不正解です。
2018年9月28日にコーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)が改訂され、問題文のとおり「社外取締役の再任基準を設けておくことを検討すべきである。」との一文が挿入されました(問題文は正しいです)。「社外取締役の再任基準」を設けている企業は約24%に過ぎないことから、多くの上場会社で今後の対応が待たれるところです。
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2018/10/05 改訂CGSガイドラインが求める社外取締役の「再任基準」(会員限定)
不正解です。
2018年9月28日にコーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)が改訂され、問題文のとおり「社外取締役の再任基準を設けておくことを検討すべきである。」との一文が挿入されました(問題文は正しいです)。「社外取締役の再任基準」を設けている企業は約24%に過ぎないことから、多くの上場会社で今後の対応が待たれるところです。
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2018/10/05 改訂CGSガイドラインが求める社外取締役の「再任基準」(会員限定)
正解です。
2018年9月28日にコーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)が改訂され、問題文のとおり「社外取締役の再任基準を設けておくことを検討すべきである。」との一文が挿入されました(問題文は正しいです)。「社外取締役の再任基準」を設けている企業は約24%に過ぎないことから、多くの上場会社で今後の対応が待たれるところです。
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2018/10/05 改訂CGSガイドラインが求める社外取締役の「再任基準」(会員限定)
不正解です。
コーポレートガバナンス・コードの補充原則1-1①では「取締役会は、株主総会において可決には至ったものの相当数の反対票が投じられた会社提案議案があったと認めるときは、反対の理由や反対票が多くなった原因の分析を行い、株主との対話その他の対応の要否について検討を行うべきである。」と規定されています。この「相当数の反対票」の具体的な目安はコーポレートガバナンス・コードでは示されていませんが、今年7月に改訂(2019年1月施行予定)された英国CGコード第1章各則(Provision)4を踏まえて「20%以上の反対票」と考える見解もあることから、該当する議案を有する上場会社では注意が必要です(問題文は正しいです)。
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2018/10/04 協働対話フォーラム、トップ選任議案に20%以上の反対票企業にレター(会員限定)
正解です。
コーポレートガバナンス・コードの補充原則1-1①では「取締役会は、株主総会において可決には至ったものの相当数の反対票が投じられた会社提案議案があったと認めるときは、反対の理由や反対票が多くなった原因の分析を行い、株主との対話その他の対応の要否について検討を行うべきである。」と規定されています。この「相当数の反対票」の具体的な目安はコーポレートガバナンス・コードでは示されていませんが、今年7月に改訂(2019年1月施行予定)された英国CGコード第1章各則(Provision)4を踏まえて「20%以上の反対票」と考える見解もあることから、該当する議案を有する上場会社では注意が必要です(問題文は正しいです)。
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2018/10/04 協働対話フォーラム、トップ選任議案に20%以上の反対票企業にレター(会員限定)
不正解です。
企業結合で生じたのれんについて、償却すべきとする見解(日本の会計基準の考え方)と償却せずに毎期減損の有無を判定すべきとする見解(現行のIFRSの考え方)が対立していますが、のれんを償却すべきでないとする見解は「のれんを償却する場合には償却期間を決めなければならないが、これを客観的に決定するのは困難である」ということも根拠の1つとして指摘しています(問題文は正しいです)。
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2018/10/02 IFRSにおける「のれん」の償却義務化議論の方向性(会員限定)
正解です。
企業結合で生じたのれんについて、償却すべきとする見解(日本の会計基準の考え方)と償却せずに毎期減損の有無を判定すべきとする見解(現行のIFRSの考え方)が対立していますが、のれんを償却すべきでないとする見解は「のれんを償却する場合には償却期間を決めなければならないが、これを客観的に決定するのは困難である」ということも根拠の1つとして指摘しています(問題文は正しいです)。
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2018/10/02 IFRSにおける「のれん」の償却義務化議論の方向性(会員限定)
不正解です。
改訂コーポレートガバナンス・コードの原則1-4は政策保有株式に関して「縮減に関する方針」を開示することを求めており、「政策保有株式を縮減しない」あるいは「増加させる」ということを「縮減に関する方針」として開示したとしても、改訂原則1-4の「政策保有に関する方針を開示」の部分についてはコンプライしたことになると考えられます(問題文は正しいです)。もっとも、上場会社が政策保有株式を「縮減しない」ならまだしも「増加させる」との方針を掲げると、投資家から批判を受けることになるのは必至と言えます。
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2018/10/02 「縮減に関する方針」の意味(会員限定)
正解です。
改訂コーポレートガバナンス・コードの原則1-4は政策保有株式に関して「縮減に関する方針」を開示することを求めており、「政策保有株式を縮減しない」あるいは「増加させる」ということを「縮減に関する方針」として開示したとしても、改訂原則1-4の「政策保有に関する方針を開示」の部分についてはコンプライしたことになると考えられます(問題文は正しいです)。もっとも、上場会社が政策保有株式を「縮減しない」ならまだしも「増加させる」との方針を掲げると、投資家から批判を受けることになるのは必至と言えます。
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2018/10/02 「縮減に関する方針」の意味(会員限定)
経団連が現在の大学2年生から就活ルール(会社説明会は3年生の3月、選考活動は6月、内定は10月解禁)を廃止することを決めました。これを受け政府は(2018年)10月29日、経団連や大学関係者らも参加する関係省庁連絡会議の会合を開催し、現在の大学2年生については政府主導で現行の就活ルールを維持することを確認、さらにその下の学年についても当面は維持していくことを示唆しています。
とはいえ、今回の一件が日本企業が長年続けて来た新卒一括採用を考え直すきっかけとなるのは間違いないでしょう。
経営陣としては、新卒一括採用をはじめとする採用戦略、そしてそれをベースとした人事戦略を今後どのように見直していくべきでしょうか。中長期的な視点で考えてみてください。
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周知のとおり、東証は(決算期にかかわらず)市場一部および二部上場会社すべて(以下、単に「上場会社」という)に対し、(2018年)6月1日から施行されている改訂コーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)に対応したコーポレート・ガバナンス報告書(以下、CG報告書)を、「準備ができ次第速やかに、遅くとも2018年12月末日までに」提出するよう求めています。
改訂への対応を求められることとなる原則の一つが、今回新設された原則2-6(企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮)です。同原則は上場会社に対し、自社の企業年金のためにどのような取り組みを行っているかを開示することを求めています。「開示すべき」ということは、すなわち「CG報告書に記載せよ」ということです。開示が求められる原則についてCG報告書に何かを記載する際には、当該原則が求めているものを理解したうえで、文案を作られなければなりません。
そこで、まずは改訂CGコードとその付属文書である「投資家と企業の対話ガイドライン」(以下、対話ガイドライン)の内容と、東証が改訂CGコードへのパブリックコメントへの回答の中で示した原則2-6の狙いを確認してみましょう。
| 改訂CGコード | 対話ガイドライン |
| 【原則2-6.企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮】 上場会社は、企業年金の積立金の運用が、従業員の安定的な資産形成に加えて自らの財政状態にも影響を与えることを踏まえ、企業年金が運用(運用機関に対するモニタリングなどのスチュワードシップ活動を含む)の専門性を高めてアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう、運用に当たる適切な資質を持った人材の計画的な登用・配置などの人事面や運営面における取組みを行うとともに、そうした取組みの内容を開示すべきである。その際、上場会社は、企業年金の受益者と会社との間に生じ得る利益相反が適切に管理されるようにすべきである。 |
5.アセットオーナー 5-1. 自社の企業年金が運用(運用機関に対するモニタリングなどのスチュワードシップ活動を含む)の専門性を高めてアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう、母体企業として、運用に当たる適切な資質を持った人材の計画的な登用・配置(外部の専門家の採用も含む)などの人事面や運営面における取組みを行っているか(※注5)。また、そうした取組みの内容が分かりやすく開示・説明されているか。 ※注5 |
| (1)インベストメント・チェーンの機能発揮 | フォローアップ会議の提言においては、コーポレートガバナンス改革を深化させ、インベストメント・チェーンの機能発揮を促していくためには、最終受益者の最も近くに位置し、会社との対話の直接の相手方となる運用機関に対して働きかけやモニタリングを行っているアセットオーナーの役割が極めて重要とされています。 |
| (2)企業年金によるスチュワードシップ・コード受入れ | フォローアップ会議の提言においては、企業年金の形態や規模は様々であることを踏まえた上で、それぞれの会社において、自社の置かれた状況に応じて、こうした取組みが進められることにより、企業年金がアセットオーナーとしての機能を発揮し、スチュワードシップ・コードの受入れが広がり、実効的なスチュワードシップ活動が進められていくことを期待したいとされています。 |
| (3)従業員の資産形成と母体企業の財政状態への影響の認識 | フォローアップ会議の提言においては、企業年金の運営を支える母体企業において、その積立金の運用が従業員の資産形成や自らの財政状態に影響を与えることを十分認識し、企業年金がアセットオーナーとして期待される機能を実効的に発揮できるよう、自ら主体的に人事面や運営面における取組みを行うことが求められるとされました。 |
| (4)利益相反の管理 | また、こうした取組みに際しては、母体企業と企業年金の受益者との間に生じ得る利益相反が適切に管理されることも重要であり、原則2-6には、この点も盛り込まれています。 |
原則2-6は一文が長く、若干理解し難くなっていますが、要約すれば「上場会社は、企業年金がアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう、人事面や運営面における取組みを行うとともに、その内容を開示すべきである」ということになります。「開示すべき」とされている以上、CG報告書への記載は必須となり、CG報告書で「人事面や運営面における取組み」を開示しない場合やそもそもそのような取組みを行っていない場合には、その理由をCG報告書に記載(エクスプレイン)しなければなりません。
開示内容を検討する際には、そもそも原則2-6がなぜ企業年金に対する上場会社の取組み内容の開示を求めているのかを知ることが有益です。これは、当該原則が開示によって求める効果を理解すれば、開示内容も当該原則の期待に沿ったものとすることができるからです。
東証がパブリック・コメントへの回答の中で示した改訂の狙いは図表2のとおりですが、その中でも特に当局側の強い期待を感じさせるのが、(2)の「企業年金によるスチュワードシップ・コード受入れ」です。企業年金によるスチュワードシップ・コード受入れを広げようとしているのは、アセットオーナーとしてスチュワードシップ・コードの受入れを表明している企業年金が極めて限られている現状を変えようとする意図からだと思われます。スチュワードシップ・コードの受入れを表明しているアセットオーナーは主に公的年金や公務員年金であり、企業年金連合会以外で企業年金として受入れを表明しているところは、金融グループ系の企業が設立した企業年金などごく僅です。原則2-6が上場会社の背中を押せば、企業年金によるスチュワードシップ・コード受入れが進むかもしれません。
こうした期待を踏まえ、「スチュワードシップ活動」という言葉は改訂CGコード原則2-6、対話ガイドライン5-1のいずれにも出て来ます。元々、スチュワードシップ活動とは機関投資家に期待される様々な活動のことを指すものであり、スチュワードシップ・コードでは、下記のように定義されています(「本コードの目的」6参照)。
| また、スチュワードシップ責任を果たすための機関投資家の活動(以下、「スチュワードシップ活動」という。)において、議決権の行使は重要な要素ではあるものの、当該活動は単に議決権の行使のみを意味するものと理解すべきではない。スチュワードシップ活動は、機関投資家が、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を適切に把握することや、これを踏まえて当該企業と建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)を行うことなどを含む、幅広い活動を指すものである。 |
また、改訂CGコード原則2-6と対話ガイドライン5-1では、「アセットオーナー」という言葉も用いられています。アセットオーナーという言葉は2017年に行われたスチュワードシップ・コードの改訂時に登場したものです。改訂スチュワードシップコードでは機関投資家を次のように2つの類型に分けており、その一つが「アセットオーナー」ということになります(「本コードの目的」7参照)。
| 機関投資家は、資金の運用等を受託し自ら企業への投資を担う「資産運用者としての機関投資家」(以下、「運用機関」という。)である場合と、当該資金の出し手を含む「資産保有者としての機関投資家」(以下、「アセットオーナー」という。)である場合とに大別される。 |
企業年金はアセットオーナーとして運用機関に年金積立金を預け、運用を任せているというわけです。そして、スチュワードシップ・コードの指針1-3、1-4、1-5(いずれも2017年の改訂により新設)には、アセットオーナーのスチュワードシップ活動について次のような説明があります。
| 1-3.アセットオーナーは、最終受益者の利益の確保のため、可能な限り、自らスチュワードシップ活動に取り組むべきである。また、自ら直接的に議決権行使を含むスチュワードシップ活動を行わない場合には、運用機関に、実効的なスチュワードシップ活動を行うよう求めるべきである。
1-4.アセットオーナーは、運用機関による実効的なスチュワードシップ活動が行われるよう、運用機関の選定や運用委託契約の締結に際して、議決権行使を含め、スチュワードシップ活動に関して求める事項や原則を運用機関に対して明確に示すべきである。特に大規模なアセットオーナーにおいては、インベストメント・チェーンの中での自らの置かれている位置・役割を踏まえ、運用機関の方針を検証なく単に採択するのではなく、スチュワードシップ責任を果たす観点から、自ら主体的に検討を行った上で、運用機関に対して議決権行使を含むスチュワードシップ活動に関して求める事項や原則を明確に示すべきである。 1-5.アセットオーナーは、運用機関のスチュワードシップ活動が自らの方針と整合的なものとなっているかについて、運用機関の自己評価なども活用しながら、実効的に運用機関に対するモニタリングを行うべきである。このモニタリングに際しては、運用機関と投資先企業との間の対話の「質」に重点を置くべきであり、運用機関と投資先企業との面談回数、面談時間等の形式的な確認に終始すべきではない。 |
以上を踏まえると、運用機関に資産運用を委託しているアセットオーナーとしての企業年金に期待されるスチュワードシップ活動は、
●運用機関に対して実効的なスチュワードシップ活動を行うよう求めること
●スチュワードシップ活動に関して何を求めるか運用機関に対して明示すること
●運用機関のスチュワードシップ活動に対するモニタリングを実効的に行うこと
―――と整理することができます。
ただし、改訂CGコード原則2-6や対話ガイドラインの5-1には、「スチュワードシップ活動を含む」とあることから、企業年金にはスチュワードシップ活動以外の活動も求められていると考えなければなりません。具体的には、企業年金に「アセットオーナー」として期待される機能は、究極的には年金給付を確実に行うことなのですから、そのためには当然ながら年金積立金の運用を注意深く行うことが期待されるはずです。運用を運用機関に委託している場合には、(運用機関のスチュワードシップ活動に対するモニタリングのみならず)運用機関の“運用状況”を注意深くモニタリングすることが求められます。モニタリングすべき項目としては、「運用機関が年金積立金運用にあたってとっているリスクが適切な水準か」「他の運用機関と比較して十分なリターンをあげているか」「運用手数料は適正か」、などが考えられます。
以上をまとめると、アセットオーナーのスチュワードシップ活動とは、運用委託した運用機関が運用機関のスチュワードシップ活動(「議決権行使」と投資先企業との「建設的な『目的を持った対話』(エンゲージメント)」を行うことなどによる投資先企業の企業価値の向上に寄与すること)が適切に行うように求めるとともに、その活動結果を実効的にモニタリングすることだと言えるでしょう。そして上場会社には、アセットオーナーとしての企業年金のスチュワードシップ活動や積立金運用を成功に導くため、人事面や運営面における取組みを行うことと、そうした取組みの内容を開示することが求められているということになります。
では、「人事面や運営面における取組み」とは具体的にどのようなことを指すのでしょうか。
この点について、改訂CGコード原則2-6では「運用に当たる適切な資質を持った人材の計画的な登用・配置などの人事面や運営面における取組み」とし、対話ガイドライン5-1では、「運用に当たる適切な資質を持った人材の計画的な登用・配置」という文言の後にカッコ書きで「(外部の専門家の採用も含む)」を加えています。
パブリック・コメントに対する東証の回答では、「例えば、適切な資質を持った人材の企業年金の事務局や資産運用委員会への配置、そうした人材の育成、運用受託機関との間で当該機関が実施するスチュワードシップ活動について対話を行う際の必要なサポートなどが考えられますが、これらに限られるものではなく、それぞれの会社の置かれた状況に応じ、適切に取組みを行う」ことであると記されています。
以上を踏まえると、資産運用に関する資質を持った人材を企業年金に関連する部署に配置する、あるいは、そのような人材を育成したり外部から採用したりすることが期待されていると言えるでしょう。
改訂CGコード原則2-6の最後の一文では、「その際、上場会社は、企業年金の受益者と会社との間に生じ得る利益相反が適切に管理されるようにすべきである。」とし、自社と企業年金との間で生じ得る利益相反に対する十分な配慮を求めています。
ここでいう「その際」とは、対話ガイドライン5-1の注書きにあるように、人事面や運営面における取組みを行う際ということを指しています。そして、対話ガイドラインへのパブリック・コメントに対して金融庁が示した回答には、「利益相反が生じ得る場面は、母体企業や企業年金が置かれた状況に応じて様々な場面が想定されますが、例えば、企業年金の投資先に母体企業や母体企業と利害関係がある企業の株式が含まれる場合の議決権行使の場面などが想定されます。企業においては、利益相反が生じ得る場面を想定した上で、そうした利益相反を回避し、その影響力を排除するための措置を講じることが求められるものと考えます。」とあります。企業年金の活動を支えるために上場会社側が行う人事面や運営面における取組みの結果、企業年金やその加入者・受給者の利益が軽視されることがあってはなりません。年金積立金の運用機関の選定等では、上場会社側の都合を優先するのではなく、常に加入者・受給者の利益を最大化することを念頭に置くべきであり、そのような姿勢も開示内容に盛り込みたいところです。
わが国の制度的な企業年金としては、厚生年金基金、基金型確定給付企業年金、規約型確定給付企業年金、企業型確定拠出年金などがあります(年金の種類についてはケーススタディ「【人事・労務】退職金を廃止・減額したい」の「廃止の対象となる退職金は?」の図参照)。このうち、母体企業が年金積立金の運用に、人事面や運営面における取組みを通じてある程度の関与ができそうなのは、加入者個人が自己責任で運用する企業型確定拠出年金を除く厚生年金基金、基金型確定給付企業年金、規約型確定給付企業年金です。しかし、企業型確定拠出年金でも、最初の運営管理機関選択などの場面で全く母体企業が関わっていないわけではありません。
厚生年金基金 : 日本の公的年金制度は「1階部分」の国民年金と「2階部分」の厚生年金によって成り立っているが、確定給付年金や確定拠出年金同様、「3階部分」に相当する企業年金(私的年金)の一種。厚生年金基金の最大の特徴として、公的年金である厚生年金金保険料の一部を運用できるという「代行部分」があり、これに企業ごとのオリジナルの企業年金が加わって「厚生年金基金」を構成する。ただ、代行部分の運用利回りの悪化等に伴い、2014年4月以降は新規の厚生年金基金設立はできなくなり、事実上企業年金しての役割を終えている。
基金型確定給付企業年金 : 確定給付企業年金(給付額が保障された年金)の1つで、母体企業から自社から独立した法人である基金(企業年金基金)を設立し、その基金が年金資産を管理運用する。
規約型確定給付企業年金 : 企業が保険会社や信託銀行等と契約を結び運営される確定給付年金のこと。保険会社や信託銀行等は、企業に代わり、給付に必要な保険料(掛け金)を集め、集めた資金を運用し、社員に給付する。
企業型確定拠出年金 : 企業が一定のルールに基づき掛金を拠出する確定供出年金(給付額が保障されていない年金)。一方、個人が掛金の金額を決め、個人が掛金を拠出する確定拠出年金が個人型確定拠出である。企業型確定拠出年金の中には従業員が一部掛金を負担する「マッチング拠出」タイプのものもある。いずれにせよ、掛金を運用するのはあくまで加入者個人であるという共通点がある。
そこで東証へのパブリック・コメントでは、改訂CGコード原則2-6でいう「企業年金」とは何かが問われ、東証は「原則2-6における『企業年金』は、基本的には、基金型・規約型の確定給付年金及び厚生年金基金を想定しています。」「なお、ご指摘のとおり、確定拠出年金についても、運用が従業員の資産形成に影響を与えることは確定給付年金と同様であるため、一般論としては、例えば、運用機関・運用商品の選定や従業員に対する資産運用に関する教育の実施などの場面で、上場会社において適切な取組みがなされることが期待されるものと考えます。」と回答しています。
したがって、企業型確定拠出年金のみを有する上場会社であれば、基本的には開示対象としては想定されていないということだろうと思われます。しかし、従業員の資産形成のための取組みを投資家にアピールしようとするのであれば、確定拠出年金の運用機関・運用商品の選定や従業員に対する資産運用に関する教育を適切に行い、そのような取組みをCG報告書に記載することは、むしろ期待されていると言えそうです。
これまで上場会社と機関投資家との対話の中で企業年金がテーマに上ったことはほとんどなかったものと思われますが、上場会社の企業年金の財政状態が悪化したり退職給付債務の積立不足が大きくなれば、株価の下落という形で株主に不利益をもたらすことになります。図表2「改訂CGコード原則2-6の狙い」で示されたインベストメント・チェーンにおける企業年金の役割((1))や、従業員の資産形成と母体企業の財政状態への影響((2))に関する記述は、企業年金の果たす役割の重要性を改めて認識させるものと言えます。
退職給付債務 : 退職一時金や、退職年金といった退職給付のうち給付額が確定したものは、企業からすれば従業員に対する「負債」であり、従業員の勤務期間が長くなればなるほどその額は大きくなっていく。将来見込まれる退職給付の支払総額のうち、当会計期間までに発生していると認められるものを「退職給付債務」という。退職給付債務を計算するには、原則として「割引計算」が必要になる。預金利率が1%の場合、現在の100円の1年後の経済的価値は(利息がつくため)101円になるが、割引計算とは、こうした現象を踏まえ、「将来に受け取れる価値を現在受け取るとしたらどの程度の価値を持つか」を計算するもの。例えば1年後に101円の退職金を支払う場合、当期末に計上する退職給付債務は「101円」ではなく、利息(割引率)1%を考慮した100円となる。
「インベストメント・チェーン」とは、顧客・受益者から投資先企業へと向かう投資資金の流れを意味します。企業年金であれば、加入者・受給者による掛金の拠出によって年金積立金が積み立てられ、その運用をアセットオーナーである企業年金が運用機関に委託し、運用機関が上場会社株式をはじめとする様々な投資対象に投資をするという流れを指します。企業年金の組成、運用委託、株式投資といった一連のプロセスの中で、それぞれの関係者には、加入者・受給者の最善の利益のために行動することが期待されますが、企業年金はその中核的な役割を果たすべきということでしょう。
企業年金の積立金運用が母体企業の財政状態に影響を及ぼすことを認識するよう求めているのは、積立金の運用が不振に陥った場合、積立金の不足分を上場会社が補てんするよう求められることがあるからです(その結果、株価も下落)。
今後、改訂CGコード原則2-6の新設がきっかけとなって、企業年金に対する機関投資家の関心が高まる可能性はあるでしょう。したがって、同原則についてCG報告書の文案を考える際には、機関投資家との対話の中で企業年金が話題になることも想定し、どのような角度から突っ込みを受けても受け答えができるよう、上記のとおり、原則2-6、対話ガイドライン、パブコメに対する東証の回答に沿った記載内容となるよう心掛けるべきでしょう。