2015/03/15 リストラに伴う技術流出リスクへの対応(会員限定)

<解説>
情報が公開される「特許権」と非公開の「ノウハウ(営業秘密)」

 事業活動において発明が生まれた場合には、特許を出願して「特許権」として保護する方法のほかに、発明を秘匿して「ノウハウ(営業秘密)」として保護する方法があります。特許出願した場合には、発明内容が特許庁により公開されるため、その内容が競合他社に知られることになります。したがって、製造方法に関する発明のように、他社に知られたくない発明の場合には、特許をとって技術内容を公開するよりも、ノウハウ(営業秘密)として徹底的に技術内容を秘匿する方がその発明技術を守るのに有効であると言えます。

 ノウハウが営業秘密として法的に保護されるためには、ノウハウが(1)秘密として管理されていること(秘密管理性)、(2)生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること(有用性)、(3)公然と知られていないこと(非公知性)、の3つの要件をすべて満たすことが必要です(不正競争防止法2条6項)。

 このうち、裁判でもしばしば問題になるのが「秘密管理性」です。「秘密管理性」が認められるためには、客観的に見て、その情報を「秘密として管理している」と認識できる状態にあることが必要であるとされています。具体的には、①情報にアクセスできる者が制限されていること(秘密管理措置。秘密管理措置の具体例は、経済産業省策定の「営業秘密管理指針」の8ページ~「(3) 秘密管理措置の具体例」参照)、②情報にアクセスした者が、それが営業秘密であると認識できること(認識可能性)、の2つが要件となります。ノウハウは「無形資産」であるため、有形資産に比べて管理が難しく、十分な努力を尽くしても完全には漏洩を防止し切れないものですが、適切に管理されていないと法的保護や救済が受けられないことになりますので注意が必要です。

「ノウハウ(営業秘密)」が流出してしまった場合の対応

 退職者にノウハウ(営業秘密)を漏洩されてしまった場合、会社は以下のとおり、民事上の措置や刑事上の措置をとることができます。

■民事上の措置
 上述した不正競争防止法や退職者との間で交わした秘密保持契約への違反を根拠に、損害賠償請求や違反行為をストップするための差止請求、複製物の破棄などの除去請求をしていくことになります。

 しかし、不正競争防止法による救済を受けるためには、当該ノウハウが上述した「営業秘密」要件(同法2条6項)や、営業秘密を不正な方法で取得する、あるいは不正取得されたものであることを知ってこれを取得使用するといった「不正競争」要件(同法2条1項)を満たさなければならず、同法による保護が行われるケースはあまり多くはありません。

■刑事上の措置
 図利加害目的での営業秘密の不正な取得、使用、開示行為に対しては、不正競争防止法違反の嫌疑で刑事告訴することができます(10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(同法21条1項)、法人には3億円以下の罰金(同法22条))。ただし、情報流出・漏洩事案は全容を掴むのが難しいため、刑事事件にまで発展したケースは稀です。

図利加害目的 : 自己または第三者の利益を図るか、または他人に損害を与えようとすること。図利加害は「とりかがい」と読む。

 なお、政府は今年(2015年)3月、罰金額の引き上げなどを盛り込んだ不正競争防止法改正法案を今通常国会(2015年)に提出しています。改正法案の主な内容は、以下のとおりです。

営業秘密の不正な取得、使用に係る法人への罰金を、海外企業については「10億円以下」、国内企業については「5億円以下」に引き上げ。個人への罰金も、海外企業への不正開示については「3000万円以下」、国内法人への不正開示については「2000万円以下」に引き上げ
不正に入手した営業秘密によって得た利益の没収制度の新設
営業秘密の不正入手の“未遂”も罰則対象に追加

 このように民事・刑事ともに法的措置が適用される事例は多くありませんが、こうした中でも、近年は大手メーカーで起きた技術流出に対する法的措置が世間を賑わせています。有名なものが下記の2つの事件です。

(1)東芝 vs SKハイニックス事件
 NAND型フラッシュメモリの製造技術の漏洩を巡り、東芝は2014年3月13日、不正競争防止法に基づき、韓国半導体大手のSKハイニックスに対して約1,100億円の損害賠償を求める民事訴訟を東京地裁に提起しました。この事件は、2007年4月から2008年5月にかけ、東芝の提携先であるサンディスク日本法人の元技術者が当該技術を無断で複製し、2008年7月頃に転職先のSKハイニックスに開示したというものです。元技術者は、サンディスク日本法人での待遇に不満があったとされ、SKハイニックスへの再就職を有利に進めるために情報を持ち出したところ、その時期にサンディスク日本法人からSKハイニックスに転職した技術者からの通報がきっかけとなり、不正競争防止法違反容疑で2014年3月13日に警視庁捜査二課に逮捕されました。

 東京地裁での訴訟は、2014年12月に、SKハイニックスが東芝に2億7800万ドル(約330億円)を支払うという内容で和解が成立しました。また、元技術者に対しては検察が懲役6年、罰金300万円を求刑していましたが、東京地裁は2015年3月9日、「懲役5年、罰金300万円」の判決を言い渡しています(詳細は2015年3月27日のニュース「技術情報流出防止のカギとなる「抑止力」」参照)。

(2)新日鉄住金 vs ポスコ事件
 住友金属との合併前の新日鉄が開発した「方向性電磁鋼板」を安定して製造する技術の流出を巡り、新日鉄住金は2012年4月19日、不正競争防止法に基づき、韓国の鉄鋼大手ポスコと自社の4名の元技術者に対し約1,000億円の損害賠償請求訴訟を東京地裁に提起しました。1987年頃から2008年頃にかけ、新日鉄の有する同技術をポスコが新日鉄を退職した元技術者と共謀して不正に取得し、これを使用したというものです。提訴のきっかけは、ポスコの元幹部が方向性電磁鋼板の製造技術を中国の鉄鋼大手・宝山鋼鉄に流出させた疑いにより韓国で告訴された事件です。韓国の裁判所はポスコの元幹部に有罪判決を下しましたが、その公判において、元幹部が「中国に提供した技術は、もともと新日鉄のもの」と証言したことで、新日鉄からの不正な流出ルートが明らかになったということです。

 上記のような技術流出事件は氷山の一角に過ぎず、秘匿されてきた重要技術が不正に持ち出されたことにすら気づいていない企業が多いのではないか、と言われています。

「ノウハウ(営業秘密)」の漏洩・流出防止対策が重要

 ノウハウ(営業秘密)は、漏洩すれば瞬時に拡散してしまう恐れがあります。その結果、公表・公開されたのと同様の状態に置かれた場合には、もはやノウハウとしての価値を回復するのは実質的に不可能です。したがって、ノウハウ(営業秘密)に対しては、そもそも漏洩することがないように秘密管理措置を講じることが不可欠となります。

 最近は、外部からのサーバー攻撃による技術情報流出事案が増えていることから、従業員・派遣社員・業務委託先社員などの「人的管理」のみならず、流出防止のための「技術的措置」を講じることによる秘密管理強化も急務と言えます。

 ノウハウ(営業秘密)の管理に有効と考えられる対策としては、次のようなものが挙げられます。

アクセス管理ルールの見直しと順守の確認(監査)
 ルールがあっても順守されていることが確認されていなければ、実効性はありません。

アクセス権者の精査と都度の見直し
 営業秘密管理とは人材の管理であるとも言えます。広い意味では、アクセス権者に不満を持たれない処遇のあり方を検討することも含みます。

サーバーへのアクセスの記録(ログ)の保存とチェック
 一般的に、技術流出行為の立証は原告が行う必要があります。ただ、技術情報をいつ、誰が、どこで、誰に、どのように渡したかを立証するのは非常に困難です。そこで、サーバーへのアクセスの記録(ログ)の保存とチェックにより明確な証拠を残すことができれば、民事事件での立証、刑事事件での立件に役立ちます。

フォレンジック調査による社用パソコンのチェック
 同上

USBメモリー、SDカード、スマートフォンなどの記憶媒体を登録制または持込み禁止にする。
 近年、小型の記憶媒体で大容量のデータ持ち出しが可能になっていることへの対策です。さらに厳しい対策として、社内での記憶媒体の使用を禁止したり、技術的にサーバーへの接続をできないようにしてしまうことなども考えられます。金属探知機を用いた持物検査を行う企業もあるようです。

メーラーの設定変更による私用メールへの転送制限、転送制限に係る記録のチェック
 上記と同様、漏洩リスク低減のための対策の1つとなります。

ノウハウ、技術情報の棚卸しによる営業秘密の特定
 従業員との守秘義務契約や競業避止義務契約の前提となります。

 なお、経済産業省が、不正競争防止法上の保護を受けるための情報管理水準や秘密管理体制を構築する際の指針を策定しているので、参考にするとよいでしょう。

○経済産業省 営業秘密管理指針 (2003年1月30日策定、2015年1月28日全部改訂)
○経済産業省 技術流出防止指針 (2003年3月14日策定)

退職者との守秘義務契約・競業避止義務契約の実効性は?

 従業員の退職に際して、秘密保持義務を課したり競合他社への転職を制限したりする旨の誓約書を提出させる、あるいは契約の締結を求めることがありますが、これらは退職者に順守の気持がなければ有効に機能しません。また、退職者の行動を企業がすべて把握するのは現実的に不可能ですし、契約上の「秘密」の定義も包括的にならざるを得ないため、守秘義務契約が有効に機能するとは言いがたい面があります。

さらに、転職先を制約する「競業避止義務契約」を締結することは、憲法で保証されている職業選択の自由の観点から現実には難しいのみならず、会社はこの制約によって従業員が被る経済的な損失を補填するだけの代償措置を講じる必要があるとも言われているだけに、守秘義務契約以上に困難が伴います。

 その一方で、退職する直前に秘密保持の誓約書を提出させていたこと等を斟酌して、物理的な管理体制を問題にすることなく上述した「営業秘密」要件の1つである秘密管理性を肯定した裁判例もあります。また、法的効果のほどはさておき、退職者への牽制効果や、情報漏洩の疑いがある退職者への契約違反に対する警告のためにも、守秘義務契約・競業避止義務契約、誓約書の提出が全く無駄であるとも言い切れません。会社としては、一応これらを実行しておくべきでしょう。

技術者による情報漏洩は、処遇面の不満から

 退職者や現役従業員による技術漏洩は、従業員の雇用が維持できなかったり、冷遇したり、モチベーションを失わせたりしたことがきっかけとなって生じるケースが圧倒的に多くなっています。情報流出は漏洩者の身勝手な動機によるものとはいえ、経営陣は、会社サイドにも人事処遇面などの課題がないかどうか、常に意識しておく必要があります。

以上の解説をご覧いただければ、誰の発言がGOOD発言か、もうお分かりですね。正解は以下のとおり。

<正解>
GOOD発言はこちら

取締役B:「技術情報の漏洩防止に完璧な対策はありませんが、少なくともこの機会に機密保持の方法や仕組みを見直しておくべきです。例えば、技術情報が格納されているサーバーにはUSBメモリーなどの記憶媒体が接続できる状態になったままでしたよね。」
コメント:「完璧な対策はない」という発言は一見消極的にも見えます。しかし、従業員の悪意による情報漏洩や外部からのサイバー攻撃によるハッキングなどは、啓発研修や守秘義務契約などによる「人的管理」や入退室制限などの「物理的管理」だけでは防ぎ切れず、最近は人的管理や物理的管理以上に「技術的管理」の重要性が増しています。ただ、技術的管理は情報漏洩防止に効果的とはいえ、技術上の攻防は日々“いたちごっこ”の感があります。結局、完璧な漏洩防止策はないというのが実情であって、取締役Bの発言はこうした事実を踏まえたものと言えます。また、漏洩防止策の程度は、保有する情報の価値と対策に投じるコストの比較等によって企業ごとに差が出てくるものですので、その方法や仕組みの見直しの検討を促している点もGOODです。現時点でのX社の機密管理上の課題を的確に指摘している点も、検討を後押しするうえで効果的と言えるでしょう。

BAD発言はこちら
取締役A:「重要な技術は特許を取っているので、情報漏洩の問題はそれほど気にすることはないと思います。もともと特許情報は公開されていますから。」
コメント:メーカーにおいては、重要な技術を特許だけではなく、ノウハウ(営業秘密)として秘匿化していることも多いはずです。この実態を理解していない短絡的なBAD発言です。
取締役C:「リストラのために通常の退職金額に積み増ししなければならないのに、機密保持のための新たな費用は認められませんよ。そもそも退職する従業員からは、会社の機密を漏洩しないように守秘義務を課す誓約書を提出してもらうのだから、そんなに神経質になる必要はないと思います。」
コメント:経営幹部としてコストに考慮が及んでいること、そして守秘義務契約の存在に言及したことについてはGOODですが、退職従業員の悪意に対抗するには守秘義務契約では弱い点や、情報漏洩の結果ノウハウが公知になってしまえば、もはやノウハウとしての価値を回復するのは実質的に不可能であることから、まずは漏洩されないように秘密管理措置を講じることが重要であるという点への理解が低かったようです。改善すべき秘密管理措置の内容とそれにかかるコストの検討はこれからであり、現時点で秘密管理措置の検討そのものを否定するような発言はBADです。

2015/03/15 【WEBセミナー】コーポレートガバナンス・コードの適用開始に向けて企業がやらなければならないこと

概略

【セミナー開催日】2015年2月25日(水)

政府が進めるコーポレート・ガバナンス強化の目玉策としていよいよ今年6月の株主総会から適用開始となるコーポレートガバナンス・コードですが、上場企業としてはまず「何をしなければならないのか?」「どのような義務が生じるのか?」といったところが気になるのではないでしょうか。本セミナーでは、コーポレートガバナンス・コードの策定において、企業側の意見を反映させる過程に関与した経団連の和田照子様をお招きし、「複数名の独立取締役選任」「指名委員会・報酬委員会は設置しなければならないのか?」「政策保有株式に関する開示強化」等々、コードのポイントについて解説していただきながら、コードの趣旨を踏まえ、企業に求められる対応を明らかにしていきます。今後、コーポレートガバナンス・コードへの対応を図ろうと考えている上場企業幹部の皆様にとっては必見のセミナーになるはずです。

【講師】
日本経済団体連合会 経済基盤本部上席主幹
和田 照子 様
 日本経済団体連合会 経済基盤本部上席主幹。早稲田大学法学部卒業。東京大学大学院法学政治学研究科修了後、1995年に経団連事務局に入局。経済本部、産業本部、環境技術本部、経済政策本部などを経て現職。現在は、会社法、金融商品取引法、独占禁止法、消費者法、民法、司法制度改革などを担当。経団連在職中の2002年~2004年、フルブライト奨学金を得て、米国ジョージタウン大学ローセンターへ留学、ニューヨーク州弁護士資格取得。

セミナー資料 事務局説明資料 平成26年8月7日(木)(会員限定)
コーポレートガバナンス・コードの基本的な考え方.pdf(会員限定)
平成26年会社法改正に伴う上場制度の整備について.pdf(会員限定)
コーポレートガバナンス・コードの策定に伴う上場制度の整備について(会員限定)

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動画1:コーポレートガバナンスコードについて/プリンシプル・アプローチ

20150225_02_01

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動画2:コンプライ・オア・エクスプレイン/コードの適用対象

20150225_02_02

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20150225_02_03

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動画4:政策保有株式の議決権行使について/コードの読み方/内部通報について/取締役会について/任意の仕組みの活用

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2015/03/15 【WEBセミナー】コーポレートガバナンス・コードの適用開始に向けて企業がやらなければならないこと(会員限定)

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政府が進めるコーポレート・ガバナンス強化の目玉策としていよいよ今年6月の株主総会から適用開始となるコーポレートガバナンス・コードですが、上場企業としてはまず「何をしなければならないのか?」「どのような義務が生じるのか?」といったところが気になるのではないでしょうか。本セミナーでは、コーポレートガバナンス・コードの策定において、企業側の意見を反映させる過程に関与した経団連の和田照子様をお招きし、「複数名の独立取締役選任」「指名委員会・報酬委員会は設置しなければならないのか?」「政策保有株式に関する開示強化」等々、コードのポイントについて解説していただきながら、コードの趣旨を踏まえ、企業に求められる対応を明らかにしていきます。今後、コーポレートガバナンス・コードへの対応を図ろうと考えている上場企業幹部の皆様にとっては必見のセミナーになるはずです。

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日本経済団体連合会 経済基盤本部上席主幹
和田 照子 様
 日本経済団体連合会 経済基盤本部上席主幹。早稲田大学法学部卒業。東京大学大学院法学政治学研究科修了後、1995年に経団連事務局に入局。経済本部、産業本部、環境技術本部、経済政策本部などを経て現職。現在は、会社法、金融商品取引法、独占禁止法、消費者法、民法、司法制度改革などを担当。経団連在職中の2002年~2004年、フルブライト奨学金を得て、米国ジョージタウン大学ローセンターへ留学、ニューヨーク州弁護士資格取得。

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コーポレートガバナンス・コードの基本的な考え方(687KB)
平成26年会社法改正に伴う上場制度の整備について(239KB)
コーポレートガバナンス・コードの策定に伴う上場制度の整備について(475Kb)
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2015/03/15 【WEBセミナー】スチュワードシップ・コードは日本企業と機関投資家の関係をどう変えるか?

概略

【セミナー開催日】2015年2月25日(水)

昨年2月、機関投資家に企業との「建設的な対話」を求める日本版スチュワードシップ・コードが導入されています。これにより、企業と機関投資家の関係は今後どのように変わっていくのか、企業はこの新しい関係をどのように受け止めればよいのかについて、長年英米系の運用会社で議決権行使業務に従事し、金融庁の「日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」のメンバーとして同コード策定に携わった江口高顯様に御講演いただきます。御講演の中では、スチュワードシップ・コードの由来と意義を、日本版スチュワードシップ・コードがモデルにした英国版制定の経緯を振り返ることにより明らかにしたうえで、日本版と英国版はどこが異なり、その違いが日本でのスチュワードシップの展開をどのように左右するのかを解説します。さらに、スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナス・コードの関係、またスチュワードシップ活動を推進するためのプラットフォームであり、作業部会の一員として江口様自身も立ち上げ準備に関与する経済産業省企業報告ラボのプロジェクトの1つ「投資家フォーラム」の動向についてもお話しいただきます。

【講師】
金融庁「日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」元メンバー
江口 高顯 様
 1976年東京大学理学部物理学科卒業。同理学系研究科修士(科学史)。米ペンシルバニア大学大学院修士(経済学)。2003年から英系および米系の運用会社にて議決権行使業務に従事。金融庁「日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」元メンバー。経済産業省・企業報告ラボ「投資家フォーラム作業部会」メンバー。現在は、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士後期課程(経営法務)に在籍する傍ら、コーポレート・ガバナンスに関連する活動に従事している。

セミナー資料 スチュワードシップ・コードは日本企業と機関投資家の関係をどう変えるのか?(会員限定)

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動画1: はじめに/何故いまエンゲージメントか【企業に対する規制と機関投資家の役割強化】【時代の潮流―エンゲージメントの時代】


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動画3:英国での経緯【コンプライ・オア・エクスプレインの実際】【この間、機関投資家や運用会社で進んだこと】【機関投資家や運用会社の行動―何故か】【エンゲージメントの梃入れとスチュワードシップ】


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動画4:日本版スチュワードシップの課題【日本版に固有の論点】【代表制の問題】【会社のガバナンスの在り方の相違】


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動画5:日本におけるスチュワードシップの展開【日本版「投資家フォーラム」の構想】【エンゲージメントの時代の企業に求められる発想】


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2015/03/15 【WEBセミナー】スチュワードシップ・コードは日本企業と機関投資家の関係をどう変えるか? (会員限定)

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昨年2月、機関投資家に企業との「建設的な対話」を求める日本版スチュワードシップ・コードが導入されています。これにより、企業と機関投資家の関係は今後どのように変わっていくのか、企業はこの新しい関係をどのように受け止めればよいのかについて、長年英米系の運用会社で議決権行使業務に従事し、金融庁の「日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」のメンバーとして同コード策定に携わった江口高顯様に御講演いただきます。御講演の中では、スチュワードシップ・コードの由来と意義を、日本版スチュワードシップ・コードがモデルにした英国版制定の経緯を振り返ることにより明らかにしたうえで、日本版と英国版はどこが異なり、その違いが日本でのスチュワードシップの展開をどのように左右するのかを解説します。さらに、スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードの関係、またスチュワードシップ活動を推進するためのプラットフォームであり、作業部会の一員として江口様自身も立ち上げ準備に関与する経済産業省企業報告ラボのプロジェクトの1つ「投資家フォーラム」の動向についてもお話しいただきます。

【講師】
金融庁「日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」元メンバー
江口 高顯 様
 1976年東京大学理学部物理学科卒業。同理学系研究科修士(科学史)。米ペンシルバニア大学大学院修士(経済学)。2003年から英系および米系の運用会社にて議決権行使業務に従事。金融庁「日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」元メンバー。経済産業省・企業報告ラボ「投資家フォーラム作業部会」メンバー。現在は、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士後期課程(経営法務)に在籍する傍ら、コーポレート・ガバナンスに関連する活動に従事している。

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2015/03/13 CG報告書冒頭にガバナンスコード不実施理由の記載欄が新設

 コーポレートガバナンス・コードの原則を実施しない場合の理由の記載欄が「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」(以下、CG報告書)の冒頭に新設されることが、東京証券取引所が3月11日に実施した各上場会社に対する通知(CG報告書の記載要領案)で明らかになった。

 6月1日より東証上場会社にコーポレートガバナンス・コードが適用される。これにより東証上場会社は、コードの各原則のうち実施しないものがあればその理由を開示するとともに、ガバナンスの状況を投資家に理解してもらうために「取締役・監査役に対するトレーニングの方針」などを開示する必要がある(また、2015年6月1日以後に最初に到来する定時株主総会の日から6か月の猶予期間あり。市場区分に応じて開示範囲が異なる点は後述)。開示の媒体として利用されるのがCG報告書であることは、「ガバナンスコード対応は12月まで猶予あり!?」で報じたとおり。今回通知されたのは、具体的なCG報告書の様式や記載要領の改正案である。

「コードの各原則を実施しない理由」欄
 コーポレートガバナンス・コードの各原則のうち実施しないものがある場合には、CG報告書の「1 コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方及び資本構成、企業属性その他の基本情報」の「基本的な考え方」の欄の冒頭に新設される「コードの各原則を実施しない理由」欄に、各社の上場区分に応じた説明(下表の○印)をしなければならない。

上場区分 基本原則 原  則 補充原則
市場第1部
市場第2部
マザーズ 説明不要
JASDAQ 説明不要

 この表からもわかるとおり、マザーズやJASDAQに上場している会社は、仮に「基本原則」以外の各原則を実施していなくても、その理由を説明することは求められていない。もっとも、「実施しない理由」を任意に記載することは可能とされている。あえて「実施しない理由」を記載する実益などなさそうに見えるが、ガバナンス強化に取り組んでいる新興企業が「現在は実施していないが、●年には実施する予定です」といったアピールをする機会として活用することが考えられる。

 開示に際しては、コードの各原則のうち実施しない原則を、項番等により具体的に特定したうえで記載することが必要になる。どの原則を実施しないのかを特定できないような不明瞭な記載はNGとなる。

 また、他の開示書類等において、コードの各原則を実施しない理由を記載している場合であっても、この欄には必ず「実施しない理由」を記載しなければならない。後述する“参照方式”は、「コードの各原則を実施しない理由」欄での利用はできないことになる。

 記載にあたって改めて注意したいのは、・・・

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2015/03/13 CG報告書冒頭にガバナンスコード不実施理由の記載欄が新設(会員限定)

 コーポレートガバナンス・コードの原則を実施しない場合の理由の記載欄が「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」(以下、CG報告書)の冒頭に新設されることが、東京証券取引所が3月11日に実施した各上場会社に対する通知(CG報告書の記載要領案)で明らかになった。

 6月1日より東証上場会社にコーポレートガバナンス・コードが適用される。これにより東証上場会社は、コードの各原則のうち実施しないものがあればその理由を開示するとともに、ガバナンスの状況を投資家に理解してもらうために「取締役・監査役に対するトレーニングの方針」などを開示する必要がある(2015年6月1日以後に最初に到来する定時株主総会の日から6か月の猶予期間あり。市場区分に応じて開示範囲が異なる点は後述)。開示の媒体として利用されるのがCG報告書であることは、「ガバナンスコード対応は12月まで猶予あり!?」で報じたとおり。今回通知されたのは、具体的なCG報告書の様式や記載要領の改正案である。

「コードの各原則を実施しない理由」欄
 コーポレートガバナンス・コードの各原則のうち実施しないものがある場合には、CG報告書の「1 コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方及び資本構成、企業属性その他の基本情報」の「基本的な考え方」の欄の冒頭に新設される「コードの各原則を実施しない理由」欄に、各社の上場区分に応じた説明(下表の○印)をしなければならない。

上場区分 基本原則 原  則 補充原則
市場第1部
市場第2部
マザーズ 説明不要
JASDAQ 説明不要

 この表からもわかるとおり、マザーズやJASDAQに上場している会社は、仮に「基本原則」以外の各原則を実施していなくても、その理由を説明することは求められていない。もっとも、「実施しない理由」を任意に記載することは可能とされている。あえて「実施しない理由」を記載する実益などなさそうに見えるが、ガバナンス強化に取り組んでいる新興企業が「現在は実施していないが、●年には実施する予定です」といったアピールをする機会として活用することが考えられる。

 開示に際しては、コードの各原則のうち実施しない原則を、項番等により具体的に特定したうえで記載することが必要になる。どの原則を実施しないのかを特定できないような不明瞭な記載はNGとなる。

 また、他の開示書類等において、コードの各原則を実施しない理由を記載している場合であっても、この欄には必ず「実施しない理由」を記載しなければならない。後述する“参照方式”は、「コードの各原則を実施しない理由」欄での利用はできないことになる。

 記載にあたって改めて注意したいのは、ひな型的な表現を避けなければならないという点だ。コーポレートガバナンス・コードでは「実施しない原則に係る自らの対応について、株主等のステークホルダーの理解が十分に得られるよう工夫すべきであり、『ひな型』的な表現により表層的な説明に終始することは『コンプライ・オア・エクスプレイン』の趣旨に反するものである」と明示されており、投資家もガバナンスへの取組みの本気度を測るために厳しい視線を注ぐことが考えられる。具体的な書きぶりは「コーポレートガバナンス・コードを実施しない場合の説明の仕方」を参考にして頂きたい。

 記載要領の改正案では、CG報告書の内容に変更が生じた場合、遅滞なく変更後のCG報告書を提出しなければならないのが原則だが、コードを実施しない理由の変更タイミングは「記載内容に変更が生じた場合は、変更が生じた後最初に到来する定時株主総会の日以後に一括して修正することが可能」とされた。従来から「資本構成及び企業属性に関する事項」について認められている例外と同様の扱いになる。

 なお、コーポレートガバナンス・コード対応は2015年6月1日以後に最初に到来する定時株主総会の日から6か月の猶予期間が認められている。その間は、「コードの各原則を実施しない理由」を非表示にして目立たなくさせることも可能だ。

「コードの各原則に基づく開示」欄
 「コードの各原則を実施しない理由」欄の次に「コードの各原則に基づく開示」欄も新設される。東証の市場第1部または市場第2部の上場会社は、本欄で「特定の事項を開示すべきとする原則」についての開示を行うことになる。「特定の事項を開示すべきとする原則」はコーポレートガバナンス・コードで開示が求められることになる事項であり、下表の赤字部分が具体的に開示する内容となる。

【特定の事項を開示すべきとする原則】

原則1-4 政策保有株式として上場株式を保有する場合の「政策保有に関する方針」を開示すべき。
毎年、取締役会で主要な政策保有についてそのリターンとリスクなどを踏まえた中長期的な経済合理性や将来の見通しを検証し、これを反映した保有のねらい・合理性について「具体的な説明」を行うべき。
政策保有株式に係る議決権の行使について、適切な対応を確保するための「基準」を策定・開示すべき。
原則1-7 上場会社がその役員や主要株主等との取引(関連当事者間の取引)を行う場合には、そうした取引が会社や株主共同の利益を害することのないよう、また、そうした懸念を惹起することのないよう、取締役会は、あらかじめ、取引の重要性やその性質に応じた適切な手続を定めてその「枠組み」を開示する。
原則3-1 以下の事項について開示し、主体的な情報発信を行うべき。
(ⅰ)会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画
(ⅱ)本コード(原案)のそれぞれの原則を踏まえた、コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針
(ⅲ)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続
(ⅳ)取締役会が経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続
(ⅴ)取締役会が上記(ⅳ)を踏まえて経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選任・指名についての説明
補充原則4-1① 取締役会は、取締役会自身として何を判断・決定し、何を経営陣に委ねるのかに関連して、経営陣に対する委任の範囲を明確に定め、その「概要」を開示すべき。
原則4-8 独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべき。
また、業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、自主的な判断により、少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社は、上記にかかわらず、そのための「取組み方針」を開示すべき。
原則4-9 取締役会は、金融商品取引所が定める独立性基準を踏まえ、独立社外取締役となる者の独立性をその実質面において担保することに主眼を置いた「独立性判断基準」を策定・開示すべき。また、取締役会は、取締役会における率直・活発で建設的な検討への貢献が期待できる人物を独立社外取締役の候補者として選定するよう努めるべき。
補充原則4-11① 取締役会は、取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する「考え方」を定め、「取締役の選任に関する方針・手続」と併せて開示すべき。
補充原則4-11② 社外取締役・社外監査役をはじめ、取締役・監査役は、その役割・責務を適切に果たすために必要となる時間・労力を取締役・監査役の業務に振り向けるべき。こうした観点から、例えば、取締役・監査役が他の上場会社の役員を兼任する場合には、その数は合理的な範囲にとどめるべきであり、上場会社は、その「兼任状況」を毎年開示すべき。
補充原則4-11③ 取締役会は、毎年、各取締役の自己評価なども参考にしつつ、取締役会全体の実効性について分析・評価を行い、その結果の概要を開示すべき。
補充原則4-14② 上場会社は、「取締役・監査役に対するトレーニングの方針」について開示を行うべき。
原則5-1 上場会社は、株主からの対話(面談)の申込みに対しては、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、合理的な範囲で前向きに対応すべきである。取締役会は、「株主との建設的な対話を促進するための体制整備・取組みに関する方針」を検討・承認し、開示すべき。

 これらの事項は、CG報告書の他の欄や有価証券報告書、アニュアルレポートまたは自社のウェブサイト等で開示し、その閲覧方法(ウェブサイトのURLなど)を本欄に記載する方法(参照方式)でもOKとされた。ただし、参照方式の利用は「広く一般に公開される手段により該当する内容を開示している場合」に限られる。例えば、コードで開示を求められている事項が投資家向け説明会で配布した資料や株主通信にのみ記載されており、それらがウェブサイトに掲載されていない場合、説明会に参加しなかった投資家や株主でない者は閲覧しようがないことから、「広く一般に公開される手段により該当する内容を開示している場合」に該当せず、参照方式を採用できない。

 先日、コーポレートガバナンス・コード原案が確定(こちらを参照)し、今回、CG報告書でのコーポレートガバナンス・コード対応案が示されたことで、具体的な開示イメージを持ちやすくなった。「詳細が未確定である」ことを理由に、コーポレートガバナンス・コード対応を先送りしている上場会社が少なくないが、いまや“ボール”は各上場会社側にあることを意識して、自社のガバナンス体制をどうすべきかの議論に着手したいところだ。

2015/03/12 (新用語・難解用語)社長執行役員

 執行役員制度を採用している企業は少なくない。執行役員というと、“取締役への登竜門”や“取締役と部長の間”といったイメージもあるが、最近は代表取締役が「社長執行役員(あるいは執行役員社長)」という肩書きを同時に名乗るパターンをよく見かける。

 日本の上場企業の大部分を占める監査役会設置会社の下では、「取締役会」が経営の意思決定権および業務執行に関する監督権を有し、「代表取締役」が業務執行を行うことになっている。つまり、代表取締役はわざわざ「社長執行役員」と名乗らなくても、執行の最高ポストなのである。

 こうした中であえて「社長執行役員」と名乗るケースが増えている背景には、日本企業におけるガバナンス構造の変化がある。上述のとおり、日本のこれまでのガバナンス構造(特に監査役会設置会社)からすれば、取締役会とそれに属する個々の取締役が意思決定・執行を担う機関であり、代表取締役こそが執行機関そのものというイメージが強かった。

 その一方で、・・・

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2015/03/12 (新用語・難解用語)社長執行役員(会員限定)

 執行役員制度を採用している企業は少なくない。執行役員というと、“取締役への登竜門”や“取締役と部長の間”といったイメージもあるが、最近は代表取締役が「社長執行役員(あるいは執行役員社長)」という肩書きを同時に名乗るパターンをよく見かける。

 日本の上場企業の大部分を占める監査役会設置会社の下では、「取締役会」が経営の意思決定権及び業務執行に関する監督権を有し、「代表取締役」が業務執行を行うことになっている。つまり、代表取締役はわざわざ「社長執行役員」と名乗らなくても、執行の最高ポストなのである。

 こうした中であえて「社長執行役員」と名乗るケースが増えている背景には、日本企業におけるガバナンス構造の変化がある。上述のとおり、日本のこれまでのガバナンス構造(特に監査役会設置会社)からすれば、取締役会とそれに属する個々の取締役が意思決定・執行を担う機関であり、代表取締役こそが執行機関そのものというイメージが強かった。

 その一方で、米国企業のガバナンス構造に影響を受けた指名委員会等設置会社では、取締役会はモニタリング機能に徹し、執行役員(あるいは執行役)が業務執行を担うという「機能分化」が進んでおり、取締役と執行役員が一致しないということも生じて来ている。米国流のモニタリングモデルを徹底すれば、代表取締役と執行役員社長が別人となったとしても不思議ではない。

 取締役会は経営判断には関与せず、業績の推移をチェックし、執行役員(経営陣)の人事を決定する。そして、執行役員は利益拡大に邁進する。結果が出なければ執行役員の立場を追われることもあるだろう。コーポレートガバナンス・コードにより2名以上の独立社外取締役選任が求められる中、企業側からは「業務をよく理解していない社外取締役に何ができるのか」といった声も聞かれるが、取締役会が経営判断に関与しないモニタリングモデルの下では、取締役会が社外取締役ばかりで構成されていても問題もないということになる。

 日本企業の間でモニタリングモデルが普及すればするほど、代表取締役が「社長執行役員」を名乗るケースは増加することになりそうだ。

2015/03/11 【不祥事】製品やサービスに対してクレームを受けた

 

誤った対応がバッシングや社会問題にまで発展するケースも

一流の自動車メーカーでもしばしばリコールを発表するように、開発に多くの時間をかけ、品質改良を重ねた製品であっても、何らかの不具合が生じ、それがユーザーからのクレームとなるケースがあります。また、サービス業でも、サービスが不十分であるとしてクレームを受けることは決して珍しい話ではありません。

こうしたクレームに対して誤った対応をしてしまうと、それが大きな騒動に発展にする場合もあります。FacebookやTwitterなどのSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)やインターネット上の掲示板による口コミなどが発達した現在では、ちょっとしたクレームの内容がすぐに拡散してしまう傾向にあります。そして、それがマスコミに飛び火し、激しいバッシング、場合によっては社会問題に発展してしまうケースもあります。ここまで来ると、会社や製品・サービスのブランドのイメージは著しく悪化し、製品やサービスの売上に悪影響を及ぼすことになります。

取締役としては、こうした事態を避けるために、クレーム発生に備えて組織的かつ迅速な対応を行える体制を平常時のうちに整備しておくことが重要です。そのためにも、クレームの受付と対応を管掌する取締役を選任しておく必要があります。

クレーム対応というと、“尻ぬぐい”的な後ろ向きの仕事のように思われがちです。しかし、クレームには製品改良・サービス改善のための「宝」が眠っています。単なる“尻ぬぐい”で終わらせることなく、むしろ会社がより成長していくために必要な「改善の芽」を発見する仕事へと立ち位置を変えることで、前向きな仕事になり、クレーム対応に携わる従業員のモチベーションも向上するでしょう。

以下でクレーム対応のための体制を具体的に見ていきます。

クレームの原因によって異なる対応方針

製品やサービスに対してクレームがあった場合、まずは顧客へのレスポンス時間を極力減らす工夫が必要になります。顧客のクレームへのレスポンス、すなわち電話が担当部署に繋がるまでの待ち時間やメールの返信までの時間など顧客を待たせる時間が長くなればなるほど、顧客はストレスを感じ感情的になりがちです。そうなると、企業イメージがよりいっそう悪化することになります。そこで、・・・

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リコールを行うかどうかの判断ポイント

クレームの原因となった不具合が、単に「本来の機能を発揮できない」といったものであれば、修理・交換や返金で顧客の要望に応えることができます。もっとも、不具合が原因で製品事故を招いたとなると話は別です。お詫びや見舞いを迅速に行いつつ、危害の発生と拡大を防止するためにどのような策を講じるべきかを検討します。

製品事故が生じた場合、・・・

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サービス業におけるクレームへの対応方針

クレームを受けたのが“製品”ではなく“サービス”であった場合、クレームの原因が形を保って残っているケースは多くはなく、真実は何なのかが当事者しか知り得ないケースが大半です。そのため、製品の場合と比べるとクレームの原因となった事実を認定しづらいという特徴があります。

サービス業におけるクレームの多くは、サービスマニュアルの不徹底や顧客の勘違いを原因とするものです。したがって、・・・

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クレームを生みやすくする要因とは?

クレームを防止するためには、クレームの分析が欠かせません。具体的には、クレームの発生件数や内容を全社横断的にまとめたレポートを定期的に経営陣に提供する体制を構築することが必要です。例えば、・・・

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マスコミ対応を誤るとブランドイメージを棄損する場合も

製品やサービスの不具合やクレームの内容が、マスコミの知るところになると、報道されてしまうことがあります。特に不具合によって事故が発生した場合には、連日のように報道が繰り返されることになります。

では、こうした報道の動きをキャッチした場合、会社としてはどのように対応すればよいでしょうか。最も重要なのは、・・・

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製造物責任法と役員の責任

上記の「マスコミ対応を誤るとブランドイメージを棄損する場合も」でも述べたように、クレームの中でも最も深刻なのは、自社の製品に不具合が見つかった場合です。なぜなら、・・・

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クレーマーへの対応のポイント

残念ながら、理不尽な要求を平気で行う消費者が後を絶ちません。いわゆる“クレーマー”です。社会的な通念では考えられないような主張をしたり、小さなミスを誇張し執拗に不相応の謝罪を求めたりするクレーマーに対しても、会社は何らかの対応を求められることになります。

クレーマーの中にも様々なタイプがいるため、・・・

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リコール時のコストの内訳と会計的な備え

リコールには多額のコストを費やすことになります。リコール時に必要となるコストは次のとおりです。・・・

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