体型アクセス通知(全株主に送付)
株主総会の目的である事項 会社法 298 条1項2号
株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨 会社法 298 条1項3号
株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨 会社法 298 条1項4号
招集にあたっての決定事項(【表2】参照)について、該当する決議事項があった場合 会社法 298 条1項5号
会社法施行規則63条
×
一 電子提供措置をとっているときは、その旨
二 電子提供措置開始日までに議決権行使書に記載すべき事項以外の電子提供措置事項を記載した有価証券報告書を、EDINETを用いて開示しているときはその旨およびその閲覧に必要な事項
三 その他、法務省令で定める事項
会社法 325 条の4第2項各号 ×
会社法 298 条1項各号以外の電子提供措置事項 会社法325条の5 書面交付請求をした株主にのみ送付
【表2】会社法施行規則 63 条各号に規定される招集の決定事項(主なもの)
①定時株主総会を前年の定時株主総会日に応当する日と著しく離れた日に開催する場合は、その日時を決定した理由(1号イ)
公開会社において、定時株主総会を集中日に開催する場合において、特に理由がある場合は、当該理由(1号ロ)
③株主総会を従来と著しく離れた場所で開催する場合(当該場所が定款で定められたものである場合を除く。)は、その場所を決定した理由(2号)
④書面投票または電子投票を採用した場合は、株主総会参考書類に記載すべき事項(3号
イ)
⑤書面投票の期限を定めた場合は、その期限(3号ロ)
⑥電子投票の期限を定めた場合は、その期限(3号ハ)
⑦議決権行使書に賛否の表示がない場合の取扱いを定めた場合は、その取扱いの内容(3号ニ)
⑧一の株主が同一議案について、書面投票の相互間および電子投票の相互間で重複して議決権を行使した場合において、当該議案に対し内容の異なる議決権行使をした場合の取扱いについて定めた場合は、その取扱いの内容(3号ヘ)
⑨株主総会参考書類に記載すべき事項のうち、定款に定めを設けて、電子提供措置事項記載書面に記載しないものとする事項(3号ト)
⑩議決権の不統一行使を行う場合の通知の方法を定めた場合は、その方法(6号)

公開会社 : (定款で)株式に譲渡制限を付していない会社のこと(会社法2条5号)。発行する株式のうち1株でも譲渡制限を付していなければ、公開会社となる。

記載内容の一部が重複している書面が2つ届くことは、書面交付請求をした株主にとっては違和感があることは否めない。また、各書面を作成する総務担当者も、重複している事項のうち片方の書面だけ記載漏れがないよう、チェックする必要がある。そこで全株懇が提案しているのが、招集通知(アクセス通知)の記載内容と電子提供措置事項のうち会社法 298 条1項の記載部分を網羅した「一体型アクセス通知」だ(【表1】の最右列の「電子提供措置事項の一部を含んだ一体型アクセス通知(全株主に送付)」を参照)。なお、全株懇は一体型アクセス通知ではない招集通知のモデルも示しており、会社はどちらのモデルを採用するかを決めておく必要がある。

そして、書面交付請求をしてきた株主には、会社法 298 条1項各号以外の電子提供措置事項を記載した書面(【表1】の最右列の「書面交付請求をした株主にのみ送付」を参照)を送付することになる。もっとも、書面交付請求をした株主に送付する電子提供措置事項記載書面は、実際には相当の部分について記載を省略できることになっており、株主総会参考資料プラス事業報告のうちごく一部の事項を記載すれば足りる(具体的に省略可能な事項については2022年10月13日のニュース「ネットが使えない株主向け書面の簡略化案が明らかに」を参照)。

2022年11月1日には、経団連も株主総会資料の電子提供制度に対応した「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型」(経団連ひな型)の改訂版を公表している。経団連ひな型の方が全株懇のモデルよりも計算書類、監査報告など書類のカバー範囲が広く、かつ、だれでもアクセスできる(株懇の各種モデルは一部を除き原則として会員企業向けのデータとなっている)ので、招集通知(アクセス通知)を一体型にするかどうかを決めた後は、経団連ひな型や信託銀行(株主名簿管理人)の提供する資料などを参考にしながら、招集通知および電子提供措置事項記載書面の詳細を詰めていくことになろう。