2017/01/29 【2016年12月の課題】多くの企業が取締役会の実効性評価で課題とした「中長期的な戦略の議論」:解答(会員限定)

多くの企業が取締役会の実効性評価で課題とした「中長期的な戦略の議論」

2017年1月16日に東証が公表した「コーポレートガバナンス・コードへの対応状況の集計結果(2016年12月末時点)」によると、取締役会の実効性評価を求める補充原則4-11③の“コンプライ(実施)”率は55.26%となっています(4ページ参照)。すなわち、東証1・2部上場会社の半数超が、コーポレートガバナンス報告書の「コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示」において、取締役会の実効性評価を実施した結果の概要を説明しているということです。ただし、コンプライの水準にはバラツキがあります。

各社が実効性評価の結果として抽出した課題で目に付くのが、「中長期的な戦略に関するテーマについての取締役会における議論の質・量が不十分」といったものです。以下は、我が国を代表する大企業(TOPIX Core30採用銘柄より抽出)が挙げた課題です。先進的なコーポレートガバナンスを実践していると言われる企業でさえ、「中長期的な戦略」を取締役会で議論することについて悩んでいる様子が分かります。

ソニー 中長期戦略検討やリスク管理への取締役会や各委員会の関与
アステラス 経営戦略の決定にあたりステークホルダーをより一層意識した多面的な議論
三菱UFJ FG 本質的な議論を徹底するための更なる環境整備
JR東日本 当社の戦略的課題について独立社外取締役を含めて議論する機会

コーポレートガバナンス・コードは取締役会の第一の役割として、「戦略の方向付け」を議論することを掲げています(原則4-1)。取締役会の役割が企業価値向上のためPDCAサイクルを回すことだとすれば、その“Plan”である「戦略の方向付け」に関する議論の不十分さこそ、日本企業の取締役会における課題ということになります。業務執行者が中心の取締役会では“Do”である業務執行の決定に労力を割かれがちという日本企業に特有の問題点も、この課題を生む要因になっていると言えるかもしれません。

PDCAサイクル : Plan→Do→Check→Actionのサイクルを繰り返しながら、目標を実現する手法。サイクル内に、軌道を修正したり、場合によっては目標を変更したりする仕組みを内包しており、状況変化に応じて迅速に対応することが可能となる。

以上を踏まえ、以上を踏まえ、「設問1~3」の解答を見ていきましょう。 これらは投資家からの質問項目となる可能性もあります。

設問1.2016年度において取締役会の実効性を高めるため何に取り組むべきか

当然ながら、まずは「中長期的な戦略」を議題として取締役会に上程することから始めなければなりません。そのためには、「中長期的な戦略」を補充原則4-12①(ⅲ)の「予想される審議事項」として、「年間の取締役会開催スケジュール」に組み込む必要があります。

補充原則4-12①
取締役会は、会議運営に関する下記の取扱いを確保しつつ、その審議の活性化を図るべきである。
(ⅰ) 取締役会の資料が、会日に十分に先立って配布されるようにすること
(ⅱ) 取締役会の資料以外にも、必要に応じ、会社から取締役に対して十分な情報が(適切な場合には、要点を把握しやすいように整理・分析された形で)提供されるようにすること
(ⅲ) 年間の取締役会開催スケジュールや予想される審議事項について決定しておくこと
(ⅳ) 審議項目数や開催頻度を適切に設定すること
(ⅴ) 審議時間を十分に確保すること

ただし、業務執行の決定など従来の審議事項との兼ね合いを見ながら、上記(ⅳ)の「審議項目数や開催頻度を適切に設定すること」および(ⅴ)の「審議時間を十分に確保すること」が不可欠となります。以上を勘案して、取締役会の開催回数および時間、そして審議事項を見直すべきでしょう。

また、「中長期的な戦略」を取締役会で議論するためには、自社の置かれた事業環境や独自の競争力源泉などについて、あらかじめ役員に情報提供しておく必要があります。そのためには、補充原則4-12①(ⅰ)の「取締役会の資料が、会日に十分に先立って配布されるようすること」、同(ⅱ)の「必要に応じて十分な情報が提供されるようにすること」が実行されていなければなりません。

さらに、補充原則4-13②が求める「会社の費用において外部の専門家の助言を得る」ことがきちんと担保されているか、検証が必要になってくるかもしれません。

上記の情報提供は、特に外部者である社外取締役に対して重要な意味を持っています。社外取締役が「中長期的な戦略」について積極的に討議できるよう、例えば補充原則4-4①が求める「監査役または監査役会と社外取締役との連携」の促進、補充原則4-13③が求める「社外取締役・社外監査役の指示を受けて会社の情報を適確に提供できるよう社内との連絡・調整にあたる者」の選任・増員が必要となるでしょう。また補充原則4-8①の「独立社外者のみを構成員とする会合」なども検討すべきです。

補充原則4-4①
監査役会は、会社法により、その半数以上を社外監査役とすること及び常勤の監査役を置くことの双方が求められていることを踏まえ、その役割・責務を十分に果たすとの観点から、前者に由来する強固な独立性と、後者が保有する高度な情報収集力とを有機的に組み合わせて実効性を高めるべきである。また、監査役または監査役会は、社外取締役が、その独立性に影響を受けることなく情報収集力の強化を図ることができるよう、社外取締役との連携を確保すべきである。

補充原則4-13③
上場会社は、内部監査部門と取締役・監査役との連携を確保すべきである。また、上場会社は、例えば、社外取締役・社外監査役の指示を受けて会社の情報を適確に提供できるよう社内との連絡・調整にあたる者の選任など、社外取締役や社外監査役に必要な情報を適確に提供するための工夫を行うべきである。

補充原則4-8①
独立社外取締役は、取締役会における議論に積極的に貢献するとの観点から、例えば、独立社外者のみを構成員とする会合を定期的に開催するなど、独立した客観的な立場に基づく情報交換・認識共有を図るべきである。

設問2.2017年の株主総会後に開示する新たな課題としては何が想定されるか

「中長期的な戦略」を議題として取締役会に上程し、議論をスタートさせたとしても、日本企業の取締役会ではどうしても業務執行の決定に時間を取られるため、「中長期的な戦略」の議論が消化不良になることは容易に想像できます。これを解決するためには、補充原則4-1①にいう「経営陣に対する委任の範囲」の見直しに踏み込み、取締役会の決議事項をスリム化することが新たな課題となるでしょう。

補充原則4-1①
取締役会は、取締役会自身として何を判断・決定し、何を経営陣に委ねるのかに関連して、経営陣に対する委任の範囲を明確に定め、その概要を開示すべきである。

取締役会の役割が業務執行の決定から「中長期的な戦略の議論」へと軸足を移した場合、その構成員(すなわち取締役)に求められる資質も異なってきます。大多数のメンバーが個別事業の現場感覚よりも、全社トータルとしての企業価値に高い感度を持っていなければなりません。補充原則4-11①が定めるよう求める「取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性および規模に関する考え方」も、従来の“Do”中心ではなく“Plan”を念頭に置いて、再検討すべきでしょう。

補充原則4-11①
取締役会は、取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方を定め、取締役の選任に関する方針・手続と併せて開示すべきである。

また、取締役会の構成だけでなく個々の役員も「中長期的な戦略の議論」に相応しい資質を備えている必要があります。特に業務執行取締役は往々にして自分の担当分野に視野が限られ、他の分野や企業全体に関わる議論が不得手になりがちです。そこで、候補者を含む取締役に対して原則4-14が求める「個々の取締役・監査役に適合したトレーニングの機会」を充実させるとともに、その成果を補充原則4-3①の「経営陣幹部の選任や解任」に反映させるべきかもしれません。

設問3.一連の取組みで「中長期的な戦略」自体はどのような影響を受けるか

資質の伴ったメンバーで適切に構成された取締役会が十分なサポートを得て「中長期的な戦略」を議論したとなれば、その結果として策定された「中長期的な戦略」は、以前と比べてより積極的に企業価値の向上を追求するものであって然るべきです。「コーポレートガバナンス・コード原案」序文の表現を用いれば、従来以上に「会社の迅速・果断な意思決定を促す」(本コード(原案)の目的6)ものでなければなりません。このように意欲的な戦略を引き出すよう取締役会が機能することこそ、同序文が目指す「攻めのガバナンス」と言えるでしょう。

政府の日本再興戦略では、企業経営に「大胆な新陳代謝や新たな起業」を促すとともに、一連のコーポレートガバナンス改革の狙いを「企業経営者の前向きな取組みを積極的に後押」すること」としています(3ページ参照)。この点を踏まえると、企業グループの事業構成が変わる程の大きな改革につながる「中長期的な戦略」を打ち出してこそ、取締役会は実効的だと評価されるべきなのかもしれません。

2017/01/29 【WEBセミナー】海外企業の取締役会評価

概略

【セミナー開催日】2017年1月20日(金)

取締役会の実効性評価を求めるコーポレートガバナンス・コードの補充原則4-11③のコンプライ率は2015年12月の36%から2016年7月には55%へと上昇していますが、「中身の充実はこれから」という企業が少なくないようです。こうした中、当フォーラムの会員企業からしばしば寄せられるご要望が、「参考になる事例が欲しい」というものです。ただ、もともと取締役会評価は日本では馴染みのないプラクティスであるうえ、コーポレートガバナンス・コードが導入されてから1年余りしか経っていないため、まだまだ十分な事例が蓄積されていないのが実情です。そこで参考にしたいのが、長年取締役会評価に取り組んできた欧米企業の事例です。本セミナーで講師を務めていただくウイリス・タワーズワトソン タレント・リワード セグメント 組織人事部門 シニアコンサルタントの高岡明日香様は、英国をはじめとする欧州で実際に取締役会評価を手掛けた経験を持つ数少ない日本人です。本セミナーでは、欧米企業ではどのような取締役会評価が行われているのか、日本企業にとって参考になる事例を複数ご紹介いただくとともに、欧米企業と日本企業の機関設計の違い等も踏まえつつ、日本企業向けの”アレンジ”についてもご提案いただきます。次期株主総会に向け今後取締役会評価の準備に入ろうという企業にとっては大いに参考になるセミナーとなるでしょう。

【講師】ウイリス・タワーズワトソン
    タレント・リワード セグメント 
    組織人事部門
    シニアコンサルタント 高岡 明日香 様

セミナー資料 海外企業の取締役会評価.pdf(1.64MB)

上記の資料をクリックすると会員限定コンテンツがご覧になれます。
まだログインがお済みでない場合はログイン画面に遷移します。
会員登録はこちら

セミナー動画

動画(1)Ⅰ国別概要比較-コーポレートガバナンス・コードと取締役会
26095_1

動画(2)Ⅱ取締役会評価とは(その1)
26095_2

動画(3)Ⅱ取締役会評価とは(その2)
26095_3

動画(4)Ⅱ日本における取締役会評価の課題と日本企業への示唆
26095_4

動画(5)Ⅲ質疑応答
26095_5

本Webセミナーを閲覧して感じたことや気付いた点(学んだ点、疑問点、自社の課題など)を下の右側の「感想の登録」ボタンを押してください。マイ研修レポートの所感等記入欄の書き直しもこちらからどうぞ。

感想の登録

2017/01/29 【WEBセミナー】海外企業の取締役会評価(会員限定)

概略

【セミナー開催日】2017年1月20日(金)

取締役会の実効性評価を求めるコーポレートガバナンス・コードの補充原則4-11③のコンプライ率は2015年12月の36%から2016年7月には55%へと上昇していますが、「中身の充実はこれから」という企業が少なくないようです。こうした中、当フォーラムの会員企業からしばしば寄せられるご要望が、「参考になる事例が欲しい」というものです。ただ、もともと取締役会評価は日本では馴染みのないプラクティスであるうえ、コーポレートガバナンス・コードが導入されてから1年余りしか経っていないため、まだまだ十分な事例が蓄積されていないのが実情です。そこで参考にしたいのが、長年取締役会評価に取り組んできた欧米企業の事例です。本セミナーで講師を務めていただくウイリス・タワーズワトソン タレント・リワード セグメント 組織人事部門 シニアコンサルタントの高岡明日香様は、英国をはじめとする欧州で実際に取締役会評価を手掛けた経験を持つ数少ない日本人です。本セミナーでは、欧米企業ではどのような取締役会評価が行われているのか、日本企業にとって参考になる事例を複数ご紹介いただくとともに、欧米企業と日本企業の機関設計の違い等も踏まえつつ、日本企業向けの”アレンジ”についてもご提案いただきます。次期株主総会に向け今後取締役会評価の準備に入ろうという企業にとっては大いに参考になるセミナーとなるでしょう。

【講師】ウイリス・タワーズワトソン
    タレント・リワード セグメント 
    組織人事部門
    シニアコンサルタント 高岡 明日香 様

セミナー資料 海外企業の取締役会評価.pdf(1.64MB)
セミナー動画

動画(1)Ⅰ国別概要比較-コーポレートガバナンス・コードと取締役会

動画(2)Ⅱ取締役会評価とは(その1)

動画(3)Ⅱ取締役会評価とは(その2)

動画(4)Ⅱ日本における取締役会評価の課題と日本企業への示唆

動画(5)Ⅲ質疑応答

本Webセミナーを閲覧して感じたことや気付いた点(学んだ点、疑問点、自社の課題など)を下の右側の「感想の登録」ボタンを押してください。マイ研修レポートの所感等記入欄の書き直しもこちらからどうぞ。

感想の登録

2017/01/29 【WEBセミナー】日本企業が進むべき開示の方向性

概略

【セミナー開催日】2017年1月20日(金)

近年、企業の情報開示を巡る環境は劇的に変化しつつあります。適切な情報開示と透明性の確保や非財務情報の開示を促すコーポレートガバナンス・コードが導入され、また、機関投資家はスチュワードシップ責任を果たすため、企業との対話の素材としての開示情報の充実を求めています。これを受け、投資家への早期情報提供等を実現するべく、有価証券報告書の株主総会前開示が任意の仕組みとして導入されるほか、決算短信も簡素化される方向であるなど、投資家への積極的な情報開示を後押しする制度改正が進む一方で、未公表の重要な内部情報を特定の投資家等に選択的に提供することを禁止するフェア・ディスクロージャー・ルールの策定が進められるなど、規制強化の動きもあります。こうした中、上場企業各社においても、投資家との対話を促進する情報開示のあり方、内部情報の開示の仕方やタイミング、非財務情報をどこまで開示していくのか、英文による情報開示、統合報告書への移行など、自社の情報開示の見直すための検討が始まっています。そこで本セミナーでは、IRを中心とするディスクロージャー研究で著名な一橋大学大学院商学研究科の円谷昭一先生をお招きし、開示を巡る環境が大きく変わる中で、日本企業が進むべき開示の方向性についてお話しいただきます。具体的には、国内外の開示制度の改正動向等を整理していただいたうえで、これを踏まえつつ、機関投資家の要望に応え、対話を充実させるためには企業の開示はどうあるべきなのか、主要上場企業が取り組んでいる情報開示の見直しのトレンドなどについて解説いただきます。また、海外や国内企業の先進的な開示事例もご紹介いただきます。自社の開示のあり方を検討している企業、これから検討しようという企業にとっては必見のセミナーです。

【講師】一橋大学大学院商学研究科 准教授
    円谷 昭一 様

セミナー資料 日本企業が進むべき開示の方向性.pdf(4.99MB)
日本企業が進むべき開示の方向性(資料).pdf(5.80MB)

上記の資料をクリックすると会員限定コンテンツがご覧になれます。
まだログインがお済みでない場合はログイン画面に遷移します。
会員登録はこちら

セミナー動画

動画(1)IRを取り巻く環境-なぜこのようなことが起きているのか?
26081_1

動画(2)IRの必要性と効果、諸施策の現時点での効果・影響
26081_2

動画(3)欧米の考え方と開示例
26081_3

動画(4)戦略的なIR・情報開示
26081_4

動画(5)現在進行中の施策-今後何が起こるのか?-
26081_5

本Webセミナーを閲覧して感じたことや気付いた点(学んだ点、疑問点、自社の課題など)を下の右側の「感想の登録」ボタンを押してください。マイ研修レポートの所感等記入欄の書き直しもこちらからどうぞ。

感想の登録

2017/01/29 【WEBセミナー】日本企業が進むべき開示の方向性(会員限定)

概略

【セミナー開催日】2017年1月20日(金)

近年、企業の情報開示を巡る環境は劇的に変化しつつあります。適切な情報開示と透明性の確保や非財務情報の開示を促すコーポレートガバナンス・コードが導入され、また、機関投資家はスチュワードシップ責任を果たすため、企業との対話の素材としての開示情報の充実を求めています。これを受け、投資家への早期情報提供等を実現するべく、有価証券報告書の株主総会前開示が任意の仕組みとして導入されるほか、決算短信も簡素化される方向であるなど、投資家への積極的な情報開示を後押しする制度改正が進む一方で、未公表の重要な内部情報を特定の投資家等に選択的に提供することを禁止するフェア・ディスクロージャー・ルールの策定が進められるなど、規制強化の動きもあります。こうした中、上場企業各社においても、投資家との対話を促進する情報開示のあり方、内部情報の開示の仕方やタイミング、非財務情報をどこまで開示していくのか、英文による情報開示、統合報告書への移行など、自社の情報開示の見直すための検討が始まっています。そこで本セミナーでは、IRを中心とするディスクロージャー研究で著名な一橋大学大学院商学研究科の円谷昭一先生をお招きし、開示を巡る環境が大きく変わる中で、日本企業が進むべき開示の方向性についてお話しいただきます。具体的には、国内外の開示制度の改正動向等を整理していただいたうえで、これを踏まえつつ、機関投資家の要望に応え、対話を充実させるためには企業の開示はどうあるべきなのか、主要上場企業が取り組んでいる情報開示の見直しのトレンドなどについて解説いただきます。また、海外や国内企業の先進的な開示事例もご紹介いただきます。自社の開示のあり方を検討している企業、これから検討しようという企業にとっては必見のセミナーです。

【講師】一橋大学大学院商学研究科 准教授
    円谷 昭一 様

セミナー資料 日本企業が進むべき開示の方向性.pdf(4.99MB)
日本企業が進むべき開示の方向性(資料).pdf(5.80MB)
セミナー動画

動画(1)IRを取り巻く環境-なぜこのようなことが起きているのか?

動画(2)IRの必要性と効果、諸施策の現時点での効果・影響

動画(3)欧米の考え方と開示例

動画(4)戦略的なIR・情報開示

動画(5)現在進行中の施策-今後何が起こるのか?-

本Webセミナーを閲覧して感じたことや気付いた点(学んだ点、疑問点、自社の課題など)を下の右側の「感想の登録」ボタンを押してください。マイ研修レポートの所感等記入欄の書き直しもこちらからどうぞ。

感想の登録

2017/01/27 (新用語・難解用語)顧客本位の業務運営に関する原則

金融事業者が、フィデューシャリー・デューティーに基づき、顧客本位のビジネスを展開するために必要となる事項を盛り込んだ原則(パブコメ案はこちら)。金融事業者がインベストメント・チェーンにおけるそれぞれの役割を認識し、顧客本位の業務運営に努めることにより、国民の安定的な資産形成を図ることを目的としたものであり、2017年中の導入が予定されている。

金融事業者 : 金融商品の販売、助言、商品開発、資産管理、運用等を行うすべての金融機関等
インベストメント・チェーン : 資金の拠出者から、資金を事業活動に使う企業に至るまでの経路および各機能(アセット・オーナー(受益者) 、アセット・マネージャー(運用会社)、企業など)のつながり。

本原則を採択する金融事業者は、・・・

採択 : 金融事業者が本原則を「採択」するかどうかは任意とされているが、スチュワードシップ・コードと同様、多くの金融事業者が採択することになるものと思われる。

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合はログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2017/01/27 (新用語・難解用語)顧客本位の業務運営に関する原則(会員限定)

金融事業者が、フィデューシャリー・デューティーに基づき、顧客本位のビジネスを展開するために必要となる事項を盛り込んだ原則(パブコメ案はこちら)。金融事業者がインベストメント・チェーンにおけるそれぞれの役割を認識し、顧客本位の業務運営に努めることにより、国民の安定的な資産形成を図ることを目的としたものであり、2017年中の導入が予定されている。

金融事業者 : 金融商品の販売、助言、商品開発、資産管理、運用等を行うすべての金融機関等
インベストメント・チェーン : 資金の拠出者から、資金を事業活動に使う企業に至るまでの経路および各機能(アセット・オーナー(受益者) 、アセット・マネージャー(運用会社)、企業など)のつながり。

本原則を採択する金融事業者は、顧客本位の業務運営を実現するための「方針」を策定し、当該方針およびその取組状況を定期的に公表することが求められる(原則1)。これは、顧客が、当該方針等を参考にして、自らのニーズや課題解決に応えてくれる金融事業者を主体的に選択できるようにするのが狙いだ。

採択 : 金融事業者が本原則を「採択」するかどうかは任意とされているが、スチュワードシップ・コードと同様、多くの金融事業者が採択することになるものと思われる。
公表 : 公表場所(「どこで」公表するのか)は、本原則は何ら指定していないが、スチュワードシップ・コードと同様ウェブになるものと思われる。

本原則では、コーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードと同様、コンプライ・オア・エクスプレインの手法が採用されている。そのため、金融事業者は下記の原則2~7に示されている内容をコンプライ(実施)するのであれば、どのようにしてコンプライするのかを「方針」にわかりやすく記載しなければならない。もちろん一部の原則をコンプライしないことも認められており、その場合にはコンプライしない理由や代替策を「方針」にエクスプレイン(記載)しなければならない。

コンプライ・オア・エクスプレイン : 「従うか、従わない場合にはその理由の説明を求める」という規制手法

原則2:【顧客の最善の利益の追求】
原則3:【利益相反の適切な管理】
原則4:【手数料等の明確化】
原則5:【重要な情報の分かりやすい提供】
原則6:【顧客にふさわしいサービスの提供】
原則7:【従業員に対する適切な動機づけの枠組み等】

本原則が適用されることで、金融事業者の行動や取組みが“見える化”され、顧客としては自らのニーズや課題解決に応えてくれる金融事業者を主体的に選択できるようになる。また、金融事業者が、金融知識が十分でない企業に対して、「不必要なデリバティブ商品」「複雑な仕組債」「利益相反の懸念がある商品」を販売し、高額の手数料を受け取る“金融ビジネス”に、一定のブレーキがかかることも期待される。

仕組債 : 一定の条件(たとえば、円とドルの為替レート)が達成された場合に一定の効果(たとえば、元本の返済通貨が円からドルに変更される等)建てで返済されるが発動したり、デリバティブの仕組みを取り入れたりした債券

本原則の影響が及ぶのは金融事業者だけに限らない。金融事業者の顧客である一般事業会社への影響も決して小さくない。本原則の導入をきっかけに、系列やメインバンク・主幹事証券といった“縁”や“つながり”で金融事業者と付き合いをしていた時代が終わり、金融事業者が定める「顧客本位の業務運営方針」の内容とその方針への取組みを分析して、付き合う金融事業者を主体的に決める時代へと進むことになるからだ。金融事業者の顧客である一般事業会社自らがインベストメント・チェーンの一端を担っていることを意識せざるを得ない時代の幕開けとも言えよう。

2017/01/26 IFRS導入議論において役員が持つべき視点

自社の成長にM&Aを活用しようという企業では、のれんが非償却となるIFRS(2016年7月26日のニュース「のれんを償却すれば赤字に転落する企業も」参照)を導入するか否かが役員会等で話題に上ることもあろう。

その判断において役員が持つべき視点は、一言で言えば「IFRS導入によるコストを上回るベネフィットがあるか」ということに尽きる。冒頭で述べたとおり、M&Aに積極的な経営陣の下では、IFRSの導入は大きなメリットとなるであろう。一方、コスト面では、IFRS導入に伴うコンサルティング会社や監査法人への報酬、連結パッケージの見直しなどのシステムコストなどが増加する。また、IFRSの導入作業は、従来からの日本基準による決算業務と並行して進めることになる。役員としては、従業員の負担増加も忘れてはならない。

連結パッケージ : 連結財務諸表の作成に備えて、親会社が連結子会社等に提供を求める一連の財務等の報告データの総称

IFRS導入後も負担は続く。一つは「日本基準から離れられない」ということである。有価証券報告書の「業績等の概要」では、日本基準の連結財務諸表との主な相違点を開示する“並行開示”を行わなければならない。このため、IFRSを導入した場合には、導入後も日本基準とIFRSの連結財務諸表との間の主要な相違を定量的に把握し続ける必要がある。

もう一つは・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合はログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2017/01/26 IFRS導入議論において役員が持つべき視点(会員限定)

自社の成長にM&Aを活用しようという企業では、のれんが非償却となるIFRS(2016年7月26日のニュース「のれんを償却すれば赤字に転落する企業も」参照)を導入するか否かが役員会等で話題に上ることもあろう。

その判断において役員が持つべき視点は、一言で言えば「IFRS導入によるコストを上回るベネフィットがあるか」ということに尽きる。冒頭で述べたとおり、M&Aに積極的な経営陣の下では、IFRSの導入は大きなメリットとなるであろう。一方、コスト面では、IFRS導入に伴うコンサルティング会社や監査法人への報酬、連結パッケージの見直しなどのシステムコストなどが増加する。また、IFRSの導入作業は、従来からの日本基準による決算業務と並行して進めることになる。役員としては、従業員の負担増加も忘れてはならない。

連結パッケージ : 連結財務諸表の作成に備えて、親会社が連結子会社等に提供を求める一連の財務等の報告データの総称

IFRS導入後も負担は続く。一つは「日本基準から離れられない」ということである。有価証券報告書の「業績等の概要」では、日本基準の連結財務諸表との主な相違点を開示する“並行開示”を行わなければならない。このため、IFRSを導入した場合には、導入後も日本基準とIFRSの連結財務諸表との間の主要な相違を定量的に把握し続ける必要がある。

もう一つは単体財務諸表である。IFRSは連結財務諸表に適用されるが、金融商品取引法は、IFRSに基づき連結財務諸表を作成している会社に対しても、日本基準に基づく単体財務諸表の作成を求めている。これは、仮にIFRSに基づいて単体財務諸表作成することが許されるとなると、配当等に関する会社法上の財源規制や課税上の取扱いなど、他の制度を大きく改正しなければならなくなるからだ。つまり、IFRSを導入している会社は、IFRSに基づく単体財務諸表から直接的にIFRS連結財務諸表を作成しているのではなく、まずは日本基準に基づく単体財務諸表を作成し、それに調整を加えたうえでIFRS連結財務諸表を作成しているわけであり、その事務負担は大きい。これは、連結財務諸表を作成していない単体決算の会社がIFRSを導入するケースを考えるとより分かりやすい。財務諸表等規則129条では、単体決算の会社は「日本基準の財務諸表のほか、IFRSによって財務諸表を作成することができる」とされている。すなわち、単体決算の会社がIFRSを導入する場合、日本基準の財務諸表とIFRSの財務諸表の両方を作らなければならないということだ。このため、単体決算の会社がIFRSを導入することはないと言われてきたが、昨年(2016年)には、㈱ベイカレント・コンサルティングが上場時にIFRSに基づく単体財務諸表を開示している(2016年7月28日提出の有価証券届出書)。日本基準の財務諸表40ページに加えて、IFRSの財務諸表も40ページに及ぶ。同社は事務負担をはじめとする大きなコストを負ったものと思われるが、同社の財政状態計算書を見ると、総資産の75%を占める191億円(日本基準による年間償却額は約10億円)ののれんが計上されている。同社の場合、のれんを償却しなくてよいというIFRSのベネフィットが導入に伴うコストを超えたということだろう。

もっとも、㈱ベイカレント・コンサルティングのケースは特殊であり、「IFRS導入によるコストを上回るベネフィットがある」と言い切れる企業はそれほど多くないのが現実だろう。それは、現時点でのIFRS導入企業数に表れている。日本でIFRSに基づいて連結財務諸表を作成することができるようになったのは平成22年3月期からだが、平成28年12月24日時点でIFRSを導入、あるいは導入予定の上場会社は126社にとどまっている(東証「IFRS適用済・適用決定会社一覧」参照)。平成25年6月には、自民党の金融調査会・企業会計小委員会が、平成28年末までに約300社がIFRSを採用するよう金融庁、経済界に要請したとされるが、この目標の半分にも満たない。

「『日本再興戦略』改訂2015」にも「IFRSの任意適用企業の更なる拡大促進」が盛り込まれたことからも分かるように、政府は引き続きIFRS導入会社の拡大を目指している。政府(金融庁)がIFRS採用会社を拡大したい理由は、現在、金融庁から議長を出しているIFRS財団モニタリング・ボードのメンバーの議席を維持したいという思惑があると言われている。これは、ボードメンバーの要件の1つに、「実際にIFRSが顕著に適用される状態になっていること、もしくは、妥当な期間でそのような状況へ移行することをすでに決定していること」というものがあるためだ。

理由はどうあれ、IFRS導入会社を増やすためには、会社の負担が減るような制度改正が必要だ。平成28年4月に金融審議会が公表した「ディスクロージャーワーキング・グループ報告-建設的な対話の促進に向けて-」においても「単体財務諸表におけるIFRSの任意適用」が盛り込まれたように(14ページ参照)、単体財務諸表へのIFRS適用がその手段の一つであるのは間違いない。それまではIFRS導入を決断できない企業も多そうだ。

2017/01/25 非財務情報の信憑性を高める方法

RIDEAL株式会社 代表取締役 三代 まり子

財務情報だけでなく、ビジョンや戦略といった企業価値創造につながる非財務情報も合わせて提供する統合報告書を作成する企業が増えている。しかし、単にこれらの情報を網羅的にカバーして開示しただけのものを「統合報告書」と称しているケースも見受けられる。統合報告書では、各情報のピースが「どのようにつながっているか」が理解できることが求められる。そのためには、例えば売上や利益といった財務情報と、それをもたらすこととなった「戦略」「ビジネスモデル」「強み」といった非財務情報の間にある“因果関係”を明らかにすることが望ましい。

このような特性を持つ統合報告書では、必然的に非財務情報の割合が従来型の(統合報告書でない)年次報告書に比べて大きくなる。特に将来の戦略やビジネスモデルのような非財務情報は、数値よりも言葉による説明が多くならざるをえない。そして、言葉での説明が多くなればなるほど、どうしてもその内容の信憑性が問われることになる。非財務情報の信憑性の確保は、統合報告書を作成する企業にとって悩ましい問題であり、同時に、企業と投資家の対話においても重要な課題となる。

非財務情報の信憑性を高めるために役立つのが、・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合はログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから