2017/01/31 2017年1月度チェックテスト

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【問題1】

企業会計基準委員会が2016年末に公表した実務対応報告改正案によると、IFRS適用会社を買収した日本企業は、適用する会計基準を日本基準からIFRSに変更することを求められる。


正しい
間違い
【問題2】

英国では、上場企業を監査する会計監査人に対し「監査人が監査の過程でリスクを認識し、重要だと考えた箇所」「マテリアリティ(一定の金額以上の間違いがあった場合、投資家の意思決定に影響があるとして監査意見への反映が求められることとなる当該金額)」などを記載した長文式監査報告書の作成・開示が義務付けられている。


正しい
間違い
【問題3】

東証が示した決算短信の簡素化案(決算短信のサマリー情報の記載を自由化するとともに、「投資者の判断を誤らせるおそれがない場合」には財務諸表本表の添付を必須としないという案)に対して、海外の投資家団体が反対の意見を表明している。


正しい
間違い
【問題4】

時価総額の小さい企業は、機関投資家よりも個人投資家をIRのターゲットの中心に据えるべきである。


正しい
間違い
【問題5】

システム間のインターフェース(システム間のデータ連携)は、可能な限り、EUC(“End User Computing”の略)を利用すべきである。


正しい
間違い
【問題6】

東京証券取引所の半年ごとの調査によると、調査の回を追うごとにコーポレートガバナンス・コードをフルコンプライしている本則市場上場企業数の全体に占める比率は増加している。


正しい
間違い
【問題7】

政府の「働き方改革実現会議」において提案された「同一労働同一賃金」は、年功型の賃金を否定するものと言える。


正しい
間違い
【問題8】

日本のコーポレートガバナンス・コードは、株主のみに拠らずステークホルダー(特に従業員)を重視している点が、ドイツのコーポレートガバナンス・コードと決定的に異なる。


正しい
間違い
【問題9】

統合報告書の非財務情報の信憑性を高めるためには、「戦略に紐づいた意味のある非財務KPI」の開示が考えられる。


正しい
間違い
【問題10】

単体決算の会社がIFRSを導入する場合、日本基準の財務諸表とIFRSの財務諸表の両方を作らなければならない。


正しい
間違い

2017/01/31 【失敗学第32回】日本カーバイド工業の事例(会員限定)

概要

日本カーバイド工業(東証第一部上場)の 100%子会社であるダイヤモンドエンジニアリングにおいて、社長(当時)主導で、プロジェクト間の原価付け替えにより、原価が意図的に繰り延べられていた(2016年7月期に繰り延べられていた額は1,074百万円)。

経緯

日本カーバイド工業が、2016年12月に特別調査委員会の調査報告書および再発防止策を公表するまでの経緯を時系列で示すと、次のとおり。
<1969年>
7月:日本カーバイド工業の一事業部門であるエンジニアリング部門が分離され、同社の 100%子会社のエンジニアリング会社としてダイヤモンドエンジニアリングが誕生。
<2010年>
4月:A氏がダイヤモンドエンジニアリングの社長に就任。A氏が原価付け替えを指示。
<2015年>
4月:A氏がダイヤモンドエンジニアリングの代表取締役会長に就任し、B氏が社長に就任。
<2016年>
8月22日:B氏は、A氏の退任前にA氏より「多額の潜在的損失が存在する」旨を知らされ、その対処方法について顧問となった弁護士に相談し、親会社(日本カーバイド工業)に報告。
10月19日:日本カーバイド工業が、ダイヤモンドエンジニアリングにおける不適切な会計処理に関して、外部専門家を含む特別調査委員会を設置し、調査を開始(リリースはこちら)。
12月2日:日本カーバイド工業が、特別調査委員会の調査報告書を公表。
12月12日:日本カーバイド工業が、過年度の財務報告の訂正を公表。
12月14日:日本カーバイド工業が、再発防止策を公表。

内容・原因・改善策

日本カーバイド工業が2016年12月2日に公表した「特別調査委員会の調査報告書」によると、本件の問題点の内容とその原因、再発防止策は次のとおりである。

1 原価の付け替え

内容 ダイヤモンドエンジニアリングでは、採算が悪化したプロジェクトの原価を他のプロジェクトに付け替えることで、利益をねん出していた(2016年7月期は1,074百万円の原価計上が先送りされていた)。
原因 ・ダイヤモンドエンジニアリングでは、原価をハード原価(外注費のこと)とソフト原価(社内の人件費や現場経費等のこと)に分けており、ハード原価は発注段階から他の工事の原価として計上する方法で付け替えを行い、ソフト原価は工事に関与した社員の稼働時間を付け替える方法で原価を付け替えていた。このような原価の付け替えは、ダイヤモンドエンジニアリングの社長A氏の指示・黙認のもと行われていた(経営者による内部統制の無効化)。
・ダイヤモンドエンジニアリングでは、業績向上のため「赤字を出すな」という社長の指示のもと、「当初想定した予算内で原価を収め、想定した粗利率を確保(中略)するべき」(特別調査報告書より引用)という方針が全社的に形成されていった。
・ダイヤモンドエンジニアリングの社長A氏は「かかる処理が不適切であることは認識しながらも、まだ、何とか解消できるのではないかとの根拠のない期待に囚われ、会計法規に従って上記原価を適正処理することには踏み切れなかったものと推認される。むろん、他の関係役員及び従業員から適正処理を進言することはなかった」(特別調査報告書より引用)。
・日本カーバイド工業は、グループ内唯一のエンジニアリング会社であるダイヤモンドエンジニアリングを、“独立事業会社”として取り扱っており、子会社経営陣の業務執行に関する監視・監督機能を十分に発揮できていなかった。
・ダイヤモンドエンジニアリングは会社法上の大会社ではないため、会計監査人を設置していなかった。また、日本カーバイド工業の会計監査人である監査法人は、ダイヤモンドエンジニアリングに対して年間20人日程度の限定的な監査しか行っていなかった。
・社長および役員ら会社経営陣は、コンプライアンスの認識が希薄であった。
対応策 ・ダイヤモンドエンジニアリングの経営陣および管理職を対象にした会計規則等の研修と会計に関するコンプライアンス教育の実施
・ダイヤモンドエンジニアリングの社内に、執行部から独立したコンプライアンス管掌部署を設置し、管理部門担当取締役を配
・ダイヤモンドエンジニアリングの常勤役員の増員
・内部通報制度の充実(通報窓口に親会社や法律事務所を追加)
・工事案件の業務プロセスの見直し
・親会社(日本カーバイド工業)による業務監査・経営管理の充実、グループ内人事交流の活発化
・企業風土の抜本的改革(グループ内や組織内のコミュニケーション強化)
・グループ内人事交流の活発化

2 研究開発費として処理すべき金額の資産および原価への計上

内容 ダイヤモンドエンジニアリングでは、新技術の研究開発に費やした費用を「研究開発費」に計上することなく、工事原価に264百万円、貯蔵品に97百万円計上する会計処理をしていた(研究開発費として会計処理をしていれば、期間費用として発生時の費用になるところ、工事原価や貯蔵品として会計処理をしていたことで、発生時の費用処理を免れ、結果として経費の繰り延べとなった)。
原因 ダイヤモンドエンジニアリングの社長A氏の指示によるもの。
改善策 1を参照
<この失敗から学ぶべきこと>

ダイヤモンドエンジニアリングでは、社長の指示または黙認のもと、採算性の低い案件から別の案件への原価の付け替えが行われていました。このように会計不正が経営者主導で行われれば、いくら財務報告に係る内部統制を構築しても、内部統制は無力なものとなってしまいます。親会社の取締役は子会社の経営者が不正を主導するケースを想定して、子会社のガバナンス強化を図っておかなければなりません。

特別調査委員会の調査を受けたダイヤモンドエンジニアリングの社員は一様に、社長のA氏が「怖く、とても同氏の方針を翻意させるような言動は取れなかったと弁明」(調査報告書より抜粋)していたとのことなので、威圧感の強い経営者であったことが推測されます。このような強面タイプの経営者は、従業員を引っ張る強いリーダーシップを発揮する反面、独裁化しがちな側面を有しています。

日本カーバイド工業は、ダイヤモンドエンジニアリングを、100%子会社であるにもかかわらず独立事業会社として取り扱い、親会社としての監督機能を発揮できていませんでした。その背景には、ダイヤモンドエンジニアリングがグループ内で唯一エンジニアリング事業を営む会社であったことが考えられます。このようにグループ内で独特の位置付けにある子会社は、得てして監視の目が届きにくくなるものです。上場会社の取締役としては、グループ内で独特の位置付けにある子会社があれば、「その子会社に対する親会社の監督が不十分になっていないか」といった視点でガバナンスの十分性をチェックしておきたいところです。

2017/01/31 株主総会の7月開催を検討する会社が増加傾向も、残されたボトルネック

周知のとおり、定時株主総会招集通知の株主への送付期限は株主総会開催日の2週間前までとされている(会社法299条1項)。株主としては招集通知を1日でも早く受け取ることができれば、議案の内容をじっくりと精査できるのだが、実際のところ、決算の確定、監査、招集通知の作成・チェックといった“前工程”が詰まっているため、発送期限の早期化にも限界がある。投資家からは、「招集通知の受領日から株主総会までの日数が短すぎるため、議案の中身をじっくり検討する時間がない」といった声が聞かれるところだ。こうした中で浮上したのが「株主総会の後ろ倒し」論である。

現状、3月決算会社であれば、毎年3月31日を基準日とすることを定款に規定している。そして、会社法上は、株主が議決権を行使することができるのは「基準日から3か月以内」とされている(会社法124条2項)ため、3月決算会社のうち多くの会社が株主総会を6月に開催している。もっとも、会社法上、定時株主総会は「事業年度終了後の一定の時期」に開催すればよいこととされている(会社法296条1項)。つまり、現行会社法の下でも、(定款を変更して)基準日を1か月後ろにずらせば、株主総会を7月に開催することも可能なわけだ。「企業と投資家との対話の促進につながる」などとして政府も「株主総会の後ろ倒し」の推進に積極的だが、現時点では多くの企業が「他社の様子見」といったところだろう。

基準日 : その日において株主名簿に名前が載っていれば、株主総会での議決権行使や配当を受ける権利を享受できる日のこと。定時株主総会の基準日を定款に記載しなければ、毎年、基準日を公告しなければならない。その手間を避けるために、定款に基準日を記載するのが通常である。

一方で、3月決算会社の中には「7月開催」を検討している会社も出てきている。当フォーラムの取材によると、その数は少なくとも・・・

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2017/01/31 株主総会の7月開催を検討する会社が増加傾向も、残されたボトルネック(会員限定)

周知のとおり、定時株主総会招集通知の株主への送付期限は株主総会開催日の2週間前までとされている(会社法299条1項)。株主としては招集通知を1日でも早く受け取ることができれば、議案の内容をじっくりと精査できるのだが、実際のところ、決算の確定、監査、招集通知の作成・チェックといった“前工程”が詰まっているため、発送期限の早期化にも限界がある。投資家からは、「招集通知の受領日から株主総会までの日数が短すぎるため、議案の中身をじっくり検討する時間がない」といった声が聞かれるところだ。こうした中で浮上したのが「株主総会の後ろ倒し」論である。

現状、3月決算会社であれば、毎年3月31日を基準日とすることを定款に規定している。そして、会社法上は、株主が議決権を行使することができるのは「基準日から3か月以内」とされている(会社法124条2項)ため、3月決算会社のうち多くの会社が株主総会を6月に開催している。もっとも、会社法上、定時株主総会は「事業年度終了後の一定の時期」に開催すればよいこととされている(会社法296条1項)。つまり、現行会社法の下でも、(定款を変更して)基準日を1か月後ろにずらせば、株主総会を7月に開催することも可能なわけだ。「企業と投資家との対話の促進につながる」などとして政府も「株主総会の後ろ倒し」の推進に積極的だが、現時点では多くの企業が「他社の様子見」といったところだろう。

基準日 : その日において株主名簿に名前が載っていれば、株主総会での議決権行使や配当を受ける権利を享受できる日のこと。定時株主総会の基準日を定款に記載しなければ、毎年、基準日を公告しなければならない。その手間を避けるために、定款に基準日を記載するのが通常である。

一方で、3月決算会社の中には「7月開催」を検討している会社も出てきている。当フォーラムの取材によると、その数は少なくとも12社となっている。まだまだ少数ではあるものの、以前よりも増加傾向にはある。その理由として挙げられるのが、法人税の申告期限の見直しだ。

従来から株主総会の後ろ倒し実現に向けネックとなってきたのが、法人税の確定申告である。法人税の確定申告は原則として決算日の翌日から「2か月以内」とされ、上場会社など会計監査を要する場合には決算日の翌日から「3か月以内」まで1か月間延長することができる。仮に3月決算会社が7月に株主総会を開催した場合には、株主総会前に確定申告をすることになるが、法人税の確定申告は、株主総会の承認を受けた決算(確定した決算)を基に行うことになっているため(法人税法74条1項)、これは問題がある(法人税法に違反する)。

そこで平成29年度税制改正では、法人税の確定申告期限を決算日から「最大6か月」後とする改正が実施される。「最大6か月」とは言っても、実際には「株主総会の開催月まで」が限度となる。例えば3月決算会社が7月に株主総会を開催する場合には、7月末が確定申告期限になる。今回の法人税の確定申告期限延長は、株主総会の後ろ倒し実現に向け大きな前進と言えるだろう。

残されたボトルネックは、株主の確定の問題だ。会社は基準日において株主を確定する必要があるが、ここで確定した株主名簿は、有価証券報告書や会社法上の事業報告が求める「大株主の状況」の記載にも流用することができる。しかし、金融商品取引法(開示府令)や会社法(会社法施行規則)上、「大株主の状況」の記載時点は「事業年度末日」とされているため、仮に株主総会を後ろ倒しするために基準日も後ろ倒しすれば、会社はまず「大株主の状況」を記載するために決算日(事業年度末日)において株主を確定し、さらに基準日においても株主を確定しなければならなくなる。この点を踏まえ、2016年4月に金融庁の金融審議会が公表した「ディスクロージャーワーキング・グループ報告-建設的な対話の促進に向けて-」には、会社の株主確定事務負担が増えないよう、「基準日を有価証券報告書及び事業報告における大株主の状況等の記載時点にできるようにすることが望ましい」との記述が盛り込まれている)(12ページ(2)参照)。これが実現すれば、いよいよ株主総会の7月開催が現実のものとなるかもしれない。

2017/01/30 【役員会 Good&Bad発言集】グローバルレベルで強化される外国公務員贈賄罪のリスク

東証一部に上場する精密機器メーカーA社では、米国および中南米の国立病院への医療機器の納入を推進しています。こうした中、A社の米国駐在員事務所から「現地コンサルタントに国立病院関係者との折衝や専門的なコンサルティングを委託するため20万ドルを支払いたい。ついては半額の10万ドルを前払いとし、成約すれば成功報酬として残りの10万ドルを支払いたいのでご承認いただきたい」との稟議書が上がってきました。すべての案件が成約すると受注額の総額が1000万ドルを超える大型プロジェクトです。

日本の本社では、米国駐在員事務所を所管する米国事業本部担当取締役A、医療機器事業担当取締役B、経理担当取締役Cがこの稟議書の扱いについて協議しています。

取締役A・B・Cの発言のうち、誰の発言がgood発言でしょうか?

米国事業本部担当取締役A:「プロジェクトを成功させるために、是非このコンサルタントと契約したい。現地では初めて利用する個人のコンサルタントとのことですが、彼について調査を行った米国駐在員事務所からは、コンサルタントとしての実績も豊富で信用のおける人物であるとの報告を受けています。前払いする10万ドルは当面のコンサルティングの必要経費とのことです。」

医療機器事業担当取締役B:「総額1000万ドルの案件で20万ドルのコンサルタント料ということはフィーは2%相当ですから、悪くない条件です。今回は国立病院との商談になるので、コンサルタントをかませることによって贈賄リスクを回避することもできます。稟議書にコンサルタント契約も添付されていますし、承認してもよいのでは?」

経理担当取締役C:「でも、契約書を見る限り、コンサルタントには病院関係者との折衝など業務を丸投げするようですね。信用できるコンサルタントとのことですが、仮に当社が支払うコンサルタント料を原資としてコンサルタントから病院関係者に賄賂が渡ってしまった場合でも、当社は贈賄の当事者ではないと言い切ることができるのでしょうか。念のため、契約書の内容やプロジェクトの推進にあたっての留意点などを法務部門や現地の弁護士事務所に確認してから判断するべきだと思います。」

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2017/01/30 【役員会 Good&Bad発言集】グローバルレベルで強化される外国公務員贈賄罪のリスク(会員限定)

<解説>
外国公務員贈賄規制の運用強化は世界の潮流

近年、世界各国で外国公務員に対する贈賄防止規制の運用が強化されています。現在のところ、最も積極的に公務員贈賄・腐敗行為を摘発しているのが米国であり、罰金も巨額化しています。

米国FCPA (Foreign Corrupt Practices Act:海外腐敗行為防止法)の執行状況はこちら

米国の動きは他国にも波及し、贈賄行為に厳しい姿勢を示す国が増えています。日本企業が海外での事業において贈賄に関与した場合に、法令違反として摘発・処罰されるリスクは急速に高まっていると言えるでしょう。

日本企業に影響が大きい主要な外国公務員贈賄規制

【米国のFCPA】
米国は、ロッキード事件を契機に行われた米国証券取引委員会の調査で判明した多数の米国企業による外国の公務員、政治家、政党への贈賄に歯止めをかけ、米国企業の誠実性に対する公衆の信頼を回復するため、1997年に外国(米国外)公務員に対する商業目的での贈賄行為を違法とするFCPA(Foreign Corrupt Practices Act:海外腐敗行為防止法)を制定しました。その一方で、米国企業が海外市場で不利にならないよう、他国の企業に対しても贈賄防止措置が必要であると主張し、国連やOECDの場で各国に取組みを要請しました。

FCPAには、同法に違反した企業に200万米ドル以下の罰金、個人には5年以下の禁固刑もしくは25万米ドル以下の罰金またはその両方を科す罰則規定が置かれています。また、これらの罰金に代えて、違法行為で得た利益または被害者が被った損失の2倍までの罰金を科すこともあります。

適用対象は、米国上場企業、米国企業および米国人、外国企業および外国人(米国内で贈賄行為の一部が行われた場合)で、対象地域は米国内外となります。したがって、日本企業であっても、次のような場合にはFCPAに基づき摘発を受ける可能性があります。

・ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場している日本企業やその子会社が外国公務員に贈賄した場合
・日本企業の米国現地法人が外国公務員に贈賄した場合
・外国公務員への賄賂の送金が米国の銀行を通じて行なわれたり、米国への出張者が米国内で郵便・電話・インターネット等で賄賂の決済を行なったりした場合

【経済協力開発機構(OECD)の外国公務員贈賄防止条約】
締約国において外国公務員贈賄罪の導入を求める「国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約(OECD Convention on Combating Bribery of Foreign Public Officials in International Business Transactions)が1999年2月に発効しています。

締約国 : 条約や議定書に批准した国のこと

【国連の腐敗防止条約】
2003年10月に国連腐敗防止条約(United Nations Convention against Corruption)が成立しています。この条約は、締約国に対し、①腐敗行為、特に犯罪収益のマネーロンダリング防止措置、②外国公務員に対する贈賄罪の導入、③腐敗に対する捜査・訴追の国際協力、④没収財産の返還を求める内容となっています。

【日本の不正競争防止法】
日本においても、上記のOECD条約の国内担保措置として、1998年の不正競争防止法改正(1999年2月施行)により外国公務員贈賄罪()が導入されました。違反者は「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金」、またはこれが併科され、法人も「3億円以下の罰金」に処せられます。

 不正競争防止法では、「何人も、外国公務員等に対し、国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために、その外国公務員等に、その職務に関する行為をさせ若しくはさせないこと、又はその地位を利用して他の外国公務員等にその職務に関する行為をさせ若しくはさせないようにあっせんをさせることを目的として、金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をしてはならない。」(第18条第1項)と規定されています。

日本の外国公務員贈賄罪は、上述した米国のFCPAの贈賄禁止条項に類似していますが、摘発の事例は多くありません。

【英国のUKBA】
英国では、2011年7月に贈収賄法(UKBA:Bribery Act 2010)が施行されています。FCPAと重なる部分が多くありますが、①贈賄側だけではなく収賄側も適用対象、②外国公務員だけでなく民間人への賄賂も禁止、③英国で事業展開していれば適用対象、④英国以外での贈賄行為も適用対象、⑤罰金額の上限がない、などの点において、FCPAよりも厳しい法律であるとの評価があります。その一方で、実際のUKBAの執行可能性はFCPAに比べて極めて低いのではないかとの見方もあります。

オリンパスでは700億円を超える罰金も

大手精密機器メーカーのオリンパス株式会社は2016年3月2日、同社の米国子会社が行なった米国医療事業に関して、米国子会社が「米国反キックバック法及び米国虚偽請求取締法」に基づく罰金及び制裁金として612百万米ドル(約704億円)、利子約11.2百万米ドル(約13億円)を、また、ブラジル子会社等が行なった医療事業関連活動に関して、「FCPA」に基づく罰金として22.8百万米ドル(約26億円)を、それぞれ米国政府に支払うことに同意したことを公表しました。

マスコミ報道によれば、米国と中南米での内視鏡の販売に伴い医師向けトレーニングを行なった際の旅費・食費・娯楽費の処理が賄賂として問題にされたとのことです。

外部コンサルタントを通じた間接贈賄も処分の対象に

FCPAなど各国の外国公務員贈賄防止法では、外国公務員に賄賂を直接支払う(直接贈賄)のはもちろんのこと、エージェントやコンサルタントなどの第三者を通じて間接的に支払う賄賂(間接贈賄)も禁じています。間接贈賄を行なった者は、不正の支払が行なわれた可能性を知っていたり意図的に無視したりした場合のほか、賄賂を想定させるような事情があるにもかかわらずそれを放置した場合にも賄賂禁止規定違反とされ、罪に問われることになります。

このため、海外事業を展開する企業においては、直接贈賄の防止は当然のこととして、間接の贈賄を防止するために適切な措置を講じることも求められています。賄賂の問題が頻発している国・地域でビジネスを展開する場合には特に注意が必要ですし、外国公務員から推薦されたエージェントやエージェント自身がことさら「コネ」を強調する場合なども要注意です。

ビジネスパートナーの管理としては、①取引の開始時や更新時におけるパートナーの審査・監査、②取引契約への贈賄禁止条項の挿入、③実質的な役務を伴わない斡旋・仲介・口利きなどイレギュラーな行為や内容不明の請求に対する支払いの禁止、などが考えられます。

さて、以上の解説をご覧いただければ、どれがGOOD発言か、もうお分かりですね。正解は以下のとおり。

<正解>
GOOD発言はこちら

経理担当取締役C:「でも、契約書を見る限り、コンサルタントには病院関係者との折衝など業務を丸投げするようですね。信用できるコンサルタントとのことですが、仮に当社が支払うコンサルタント料を原資としてコンサルタントから病院関係者に賄賂が渡ってしまった場合でも、当社は贈賄の当事者ではないと言い切ることができるのでしょうか。念のため、契約書の内容やプロジェクトの推進にあたっての留意点などを法務部門や現地の弁護士事務所に確認してから判断するべきだと思います。」
コメント:たとえ規制そのものには詳しくなくても、コンサルタントを経由して行われる間接贈賄を心配している点で、リスクを的確に捉えていると言えます。法務部門や弁護士に相談した後で判断するとした結論もGOODです。

BAD発言はこちら
米国事業本部担当取締役A:「プロジェクトを成功させるために、是非このコンサルタントと契約したい。現地では初めて利用する個人のコンサルタントとのことですが、彼について調査を行った米国駐在員事務所からは、コンサルタントとしての実績も豊富で信用のおける人物であるとの報告を受けています。前払いする10万ドルは当面のコンサルティングの必要経費とのことです。」
コメント:報告を鵜呑みにしており、リスクに対する感度が低いと言わざるを得ませんので、BAD発言です。捉えようによっては、担当部門の責任者が、贈賄が行われるリスクを意図的に隠しているとの誤解すら受けかねません。
医療機器事業担当取締役B:「総額1000万ドルの案件で20万ドルのコンサルタント料ということはフィーは2%相当ですから、悪くない条件です。今回は国立病院との商談になるので、コンサルタントをかませることによって贈賄リスクを回避することもできます。稟議書にコンサルタント契約も添付されていますし、承認してもよいのでは?」
コメント:コンサルタント料の妥当性を気にしているところはGOODですが、贈賄リスクを勘違いしている(間接贈賄にまで気が回っていない)ところがBADです。また、稟議の承認の可否は、契約書を細部の内容まで読み込んだうえで判断すべきでした。

2017/01/30 監査法人のローテーションを先取りする企業も

監査人が交代した理由や経緯は株主や投資家にとって重要情報に該当する。このため、監査人が交代した場合には、企業はその理由等を「臨時報告書」で開示することになっている。

臨時報告書 : 重要事項が発生したり決定したりした場合に作成が求められる金融商品取引法上の開示資料のこと。

平成28年中に提出された臨時報告書を調査すると、144社で監査人が交代している。交代の理由としては、監査法人同士の合併を除けば、そのほとんどが単に「任期満了」に伴うものとなっている。

臨時報告書による開示は説明の内容が表層的・定型的との指摘もあり、上場企業にとっては今後改善していくべき事項の1つと言えるが、なかには記載内容の充実を図る企業も出てきている。例えば、・・・

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2017/01/30 監査法人のローテーションを先取りする企業も(会員限定)

監査人が交代した理由や経緯は株主や投資家にとって重要情報に該当する。このため、監査人が交代した場合には、企業はその理由等を「臨時報告書」で開示することになっている。

臨時報告書 : 重要事項が発生したり決定したりした場合に作成が求められる金融商品取引法上の開示資料のこと。

平成28年中に提出された臨時報告書を調査すると、144社で監査人が交代している。交代の理由としては、監査法人同士の合併を除けば、そのほとんどが単に「任期満了」に伴うものとなっている。

臨時報告書による開示は説明の内容が表層的・定型的との指摘もあり、上場企業にとっては今後改善していくべき事項の1つと言えるが、なかには記載内容の充実を図る企業も出てきている。例えば、「親会社の会計監査人と統一」や「監査報酬について他の監査法人と比較検討」したことなどを理由に挙げた企業があったほか、サンゲツ、日本通信、マニー、富士フィルムホールディングス、王子ホールディングス、三井倉庫ホールディングス、シンクレイヤは「現監査人の監査継続年数を考慮」したことを理由として挙げている。このうちサンゲツは、在任期間10年で監査法人をローテーションすることを会社独自で定めている。

既に欧州では、上場企業等に対して監査法人のローテーションが義務付けられている(監査期間は原則として最長10年)。監査法人のローテーションについては、監査人の知識・経験の蓄積が中断されることによるデメリットを指摘する声があり、日本や米国では採用されていない。しかし、日本でも金融庁を中心に調査・分析が行われる予定となっている(監査法人のローテーションについては2016年6月24日のニュース 「同一の監査人による監査期間」の開示が制度化された場合の企業への影響」参照)。サンゲツなどの取組みは監査法人ローテーションを一部先取りした形となっており注目を浴びそうだ。

また、監査人が上場会社監査事務所の準登録事務所名簿からの取消しを受けたため、SJI及びアルファクス・フード・システムの2社が監査人の交代を余儀なくされている。上場会社監査事務所登録制度とは、監査事務所の品質管理を徹底するため、日本公認会計士協会が自主規制ルールとして平成19年4月に導入したもの。証券取引所の上場規則では、同制度の上場会社監査事務所または準登録事務所の名簿に登録されている監査人による監査が義務付けられている。

まんだらけでは、監査人の登録手続の遅れから準登録事務所名簿への登録が認められず、その結果、監査人が辞任している。以前は、監査人が上場会社と監査契約を締結した際に上場会社監査事務所名簿に登録申請すれば上場会社の監査を行うことができたが、現在は監査契約を締結する前に準登録事務所名簿に登録することが義務付けられている。監査人を選任する際には要チェックと言えよう。

このほか、監査人の交代に伴い、臨時報告書に退任した監査人の意見を開示した企業が、東芝を含め3社あった。例えば、オークファンの臨時報告書では、監査人が追加的な監査手続が必要と判断しその実施を申し入れたが、同社側から監査契約の合意解除の申し入れがあった旨の意見が開示されている。

2017/01/30 【2017年1月の課題】買収防衛策の継続

2017年1月の課題

上場企業であるA社は今年買収防衛策の有効期限が切れます。3年前の株主総会で継続議案を上程した際の
賛成率が高くなかったことに加え、当時に比べて外国人株主が増えていることもあり、継続するべきか、
廃止(非継続)するべきか、取締役会でも意見が割れています。A社が検討するべきポイントとして、
どのようなことがあるでしょうか?貴方の考えを述べてください。

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