2020/03/09 ランサムウェア被害はサイバーリスク保険でどこまで補償される?

企業がコロナウィルスへの感染防止対策に追われる一方で、“もう一つの感染”が世界的に急増している。「ランサムウェア」だ。

周知のとおり、ランサムウェアとは、システムへのアクセス等を制限する不正プログラムで、システムの利用者に制限解除のための身代金を要求することを目的としている。

日本でも、数年前にJR東日本や日立(海外工場)といった大企業で感染があり衝撃を呼んだが(【2017年6月の課題】サイバーセキュリティの確保 参照)、海外で最近起きた事例としては、・・・

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2020/03/09 ランサムウェア被害はサイバーリスク保険でどこまで補償される?(会員限定)

企業がコロナウィルスへの感染防止対策に追われる一方で、“もう一つの感染”が世界的に急増している。「ランサムウェア」だ。

周知のとおり、ランサムウェアとは、システムへのアクセス等を制限する不正プログラムで、システムの利用者に制限解除のための身代金を要求することを目的としている。

日本でも、数年前にJR東日本や日立(海外工場)といった大企業で感染があり衝撃を呼んだが(【2017年6月の課題】サイバーセキュリティの確保 参照)、海外で最近起きた事例としては、ランサムウェア攻撃を受けた英・外貨両替サービス大手のTravelexが600万ドル身代金の支払いを要求されこれを拒否したところ、約11か月にもわたってシステム障害が発生したというものがある。

こうした中、身代金の支払いに応じる企業や自治体が世界的にも増加の一途を辿っている。フロリダ州のリビエラビーチ市では、職員がメールのリンクをクリックしたところ同市のシステムがランサムウェアに感染、約3週間にわたり同市のシステムが使用不能となったことを受け、同市議会はハッカーに身代金として65ビットコイン(約60万ドル)を支払うことを決定した。身代金の支払いに応じる企業や自治体が増加している背景には、匿名性の高いソフトを用いたメッセージ送信や仮想通貨による身代金の要求に加え、ハッカーが自国政府の保護下で活動しているとの疑いもあるランサムウェア犯罪では、犯人の特定、さらには逮捕が困難であるため、企業等としては身代金の支払いに応じざるを得ないという現状もある。

これまでに多くの被害者が出ていることからも分かるように、ランサムウェアへの感染リスクを完全に回避することは困難である以上、企業の経営陣としては少なくとも保険(「サイバーリスク保険」「サイバーセキュリティ保険」などの商品名で販売されている)への加入は検討する必要があろう。既にこうした保険に加入している企業は少なくないと思われるが、加入を検討している企業にとって気になるのは、保険により補償される費用や損害の範囲だ。当フォーラムの調査によると、ランサムウェアによる以下のような被害は補償対象となると考えてよい(ただし、保険会社によって保障範囲が異なる可能性があるため、加入時に再確認する必要がある)。

・ランサムウェアによる不正アクセス等により損壊または消失したデータの復元費用
・ランサムウェアに感染した場合の原因調査費用(フォレンジック 調査費用)、ネットワークの遮断対応を外部委託した場合の費用等
・ランサムウェアによりネットワークが機能停止したことによる利益損害、営業継続費用(ただし、これら補償を受けるためには、「ネットワーク中断担保特約条項」を付帯する必要がある)

一方、ランサムウェアにより要求され支払った「身代金」は、残念ながら補償の対象外となる。これは、身代金が保険でカバーされることになると、サイバー犯罪を助長するおそれがあるからだ。

日本の警察当局も「ランサムウェアに感染した場合、金銭を支払ってもファイルが元通りにならない場合も多くあるため、要求に応じることは推奨されない」旨呼び掛けているが(警察庁のウェブサイト 参照)、保険による補償範囲も踏まえると、ランサムウェアにより身代金を要求されても支払いには応じず、原因を調査したうえでデータの復元等に努めるのが現時点におけるランサムウェア対応のベストプラクティスと言えそうだ。

2020/03/09 東京海上日動パートナーズTOKIO(株)作成の「新型コロナ対策のポスターとマニュアルのひな型」をご提供します。

各社とも新型コロナウィルス対応には大変ご苦労のことと存じます。

こうした中、株式会社東京海上日動パートナーズTOKIO(東京海上日動火災保険株式会社100%出資)様が新型コロナ対策のポスター及びマニュアルのひな型を作成し、同社のご厚意により、当フォーラム会員の皆様に無償提供いただきました。社内での周知等にご活用いただければ幸いです。

「新型コロナ対策のポスター及びマニュアルのひな型」をご希望の方はこちらをクリックしてください(会員ページが開きます)。

なお、マニュアルに関するご質問等は、下記の株式会社東京海上日動パートナーズTOKIO法人営業部の藤野様までお願いいたします。

【マニュアルに関してのお問い合わせ先】
株式会社東京海上日動パートナーズTOKIO
法人営業部 藤野
Tel: 03-6826-8421
Koji.fujino@tnpgrp.jp

2020/03/09 東京海上日動パートナーズTOKIO(株)作成の「新型コロナ対策のポスターとマニュアルのひな型」をご提供します。

東京海上日動パートナーズTOKIO(株)作成の「新型コロナ対策のポスターとマニュアルのひな型」は、下記の「こちら」をクリックすればダウンロードすることができます。

・新型コロナ対策のポスターはこちら
・新型コロナ対策の企業向けマニュアル雛形はこちら

2020/03/06 デジタルプラットフォーム透明化法、ネット関連事業者に適用拡大も

周知のとおり、楽天が打ち出した「送料無料化」に対し、送料の負担を強いられることを懸念した一部の出店者がこれを「独占禁止法上の優越的な立場」を利用した一方的な規約変更であるとして公正取引委員会(以下、公取)に調査を求めた問題で、公取は(2019年)2月10日に楽天本社に立ち入り検査を行ったうえ、同29日には緊急停止命令を東京地裁に申し立てたところだ(楽天のリリースはこちら)。

こうしたなか政府は、2月18日に「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案」(以下、透明化法案)を閣議決定している。透明化法案は、まさに現在楽天とその出店者との間で問題となっているような「デジタルプラットフォームとその利用事業者」との間のB to B取引における不透明性(一方的な規約変更等)を問題視し、大規模デジタルプラットフォームを対象に規制を強化することを目的としているが、今後対象の追加が行われる方向となっている。本稿では透明化法案のポイントを解説する。・・・

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2020/03/06 デジタルプラットフォーム透明化法、ネット関連事業者に適用拡大も(会員限定)

周知のとおり、楽天が打ち出した「送料無料化」に対し、送料の負担を強いられることを懸念した一部の出店者がこれを「独占禁止法上の優越的な立場」を利用した一方的な規約変更であるとして公正取引委員会(以下、公取)に調査を求めた問題で、公取は(2019年)2月10日に楽天本社に立ち入り検査を行ったうえ、同29日には緊急停止命令を東京地裁に申し立てたところだ(楽天のリリースはこちら)。

こうしたなか政府は、2月18日に「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案」(以下、透明化法案)を閣議決定している。透明化法案は、まさに現在楽天とその出店者との間で問題となっているような「デジタルプラットフォームとその利用事業者」との間のB to B取引における不透明性(一方的な規約変更等)を問題視し、大規模デジタルプラットフォームを対象に規制を強化することを目的としているが、今後対象の追加が行われる方向となっている。本稿では透明化法案のポイントを解説する。

◆規制の対象
規制の対象は、「特定デジタルプラットフォーム提供者」(以下、特定DPF)である。

ここでいう「デジタルプラットフォーム」の定義は、①ネットワーク効果がある、②多面市場を提供している、③インターネットを通じてサービス提供を行っている、といった程度の曖昧なものとなっている。

ネットワーク効果 : 商品等提供利用者・一般利用者の増加が互いの便益を増進させ、双方の数がさらに増加する関係
多面市場 : 商品等提供利用者と一般利用者をつなぐ場

そして、規制の対象となる特定DPFは、「デジタルプラットフォーム」のうち、「国民生活及び国民経済への影響の大きさ」「一部のデジタルプラットフォームへの利用の集中の度合い」「取引の実情及び動向を踏まえた商品等提供利用者の保護の必要性」「他の規制や施策での対応の状況」「当該分野内で一定の規模を有する」といった指標に基づいて選定される。まずは、公取の調査等で取引上の問題点が明らかになっている大規模なオンライン・モールやアプリストアを当面の対象にするとしている。

商品等提供利用者 : 商品等を提供する目的でデジタルプラットフォームを利用する者のこと。

現状では大規模プラットフォーム(楽天、ヤフー、アマゾン、グーグル等)が規制の対象として想定されているが、今後、政府が調査を行ったうえで、対象の追加が行われる方向。インターネットを使ってビジネスを行う事業者は、突然自社が規制の対象となる可能性も十分にあることを認識しておく必要がある。

◆主な規制の内容
(1)取引条件等の情報開示

特定DPFとその利用事業者との取引の透明性を確保するため、特定DPFに対して、利用事業者との契約条件の開示や契約変更等の事前通知を義務付ける。また、開示事項は、例えば取引を拒絶する場合の判断基準など「商品等提供利用者のみに対して開示を要する事項」と、検索順位を決定する基本的な事項など「一般利用者を含めたあらゆる利用者に対して開示を求める事項」に分けられる。特定DPFが透明化法の求める開示を行わない場合には、特定DPFに対して勧告・社名の公表、それでも正当な利用なく開示がなされない場合には措置命令、措置命令に反した場合には罰則が科される。

一般利用者 : 商品等提供利用者以外のデジタルプラットフォームの利用者
措置命令 : 法律に規定する措置をとるよう命じる行政処分

(2)自主的な手続・体制の整備
特定DPFは、経済産業省が今後定める指針を踏まえて、利用事業者との取引の透明化を図るための体制・手続の整備を行う必要がある。これらが行われないケースでは、特に必要な場合、勧告・社名の公表の対象となる。

(3)運営状況のレポートとモニタリング・レビュー
さらに特定DPFは、(1)(2)等の取り組み内容を、自己評価を付けて毎年度経済産業省に提出しなければならない。そして、経済産業省は、商品等提供利用者、特定DPF、一般利用者などの意見も聞いて、特定DPFのレポートをレビューし、評価を公表する。

要するに、特定DPFは自社の取り組みを公表し、役所からの“審判”を受けなければならないということである。これはEUの規制にはない我が国独自の規制定であり、経済産業省の評価次第では、特定DPFのその後の事業展開に影響を及ぼす可能性もある。

以上が透明化法案のポイントだが、法案の検討過程では、独占禁止法に加えて透明化法でも行動規制を課すといった特定DPFに対するより厳しい規制も検討されたが、特定DPFの事業を委縮させるとして見送られた。このように透明化法による規制の内容は“着地点”が見えつつあるが、上述のとおり、透明化法の対象は今後の政府の調査結果次第で拡大する方向。実際、現在はインターネット広告事業を対象にするかどうか検討が行われている。インターネット関連のビジネスを行う事業者は要注意と言えよう。

2020/03/05 政策株保有、東証の市場改革で「持たれる側」にもプレッシャー

東京証券取引所で検討中の市場区分の見直しに伴う企業への“新たな”影響が見えて来た。・・・

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2020/03/05 政策株保有、東証の市場改革で「持たれる側」にもプレッシャー(会員限定)

東京証券取引所で検討中の市場区分の見直しに伴う企業への“新たな”影響が見えて来た。

東証は(2020年)2月21日に公表した「新市場区分の概要等について」で新市場区分への移行スケジュールを明らかにしているが、そこでは、2021年6月末日を「移行基準日」とし、上場企業各社に対して、当該移行基準日の時点で新市場区分の上場維持基準に適合しているか否かを同年7月末までに通知するというスケジュールが示されている。さらに、同年9月から12月までが「市場選択手続期間」とされており、上場企業各社はこの期間内に新市場区分を選択する手続きを行うことになる。

移行基準日(2021年6月末日)においてプライム市場の上場維持基準を満たしていない一部上場企業であってもプライム市場を選択できることは2020年1月23日のニュース『「プライム市場上場企業」でいられるのはいつまで?』でお伝えしたとおりだが、そのためには市場選択手続期間内(2021年9月から2021年12月まで)に「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」を東証に提出することが条件となる。具体的には、流通株式比率流通株式時価総額の向上に加え、ガバナンス向上への取り組みも含む計画書を策定のうえ、提出前には取締役会決議を経ることも必要になってくる。さらに、本計画書は公衆縦覧されるのみならず、新市場への一斉移行日(2022年4月1日)以後に終了する事業年度の末日から3か月以内に、当該計画書の進捗状況も開示する必要がある。

流通株式比率 : 流通株式数を上場株式数で除した値
流通株式時価総額 :
公衆縦覧 : 誰でも閲覧することができること

また東証は、「新市場区分の概要等について」の中で、新市場への移行スケジュールに加え、新規上場基準や上場維持基準の改正の方向性も示している。
・プライム市場の上場基準はこちら
・スタンダード市場の上場基準はこちら
・グロース市場の上場基準はこちら

新市場区分への移行に関するパブリック・コメントの募集は2020年3月中に開始される予定。

「新市場区分の概要等について」において盲点となっているのが、新規上場基準や上場維持基準における「流通株式数」の考え方が下記のとおり見直され、その計算式も現行とは異なるものになるということだ。

<現行の流通株式数の考え方>
上場株式のうち、「上場株式数の10%以上を所有する株主が所有する株式」「役員が所有する株式」「自己株式」「役員以外の特別利害関係者の所有する株式(新規上場・一部指定時のみ)」を除いたもの
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特別利害関係者 : 会社と一定程度の利害関係を有する者。開示府令に「当該会社の役員、当該役員の配偶者及び二親等内の血族、役員等の持株比率が50%を超えている会社、当該会社の関係会社並びに当該関係会社の役員、当該会社の株主で自己又は他人の名義をもつて所有する株式に係る議決権が多い順に十番目以内となる者」など細かく定義されている。

<流通株式数についての改正案による考え方>
「実態として流通性が乏しいと考えられる株主の保有する株式(=その株主が保有することで流通しにくくなる株式)」については、株主の保有比率にかかわらず流通株式から除外する。

この改正の背景には、現行制度上、たとえ実態として「流通性が乏しいと考えられる株主の保有する株式」であっても、それが上場株式数の10%未満であれば「流通株式」として取り扱われているため、流通株式に関する基準が適切に機能していないとの懸念がある。そして注目すべきは、そのような株式の例示として、「新市場区分の概要等について」の10ページに「例えば、政策保有株などについて検討することが考えられる」と記載されているということだ。この改正が実現すると、例えば自社の株式を1%保有している政策保有株主が10社あれば、それだけで流通株式数は1割(=1%×10社)減少することになる。

プライム市場を例にとると、上場維持基準(新規上場基準も同様)としては、下表のとおり流通株式数およびそれをベースとした流通株式時価総額と流通株式比率の3つの基準が用意されている。現時点では、上記「政策保有株」の詳細な定義や、それに該当するかどうかの判定時期は不明だが、現行の流通株式数の考え方の下では新上場維持基準を満たす一部企業であっても、「流通性が乏しいと考えられる株主の保有する株式を除く」という改正後の流通株式数の考え方に基づき流通株式数を計算し直すと新上場維持基準を満たさなくなるというところも出てくるであろう。

項目 上場維持基準
流通株式数 20,000単位
流通株式時価総額 100億円以上
流通株式比率 35%以上

このような企業は、東証に「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」を提出することなくプライム市場に移行したければ、移行基準日(2021年6月末日)に新たな定義に基づく流通株式数やそれをベースにした他の基準(流通株式時価総額流通株式比率)を充足するための対策が必要となる。例えば、「自社の株式を政策保有株式として持ってもらっている企業に売却を依頼する」「既存の政策保有株主が有する自社の株式を手放してもらう」「増資により既存株主の持ち株比率を薄める」「自己株式を処分して流通株式数を増やす」などが考えられる。

流通株式時価総額 : 流通株式数に時価を乗じた額
流通株式比率 : 流通株式数を上場株式数で除した値

政策保有株式は、資金が固定化され資本効率が悪化したり、相互保有している先が“与党株主”として機能することで経営陣によるガバナンスに緩みが生じたりといった問題を生じさせることから、コーポレートガバナンス・コードでは、政策保有株式の縮減に関する方針・考え方など、政策保有に関する方針の開示を求めている(原則1-4)。しかも、同原則は2018年の改訂により厳格化されたばかりであり、東証や投資家の問題意識は高い。また、有価証券報告書における政策保有株式の開示も、開示府令の改正により強化されてきた(開示対象が30銘柄から60銘柄に拡大。有価証券報告書での政策保有株式の開示の拡充は【特集】改正開示府令の有報記載分析(役員報酬、政策保有株式)を参照)。このような開示を通じた政策保有株式圧縮へのプレッシャーは、従来はその「保有側」に向けられてきた。しかし、今回の市場改革は、プライム市場への移行を誘因として、「保有される側」に対しても持ち合い解消を迫っている。

移行基準日(2021年6月末日)までには、相当な規模での持ち合い解消が図られることが予想されるが、一方で、それでもなお持ち合いを続ける企業は。投資家への説明責任を十分に尽くす必要があると言えよう。

2020/03/04 新型コロナ対策で富士ソフトがハイブリッド型バーチャル株主総会

新型コロナウィルスへの感染が日々拡大する中、(2019年)2月28日には法務省から定時株主総会の開催延期に関する法的な見解をまとめたリリース「定時株主総会の開催について」が公表され、①当初予定した時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じても、その状況が解消された後、合理的な期間内に定時株主総会を開催すれば足りる(*1)、②定款に定められた基準日から3か月(*2)を経過した後に定時株主総会が開催される場合には、会社は新たに議決権行使のための基準日を定め、当該基準日の2週間前までに基準日及び基準日株主が行使することができる権利の内容を公告する必要がある(会社法124条3項)、③特定の日を剰余金の配当の基準日とする定款の定めがある場合には、上記②同様、特定の日とは異なる日を剰余金の配当の基準日と定めれば、剰余金の配当をすることができる。この場合もやはり上記②と同様、当該基準日の2週間前までに公告する必要がある―――ことが明らかにされたところだ。

基準日 : その日において株主名簿に名前が載っていれば、株主総会での議決権行使や配当を受ける権利を享受できる日のこと。定時株主総会の基準日を定款に記載しなければ、毎年、基準日を公告しなければならない。その手間を避けるために、定款に基準日を記載するのが通常である。

*1 会社法上、株式会社の定時株主総会は、「毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない」と規定されているが(会社法296条1項)、事業年度の終了後3か月以内に定時株主総会を開催することを求めているわけではない(この点については、2017年5月25日のニュース「株主総会を2か月後倒しの企業現る―決算日と異なる基準日を初めて設定」の第二段落参照)。
*2 基準日における株主が行使することができる権利は「基準日から3か月以内に行使するもの」に限られている(会社法124条2項)。

当フォーラムの取材によると、本日(3月4日)までに定時株主総会の延期を表明した上場会社は・・・

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2020/03/04 新型コロナ対策で富士ソフトがハイブリッド型バーチャル株主総会(会員限定)

新型コロナウィルスへの感染が日々拡大する中、(2019年)2月28日には法務省から定時株主総会の開催延期に関する法的な見解をまとめたリリース「定時株主総会の開催について」が公表され、①当初予定した時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じても、その状況が解消された後、合理的な期間内に定時株主総会を開催すれば足りる(*1)、②定款に定められた基準日から3か月(*2)を経過した後に定時株主総会が開催される場合には、会社は新たに議決権行使のための基準日を定め、当該基準日の2週間前までに基準日及び基準日株主が行使することができる権利の内容を公告する必要がある(会社法124条3項)、③特定の日を剰余金の配当の基準日とする定款の定めがある場合には、上記②同様、特定の日とは異なる日を剰余金の配当の基準日と定めれば、剰余金の配当をすることができる。この場合もやはり上記②と同様、当該基準日の2週間前までに公告する必要がある―――ことが明らかにされたところだ。

基準日 : その日において株主名簿に名前が載っていれば、株主総会での議決権行使や配当を受ける権利を享受できる日のこと。定時株主総会の基準日を定款に記載しなければ、毎年、基準日を公告しなければならない。その手間を避けるために、定款に基準日を記載するのが通常である。

*1 会社法上、株式会社の定時株主総会は、「毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない」と規定されているが(会社法296条1項)、事業年度の終了後3か月以内に定時株主総会を開催することを求めているわけではない(この点については、2017年5月25日のニュース「株主総会を2か月後倒しの企業現る―決算日と異なる基準日を初めて設定」の第二段落参照)。
*2 基準日における株主が行使することができる権利は「基準日から3か月以内に行使するもの」に限られている(会社法124条2項)。

当フォーラムの取材によると、本日(3月4日)までに定時株主総会の延期を表明した上場会社はGMOインターネットにとどまる。同社は定時株主総会の開催日を当初予定していた2020年3月21日(土)から同年3月30日(月)に延期するとともに、例年よりも規模を縮小した上で、総会当日は自宅でも閲覧できるインターネットライブ中継を行うなどの感染防止に向けた対応を明らかにしている(同社のリリースはこちら)。

政府が打ち出した「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を踏まえ、各種イベントの中止が相次ぐ中、感染拡大防止に向け最も重要な時期と思われる3月に株主総会を迎える12月決算会社の中からはGMOインターネットに続き定時株主総会を延期するところが出て来てもおかしくないように思えるが、既に株主総会への付議内容が確定し、開催に向けた会場の確保はもちろん準備もほぼ終わっている段階で、今さら「延期」というのも容易ではないだろう。12月決算会社にとっての論点は、定時株主総会を延期するかどうかではなく、「リアル」に開催するかどうかという点に絞られつつある。こうした中、富士ソフトが3月13日(金)にハイブリッド型バーチャル株主総会を開催することを明らかにしている(同社の定時株主総会の案内はこちら)。

取締役・監査役等と株主のすべてがインターネット等を通じて株主総会に参加する「バーチャル株主総会」であれば新型コロナウィルスへの感染リスクも限りなくゼロにできるだろうが、現行会社法では、株主総会の招集に際してはその「場所」を定めなければならない(会社法298条1項1号)とされているため、物理的に存在する会場で開催する「リアル株主総会」の開催を伴わないバーチャル株主総会の開催は会社法の解釈上困難とされる(新用語・難解用語辞典「ハイブリッド型バーチャル株主総会」および2019年11月6日のニュース「グリー、バーチャル株主総会で株主からメッセージを受け付け」それぞれの第二段落参照)。すなわち、現行会社法の下で最も感染リスクを抑えられるのはハイブリッド型バーチャル株主総会であり、今後、リアル株主総会をハイブリッド型バーチャル株主総会に切り替える上場会社が出て来る可能性もあろう。

また、12月決算会社の中には、ハイブリッド型バーチャル株主総会とまではいかなくても、可能な限り議決権の電子行使または郵送での議決権の事前行使を株主に呼び掛けているところも多い。

当日(リアル)株主総会に出席する株主にはマスクの着用を求めたり消毒液を設置したりして対応するといった声が聞かれる。あとは、間隔を空けて着席してもらうくらいしか手立てはないが、そもそも出席者数も例年よりかなり少なくなることが予想される。会場が人でごった返すという感染リスクの高い状況は避けられる可能性が高い。なお、総会終了後の株主懇談会等は軒並み中止となっている。

日本の上場企業の大部分を占める3月決算会社については、まだ6月の株主総会まで時間は残されているものの、政府が従業員の休暇取得やテレワーク、時差出勤などを強く推奨する中、決算作業が思い通り進まないというところも出て来るだろう。本日行われた日本公認会計士協会の手塚会長の記者会見では、「今後感染症が拡大し、2月期決算、3月期決算の作業が遅滞した場合には、定時株主総会を含む全体のスケジュールが影響を受ける事例も出てくるのではないか」との話も出ている。今のところ定時株主総会そのものを延期する動きはほとんど顕在化してないが、新型コロナウィルスの終息時期が予想以上に遅れるようであれば、3月決算会社で株主総会を延期するところは少なからず出て来ることになりそうだ。