2016/04/30 【役員会 Good&Bad発言集】取締役会のセレモニー化(会員限定)

<解説>
取締役会のセレモニー化をもたらすNGワード

取締役会は取締役の業務執行を監督するための機関です。その機能を果たすためには、取締役会において「実質的な」議論が行われることが欠かせません。しかし、社内の権力が一か所に集中していると、取締役会での議論が形式化していきがちです。取締役会に求められている機能を果たせていないという意味では、「無機能化」とも言えます。

例えば、会長や社長が実質的に決定をした事項を、取締役会が追認するようなやり方はまさに取締役会が無機能化している状態と言えます。議案の説明後に「ちなみに会長・社長は了承済みです」と一言付け加えるのは、まさにその典型です。議案の上程時に「本件は経営会議で決定した事項であり、取締役会でのご承認をお願いします。」といった前口上も、「承認」だけを促す発言であり、実質的な議論がしづらくなるため、NGワードです。そのような会社であっても、上場会社である以上、取締役会が無機能化していることを正面から認めるわけにはいかないので、会社法が定める“取締役会”なる会議体がしっかりと機能しているフリをしなければならず、取締役会はセレモニー化していくことになります。

取締役会の無機能化・セレモニー化は、オーナー経営者の権限が強すぎたり、情実人事や密室人事が横行したり、社長の在任期間が長期化したりするとエスカレートすることになります。また、社外取締役の独立性が十分でなかったり、社外取締役や監査役への情報開示が限定されていたりしている場合も同様です。取締役会での議論を避けたり、形式的な議論だけで終わらせたりすることもセレモニー化を助長することになるので、取締役会では役員すべてが「実質的な議論」をするよう意識しなければなりません。

また、上場会社の一部には、取締役会決議の後に適時開示が必要になる議案について、取締役会での議論に先立ち適時開示文書のドラフトを配布する実務慣行が存在していますが、これも取締役会の無機能化・セレモニー化を促進する原因となります。取締役会の事務局としては、必要な情報がコンパクトに記載されている適時開示文書のドラフトは説明用の資料として最適との判断があるのでしょうが、これをもとに説明を受けている取締役としては「このような開示用資料まで出来上がっているのに、いまさら議案に反対しづらい」「意見を言っても無駄なのではないか」と考えがちです。取締役会の事務局がいくら「これはドラフトですのでお気になさらずに」と伝えたところで、反対票を投じにくくなる心理的な影響を取締役に与えてしまうことは否定できません。取締役会の無機能化・セレモニー化を防ぐためには、議案の説明資料として適時開示文書のドラフトを提出するのは避けた方が良いでしょう。

さて、以上の解説をご覧いただければ、どれがGOOD発言か、もうお分かりですね。正解は以下のとおり。

<正解>
GOOD発言はこちら

取締役B:「我が社のガバナンスの根幹にかかわる問題を、このような動議で提案するのは拙速すぎます。第一、取締役会での議論をおざなりにして一部の取締役による密室での議論だけで結論を出してよいわけがありません。これでは取締役会が単なるセレモニーになりかねません。」
コメント:議論を封じ込めようとする取締役Aの発言に立ち向かう点がGOODです。このような正論こそ、とかくセレモニー化しがちな取締役会で求められている発言です。適時開示文書のドラフトを資料として提出することの是非について問題提起ができていれば、さらにGOODでした。

取締役D:「収益の計上基準は、会社の売上計上のタイミングを規律する重要なルールです。会社の売上を左右する重要なルールを取締役会の議論を経ずに改正し、報告だけで済ませてしまうのは、問題があるのではないでしょうか。」
コメント:会社のルールを変更する際には、ルール間の序列や整合性に留意しなければなりません。とりわけ、上位のルールで定まっている内容を下位のルールの改正で覆してしまう結果にならないようにしなければなりません。なぜなら、もし上位のルールに整合しないように下位のルールを改正できるのであれば、ルール間に序列を付けた意味がなくなってしまうからです。ABC社では、経理規程(取締役会でなければ改正できない)により「輸出売上の収益計上基準は船積み基準」と定められているにもかかわらず、経理規程の下位規程である決算実施要領(担当部長の承認により改正可能)の改正だけで、一部の輸出売上の収益計上基準が出荷基準に変更されてしまいました。取締役Dは、「取締役会の議論を経ずに重要な会計方針が変更されてもいいのか」という問題意識を持って取締役Cに異を唱えており、その姿勢はGOODです。この会計方針の変更は、会計的にもFOB条件による輸出売上時の売上計上基準としては船積み基準が一般的であるにもかかわらず、あえて出荷基準を採用すれば、売上が前倒しで計上されてしまい、その分売り主が負うリスクや対価の確実性に問題が生じます。それを指摘できていれば、ベストの発言でした。

BAD発言はこちら
取締役A:「同業他社の大半が執行役員制度を導入しております。当社も乗り遅れると市場からの評価が下がってしまいかねません。定時総会まであと4か月しかないことから、急な話ではありますが、執行役員制度の導入について本日ご承認いただければと考えております。皆様の中には「何を唐突に」と思われる方がいらっしゃるかも知れませんが、本件はすでに会長と社長の了解を取っております。ご承認いただいた後にお手元の適時開示資料がそのまま開示される予定です。」
コメント:執行役員制度を導入する意義を説明しないまま、「すでに会長と社長の了解を取っている」という発言は明らかにBADです。密室で決めたことについて形の上でだけ取締役会の承認をもらおうという意図が見え隠れしています。密室での協議に参加しなかった取締役を委縮させ、実質的な議論をできなくしてしまい、取締役会のセレモニー化を助長させる最悪の発言と言ってよいでしょう。さらに、「承認いただく」という言い回しは承認されることを前提にしたものであり、やはり他の取締役が異を唱えにくくなってしまうのでBAD発言です。
取締役C:「お手元の資料をご覧ください。わが社の経理規程では輸出売上の収益計上基準は『船積み基準』とされていますが、先月末に決算実施要領を改正し、例外的にX事業に限ってはFOB条件であっても工場出荷時に売上を計上できるよう『出荷基準』に変更しました。改正前と改正後の比較は表に記載のとおりでございます。」
コメント:収益の計上基準は、決算時のルールではなく、日常的な経理処理のルールであり、かつ、取締役Dが指摘するとおり「会社の売上を規律する重要なルール」なので、通常は経理規程で決めるべきものです。それにもかかわらず、取締役Cは、“規程”を改正せずに“要領”の改正だけで会計方針を変更したと報告しています(しかも「決算実施要領」は「決算」を規定する要領であり、収益の計上基準を規定するには“場違い”と言えます)。このような不自然な報告を行った取締役Cの意図は、輸出売上の収益計上基準を変更することで生じかねない取締役会での面倒な議論を避け、事後報告で済ませようという点にあると推測されます。取締役会での議論を避けようとする取締役Cの姿勢は、経理規程の改正に取締役会の決議を必要とする社内ルールの趣旨を潜脱するものであり、取締役会のセレモニー化の一因になってしまう危険があります。したがって、取締役Cの発言は取締役会軽視のBAD発言です。
取締役E:「我が社のルールでは、“規程”の改正権限は取締役会にあるものの、“要領”は担当部長の権限で改正でき、改正後に取締役会に報告することになっています。取締役Cの発言は社内ルールに則ったものであり、手続きに何ら問題はありません。」
コメント:せっかく取締役Dが実質的な議論をしようとしているところ、Eの発言は形式的な議論に終始しており、BAD発言です。形式論に拘泥することは取締役会のセレモニー化を招きかねません。実質的な議論をするよう心掛けたいところです。

2016/04/30 2016年4月度チェックテスト

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【問題1】

年度末の貸借対照表が適切に作成されていれば、「未払消費税」や「未収消費税」が計上されることはあっても、「仮受消費税」や「仮払消費税」が計上されたままとなることはない。


正しい
間違い
【問題2】

企業や事業の買収時の買収価格が高ければ高いほど、買収した側で計上される「のれん」の額も高くなる。


正しい
間違い
【問題3】

保有する子会社株式を減損処理した場合には、連結財務諸表上の「のれん」も合わせて減損しなければならない。


正しい
間違い
【問題4】

現行の開示ルールに従えば、株主総会を後ろ倒しで開催(3月決算会社が株主総会を7月に開催)しようとすると、株主の確定を短期間の間に2回行う必要がある。


正しい
間違い
【問題5】

割引率の変動により企業の退職給付債務の現在価値が増減すると、将来支払われる退職金の額も変動する。


正しい
間違い
【問題6】

監査役監査も内部監査も、取締役から依頼を受けて監査をする点に変わりはない。


正しい
間違い
【問題7】

金融庁の金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」が2016年4月18日に公表した報告書によると、株主総会の後ろ倒し開催(3月決算企業であれば株主総会を7月に開催)は企業の「任意」の取り組みとして整理され、「強制」には至らなかった。


正しい
間違い
【問題8】

経済産業省に設置された株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会が2016年4月21日に行った「株主総会の招集通知関連書類の電子提供の促進・拡大に向けた提言」によると、株主総会の招集通知および関連書類の電子提供制度として、株主総会参考書類、事業報告、計算書類・連結計算書類などは株主の個別承諾がなくとも電子提供できる新たな制度の導入が提案されている。


正しい
間違い
【問題9】

投資家は、経営企画部が強ければ強い企業ほど、投資対象として選定しがちである。


正しい
間違い
【問題10】

平成28年度税制改正では利益連動給与の損金算入のための要件が見直され、「有価証券報告書に記載される利益に関する指標」から「利益の状況を示す指標(利益の額、利益の額に有価証券報告書記載事項による調整を加えた指標その他の利益に関する指標)」に変更された。


正しい
間違い

2016/04/30 2016年4月度チェックテスト第10問解答画面(不正解)

不正解です。
問題文のとおり、平成28年度税制改正では利益連動給与の損金算入のための要件が見直され、「有価証券報告書に記載される利益に関する指標」から「利益の状況を示す指標(利益の額、利益の額に有価証券報告書記載事項による調整を加えた指標その他の利益に関する指標)」に変更されました(問題文は正しいです)。これまでより多くの指標をベースに利益連動給与を算定できるようになったため、企業の選択肢は一気に増えたことになります。この改正で、インセンティブ型の役員報酬を採用する上場企業の増加が見込まれます。

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2016/04/28 (新用語・難解用語)利益連動給与(会員限定)

2016/04/30 2016年4月度チェックテスト第10問解答画面(正解)

正解です。
問題文のとおり、平成28年度税制改正では利益連動給与の損金算入のための要件が見直され、「有価証券報告書に記載される利益に関する指標」から「利益の状況を示す指標(利益の額、利益の額に有価証券報告書記載事項による調整を加えた指標その他の利益に関する指標)」に変更されました(問題文は正しいです)。これまでより多くの指標をベースに利益連動給与を算定できるようになったため、企業の選択肢は一気に増えたことになります。この改正で、インセンティブ型の役員報酬を採用する上場企業の増加が見込まれます。

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2016/04/28 (新用語・難解用語)利益連動給与(会員限定)

2016/04/30 2016年4月度チェックテスト第10問解答画面(不正解)

不正解です。
経営企画部の本来の業務は「経営のサポート」です。経営者が経営企画部に依存すればするほど、経営企画部の権限は拡大するとともに、肥大化していきます。その結果、現場は経営企画部に逆らえなくなり、顧客そっちのけで経営企画部への報告に注力することになる。次第に社外よりも社内を優先する内向きな組織になり、現場の士気も落ちていきます。そして、経営者は経営企画部に祭り上げられ、経営企画部が出した案を承認するだけの存在になり下がります。経営者が経営企画部に依存するのは、経営者に自信がないことの裏返しです。投資家は「経営のプロ」が経営する企業に投資したいのであって、「経営のサポートのプロ」が経営する企業に投資したいわけではありません。以上より、問題文は誤りです。

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2016/04/26 経営企画部による企業価値の破壊(会員限定)

2016/04/30 2016年4月度チェックテスト第9問解答画面(正解)

正解です。
経営企画部の本来の業務は「経営のサポート」です。経営者が経営企画部に依存すればするほど、経営企画部の権限は拡大するとともに、肥大化していきます。その結果、現場は経営企画部に逆らえなくなり、顧客そっちのけで経営企画部への報告に注力することになる。次第に社外よりも社内を優先する内向きな組織になり、現場の士気も落ちていきます。そして、経営者は経営企画部に祭り上げられ、経営企画部が出した案を承認するだけの存在になり下がります。経営者が経営企画部に依存するのは、経営者に自信がないことの裏返しです。投資家は「経営のプロ」が経営する企業に投資したいのであって、「経営のサポートのプロ」が経営する企業に投資したいわけではありません。以上より、問題文は誤りです。

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2016/04/26 経営企画部による企業価値の破壊(会員限定)

2016/04/30 2016年4月度チェックテスト第8問解答画面(不正解)

不正解です。
経済産業省に設置された株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会は先週(2016年4月21日)、「株主総会の招集通知関連書類の電子提供の促進・拡大に向けた提言」を取りまとめ、公表しました。これによると、招集通知関連書類の電子提供を拡大する観点から、法令上株主総会前に提供すべきと規定された情報については、書面提供の対象か電子提供の対象かに関係なく、すべてインターネット上に開示されていることを前提としたうえで、(1)株主総会の基本的情報(総会日時・場所、議決権行使手続きに関する情報、議題など)、(2)法令上、株主総会前に提供すべきと規定された情報が掲載されたウェブサイトのアドレス、(3)議決権行使書面――の3種類については、株主に提供する必要最低限の情報として、株主からの個別承諾を得ない限り、書面により通知することが適当であるとする一方、この3種類以外の書類(株主総会参考書類、事業報告、計算書類・連結計算書類、会計監査報告・監査報告に相当する情報)については、株主の個別承諾がなくとも電子提供することができることが提案されています。以上より、問題文は正しいです。

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2016/04/25 招集通知等の電子化、3つの書類除き実施へ 次期会社法改正時が濃厚(会員限定)

2016/04/30 2016年4月度チェックテスト第8問解答画面(正解)

正解です。
経済産業省に設置された株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会は先週(2016年4月21日)、「株主総会の招集通知関連書類の電子提供の促進・拡大に向けた提言」を取りまとめ、公表しました。これによると、招集通知関連書類の電子提供を拡大する観点から、法令上株主総会前に提供すべきと規定された情報については、書面提供の対象か電子提供の対象かに関係なく、すべてインターネット上に開示されていることを前提としたうえで、(1)株主総会の基本的情報(総会日時・場所、議決権行使手続きに関する情報、議題など)、(2)法令上、株主総会前に提供すべきと規定された情報が掲載されたウェブサイトのアドレス、(3)議決権行使書面――の3種類については、株主に提供する必要最低限の情報として、株主からの個別承諾を得ない限り、書面により通知することが適当であるとする一方、この3種類以外の書類(株主総会参考書類、事業報告、計算書類・連結計算書類、会計監査報告・監査報告に相当する情報)については、株主の個別承諾がなくとも電子提供することができることが提案されています。以上より、問題文は正しいです。

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2016/04/25 招集通知等の電子化、3つの書類除き実施へ 次期会社法改正時が濃厚(会員限定)

2016/04/30 2016年4月度チェックテスト第7問解答画面(不正解)

不正解です。
株主総会の後ろ倒し開催の扱いは、金融庁の金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」で議論されており、投資家の一部と日本公認会計士協会が「企業と投資家との対話の促進につながる」「監査時間が確保できる」といった理由で賛成し、経産省も賛成していました。一方、企業側からは、「有価証券報告書のような100ページを超えるプロ向け資料で投資家と対話を行ったことはなく、企業と投資家との対話の促進につながるとは思えない」「7月は第1四半期決算の時期と重なり、対応できない」といった理由で、こうした取組みを「強制」「慫慂」することがないよう強く求めていました。「ディスクロージャーワーキング・グループ」が2016年4月18日に公表した報告書では、「株主総会の7月開催」と「有価証券報告書の株主総会前開示」は強めのトーンで打ち出されたものの、「選択肢の1つ」として、あくまで企業の「任意」の取り組みであるという整理に落ち着いています。以上より、問題文は正しいです。

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2016/04/20 株主総会の7月開催は「任意」で決着の背景 開示の簡素化は実現せず(会員限定)

2016/04/30 2016年4月度チェックテスト第7問解答画面(正解)

正解です。
株主総会の後ろ倒し開催の扱いは、金融庁の金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」で議論されており、投資家の一部と日本公認会計士協会が「企業と投資家との対話の促進につながる」「監査時間が確保できる」といった理由で賛成し、経産省も賛成していました。一方、企業側からは、「有価証券報告書のような100ページを超えるプロ向け資料で投資家と対話を行ったことはなく、企業と投資家との対話の促進につながるとは思えない」「7月は第1四半期決算の時期と重なり、対応できない」といった理由で、こうした取組みを「強制」「慫慂」することがないよう強く求めていました。「ディスクロージャーワーキング・グループ」が2016年4月18日に公表した報告書では、「株主総会の7月開催」と「有価証券報告書の株主総会前開示」は強めのトーンで打ち出されたものの、「選択肢の1つ」として、あくまで企業の「任意」の取り組みであるという整理に落ち着いています。以上より、問題文は正しいです。

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2016/04/20 株主総会の7月開催は「任意」で決着の背景 開示の簡素化は実現せず(会員限定)