2018/05/30 【役員会 Good&Bad発言集】デザイン経営(会員限定)

<解説>
製品の見栄えを整えるだけではない“デザイン”の力

日本では、メーカーが製品の競争力を維持するため製造拠点を日本から中国や東南アジア各国といった賃金の安い国に移すことで、製造業の空洞化が起きました。それと同時に、製品の価値における価格の占める割合が高まり、製品がコモディティ化することになりました。

コモディティ化した製品は価格競争に巻き込まれることになります。企業買収を重ねて規模の利益を追求したところで、海外製品との価格競争に巻き込まれ疲弊するだけです。製品自体のライフサイクルの終了に伴い、企業の存続可能性に疑義が生じることになります。

そのような状況に巻き込まれないために着目したいのが「デザイン」です。「デザイン」といっても「個々の製品の外⾒を好感度の⾼いものにする」ことだけに留まるものではありません。経済産業省・特許庁が設置した「産業競争力とデザインを考える研究会」がとりまとめた報告書『「デザイン経営」宣言』(2018年5月23日公表)によると、デザインは「企業が⼤切にしている価値、それを実現しようとする意志を表現する営み」と定義されており、「顧客が企業と接点を持つあらゆる体験に、その価値や意志を徹底させ、それが⼀貫したメッセージとして伝わること」(「デザイン経営」宣言2ページ)が重要としています。スマートフォン普及期におけるAppleのiPhoneが、まさにそれを体現していました。iPhoneは、製品そのもののデザインも研ぎ澄まされていたことに加えて、製品の操作性、新製品発表のイベントやショップの雰囲気、広告、製品のパッケージ等広範にわたり細部にまで洗練されたデザインで統一されていました。そういったデザインは一貫したメッセージとして顧客に伝わり、「他の企業では代替できないと顧客が思うブランド価値」の誕生に大きく寄与しました(ブランドファイナンス Global 500 2018によるとAppleのブランド価値はアマゾンに次いで世界第2位)。

また、iPhoneはさまざまなイノベーションを生み出しましたが、これを「Apple社が革新的な技術を開発できたからイノベーションが起きた」と単純にとらえてしまうと、本質を見誤る恐れがあります。革新的な技術を開発するだけでイノベーションが起きるのではありません。「社会のニーズを利用者視点で見極め、新しい価値に結び付けること、すなわちデザインが介在してはじめてイノベーションが実現する」(「デザイン経営」宣言3ページ)のです。大学発の技術系ベンチャーの多くが革新的な技術を持ちながら売上を伸ばせないことの背景には、デザインの欠落も指摘されています。このようにデザインには「ブランド⼒の向上」と「イノベーション⼒の向上」という2つの効果が期待され、デザインを活用することで企業競争力を向上させることが可能になります。上で紹介した「デザイン経営」宣言では、こういったデザインの活用によりブランドとイノベーションを通じて企業の競争力を向上させる経営手法を「デザイン経営」と呼び、日本企業におけるデザイン経営の重要性を説いています。

デザイン経営の先行事例に学ぶ

先進的な企業では、デザイン経営の重要性を踏まえて、すでにさまざまな取り組みが行われています。デザイン経営宣言の報告書別冊『「デザイン経営」の先行事例』に掲げられている事例をいくつか紹介します。

マツダ株式会社 マツダブランド価値経営の柱の一つにデザインを位置付け、デザインのビジョンを描き、それを商品全体に反映させる戦略を策定している。それまでのデザイン戦略は、個別商品のデザイン開発であったが、エンジニアリングサイドの中長期計画、戦略的な方向性と合致させ、マツダのモノ創りの思想を体現した個性的で一貫性・継続性を持つブランドとしての統一感表現(群としての表現)を目指した。
パナソニック株式会社 従来の開発プロセスでは、家電としてもイノベーションが生まれてこない。開発のより源流で、デザインも商品企画も一体となり進めるようになってきている。CNSデザインセンターでは技術者・マーケター・デザイナーが共創しながら新領域のイノベーションにチャレンジしており、異なる組織が同フロアで開発に取り組んでいる。そこでは、流通や外食産業の現場におけるサービス・UI(ユーザーインターフェース)・アプリケーション)をすべて一つのビジネスモデルとして考えるような開発を行っている。
日本電気株式会社(NEC) 企業としてどのようなビジネスに取り組んでいくかという構想の段階からデザイナーが入る。デザイナーは顧客インサイトなどのより潜在的な課題の発見・掘り起こしと、それらの課題をどう解決するのかをデザインすることが求められている。
株式会社TOTO かつては製品を開発する際には機能を考えるところから始めていたものを、まずは製品のデザインを提案するスタンスに変わった。製品のデザインの質を高めた結果として、技術、さらには機能も高まっていくという考えを持ちながらトップが動いている。

いずれも旧来型のデザインの概念(製品の見栄え)から脱却し、より上流からデザインと向き合った結果、デザイン経営の実現に至ったのが特徴と言えます。

デザイン経営を場当たり的なものにせずに着実に実現させるには、経営戦略に取り込む必要があります。その結果、組織のありようにも変化が生じるはずです(下表参照)。まさに経営戦略論で著名なチャンドラーが指摘した「組織は戦略に従う」という考え方の体現に他なりません。

株式会社スギノマシン 「デザイン経営」を導入するにあたって、機器単体ではなく、自社が提供する機器全体を通じて「スギノマシン」 というブランドを顧客に認知してもらうことを重要視している。そのため、商品ごとに6事業部に分割していた組織構造を2事業部に集約し、クロスセルで顧客に製品を提案することが可能となり、顧客への訴求力も向上した。
ヤマハ発動機株式会社 「コンセプト・卓越した技術・デザイン」が経営の根幹であるとの意識に、「デザインは企業の想いそのもの」という考えを加味し、デザインの機能を一部内製化して、デザイン本部を設置している。

デザイン経営の実践にはトップの強力なリーダーシップも欠かせません。そのために、デザインを束ねる部署をトップの直下に配置する企業もあります(下表中の赤字を参照)。

TOTO株式会社 デザイン本部を社長直轄組織として位置付け、デザイン活用に関する社内の迅速な意思決定を可能にしている。
ソニー株式会社 社長直下に事業部横断のデザイン組織であるクリエイティブセンターを設置し、全事業部における製品デザインの質を担保している。
 キヤノン株式会社  社内のデザインのスキルセットを集約し、シナジーを生むことで産業競争力強化を図るためにデザイン室の統合が行われた。名称も総合デザインセンターと変更し、会長・社長直轄の組織として位置付けている。

デザイン経営を実践するためにどれほど組織をいじったところで、経営層の理解が不十分であれば、間違えた意思決定をする可能性が高まります。以下、経営層のデザインリテラシーを高めるための施策を紹介します。

富士フイルム株式会社 月次の経営層への報告において、近年はデザインの結果報告だけでなく、これからやろうとしていることを先手先手で報告している。この報告を通じて経営層のデザインへの理解を醸成した。また、デザインセンターとしての経営層とのやり取りの中で、デザインのみを語るのではなく、あえてコンセプトやマーケティングの内容を盛り込むことで経営層の関心を引き出し、そこにデザインが関わること、製品開発の上流工程にデザインが携わる理由を丁寧に説明していくことを心掛けた。
マツダ株式会社 常務執行役が、デザイン活用によってもたらされる効果である「プレミアム」という言葉を使って、デザイン・ブランドの重要性を経営層に訴えた。経営会議で何度も説明の場を持ち、考えを伝え続けた。ある位置を狙うと決めたら、経営層には、戦略や哲学について共通言語を用いて論理的に伝える一方で、実物のデザインを見せてビジュアル的にも納得していただくという右脳にも左脳にも訴える二軸で説得を行った。
デザイン経営の条件は?

上述したデザイン経営の先行事例から帰納的に「デザイン経営」に必要となる条件を導き出すと、次のとおりです。

・経営チームにデザイン責任者がいること
・事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること
・「デザイン経営」の推進組織の設置
・デザイン⼿法による顧客の潜在ニーズの発⾒

その他、「デザイン経営」宣言によると次の3点も「デザイン経営」のための具体的取組に掲げられています。

・アジャイル型開発プロセスの実施:観察・仮説構築・試作・再仮説構築の反復により、質とスピードの両取りを⾏う。
・採⽤および⼈材の育成:デザイン⼈材の採⽤を強化する。また、ビジネス⼈材やテクノロジー⼈材に対するデザイン⼿法の教育を⾏うことで、デザインマインドを向上させる。
・デザインの結果指標・プロセス指標の設計を⼯夫:指標作成の難しいデザインについても、観察可能で⻑期的な企業価値を向上させるための指標策定を試みる。

上場会社の経営陣としては、自社製品のコモディティ化を防ぎ、ブランド価値を築き上げ、企業価値を高めるために、いますぐデザイン経営の実践に取りかかるべきと言えます

さて、以上の解説をご覧いただければ、どれがGOOD発言か、もうお分かりですね。正解は以下のとおり。

<正解>
GOOD発言はこちら

取締役B:「デザインも“ものづくり”の一部です。イノベーションを起こすためにも、わが社として今後どのようなビジネスに取り組んでいくのかという構想の段階から外部のデザイナーを交えて再検討すべきです。また、その構想を確実に推進していくためにボードメンバーのうちどなたかがデザイン責任者になり、適時に取締役会にフィードバックしていただきたいと考えています。」
コメント:M社ではデザイナーを交えずに若手技術者だけで新製品の開発に挑んでいる点や取締役Aがあまりにプロダクトアウト(顧客のニーズよりも製造側の思いを優先させる製品開発手法)的である点に危惧を覚えての発言と言えます。デザイン経営を意識したBの発言はGoodです。

BAD発言はこちら
取締役A:「わが社は“ものづくり”に自信を持っています。品質がよければ売上も自然に伸びてきます。デザインの力に頼るようでは“ものづくり”の本質を見失う恐れがあります。」
コメント:どんなに品質が良くても、それが社会にとって価値を生み出していなければ、売上は自然に伸びるはずがありません。取締役Bの発言にあるとおり、製品デザインも“ものづくり”の一環です。デザインを軽視し、あまりにプロダクトアウトに偏った発言はBad発言です。
取締役C:「そもそも、取締役会は経営マターを決める場であり、個々の製品のデザインを決める場ではないのではないでしょうか。」
コメント:取締役Bが主としてデザイン経営の話をしていたのに対し、取締役Cは製品デザインに限定して発言をしているので話がかみ合っていません。取締役Cにデザイン経営についての知識が欠けていることが露呈してしまったBad発言です。

2018/05/30 【役員会 Good&Bad発言集】デザイン経営

東証一部上場企業の製造業M社では、既存製品の売上の落ち込みが大きいことから、新製品の開発が至上命題になっており、社内の若手技術者が中心となり複数の製品案を検討中です。取締役会開催前に、経営陣向けに開発チームの技術者による新製品の開発の現況の報告が行われました。報告が終了し執行役員等が退席し、取締役と監査役だけが残りそのまま取締役会に移行しました。議事が一段落したところで、開発中の新製品に話題が及びました。社外取締役が「正直な感想を述べさせてもらいますと、新製品は従来の製品の延長線上にあり、新規性に乏しいように思えました。社内に専任のデザイナーはいないと聞いております。外部のデザイナーを交えて、より根本的なところから再検討されてはいかがですか。」と問いかけたところ、取締役A・B・Cは次の発言をしました。誰の発言がGood発言でしょうか?

取締役A:「わが社は“ものづくり”に自信を持っています。品質がよければ売上も自然に伸びてきます。デザインの力に頼るようでは“ものづくり”の本質を見失う恐れがあります。」

取締役B:「デザインも“ものづくり”の一部です。イノベーションを起こすためにも、わが社として今後どのようなビジネスに取り組んでいくのかという構想の段階から外部のデザイナーを交えて再検討すべきです。また、その構想を確実に推進していくためにボードメンバーのうちどなたかがデザイン責任者になり、適時に取締役会にフィードバックしていただきたいと考えています。」

取締役C:「そもそも、取締役会は経営マターを決める場であり、個々の製品のデザインを決める場ではないのではないでしょうか。」

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2018/05/30 改訂CGコード、パブコメ後の修正点は?

改訂コーポレートガバナンス・コード(以下、改訂CGコード)が6月1日にも公表される見込みだが、・・・

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2018/05/30 改訂CGコード、パブコメ後の修正点は?(会員限定)

改訂コーポレートガバナンス・コード(以下、改訂CGコード)が6月1日にも公表される見込みだが、当フォーラムの取材により、「案」からの修正点が判明した。

2018年3月13日に公表された改訂CGコード案は4月29日までパブリックコメントに付されていたが、改訂案に対しては企業から批判の声が少なからず上がっていたことから(2018年5月7日のニュース「改訂CGコードに対する経済界のコメント」参照)、改訂案がどの程度修正されるのか注目が集まっていた。

結論から言えば、修正されるのは一箇所のみとなる。具体的には、「第3章 適切な情報開示と透明性の確保」の【基本原則3】の「考え方」の中の文章だ(改訂案の11ページ参照)。

※「考え方」の一部を抜粋
更に、我が国の上場会社による情報開示は、計表等については、様式・作成要領などが詳細に定められており比較可能性に優れている一方で、定性的な説明等のいわゆる非財務情報を巡っては、ひな型的な記述や具体性を欠く記述となっており付加価値に乏しい場合が少なくない、との指摘もある。取締役会は、こうした情報を含め、開示・提供される情報が可能な限り利用者にとって有益な記載となるよう積極的に関与を行う必要がある。

赤字で示した「定性的な」という文言が削除され、これが「会社の財政状態」「経営戦略」「リスク」「ESGに関する事項」に置き換わる。「非財務情報」とはどのようなものを指すのか、例示が行われる形だ。ここは改訂案では見直しの対象になっていなかった部分だけに若干の意外感があるが、非財務情報の重要性を訴える投資家の声を踏まえ、その積極的な開示を促すものと言えよう。

なお、これらの例示の最後には「などについて」との文言が入る。したがって、非財務情報が「会社の財政状態」「経営戦略」「リスク」「ESGに関する事項」に限定されるわけではないが、基本原則3を「コンプライしている」と言うためには、少なくともこれらの項目については開示しておく必要があろう。

また、基本原則3はマザーズ、ジャスダック上場企業にも適用されるという点、留意する必要がある。

2018/05/29 改訂CGコードが意図する「独立した」委員会

監査役会設置会社や監査等委員会設置会社が任意の指名委員会や報酬委員会を設置するケースは急増しているが、中身を見ると、コーポレートガバナンスの向上に資するとは言い難いものも少なくない。その理由の一つとして挙げられるのが、・・・

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2018/05/29 改訂CGコードが意図する「独立した」委員会(会員限定)

監査役会設置会社や監査等委員会設置会社が任意の指名委員会や報酬委員会を設置するケースは急増しているが、中身を見ると、コーポレートガバナンスの向上に資するとは言い難いものも少なくない。その理由の一つとして挙げられるのが、委員会の構成メンバーや委員長の「独立性」の問題だ。

こうした中、今回のコーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)の改訂では、任意の諮問委員会について規定する補充原則4-10①が下記のとおり見直されている。

※赤字が改訂部分
補充原則 4-10①
上場会社が監査役会設置会社または監査等委員会設置会社であって、独立社外取締役が取締役会の過半数に達していない場合には、経営陣幹部・取締役の指名・報酬などに係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するため、例えば、取締役会の下に独立社外取締役を主要な構成員とする任意の指名委員会・報酬委員会など、独立した諮問委員会を設置することなどにより、指名・報酬などの特に重要な事項に関する検討に当たり独立社外取締役の適切な関与・助言を得るべきである。

この改訂においてポイントとなるのは、諮問委員会の前に「独立した」という文言が入ったという点だが、これに対し企業からは、何をもって「独立した」と言えるのかとの疑問の声が上がっている。

この点については、金融庁に設置されたスチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議(以下、フォローアップ会議)でも話題となり、委員からは「独立した」と言えるための基準を具体的に明記すべきではないかとの意見もあったようだが、経済界の反対もあり、結果としては上記のとおり何ら基準が示されない“ミニマム変更”にとどまっている。

もっとも、例えば諮問委員会の構成メンバーの過半数が社内取締役で、委員長も社長や社内取締役がやっているといった場合、企業側もさすがに「当社は独立した諮問委員会を設置している」とは言えないだろう。「独立した」と言うためには、構成メンバーの過半数を独立社外取締役が占め、委員長も独立社外取締役が務めていることが最低条件になると考えておく必要がある。メンバーを全員独立社外取締役にすることまでは求められないにしても、特に指名委員会では委員長を独立社外取締役とすることは必須になろう。多くの日本企業では依然として役員人事の提案権を社長が持っているという現状がある中、指名委員会の委員長が社長だとすれば、とても「独立した」指名委員会とは言えないからだ。ちなみに、英国でも委員会の構成メンバーは3名以上でマジョリティが独立社外取締役、委員長も独立社外取締役であることが求められている。

一部の上場企業からは「このような曖昧な表現だと、こちらも対応に苦慮する。むしろ要件を明記してもらった方がやりやすい」といった声も聞かれる。次のCGコード改訂時には、委員会の構成まで明記される可能性が高そうだ。

2018/05/28 (新用語・難解用語)社会的インパクト投資

ESGSDGsという用語は既に日本企業の間でも一般的なものとなっているが(SDGs については、2017年8月21日のニュース「上場企業の間で徐々に対応が進むSDGs」参照)、これらと併せて最近耳にする機会が増えているのが、「社会的インパクト投資」だ。先日もある運用機関のトップから、社会的インパクト投資について政府関係者と議論したという話を聞いた。

ESG : ESGとは、Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を組み合わせたもので、近年、特にグローバル機関投資家の間で、企業の投資価値を測る評価項目としての地位を確立しつつある。
SDGs :「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、「エスディージーズ」と読む。「人間、地球及び繁栄」のための行動計画として国連が掲げる世界共通の目標であり、下図の17の目標と169のターゲットからなる。2015年9月に開催された「国連持続可能な開発サミット」において150を超える加盟国首脳の参加のもとで採択され、2016年から2030年までの15年間での達成を目指している。

社会的インパクト投資は、・・・

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2018/05/28 (新用語・難解用語)社会的インパクト投資(会員限定)

ESGSDGsという用語は既に日本企業の間でも一般的なものとなっているが(SDGs については、2017年8月21日のニュース「上場企業の間で徐々に対応が進むSDGs」参照)、これらと併せて最近耳にする機会が増えているのが、「社会的インパクト投資」だ。先日もある運用機関のトップから、社会的インパクト投資について政府関係者と議論したという話を聞いた。

ESG : ESGとは、Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を組み合わせたもので、近年、特にグローバル機関投資家の間で、企業の投資価値を測る評価項目としての地位を確立しつつある。
SDGs :「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、「エスディージーズ」と読む。「人間、地球及び繁栄」のための行動計画として国連が掲げる世界共通の目標であり、下図の17の目標と169のターゲットからなる。2015年9月に開催された「国連持続可能な開発サミット」において150を超える加盟国首脳の参加のもとで採択され、2016年から2030年までの15年間での達成を目指している。

社会的インパクト投資は、社会的インパクト投資を世界的に推進する団体であるグローバル・インパクト・インベストメント・ネットワーク(GIIN)によると、「財務的リターンと並行して社会的および環境的インパクトを同時に生み出すことを意図した投資」と定義されている。2015年時点におけるグローバルでの市場規模は12兆5,400億円(1,140億ドル ※1ドル=110円で換算。以下同)であり、2020年にはこれが33兆7,700億円(3,070億ドル)まで拡大すると予測されている。

もっとも、日本より社会的インパクト投資が進む英国でも、実際に提供される社会的インパクト投資関連の商品や情報が限定的であることなどから、個人投資家による投資は進んでいないのが現状だ(社会的インパクト投資を行っている個人投資家は9%程度と言われる)。

こうした中、英国政府によって設立された社会的インパクト投資に関する諮問機関が昨年(2017年)11月に発表したレポート「英国における社会的インパクト投資に向けた社会基盤の構築」では、政府と運用機関が共同して社会的インパクト投資を拡大させることや、「社会に与える影響」といった非財務的な情報の開示に関わる枠組みを構築することなどが提言されている。そして、この提言に基づく「社会的インパクト投資に関する誓約」を記した書簡には、ESGを考慮するアクティブ運用機関として著名なハーミーズ(Hermes)EOS(Equity Ownership Services)の親会社であるハーミーズ・インベストメント・マネジメントをはじめ、アバディーン・スタンダード・インベストメント、バークレイズ銀行、アリアンツ・グローバル・インベスターズなど大手運用機関18社が署名し、大手運用機関として社会的インパクト投資に取り組む方針を示している。大手運用機関が社会的インパクト投資に取り組む方針を明確にしたことで、今後は社会的インパクト投資に関する新たな商品開発などが急速に進む可能性がある。

アクティブ運用 : 運用担当者(ファンド・マネージャー)が、株式市場や投資銘柄などを調査し、今後の動向を予測することでポートフォリオを決定する投資手法のこと。株価指数を上回る運用成果を上げることを目標にすることが多い。
ハーミーズ(Hermes)EOS(Equity Ownership Services) : 英国のBritish Telecom年金基金の子会社であるHermes Investment Management (HIM)の子会社。HIMの顧客のみならず、それ以外の顧客にも各種サービスを提供している。顧客には欧州大手公的年金・企業年金が数多く、約40基金。 アドバイザリー対象の資産は25兆円相当以上。うち、日本企業へ投資されている額は現状2兆5,000億円程度。

さらに英国政府は、今年(2018年)3月に社会的インパクト投資に関するタスクフォースを立ち上げるなど、社会的インパクト投資を一層促進していく方針。書簡に署名した運用機関の一つであるハーミーズEOSは、日本の企業年金連合会が国内企業とのエンゲージメントを委託したことでも知られる。今後は日本でも社会的インパクト投資への注目度が高まっていくことになろう。

2018/05/28 ケーススタディ「会社の成長ステージに応じて株主還元策を見直したい」を更新しました。

ケーススタディ「会社の成長ステージに応じて株主還元策を見直したい」を更新しました。

本稿で引用している生命保険協会の調査データ、剰余金処分議案に対する機関投資家の考え方を最新のものに更新したほか、DOEを配当政策に取り入れている上場会社の事例の更新・追加および各社のDOEや配当性向等の比較、剰余金処分議案への賛成率が低かった上場会社の事例の更新などを行っています。

こちらを参照してください。
→ケーススタディ「会社の成長ステージに応じて株主還元策を見直したい」
→ケーススタディ「会社の成長ステージに応じて株主還元策を見直したい」の「チェックリスト」(会員限定)

2018/05/27 ケーススタディ「買収防衛策の導入(継続)議案に、より多くの賛成票を得たい」を更新しました。

ケーススタディ「買収防衛策の導入(継続)議案に、より多くの賛成票を得たい」を更新しました。

議決権行使助言会社ISSが設ける買収防衛策導入(継続)の賛否基準を2018年版に更新したほか、カプコンについて2015年および2017年の事例、積水化学工業について2017年の事例、ブラザー工業について2015年の事例を追加しました。

こちらを参照してください。
→ケーススタディ「買収防衛策の導入(継続)議案に、より多くの賛成票を得たい」
→ケーススタディ「買収防衛策の導入(継続)議案に、より多くの賛成票を得たい」の「チェックリスト」(会員限定)