2021/10/28 株主総会資料の電子提供制度、改正法務省令から見える適用開始日(会員限定)

既報のとおり、法務省は(2021年)10月12日から「WEB開示」の範囲を特例として拡大する改正法務省令(以下、WEB開示の特例)についてパブリックコメントを開始しており、この結果、改正法務省令の施行前に訪れる2021年7月決算会社の10月総会、同8月決算会社の11月総会などを除き、改正会社法に基づく株主総会資料の電子提供制度()が開始されるまでは“空白期間”なくWEB開示の特例が適用されることになる(2021年10月14日のニュース「WEB開示の特例、事実上の恒久化へ ただし“空白期間”が発生」参照)。

WEB開示 : 株主総会参考書類、事業報告、計算書類関係書類の一部を、WEBで一定期間(株主総会招集通知を発出時から、株主総会の日から3か月が経過する日までの間)開示することで、書面・電磁的方法による株主への提供を不要とする制度。

 WEB開示の特例と株主総会資料の電子提供制度の違いは2021年2月3日のニュース『「WEB開示制度」と改正会社法上の「株主総会資料の電子提供制度」の関係』参照

既に今年(2021年3月1日)から施行されている改正会社法だが、株主総会資料の電子提供制度については「改正会社法の公布の日(令和元年(2019年)12月11日)から起算して3年6か月を越えない範囲内において政令で定める日」から施行されることとなっており、現時点ではその日がいつなのかは明らかになっていない。しかし、現在パブリックコメントに付されている上記改正法務省令の適用期限が「公布の日から令和5年(2023年)2月28日」とされている(改正法務省令に関する概要説明「第3 その他」の「2 失効」参照)ことから容易に推測されるのは、株主総会資料の電子提供制度は「12月決算会社の令和5年3月総会」から適用されるということだ。

さらに言うと、株主総会資料の電子提供制度の施行日から「6か月間」における株主総会の招集手続は現行どおり(=株主総会資料の電子提供制度が適用される前のとおり)とされている(会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律10条3項)ことを踏まえると、株主総会資料の電子提供制度の施行日は、改正法務省令の適用期限(令和5年2月28日)が切れて株主総会資料の電子提供制度の適用が開始される「令和5年3月1日」の6か月前、すなわち「令和4年(2022年)9月1日」となる。同日は改正会社法の公布の日(令和元年12月11日)から2年9か月と、「3年6か月」よりもだいぶ早まったのは、デジタル化推進の流れを受けたものと言えるだろう。

ただし、上記のとおり、株主総会資料の電子提供制度の適用開始に伴い、WEB開示の特例は失効することになる。株主総会資料の電子提供制度では、(連結および単体の)貸借対照表・損益計算書などの書類については、株主から「紙」での提供を求められた場合、応じざるを得ない(2021年2月3日のニュース『「WEB開示制度」と改正会社法上の「株主総会資料の電子提供制度」の関係』参照)という点で、WEB開示の特例よりも“デジタル化”は後退することになる。

2021/10/27 【失敗学第89回】山口フィナンシャルグループの事例(会員限定)

概要

山口銀行、北九州銀行、もみじ銀行を傘下に持つ山口フィナンシャルグループの代表取締役会長兼グループCEOが取締役会規則に違反して取締役会決議を経ることなく、自己の権限を逸脱して新銀行の設立を進めていた。

経緯

山口フィナンシャルグループが2021年10月14日に公表した「社内調査本部による調査報告書」(以下、本調査報告書)などによると、一連の経緯は次のとおり。

2021年
3月24日:山口フィナンシャルグループの代表取締役会長兼グループCEOである吉村猛氏(当時。以下「吉村CEO」という)は、新銀行設立プロジェクト(山口フィナンシャルグループとアイフルが共同出資し、合弁子会社として「全国区の個人金融専門の銀行」を設立し、格差社会におけるマスリテール層の生活改善のための金融を展開するというプロジェクト)に関して、取締役会の決議を経ることなく、アイフルの経営トップとの間で、以下の内容につき口頭で合意した。
・山口フィナンシャルグループにおいて継続的にコンサルティングを実施していたコンサルティング会社(オリバーワイマングループ)が作成した資料(以下「オリバーワイマングループ作成資料」という)に記載された新銀行の内容およびこれを前提とした新銀行の認可(銀行業免許)取得に向けて、作業を鋭意継続していくこと
・引き続き当該プロジェクトに専心するチームとして、オリバーワイマングループの日本代表パートナーa氏、および複数の者が山口フィナンシャルグループに入社し、山口フィナンシャルグループの立場でアイフルと協議しながら、検討を前に進め、できるだけ早期の認可取得を目指すこと
・新銀行を設立した場合には、オリバーワイマングループの日本代表パートナーa氏が新銀行のCEOを務めること

3月頃:前CEOは、オリバーワイマングループの日本代表パートナーa氏をはじめ、a氏の兄およびその他4名に対して、新銀行への採用内定を出す。

4月30日:a氏がオリバーワイマングループの日本代表パートナーを任期満了により退任し、オリバーワイマングループのシニアアドバイザーに就任。

5月10日:山口フィナンシャルグループの吉村CEO以外の取締役全員に、「山口フィナンシャルグループを憂える志士一同」名義で吉村CEOの行為を告発する匿名文書(告発内容は新銀行設立プロジェクトとは別の内容のもの)が送付された。

5月12日:山口フィナンシャルグループでは、次期役員選任議案の答申に関する指名委員会開催に先立ち、吉村CEOに対する告発文書に関して、指名委員会の委員および吉村CEOを含む社内取締役で意見交換が行われた。

5月14日:山口フィナンシャルグループの取締役会で、告発文書に記載されている前CEOの不当な職務執行等の事実確認を行うとともに、法令等遵守、ガバナンス、内部統制等の観点から、その適切性を評価することを目的として、社外の弁護士を委員長とし、監査等委員である社外取締役2名、監査等委員である社内取締役1名および社外取締役1名を委員とする調査委員会を設置し、調査を進めることが決議された。その際、「調査終了までオリバーワイマングループおよびa氏とのプロジェクト、コンサルティングについてはサスペンドする」旨の付帯決議もなされた。

5月19日:吉村CEOは調査委員会からオリバーワイマングループおよび同グループの元日本代表パートナーa氏との関係を問われ、飲食の機会はあるが、キックバック等の癒着はない旨、リテール金融のコンサルティングについて、相見積りはとっていないが、オリバーワイマングループしか選択肢がない旨を説明した。その中で、吉村CEOは、a氏の報酬額を含めてa氏らの採用を内定していること、金融業者A社との間で、新銀行設立に関するプロジェクトを立ち上げることなどを合意している旨を説明した。その際に、吉村CEOは、a氏らの採用内定について、自らの決裁権限の範囲内である旨の認識を述べた。それに対し、調査委員会のメンバーである社外取締役が、a氏の報酬が高額であることや、2021年5月14日開催の取締役会において、付帯決議が行われていることなどの理由から、取締役会に報告して議論する必要性を諭した。これに対して、吉村CEOは次のような質問や意見を述べた。
「今後、中途採用については全て取締役会で決定するのか」
「調査委員会が立ち上がることは、自身の経営に疑義が生じているということであり経営として失格だと思うので、できれば調査委員会による辞任勧告を要望したい、そうならないのであれば、自身が辞任の方向で検討する」
また、調査委員会終了後、吉村CEOは調査委員会の委員でもあった福田取締役監査等委員に対して、概要以下の発言を行った。
「法的に問題がないのに、調査委員会は何がしたいのか」
「何故、リテール部門まで調査しないといけないのか」
「調査委員会に権限はあるのか」
「調査委員会は、調査するのであれば、徹底的に調査すべき。システム業者F社に対するヒアリングを実施し、リテール部門の役職員の誰が悪いのか、誰が非協力的なのかを明確にすべき。そのように対応しなければ、自分が内部告発する」
「自分(吉村CEO)だけではなく、実際の執行部門であるリテール部門にも責任を取らせろ」
「なぜ、a氏の採用を止めるのか」
「自分(吉村CEO)がトップとなってから設立したグループ会社を潰すことについて、調査委員会で起案しろ」
「採用について、年俸基準での取締役会付議基準を作成しろ」
「納得がいかない、自分(吉村CEO)が内部告発文書を掲載したインターネットメディアのようになってやる」
調査が進展するなかで、調査委員会が当初は調査対象としていなかった「新銀行設立にかかる案件の進め方」について、吉村CEOが十分な社内検討をすることなく、また、社内合意を形成することなく案件を進めようとしたこと等、ガバナンスの観点から、さらなる調査が必要であることが判明した。

5月20日:吉村CEOは、福田取締役監査等委員に対して、以下の要請を行った。
「調査委員会の権限について、文書にて提示すること」
「人材採用における取締役会付議基準(報酬・契約内容)を設定すること」
「コンサルとの協議に係るリテール部門の議事録を整備させること」
「中期経営計画で施策としていたライフサポート口座について、リテール部門が自ら実施を放棄した理由と責任を明確にすること」
「LPSシステムの開発遅延理由を明確にすること」
「金融業者A社との提携ローンの業績不振に対して、リテール部門の取組みを明確にすること」
「業績不振にあるリテール部門グループ会社に対するリテール部門の取組を明確にすること」
「リテール部門は、その価値がないとしながら、誰がコンサルの最終報告を受領・検収しているのかを明確にすること」
「調査委員会の委員選定理由を明確にすること」

5月21日:吉村CEOは、椋梨代表取締役社長及び福田取締役監査等委員に対して、出先から電話で、以下の指示を行った。
「社員への責任追及を徹底的に実施すること」
「採用権限を止めることは、業務執行への介入、ガバナンスの逸脱であり、取締役会付議基準を作ること」

5月27日:吉村CEOから、椋梨代表取締役社長に対して、以下の内容を調査委員会に伝達するよう、要請があった。
「調査委員会の目的と範囲が明確でない」
「将来の行動(a氏の採用・契約)を差し止めることは不当である」
「調査委員会は、5月14日設置としているが、実態がなく、金融庁に対して虚偽報告を行ったのではないか」
「5月28日開催の取締役会において議案(新銀行プロジェクト)が否決されれば、a氏の内定取消となるため、a氏は当社を訴えることになる」

5月28日:山口フィナンシャルグループの取締役会開催で「新銀行設立にかかる立案プロジェクト開始の件」(決議内容:立案プロジェクトの組成と外部人材の採用)が審議された。審議にあたっては、以下の資料等が配布された。
・「YMFGを取り巻く今後予測される環境」
・「新銀行プロジェクトで入社する 6 名の報酬について」
・オリバーワイマングループ作成資料
吉村CEOは、オリバーワイマングループ作成資料を用いながら、アイフルとの共同プロジェクトとして、オリバーワイマングループのコンサルティングを受けて、2020年11月から検討を行ってきたことおよび以下の内容につき説明を行った。
・新銀行は、「全国区の個人金融専門の銀行」であること
・オリバーワイマングループ作成資料記載の新銀行の内容や、これを前提に新銀行認可取得に向けて作業を鋭意継続していくこと、山口フィナンシャルグループでオリバーワイマングループのa氏を採用し、新銀行を設立した場合には新銀行のCEOをa氏が務めること等をアイフルの経営トップとの間で合意済みであること
・独自商品は「利息のみ返済ローン」であること
また、吉村CEOは、「新銀行プロジェクトで入社する6名の報酬について」と題する資料を用いながら、採用内定を出したa氏らに関し、その報酬額や入社日(6月1日)等を説明した。
吉村CEOは、決議内容である「立案プロジェクトの組成と外部人材の採用」について、本来、プロジェクトの組成は取締役会に付議する必要はない(準備会社を作るという前段階で取締役会に付議することになる)と考えている旨、しかし、a氏との癒着があるのではないかという疑義がある中での高額報酬でのa氏採用であるため取締役会に付議した旨を説明している。
当該説明に対し、社外取締役から、新銀行の設立の件は、経営における重要な事項であること、アイフルとの間で、新銀行のCEOをa氏にすること等を合意した状況に至っていることについて、検討段階を超えていること、このようなプロジェクトの組成であれば、当該プロジェクトを立ち上げること自体について、取締役会で決議すべきであることなどが指摘されるとともに、アイフルと新銀行を設立することやa氏を採用することが既成事実化すること、結論ありきになってしまうことに対する懸念も示された。
吉村CEOは、a氏らの採用内定については、改めて、CEOとしての決裁権限の範囲内であり、内定を取り消すと損害賠償の問題が出てくる旨発言した。
当該取締役会においては、社外取締役等より以下の意見が出た。
・決議内容の「立案プロジェクトの組成と外部人材の採用」に関して、オリバーワイマングループ作成の資料の内容を前提とせずに、純粋に新銀行設立の検討を始めるということにできないか
・新銀行の免許取得のために、なぜオリバーワイマングループのa氏らを採用しなければならないのか
・業務提携をして内部人材で進めることはできないのか
・「立案プロジェクトの組成」と「外部人材の採用」とをセットで決議しなければならないのか
これに対して吉村CEOは、外部人材の採用が否決されるのであれば、新銀行設立に係る立案プロジェクトの組成も否決されることになると考えている旨、a氏を入れて新銀行を設立するプロジェクトを組成するという決議事項を付議した旨、外部人材の採用が否定されるのであれば、立案プロジェクトも組成しないと決議してもらった方がいい旨を発言するなど、吉村CEOとしては、新銀行設立の構想とa氏を不可分のものとして考えており、当該プロジェクトにa氏を加えることにこだわっていた。
審議の結果、a氏およびその兄の採用については、他の取締役からの了解が得られなかったため、吉村CEOは、その他スタッフ4名の採用は認めてもらいたい旨発言した。
そこで、取締役会は、オリバーワイマングループ作成資料等は参考資料であり、その資料の内容は決議対象でないこと、また、当該スタッフ4名を採用することは本件付帯決議に抵触しないことを確認の上、「山口フィナンシャルグループとして、新銀行設立にかかる立案プロジェクトの開始を承認するとともに、a氏およびその兄以外のスタッフ4名の採用を吉村CEOに一任する」旨を決議した。当該取締役会は、約5時間にも及んだ。

6月1日:5月28日開催の取締役会を受けて、吉村CEOは、社内取締役に対して、a氏およびa氏の兄をアイフルで採用し、プロジェクトについては、協同して立案作業を進めるなどといった内容で、新銀行設立にかかる立案プロジェクトを進めることについて、本件付帯決議に違反しないか、社外取締役に確認するよう要請した。

6月3日:椋梨代表取締役社長が、社外取締役の意見集約の結果として、吉村CEOに対して、「アイフルがa氏を採用することは構わない」「5月28日開催の取締役会決議では、あくまで当社独自で検討することを認めたもの」「実質的にa氏が当社に入り込みプロジェクトを差配することは認められない」旨の意見を伝えた。
これを受け、吉村CEOは、福田取締役監査等委員に対して、a氏との新規契約の締結を止めることの理由について、改めて、取締役会の見解を求めた。
当該要請に関して、福田取締役監査等委員が、吉村CEOに対して、取締役会には、取締役の業務執行を監督する責務があり、取締役会が調査を要すると判断する業務執行について、調査終了まで当該業務執行を差し止めることは、取締役会の決議として合理的なものであることなどの説明を行った。吉村CEOは、福田取締役監査等委員に対して、「自身の執行権限は取締役会に全て否定された」「決裁権限基準自体が否定された」「取締役会、社外取締役は自ら執行を行うことを望んでいる」などと発言した。そして、吉村CEOは、自らが決裁権限を有している稟議申請について、自らは決裁せずに、執行部門に対して、取締役会に付議するよう指示を行った。その結果、本来、吉村CEOが決裁すべき事項も含めて取締役会に付議する必要が生じた。

6月25日:定時株主総会後に開催された取締役会では、吉村CEOが決裁を拒否した案件について決議する必要に迫られた(決議事項は通常時の件数をはるかに超える35件にものぼった)。当該取締役会では、吉村CEOから代表権を取り上げグループCEOには椋梨代表取締役が就任することも決議した。これにより吉村前CEOは代表権を有さず役職のない一取締役となった。

7月26日:調査委員会が取締役会に対して調査報告書を提出した。これによると、山口フィナンシャルグループは2016年度から2020年度までの5年間でオリバーワイマングループと16件のコンサルティング契約を締結しており、委託料総額は441百万円にも上っていた(すべて吉村CEOが決裁)にもかかわらず、コンサルティング終了後に担当部署においてその成果物をもって報告が行われた事例は認められず、コンサルティングの成果に対する有効性の検証または評価が行われた記録も見当たらなかったことが判明した。

8月10日:山口フィナンシャルグループの取締役会において、あらためて社内調査としての調査本部を設置するとともに、当該調査の透明性・公正性を確保すべく、外部の法律事務所の助言を受けながら調査を進めることにつき合意した。

8月31日:山口フィナンシャルグループは、取締役会において当該調査本部の設置およびその調査結果を公表することを決議した。

10月14日:山口フィナンシャルグループは、「社内調査本部による調査報告書」を公表した。また、山口フィナンシャルグループの取締役会は吉村取締役の辞任勧告を決議した。

内容・原因・改善策

山口フィナンシャルグループが2021年10月14日に公表した「社内調査本部による調査報告書」によると、社内調査委員会の調査により判明した事実ならびに原因および当該不正を受けて策定した改善策は次のとおりとされている(下記の事項以外にも「証券グループC社との提携解消交渉に関して、取締役会の決議を経ることなく、提携解消に向けた交渉を継続し、また、重大なリスク情報(訴訟リスク)を取締役会へ報告しなかったこと」などが指摘されている)。

吉村CEOの権限逸脱による新規プロジェクト遂行および銀行持株会社の代取としての資質に疑義を生じさせる言動
内容 ・山口フィナンシャルグループでは、取締役会規則や決裁権限基準等に照らすと新銀行設立プロジェクトは取締役会の決議を経るべきであった。それにもかかわらず、吉村CEOは取締役会の決議を経ずに、アイフルの経営トップとの間で勝手に合意をしたり、新銀行のCEOまで人選をして採用内定を出していた。ちなみに、山口フィナンシャルグループには、連結報酬等の総額が1億円以上である役員は存在しないにもかかわらず、新銀行のCEOの予定報酬は、山口フィナンシャルグループのいずれの役員よりも高い1億円以上とされていた。
・吉村CEOは取締役会に対し真摯に向き合わない言動、即ち、取締役会からの指示に従わず、これに反発・反抗を重ねた態度や、取締役会からの質問・疑問等に対しこれを説得すべく代表取締役としての説明責任を全うしない行動は、取締役会との対立を生み、他の取締役に対して、吉村CEOの銀行持株会社の代表取締役としての資質に疑義を抱かせた。
原因 ・吉村CEOの銀行持株会社の代表取締役としての資質
・吉村CEOの取締役会軽視の姿勢
・社内での検討・合意形成プロセスに問題点があった
・リテール部門の主要な責任者に関して、短期間での人事異動等が繰り返されていたことにより、リテール部門の役職員が心理的安全性を欠き、自由な議論や意見交換を行うことが困難となっていた
・CEO室の存在(特に重要な案件について吉村CEOへ情報や権限が集中していた)
改善策 山口FGの経営管理体制の再検証
吉村前CEOの銀行持株会社の取締役としての資質も含め、あらためて経営体制を協議・検討する必要がある。その結果、吉村前CEOが銀行持株会社取締役としての資質を備えていないとの結論に至った場合、臨時株主総会の開催等、取締役交代に係るプロセスを進める。

情報・権限の集中の排除
ガバナンスの健全性確保の観点から、経営トップへの情報・権限の集中を可及的に排除すべき
経営幹部においては、担当部門の重要案件について、その情報管理に留意しつつ、積極的に情報を発信し、自由闊達・活発な議論を通じた業務推進、および健全な組織運営を実現するための意識改革・行動変革・仕組みづくりに向けた取組を行うべき

CxO制度の明文化
2020年6月にCxO制度が導入されたが、会長・社長等の役職とCxO制度の役職、この2つの役職体系の各職責と関係性が整理されていない。
このままでは、経営トップの恣意的な運用を許容し、統制ラインの混乱やガバナンスにおける問題を誘引する懸念がある。
したがって、CxO制度につき、当該制度の必要性をあらためて検討すべきであり、CxO制度を存続させる場合は、当社における意義と位置づけ(職責と関係性等)を明文化するべきである。

CEO室の廃止と内部統制の強化
CEOに専属するCEO室の存在により、内部統制体制(報告、指示命令、決裁)が複雑かつ曖昧になり、また、CEO室においては、外部との情報遮断を意識する業務運営を行っていることから、重要案件にかかる情報がCEOへ一極集中する結果を招いた。
内部統制の有効性を確保し、必要な情報共有を円滑に行うため、CEO室を廃止する等により、組織の統制ラインを明確にすべきである。

内部統制の強化
2020年6月の組織改編後、CEO室の存在に起因する問題を含め、曖昧な内部統制体制の下で、組織運営が継続されており、内部統制の重要性に対する意識が希薄であったと言わざるを得ない。

プロジェクトチーム組成の透明性、統制体制の有効性
プロジェクトチームの組成プロセス、その後の活動における統制の適切性を確保するため、その在り方につき、ガイドラインの策定等による認識の共有等を行うべきである。

インサイダー案件にかかる取組プロセスの明確化
重要案件にかかる情報・権限の集中は、経営トップの独断専行に繋がるおそれや他部門からの牽制効果の発揮を阻害する事象であり、銀行持株会社のガバナンスにおいて、望ましいものではない。もっとも、秘匿性の高いインサイダー案件においては、情報管理の観点から、限定された範囲での取締役・執行役員等による検討・合意形成を余儀なくされる場合もある。情報管理のために、取締役会への付議が遅れてしまう場合も想定されるが、既成事実が積み上がった後に、後戻りできない状況となって取締役会に付議されることになれば、取締役の経営判断に直接・間接の不適切なバイアスを生ぜしめるおそれを否定できない。インサイダー案件について、直ちに画一的・一義的な社内プロセスをルール化することは困難だとしても、情報管理とガバナンスを両立させる観点から、社内においてガイドラインを策定し、情報共有の範囲・方法、社内での検討・合意形成、対外交渉における合意の範囲・方法、取締役会での報告・協議・決議を行うべき時期・内容等について、その目線・留意点につき、具体的プロセスのパターンや例示等を記載すること等も含め、可及的に明確化したうえで、役職員において、あるべき社内プロセスの認識共有を行うべきである。

<この失敗から学ぶべきこと>

山口フィナンシャルグループではCEOに権限を集中させた結果、CEOの独断専行を招いてしまいました。CEOの権限を強化すると強いリーダーシップを実現できる反面、CEOへの歯止めが効かなくなるリスクを抱えることになります。権限の集中と分配のさじ加減は取締役会がしっかりと目を配っておくべき事項と言えます。CEO室(社長室)を設けている上場会社は多数ありますが、それらの会社の取締役会では山口フィナンシャルグループと同じ事態が起きていないかという視点を持っておくべきです。

山口フィナンシャルグループでは、インサイダー案件では情報管理を優先させる結果、取締役会への付議が遅れてしまうリスクへの対応策が課題になっていました。他の上場会社でも同様の課題はあるはずであり、情報管理とガバナンスの両立について、現状の社内プロセスでよいのかどうか点検すべきと言えます。

2021/10/26 ウイリス・タワーズワトソンによる機関投資家インタビューに基づく調査報告『機関投資家から見た役員報酬の現状および今後の期待』の資料を提供します。

会社法改正やコーポレートガバナンス・コード改定等により役員報酬の開示の拡充が図られたことを受け、経営者報酬プラクティスにおいて高度な知見を持つウイリス・タワーズワトソンが、日本企業に対してエンゲージメント活動を行う機関投資家等23社に対し、1) 会社法改正後の役員報酬開示の評価や対応、2) 今後の役員報酬開示への期待、3)役員報酬制度におけるESG指標、4)非業務執行取締役(独立社外取締役)の報酬、の4つのテーマについてヒヤリングを実施しました。

その調査結果をまとめた資料「機関投資家から見た役員報酬の現状および今後の期待」をウイリス・タワーズワトソンのご厚意により上場会社役員ガバナンスフォーラム会員の皆様にご提供いたします。

資料のデータは下記URLからご覧いただけます。
https://govforum.jp/pdf/willistowerswatson3.html

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2021/10/26 買収後の「ガバナンスコスト」

周知のとおり、SBIホールディングス(以下、SBI)が新生銀行に対してTOB(株式公開買い付け)を仕掛けている。SBIは新生銀行株の約20%を保有したうえで、(2021年)9月10日から10月25日までTOBを実施すると発表、その後、12月8日まで期限を延長した。SBIは出資比率を48%まで引き上げ連結子会社化したい意向を持っており、TOBが成立すれば、証券会社が大手銀行を傘下に収める初の買収案件となる。一方、SBIによるTOBを事前に知らされていなかった新生銀行は買収防衛策の導入を決議し、全面対決の様相を呈している。このような状況を見ると、仮にSBIによるTOBが成功したとしても、グループガバナンス(親子会社間のガバナンス体制)の構築には時間を要する可能性もあろう。

特に敵対的TOBによる買収の場合、企業カルチャーが異なる買収子会社が親会社の経営理念や経営方針を受け入れるのは容易なことではない。さらに本件のように買収子会社(新生銀行)の方が規模が大きいとなると役職員の抵抗感は根強く、親会社から送られてきた役員が買収子会社の社風や事業内容を理解しないまま口を出しても反発を受けるだけに終わることも少なくない。こうした中、PMI(Post-Merger Integration)において避けられないのが「ガバナンスコスト」だ。

ガバナンスコストには主に以下の3つがある。・・・

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2021/10/26 買収後の「ガバナンスコスト」(会員限定)

周知のとおり、SBIホールディングス(以下、SBI)が新生銀行に対してTOB(株式公開買い付け)を仕掛けている。SBIは新生銀行株の約20%を保有したうえで、(2021年)9月10日から10月25日までTOBを実施すると発表、その後、12月8日まで期限を延長した。SBIは出資比率を48%まで引き上げ連結子会社化したい意向を持っており、TOBが成立すれば、証券会社が大手銀行を傘下に収める初の買収案件となる。一方、SBIによるTOBを事前に知らされていなかった新生銀行は買収防衛策の導入を決議し、全面対決の様相を呈している。このような状況を見ると、仮にSBIによるTOBが成功したとしても、グループガバナンス(親子会社間のガバナンス体制)の構築には時間を要する可能性もあろう。

特に敵対的TOBによる買収の場合、企業カルチャーが異なる買収子会社が親会社の経営理念や経営方針を受け入れるのは容易なことではない。さらに本件のように買収子会社(新生銀行)の方が規模が大きいとなると役職員の抵抗感は根強く、親会社から送られてきた役員が買収子会社の社風や事業内容を理解しないまま口を出しても反発を受けるだけに終わることも少なくない。こうした中、PMI(Post-Merger Integration)において避けられないのが「ガバナンスコスト」だ。

ガバナンスコストには主に以下の3つがある。
(1)「100日プラン」の実行コスト
PMIにおいて、新たな体制の下での最初の100日間は極めて重要と言われる。買収直後、経営陣・従業員(さらには、顧客を含む全てのステークホルダー)は不安と期待が交錯する心理状態に置かれており、買収によって何がどのように変わるのか、今後の方向性を見極めようとしている。こうした状況の中で買収子会社の経営陣・従業員と戦略・ビジョンを共有し、具体的なアクションプランに落とし込んでいく作業が「100日プラン」だ。

100日プランにおいては、以下のような事項を実現するための研修、ミーティング、メッセージの発信等の(時間を含む)コストを要する。
①戦略・ビジョン、対処すべき課題の共有
②事業計画、予算及びKPIの共有
③ガバナンスの仕組みについての合意、関連規程の整備
④役職員の報酬体系の整備
⑤経理・財務、総務、人事といった間接部門について、親会社との連携体制の構築

(2)人的資源に関するコスト
「ガバナンスコスト」としての人的資源に関するコストという場合、基本的に経営陣について発生するコストを指す。具体的には、現社長が続投するか、親会社から社長を送り込むのか、グループ外から採用するのか、さらには社長にとどまらず経営陣全体を入れ替えるのかによってコストは変わってくる。外部から人材を採用する場合には採用コストが発生し、また、子会社の報酬体系を見直した結果、報酬が増額となるケースもある。

報酬体系を見直す場合、子会社の経営陣との間で、中長期的な業績や潜在的リスクを反映させた適切なKPIについて合意する必要がある。

(3)「子会社の経営の見える化」に関するコスト
これは、子会社の経営実態を親会社が把握するための体制の整備に要するコストである。通常、システムの見直しを伴い、莫大なコストが発生する可能性がある。また、親子会社間で合意したKPIを設定し、その達成状況を親会社がタイムリーに把握できるようする必要がある。

買収を行う場合、当該買収が資本コストを上回るメリットがあることを投資家に説明し、納得を得る必要があるが、その際、買収に伴うシナジー効果等のみならず、買収後のガバナンスコストの発生も考慮しなければならない。特に敵対的買収では、良好な関係の下で行われた買収に比べ多額のガバナンスコストが発生することになる。ガバナンスコストを買収側・被買収側どちらが負担するのかという問題と併せ、買収の際の重要課題として認識しておく必要があろう。

資本コスト : 資本コストとは「資金提供者(債権者+株主)に対するリターン」を指す(なお、株主に対するリターンには、配当のほかキャピタルゲインも含まれる)。資金提供者に対するリターンが適切にできなければ、債権者は会社に資金の返還を求め、株主は株式を売却(=株価が下落する)せざるを得ない。したがって、会社にとって資本コストは「資金提供者に対するリターンの目標値」と言える。








2021/10/26 【2021年9月の課題】来年に向けた役員報酬に関する事業報告への対応(会員限定)

役員報酬開示強化への対応 初年度における実態

コロナ禍の中、賞与を期初に決めた条件どおりに支払えないなど多くの上場会社がイレギュラー対応を迫られる中で、2021年3月1日以降に末日が到来する事業年度の事業報告(3月決算会社であれば、2021年6月に開催する定時株主総会の事業報告)からは、改正会社法に基づき役員報酬開示の強化が図られ、各社からは“ダブルパンチ”との声も聞かれました。

今回の開示強化の狙いの一つが、日本の上場会社で広く行われてきた「代表取締役等への個人別の報酬額決定の一任」という慣行の再考を促すことにあります。そのため、個人別の報酬額の決定を代表取締役等に委任する場合には、委任した権限が適切に行使されるようにするための措置などの開示が求められることとなりました。上場会社に求められることとなった主な開示事項を、上から工程順に「報酬ガバナンス(報酬の決定プロセス)」「報酬方針(事前の方針)」「報酬実績(事後的な実績)」の3つに分類すれば下表のとおりとなります。

役員報酬開示の枠組み(2021年施行改正会社法ベース)

工程 検討事項 開示事項
報酬ガバナンス
(報酬の決定プロセス)
・誰がどのような根拠を基に妥当性を検証したのか。
・運用の客観性、透明性は担保されているか。
■構成メンバー
■役割・権限・責任
■年間の活動内容
■決定方法(代表取締役等への一任の有無、ある場合はその理由・詳細・権限が適切に行使されるようにするための担保措置)
■報酬方針と適合すると判断した理由
報酬方針
(事前の方針)

報酬方針の改定を行った場合は、報酬実績算定の基となった旧報酬方針と新報酬方針を併記して記載する必要がある。
・報酬制度はどのような内容か。
・企業の戦略と整合性はとれているか。
・企業価値向上に向けたストーリーを支えるものとなっているか。
■基本フィロソフィー
■報酬水準
■報酬構成
■インセンティブ報酬の詳細
✓KPIの選定理由等
■その他
✓ベネフィット
株式保有ガイドライン
マルス条項 クローバック条項
■非業務執行役員(社外取締役、監査役)の報酬方針

株式保有ガイドライン : 株主との持続的な利害共有のため、経営幹部に一定基準の株式の保有を義務付ける規程。「役員就任後、○年以内に基本報酬の×倍の金額の株式を保有する」といった内容のほか、「権利確定後の株式を△年間(あるいは保有基準達成まで、または、退任後まで)保有し続ける」といった継続保有要件をあわせて定めることも多い。
マルス条項 : 主に中長期インセンティブを「支給前」に減額、あるいは消滅させる取り決め。一見するとクローバック条項(例えば業績に連動し支給された報酬を、業績結果の修正に伴い強制的に返還させる取り決め)と似ているが、クローバック条項が既に支給済の報酬を返還させる仕組みであるのに対し、マルス条項は最終的な支給が留保されている(=まだ支給されていない)報酬を対象としている。このため、クローバック条項が対象とする報酬は既に本人に費消されていることなどにより返還の実現が困難な場合があるが、マルス条項の対象となる報酬はまだ支給されていないため、減額・消滅が容易であるという特長がある。

報酬実績
(事後的な実績)
・報酬方針に基づいてどのような額を払ったのか。
・それはペイ・フォー・パフォーマンスの観点から見て妥当か。
・報酬方針は有効に機能したか。
■総額開示、個別開示(1億円超)
✓報酬要素別
✓単年度分のみ
■インセンティブ報酬のKPIと実績
✓ESG等主要な非財務指標を含む

しかし、会社法の施行が2021年3月1日と、2021年3月決算会社の定時株主総会の直前だったため、役員報酬の決定プロセスを変更する時間がなかったという会社、あるいは、代表取締役が最も俯瞰的に個々の役員の職務内容や会社への貢献を見ているため、報酬額の決定も代表取締役に任せるのがベストであるとして、「代表取締役等への一任」という従来のやり方を基本的には変えなかった会社も、特に時価総額の大きいところで目に付きました。また、十分な開示ができなかった会社の中には、これまで個々の役員を評価する明示的な基準を持っていなかったというところや、KPIも特段決めていなかったというところもありました。

今回の役員報酬の開示強化は基本法である会社法で規定され、違反すれば善管注意義務等に問われかねないことから、上場会社側でも重く受け止められていた一方、施行直後ということでプラクティスも固まっていない中で、会社法に抵触しないためには少なくどこまで開示しなければならないのかの見極めがままならず、法律事務所にドラフトの作成を依頼する会社も見受けられました。

役員報酬開示の土台となる報酬ガバナンス

もっとも、役員報酬の決定プロセスや報酬方針等について「こうすべき」という標準的な“型”は存在しません。また、特に時価総額が大きい会社の中には、教科書的な役員報酬制度から逸脱した制度を持つところが少なからず存在しています。

「基本報酬+賞与のような短期インセンティブ+株式報酬のような中長期インセンティブ」の組み合わせを教科書な役員報酬制度とすると、例えば国内で時価総額がトップクラスのあるメーカーでは、賞与と株式報酬の区分があまり明確ではありません。このメーカーでは、最初に総報酬額を決定し、総報酬額から基本報酬額を差し引いた「残り」を短期で支払う賞与と、株式報酬に分けています。また、やはり時価総額が国内トップクラスの別のメーカーの譲渡制限付株式報酬(リストリクテッド・ストック) も独特の仕組みとなっています。通常の譲渡制限付株式報酬は、将来の企業価値向上へのコミットメントと、アラインメント(株主との目線合わせ)を目的に、業績と関係なく毎期必ず株式を付与していきますが、同社の譲渡制限付株式報酬は、毎年の評価の結果として、後で株式を付与するという形をとっています。いわば“賞与の株式払い”のような形であり、年次の評価が著しく悪いと賞与がゼロになることがあるように、譲渡制限付株式報酬もゼロになることがあります。このように、役員報酬制度は会社によって異なることが珍しくなく、また、どのような制度が適しているかは会社によって様々と言えます。

譲渡制限付株式報酬(リストリクテッド・ストック) : 一定期間の譲渡制限が付された株式報酬で、企業が株式を無償取得することとなる事由(没収事由:例えば所定の期間勤務を継続しないなど)が定められているものを指す。「リストリクテッド・ストック」という呼び方も定着している。

裏を返せば、どのような役員報酬制度を作るのかは各社の自由ということになりますが、その分、上場会社は役員報酬についてアカウンタビリティ(説明責任)を果たす必要があります。具体的には、上表で示した「報酬ガバナンス(報酬の決定プロセス)」「報酬方針(事前の方針)」「報酬実績(事後的な実績)」の3つの観点から開示を行う必要があります。この“3点セット”に基づき開示を行うということは、かねてから有価証券報告書でも求められており、会社法改正後の事業報告でもこの枠組み(フレームワーク)が求められています。欧米の開示も基本的にこの3つの枠組みで構成されています。

この3つのうち、役員報酬開示の土台という意味で最も重要なのが「報酬ガバナンス(報酬の決定プロセス)」です。上述のとおり、役員報酬制度の形は会社によって異なることがあり得るものであり、それが自社のフィロソフィーに合っている、あるいは企業価値の向上という投資家のニーズも満たしているということであれば、たとえそれが教科書的な役員報酬制度から逸脱した制度であったとしても、必ずしも否定されるわけではありません。ただ、投資家に対しては、なぜその制度を選択したのか、「誰が」「どのような議論をして」そのような制度になったのかといったプロセス、言い換えれば報酬決定までの「手続」の客観性、透明性を、エビデンスとともに示す必要があります。

今年は“時間切れ”で「代表取締役に一任している」と書くしかなかったという会社にとっては、代表取締役への一任の是非も含め、この点への対応が来年の事業報告開示に向けて最大のアジェンダになるでしょう。

取締役会に委任する場合のボトルネック

では、報酬ガバナンス、すなわち報酬決定までの手続の客観性、透明性を確保するためには、具体的にどのような対応が求められるでしょうか。

上述のとおり、今年は「代表取締役等に一任」としている会社も目に付いたものの、投資家の間では、上場会社は報酬決定のメカニズムを開示するべきという意見が大勢を占める中で、代表取締役等への一任には、議決権の反対行使を受ける等のリスクがあることは否定できません。この点を踏まえると、上場会社がとるべき選択肢は以下の2つのいずれかとならざるを得ないと考えられます。

一つ目は、原則どおり取締役会で個々の役員の報酬額を決定するということです。実際、会社法改正を受け、報酬の決定権限を代表取締役から取締役会に戻したという会社も見受けられました。

もっとも、それは決して多数派とはなっていません。なぜなら、個人別の報酬額を取締役会で決定することとなった場合、個々の役員の報酬額が取締役会で共有されてしまうからです。例えば、取締役Aと取締役Bのどちらの評価が高かったのかが、当事者のいる前で数字とともに白日の下に晒されることになります。そのため、取締役会への委任については、「投資家への説明云々以前に、社内のマネジメントがやりにくくなるから避けたい」と考える経営トップは少なくありません。

ただし、役員報酬制度が定量評価のみで、財務数値に完全に連動しており、定性評価は一切入っていないという場合、個人別の報酬額を隠しようがないため、取締役会で決定することへのハードルは低くなります。また、定性評価よりも定量評価の方が簡単であるという点から、定性評価をやめることを検討している上場会社もあります。

しかし、報酬制度はある程度定性的な部分がないと正しくワークしないというのが通説となっており、「定性評価の結果を見せたくないからやめてしまう」というのは本末転倒と言えます。特にコロナ禍の状況では、業績のみに基づく定量評価がワークしにくく、その分、余計に定性評価の重要性がクローズアップされることとなりました。また、近年はESGの要素を定性的な評価に入れるケースも増えています(この点については後述)。

このように定性評価が必須となっている中で、個人別の報酬額の決定権限を取締役会に戻すのは容易ではないと言えますが、その難易度はボードの形態、構成によっても異なります。指名委員会等設置会社のほか、監査役会設置会社等でもモニタリングボードに近い取締役会を有しており、社内取締役はCEO、COO、CFOなど2〜3名のみという上場会社もあります。このような場合、例えば異なる事業部門を管掌する取締役が取締役会におり、2人の定性評価の差が分かってしまうといったことはあまり起きません。逆に言えば、監査役会設置会社等であっても、自社の取締役会をモニタリングボード化することにより、個々の役員の報酬の決定権限を取締役会に移しやすくなると考えられます。

モニタリングボード : 経営陣の監督を主たる役割・任務とする取締役会

マネジメントボードと定性評価を継続するなら報酬委員会への委任が選択肢に

以上のとおり、取締役会への委任が問題となるのは、大部分が業務執行取締役で構成される典型的なマネジメントボード型の取締役会を有し、かつ役員個人別の定性評価を取り入れている会社です。

マネジメントボード : 重要な業務執行の「決定」を目的とした取締役会のこと。

このような会社がマネジメントボードを継続し、役員個人別の定性評価も取り入れながら、さらに役員個人別の報酬についてプライバシーを確保したいと考える場合には、任意の報酬委員会(以下、報酬委員会)への一任が選択肢となります。通常は3〜4人で構成される会議体である報酬委員会で役員個人別の報酬額が明らかになるとしても、その数人の中での情報の共有にとどまるため、プライバシーの保護という観点からも、役員個人別の報酬額の決定を報酬委員会に一任する会社が増えています。なお、法務省は、取締役個人別の報酬等の内容の決定を「任意の」報酬委員会を構成する各取締役等に委任できるとの見解を明らかにしています(会社法の改正に伴う法務省関係政令及び会社法施行規則等の改正に関する意見募集の結果について 23ページ㉒参照)。ただし、委任する報酬委員会の委員が取締役ではない場合、会社法上の善管注意義務を負う者が存在しない会議体に役員報酬の決定を委任してよいのかという論点もあるので注意してください。

役員個人別の報酬等の内容の決定を報酬委員会に一任することとなった場合、報酬委員会の体制を整備する必要があります。今年(2021年)6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードの補充原則4-10①は、監査役会設置会社または監査等委員会設置会社であるプライム市場上場会社に対し、指名・報酬委員会の構成員の過半数を独立社外取締役とし、その委員会構成の独立性に関する考え方・権限・役割等を開示することを求めています。できれば委員長も社外取締役としたいところです。報酬委員会の体制を整え、運用していかなければ同原則が求める開示にも耐えられないうえ、プライバシーの問題にも対応することはできません。

また、上表で示したとおり、事業報告では報酬決定プロセスに関する年間の活動内容も開示の対象とされており、会社は十分な時間と客観的材料に基づいて役員報酬の内容等を議論したということを投資家に示す必要があります。例えばある会社は「何月何日」に「誰が」集まって「どういう審議をしたか」を、リストにして開示しています。報酬委員会の開催回数も活動内容の重要な要素となります。年に1回しか開催していないことを開示している会社も見受けられましたが、役員報酬というガバナンスの中心に位置付けられるテーマについて、わずか年1回の会合で結論が得られるとは思えません。投資家が納得感を得られるよう、時間をかけて議論したというエビデンスを示す必要があります。

報酬委員会に委任する場合のオペレーション上の工夫

つい最近までは、会社のことを熟知しているわけではない社外取締役に報酬や指名を任せてもよいのかとの懸念が根強く残っていました。これは、指名委員会等設置会社が普及しなかった最大の理由でもあります。また、社外取締役側からも「そこまで重い責任は負いたくない」という声も聞かれました。

しかし現在は、運用上の工夫によりこのような懸念も解消されつつあります。例えば社外取締役だけで構成される報酬委員会を有するある会社では、同委員会の委員ではないCEOが役員報酬の内容等の起案者として同委員会に参加し、提案を行う機会を設けています。すなわち、社外取締役は役員報酬の内容等をゼロから判断するのではなく、CEOの説明を聞いたうえでそれが納得できるものとなっているかということを客観的にチェックするという形をとっています。このような運用であれば、社外取締役がCEOの起案に対してノーと言うことはあるとしても、最初から的外れな報酬案が出てくるということはまずなくなります。このほか、CEOが、過半数を社外取締役が占めている報酬委員会の委員になっている会社も多く、また、全員が社外取締役の報酬委員会であっても、CEOをオブザーバーとしたり、役員個人別の報酬額(評価)を決定する重要な場面ではCEOが同席したりといったケースもよく見受けられます。要するに、「報酬委員会に一任」とは言っても、実質的にはCEOが役員個人別の報酬の決定に間接的に関与しているということです。実質的には、これまでの「社長一任」に、報酬委員会の活用により客観性、透明性を付加した形と言えそうです。

なお、CEOの報酬については、報酬委員会が主導的に決定することとしている会社が多く、CEO自身は起案もしないのが一般的です。

「説明できる報酬制度」を持つことが開示の充実につながる

役員個人別の報酬等の内容の決定プロセス(役員報酬ガバナンス)が固まったら、次は「報酬方針」「報酬実績」の開示の充実に取り組んでいくことになります。

報酬方針と報酬実績、すなわち「報酬プログラムの妥当性」と「その運用の結果」のいずれの説明責任を重視するかは会社によって違いがあります。まず標準的な日本企業、具体的には報酬水準があまり高くなく、固定報酬が多い報酬体系から変動報酬(インセンティブ報酬)の割合を増やしつつある段階にある会社では、重要度は「報酬方針」の説明の方が高くなります。事業報告における新たな役員報酬開示のルールでは、例えばKPIの選定理由や目標、報酬との連動性など詳細な制度設計の開示が求められますが、2021年3月決算会社の事業報告では、こうしたものが一切存在せず、開示に苦労した中堅企業も相当数見受けられました。

こうした会社が最優先で取り組むべきは、「説明できる報酬制度」を持つことです。例えば変動報酬を増やすことで、固定報酬と変動報酬のウェイトを標準的なレベルまで引き上げる、さらに変動報酬には賞与など「短期インセンティブ」と株式報酬など「中長期インセンティブ」を導入することで中長期インセンティブのウェイトもある程度高め、中長期の企業価値向上にコミットしているということが報酬体系から見て取れるようにする必要があります。どのような報酬制度があるかを明確に説明できるようになれば、投資家からの信頼も高まるはずです。

一方、既に先進的な報酬方針・報酬制度を持っている会社は、報酬実績の開示の充実に取り組むべきです。投資家は、特にインセンティブ報酬のウェイトが高い会社に対しては、どのような評価・根拠に基づきその金額がはじき出されたのかに高い関心を持っています。しかし、例えば報酬額を左右する目標の設定が甘く、報酬額算定のフォーミュラ(算式)通りに報酬額を計算したら予想外に高い金額になってしまった、そもそもKPIの選定がペイ・フォー・パフォーマンス を担保するうえで適切でない、株式報酬のベスティングが他の会社に比べて短いなど、報酬実績について納得のいく説明がしにくい会社が少なくないのが現状です。

ペイ・フォー・パフォーマンス : 会社の業績と報酬の実支給額が見合っているか、という考え方。業績連動型のインセンティブ報酬の普及している欧米においては、インセンティブの有用性を担保する観点からも重要視されている。
ベスティング : 権利を付与されてから権利行使可能になるまでの期間のこと。ベスティング(vesting)とは「権利確定」という意味である。

こうした会社は、報酬実績の開示のクオリティを上げるよう、現在の報酬制度(方針)を改善する必要がありますが、ここでも鍵となるのは定性評価です。上述のとおり、報酬制度は、ある程度定性的な部分、いわば“遊び”の部分がないと正しくワークしません。そして、定性評価のペイ・フォー・パフォーマンスを担保するのは、やはり報酬ガバナンスです。今年の事業報告開示を見ても、ある程度先進的な報酬制度を有する会社で、コロナで業績が乱高下したことによる報酬の定性的な調整のプロセスについての議論が十分でなかったためにダイナミックな調整ができず、報酬実績の開示における説明にも苦労するという事例がありました。結局、報酬実績開示の問題の根幹は、報酬ガバナンスにあるということです。

ESG評価の導入の有無など、欧米企業とは大きな差

ここまで述べてきたとおり、多くの日本企業では、役員報酬開示の充実以前に、役員報酬制度自体についてもまだ改善の余地があると言えます。

役員報酬を巡るグローバルな議論として、現在一番のホットイシューとなっているが役員報酬制度におけるESG評価です。経営陣はESGに目を向けるべきという世界的な潮流の中、ESG評価を報酬制度に組み込むことは正当化される一方、最近はグリーンウォッシングが問題化しており、ESG評価を役員報酬制度に組み込む場合には高度な客観性、透明性が求められます。報酬制度に組み込むESG目標は自社のESGのマテリアリティ(重要性)に沿って適切に選ばれているか、例えばE(環境)に関する目標について長期的なロードマップを引いて毎年マイルストーンを設け、今年は何をしなければいけないのか、どこまで達成できたのかといったことを社内で管理する体制がないと、おいそれと報酬制度に組み込むことはできません。また、ESGに関する指標は財務指標とは違って比較可能性が低く、業種ごとに何が重要なのかも異なります。特にEやSが企業価値の向上にどう繋がっているのか、それをどのように報酬制度(評価)に落とし込めばフェアなのかは極めて難しいテーマと言えます。欧米のトップ企業の7〜8割はESG評価を経営者報酬制度に組み込んでいますが、日本企業の場合は昨年の段階で15%ほどと、欧米企業と比較すると圧倒的に少なくなっています。この差は、ESGに関する指標を経営陣の評価に使用する体制が整っていない、あるいは使用したとしても説明責任を担保する体制が整っていないことに起因すると考えられます。

グリーンウォッシング : 環境に配慮していることやエコを想起される「グリーン」と、上辺だけを飾ることを意味する「ホワイトウォッシュ」を掛け合わせた造語であり、一見すると自社の商品やサービスなどが(実際にはそうではないにもかかわらず)環境に配慮しているかのように見せかけ、環境意識の高い消費者や投資家への訴求効果を高めようとする行為を指す。

ESG評価にとどまらず、経営者報酬開示全体を通じて、日本企業は欧米企業に後れをとっている感は否定できません。

欧米企業では、例えば定量設計部分については、期初の目標と期末の着地が示され、目標達成率に応じて何%のインセンティブ報酬が支払われたのかが開示されています。それ以上に日本企業との差が大きいのは、定性評価部分です。会社の戦略を踏まえた定性的な目標を立て、その目標に対して経営陣が1年間どのようなことをやったかが詳細に記述され、さらに、経営陣がやったことに対する報酬委員会のスコアリングが明示されています。

今回の改正会社法に伴う役員報酬開示強化に関するパブリックコメントへの法務省の回答でも、非財務指標を一要素としている報酬等も業績連動報酬等に該当するとの考えが示されており(21ページの⑲参照)、既に事業報告にも定性評価に関する開示の枠組みは存在しています。しかし、現実には、事業報告に細かく書くほどの検討がされていないため、定性評価やESG評価の導入をペンディングしているという会社も少なくありません。日本企業は、報酬制度の高度化に向け、欧米企業の取り組みも参考にしながら、定性評価やESG評価について議論を深める必要があるでしょう。

さらに、報酬委員会の活動内容に関する開示でも大きな差があります。日本では、指名委員会等設置会社については会社法で報酬委員会の権限が法定されていますが、任意の報酬委員会の場合、どのような権限を持っているのかが必ずしも明確ではありません。今回の役員報酬の開示強化では、報酬の決定に関する役割・権限・責任の開示が求められていますが、例えば、形式的には取締役(会)が報酬委員会に報酬内容等を諮問し、取締役(会)が報酬委員会の答申を受けるという仕組みを作っても、結局、答申の内容を取締役(会)が覆すことができてしまうというケースが少なくありません。このような場合、果たして報酬委員会が実効的に機能していると言えるかは疑問です。取締役(会)が報酬委員会と異なる決定を行うには、報酬委員会への差し戻し、あるいは異なる決定をする理由を取締役(会)が報酬委員会に説明しなければならないことなどを、報酬委員会の内規で定めている日本企業もありますが、欧米では報酬委員会の役割・権限・責任等について規定した内規(「チャーター」と呼ばれる)を取引所規則等で開示することが義務付けられています。

また、報酬委員会の活動内容の詳細な開示という点でも欧米企業が先行しています。特にCEOについては、どういう点をどのように評価したということが詳細に開示されているほか、株主からのセイ・オン・ペイ(経営者報酬の支給方針、支給額に対する株主投票)に関しても、株主からの質問内容や、それを受けてどのように報酬制度を変えたかなどが開示されています。

極めつけは、社外の報酬委員長が、今年1年間の活動を適切に遂行したことを宣誓したレターの添付です。レターには報酬委員長のサインが入っており、報酬委員会として、客観性、透明性のある経営者報酬の実現にコミットしたことを示しています。

下表は、経営者報酬開示の要素について、日本と欧米のルールを比較したものです(赤字部分が欧米企業で上乗せして開示されている部分)。日本企業が欧米企業並みの経営者報酬開示を実現するまでにはもう少し時間がかかることが予想されますが、特に外国人投資家の投資対象となっている日本企業は、欧米企業の経営者報酬開示の水準を参考にしたいところです。

<経営者報酬開示の要素:日本と欧米の比較>
工程 日本企業の報酬開示の枠組み(21年施行改正法ベース) 欧米企業の報酬開示の枠組み
報酬ガバナンス
(報酬の決定プロセス)
■構成メンバー
■役割・権限・責任
■年間の活動内容
■決定方法(代表取締役等への一任の有無、ある場合はその理由・詳細・権限が適切に行使されるようにするための担保措置)
■報酬方針と適合すると判断した理由
■構成メンバー
■役割・権限・責任
■年間活動内容(CEOの報酬評価に対する判断経緯、制度改定を行った場合の改定経緯等)
株主エンゲージメントの状況
適切な審議を行った旨の委員長声明(Letter of Chair)
報酬委員会内規(Charter)
報酬方針
(制度面 事前の方針)
■基本フィロソフィー
■報酬水準
■報酬構成
■インセンティブ報酬の詳細
✓KPIの選定理由等
■その他
✓ベネフィット
✓株式保有ガイドライン
✓マルス条項、クローバック条項
■非業務執行役員(社外取締役、監査役)の報酬方針
■基本フィロソフィー
“Do / Don’t do”
■報酬水準
ピア・グループ構成企業名、目標水準の位置づけ
■報酬構成
■インセンティブ報酬詳細
✓KPI選定理由、算式、評価基準、プロセス等
■その他
✓ベネフィット
✓株式保有ガイドライン
✓マルス・クローバック
セベランス等の個別契約条件
■非業務執行役員の報酬方針
委員手当、委員長手当、筆頭手当、取締役会議長報酬、等

“Do / Don’t do” : 報酬方針において「行うこと( do)」と「行わないこと( don’t do)」を示すこと。近年では、例えば「do」としては「非財務指標に基づく評価も行う」、「don’t do」としては「(経営陣が短期的な利益追求をしないようにするため)過度な年次インセンティブは支給しない」などが見受けられる。これらを明確に示すことで、報酬議案の賛成率を高めるという狙いもある。
ピア・グループ : 業界、ビジネスモデル、企業規模(売上等)が類似するいわゆる競合他社群のこと。米国の大手企業ではピア・グループ(10~20 程度)を設定し、開示するのが一般的となっている。
セベランス : 退任する際の追加退職金等

報酬実績
(制度面 事後的な実績)
■総額開示、個別開示(1億円超)
✓報酬要素別
✓単年度分のみ
■インセンティブ報酬のKPIと実績
✓ESG等主要な非財務指標を含む
■エグゼクティブオフィサーの個別開示(米:報酬額Top5)
✓報酬要素別
直近3年分
■インセンティブ報酬のKPI目標と実績、支給
✓ESG等主要な非財務指標の評価の内容を含む
CEO報酬(および主要幹部)の評価詳細
株式報酬等のべスティング状況
ベネフィット等の支給状況
株式保有ガイドラインの遵守状況
ペイ・フォー・パフォーマンス分析(TSRと報酬の相関)
非業務執行取締役(社外取締役)の個別報酬開示

2021/10/25 内部公益通報指針の解説が公表、既存制度は早目にアップデートを

消費者庁は来年(2022年)6月1日からの改正公益通報者保護法(以下、改正法)の施行に先立ち、企業にとって改正法対応の拠り所となる指針(公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(令和3年内閣府告示第118号) 以下、指針)を実務に展開するための解説(公益通報者保護法に基づく指針(令和3年内閣府告示第118号)の解説 以下、指針の解説)をとりまとめ、(2021年)10月13日に公表している(改正法対応のポイントは2021年9月10日のニュース『取締役全員が「公益通報対応業務従事者」として刑事罰の対象となる恐れ』を参照)。

本指針の解説は、「指針」に沿って「①指針の本文」と「②指針の趣旨」を説明した後、「③指針を遵守するための考え方や具体例」と「④その他に推奨される考え方や具体例」を示す構成となっている。③と④の違いは、③が「事業者が指針を遵守するために参考となる考え方や指針が求める措置に関する具体的な取組例」、④が「事業者が指針を遵守するための取組を超えて、事業者が自主的に取り組むことが期待される推奨事項に関する考え方や具体例」と説明されていることから分かるように、④には強制力がないという点にある。事業者としては、まずは③に記載されている内容に取り組み、余力があれば④に記載されている内容についても取り組めばよい。取り組みの順番を意識するようにしたい。

現行の内部通報制度を改正法に対応した「内部公益通報制度」にアップデートする際には、③と④の違いを意識しながら指針の解説を読むのが効果的だ(以下、本稿では改正公益通報者保護法に対応した内部通報を、従来の内部通報との対比上、「内部公益通報」と呼ぶ)。もっとも、逐条的な指針の解説を眺めても“木を見て森を見ず”となりかねない。新たな内部公益通報制度のポイントである・・・

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2021/10/25 内部公益通報指針の解説が公表、既存制度は早目にアップデートを(会員限定)

消費者庁は来年(2022年)6月1日からの改正公益通報者保護法(以下、改正法)の施行に先立ち、企業にとって改正法対応の拠り所となる指針(公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(令和3年内閣府告示第118号) 以下、指針)を実務に展開するための解説(公益通報者保護法に基づく指針(令和3年内閣府告示第118号)の解説 以下、指針の解説)をとりまとめ、(2021年)10月13日に公表している(改正法対応のポイントは2021年9月10日のニュース『取締役全員が「公益通報対応業務従事者」として刑事罰の対象となる恐れ』を参照)。

本指針の解説は、「指針」に沿って「①指針の本文」と「②指針の趣旨」を説明した後、「③指針を遵守するための考え方や具体例」と「④その他に推奨される考え方や具体例」を示す構成となっている。③と④の違いは、③が「事業者が指針を遵守するために参考となる考え方や指針が求める措置に関する具体的な取組例」、④が「事業者が指針を遵守するための取組を超えて、事業者が自主的に取り組むことが期待される推奨事項に関する考え方や具体例」と説明されていることから分かるように、④には強制力がないという点にある。事業者としては、まずは③に記載されている内容に取り組み、余力があれば④に記載されている内容についても取り組めばよい。取り組みの順番を意識するようにしたい。

現行の内部通報制度を改正法に対応した「内部公益通報制度」にアップデートする際には、③と④の違いを意識しながら指針の解説を読むのが効果的だ(以下、本稿では改正公益通報者保護法に対応した内部通報を、従来の内部通報との対比上、「内部公益通報」と呼ぶ)。もっとも、逐条的な指針の解説を眺めても“木を見て森を見ず”となりかねない。新たな内部公益通報制度のポイントである(1)公益内部通報の受付窓口を広げつつ、(2)調査従事者を絞り込み、さらに(3)調査従事者の独立性を向上させ、(4)通報者を守る、という4つのステップを頭に置いたうえで指針の解説を読むと、自社が構築すべき新たな内部公益通報制度の仕組みやレベル感をイメージしやすい。以下、各ポイントに沿ってアップデートの仕方を解説する。

(1)窓口の広げ方(制度利用者数の増やし方)
内部公益通報をリスクマネジメントの一環としてとらえると、経営上のリスク情報を幅広く収集するという観点から、通報窓口は広ければ広いほど良いということになる。そこで指針の解説では、下記のような仕組み作りを推奨している(指針の解説の8ページを参照)。ちなみに、後述するとおり、この仕組みは組織の長その他幹部が関係する事案で、これらの者からの独立性を確保する措置としても推奨されている。

(1)子会社や関連会社における法令違反行為の早期是正・未然防止を図るため、企業グループ本社等において子会社や関連会社の労働者等及び役員並びに退職者からの通報を受け付ける企業グループ共通の窓口を設置すること
(2)サプライチェーン等におけるコンプライアンス経営を推進するため、関係会社・取引先を含めた内部公益通報対応体制を整備することや、関係会社・取引先における内部公益通報対応体制の整備・運用状況を定期的に確認・評価した上で、必要に応じ助言・支援をすること
(3)中小企業の場合には、何社かが共同して事業者の外部(例えば、法律事務所や民間の専門機関等)に内部公益通報受付窓口を委託すること
(4)事業者団体や同業者組合等の関係事業者共通の内部公益通報受付窓口を設けること

このように通報窓口を広げつつ、さらに内部公益通報受付窓口の利用者および通報対象となる事項の範囲も拡大することが、制度利用の促進につながるはずだ。指針の解説では、これらの範囲を例えば以下のように幅広く設定し、法律上は内部公益通報に該当しない通報についても内部公益通報の定めに準じて対応するよう努めることを推奨している(指針の解説の11ページを参照)。

項目 改正公益通報者保護法で最低限求められる内容 指針の解説が推奨する拡大策
通報窓口の利用者の範囲 法第2条第1項各号に定める者(退職してから1年以内に通報した労働者等、および現職の役員など) 通報の日から1年より前に退職した労働者等、子会社・取引先の従業員(退職した者を含む)および退職した役員
通報対象となる事項の範囲 法令違反 内部規程違反

制度の利用を促進するためには「通報の方法」にも工夫が必要になる。例えば匿名での内部公益通報も受け付けることである。具体的には、個人を特定できないフリーのメールアドレスを利用して匿名で通報することを認めるほか、外部窓口に入った通報については本人の許諾なしに外部窓口から事業者に対して公益通報者の氏名等を伝えないようにする仕組みやメールアドレスを利用しないチャット等の専用のシステムの導入が考えられる。匿名で内部公益通報を受け付けることは指針の解説の「③指針を遵守するための考え方や具体例」でも求められている(指針の解説の10ページを参照)だけに、これまで実名での通報のみを受け付けてきた企業では見直しが必須となる。

また、法令違反等に関する情報を可能な限り速やかに把握するためには、社内リニエンシー制度を導入し、通報を促すことも検討に値する(社内リニエンシー制度については2015年10月21日 のニュース「形骸化する内部通報制度」を参照)。

社内リニエンシー制度 : 自主的に通報を行った者に対して処分等の減免等の特典を与えること。リニエンシー(leniency)には「寛大さ、慈悲」といった意味がある。

(2)従事者の絞り方
このように窓口を広げて制度の利用を促しつつも、実際に通報があった場合には内部公益通報の事実が拡散しないよう、通報に対応する者を絞り込む必要がある。その際に重要となるのが「従事者」の概念だ。改正法では、事業者は「内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して公益通報対応業務を行う者であり、かつ、当該業務に関して公益通報者を特定させる事項を伝達される者」を「従事者」として置くことが必要となった(同法11条1項)。2021年9月10日のニュース『取締役全員が「公益通報対応業務従事者」として刑事罰の対象となる恐れ』でお伝えしたとおり、従事者には、正当な理由なく「業務上知りえた事項であって通報者を特定させる内容」を漏らしてはならないとする守秘義務が課されるとともに、これに違反した場合には30万円以下の罰金が科せられる。「従事者」はこのように重い義務と責任を負うだけに、企業としては、本人に自分が「従事者」であることを認識させる必要がある。多くの企業では、内部通報制度の社内規程に従事者として部門名(例:コンプライアンス部)や役職名(コンプライアンス部部長)のみを記しておき、実際の従事者に対して文書等で個別に通知するなどして、従事者の地位に就くことを従事者となる者自身に明らかにする方法を採用しているので、参考にされたい。

もっとも、従事者の任務は決して誰でもこなせる簡単なものではない。実効性の高い内部公益通報制度を運用するためには、公益通報者対応、調査、事実認定、是正措置、再発防止、適正手続の確保、情報管理、周知啓発等について担当者の誠実・公正な取り組みと知識・スキルの向上が重要となる(指針の解説の5ページの注釈7を参照)ため、必要な能力・適性を有する者を選定し、教育したうえで、従事者として配置しなければならない。

また、こうして従事者を絞り込んだとしても、通報内容によっては、従事者が「事案に関係する者」として利害相反関係を有することとなる可能性もある。「事案に関係する者」は公正な公益通報対応業務の実施を阻害するおそれがあるため、通報内容を吟味して、利益相反関係にある従事者は当該通報には関与させないようにする必要がある。この点について指針の解説の「③指針を遵守するための考え方や具体例」では、「受付当初の時点では「事案に関係する者」であるかが判明しない場合には、「事案に関係する者」であることが判明した段階において、公益通報対応業務への関与から除外することが必要」としている。さらに「④その他に推奨される考え方や具体例」では、「想定すべき「事案に関係する者」の範囲について、内部規程において具体的に例示をしておくことが望ましい」としたうえで、「典型的には、法令違反行為の発覚や調査の結果により実質的に不利益を受ける者、公益通報者や被通報者(法令違反行為を行った、行っている又は行おうとしているとして公益通報された者)と一定の親族関係がある者等が考えられる」としているので参考にしたい(指針の解説の12ページを参照)。

こうした仕組み作りは経営陣が主導すべきだが、日々の内部公益通報制度の適切な運用には同制度の責任者の関与が欠かせない。この点、指針には「内部公益通報受付窓口を設置し、当該窓口に寄せられる内部公益通報を受け、調査をし、是正に必要な措置をとる部署及び責任者を明確に定める。」(指針の2ページを参照)と記載されている。企業によっては、内部通報制度の規程には調査・是正措置をとる部署の名称が記載されているだけであり、調査・是正措置の責任者までは明示されていないところもあるものと思われる。制度のアップデートにあたっては、規程に「責任者が明示されているか」を確認しておきたい。なお、実際に調査・是正措置をとる部署は、内部公益通報受付窓口を所管する部署や責任者とは異なる部署や責任者であっても構わない(例えば、受付窓口を所管する部署が法務部で、実際に調査・是正措置をとる部署がコンプライアンス部のように異なってもよい)。

(3)調査・是正措置の実効性確保(調査従事者の独立性の向上)
内部公益通報制度を構築しても、調査・是正措置の実効性が確保されていなければ意味がない。指針の解説では、是正措置の実効性確保の例として「公益通報対応業務の担当部署への調査権限や独立性の付与、必要な人員・予算等の割当等」を挙げている(指針の解説の7ページを参照)。内部公益通報受付窓口として「コンプライアンス部などの社内部門」と「監査役」の2つを設置し、「監査役窓口に通報された対象事案に関する調査は、監査役が行う」としているケースがあるが(企業向け内部通報に関する規程例(大企業版)7条3項を参照)、この場合に見落としがちなのが、監査役側における「必要な人員・予算等の割当」だ。特に監査役スタッフがいない会社では、監査役だけでは調査に必要な人的リソースが不足することが考えられるため、社内の別部門から人員を出す仕組みや外部の調査会社の利用を想定し、監査役会としての予算の計上を忘れないようにしたい。

また、指針では「組織の長その他幹部に関係する事案については、これらの者からの独立性を確保する措置をとる」ことを求めている。ここで、「組織の長」とは社長、子会社社長などを指すものと思われる(指針では定義されていない)。一方、「その他幹部」は指針に定義があり、「役員等の事業者の重要な業務執行の決定を行い又はその決定につき執行する者」を指すとされている。以上より、「組織の長その他幹部」は社長・子会社社長・業務執行取締役・執行役員・部門長などを指していることになる。これらの者の不正等について通報があった場合、執行側に組み込まれた「内部公益通報受付窓口」や「調査・是正措置をとる部署」では、何らかの社内力学が働き、通報がうやむやにされたり、調査に横槍が入ったりする可能性が高い。そこで指針の解説では、「③指針を遵守するための考え方や具体例」において、「内部公益通報受付窓口」や「調査・是正措置をとる部署」の独立性を高めるために、社外取締役や監査機関(監査役、監査等委員会、監査委員会等)にも報告を行うようにしたり、社外取締役や監査機関からモニタリングを受けながら公益通報対応業務を行ったり、内部公益通報受付窓口を事業者外部(外部委託先、親会社等)に設置することも考えられるとしている(指針の解説の9ページを参照)。

さらに、指針の解説の「④その他に推奨される考え方や具体例」では、上表で掲げた4つの取り組みを、組織の長その他幹部(役員等の事業者の重要な業務執行の決定を行い又はその決定につき執行する者)に関係する事案で、これらの者からの独立性を確保する措置としても有効であるとして推奨している(指針の解説の9ページを参照)。

(4)通報者保護
通報者保護は内部公益通報制度の根幹を支える仕組みであると言っても過言ではない。通報者が通報をしたことで不利益を被るのであれば、誰一人として制度を利用しないからだ。ただ、「不利益な取扱い」とは具体的に何を指すのかは事前に整理しておく必要がある。この点について指針の解説の「③指針を遵守するための考え方や具体例」では、「不利益な取扱い」の内容としては、例えば、以下のようなもの等が考えられるとしているので参考にしたい(指針の解説の13ページを参照)。

「不利益な取扱い」の内容
・労働者等たる地位の得喪に関すること(解雇、退職願の提出の強要、労働契約の終了・更新拒否、本採用・再採用の拒否、休職等)
・人事上の取扱いに関すること(降格、不利益な配転・出向・転籍・長期出張等の命令、昇進・昇格における不利益な取扱い、懲戒処分等)
・経済待遇上の取扱いに関すること(減給その他給与・一時金・退職金等における不利益な取扱い、損害賠償請求等)
・精神上・生活上の取扱いに関すること(事実上の嫌がらせ等)

また、指針の解説では、不利益な取扱いを防ぐための措置として、以下のようなものを例示している。

不利益な取扱いを防ぐための措置
・労働者等及び役員に対する教育・周知
・内部公益通報受付窓口において不利益な取扱いに関する相談を受け付けること
・被通報者が、公益通報者の存在を知り得る場合には、被通報者が公益通報者に対して解雇その他不利益な取扱いを行うことがないよう、被通報者に対して、その旨の注意喚起をする等の措置を講じ、公益通報者の保護の徹底を図ること

さらに、通報者が不利益な取扱いを受けていないかを把握する措置を設けることも重要になってくる。指針の解説が例示している措置は以下のとおり。

不利益な取扱いを受けていないかを把握する措置
・公益通報者に対して能動的に確認する。
・不利益な取扱いを受けた際には内部公益通報受付窓口等の担当部署に連絡するようその旨と当該部署名を公益通報者にあらかじめ伝えておく。

指針の解説の「④その他に推奨される考え方や具体例」では、調査協力者に対しても、調査に協力をしたことを理由として解雇その他の不利益な取扱いを防ぐ措置をとる等、本項の定めに準じた措置を講ずることが望ましい」としている(指針の解説の13ページの注釈25を参照)。


内部通報制度は経営陣からすると“やっかいな仕組み”かもしれないが、コンプライアンス経営の推進、経営上のリスクに関する情報の早期収集に資することは間違いないため、改正公益通報者保護法の施行(2022年6月)を待たずに、現行の内部通報制度を内部公益通報制度にアップデートしたいところだ。

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講師の
ご紹介
小川 宏高(おがわ ひろたか)様
経済産業省
商務情報政策局 情報産業課
ソフトウェア・情報サービス戦略室
企画官 小川 宏高 様

東京大学工学部卒業(数理工学)、東京大学大学院修士修了(情報工学)、東京工業大学・博士(理学)。
東京工業大学助手を経て、国立研究開発法人 産業技術総合研究所に18年9ヶ月所属。
その間、人工知能研究センター 総括研究主幹、産総研・東工大 実社会ビッグデータ活用オープンイノベーションラボラトリ ラボ長、人工知能研究センター 人工知能クラウド研究チーム長などを歴任(役職は新しい順)。デジタルアーキテクチャ研究センター 総括研究主幹を経て現職。

会員の方は下記URLよりWEBセミナーを視聴いただくことができます。
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https://forms.gle/wqYZ3uH2YmtKSjby8

<収録月>
2021年10月

<収録時間>
91分

<視聴環境>
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