2015/01/23 【経営上のリスク】取引先に対して債権放棄(債務免除)を行う(会員限定)

 

債権放棄はぎりぎりの選択肢

得意先が経営不振にあえいでいるときに、債権者としては返済の要求を繰り返すだけではらちが明かないケースもあることでしょう。債務者に返済原資がないのであれば、「無い袖は振れない」以上、返済を受けることは不可能です。そのような状況では金融機関に債務者の金融支援をしてもらうことも期待できません。とはいえ、重要な得意先が倒産という事態になってしまうと、自社の売上も落ち込むことになります。そこで、得意先の経営支援の一環として債権放棄(「債務免除」とも言います)という選択肢を選ぶこともやむなしという状況になってしまうことも十分に考えられます(債権放棄以外の選択肢としてどのようなものがあるかについては「取引先が経営危機にあることがわかった」の「債権回収の方法と一部弁済があった場合の取扱い」を参照してください)。しかし、安易な債権放棄は禁物です。安易な債権放棄により会社財産が不当に毀損すれば、取締役は株主や会社債権者から責任を追及されることになります。そこで、取締役は債権放棄を「ぎりぎりの選択肢」と考えるべきです。そして、「安易な債権放棄であった」と事後的に指摘されないよう、取締役は債権放棄の判断に至るまでのチェックポイントを1つひとつ検討してクリアしておく必要があります。そのチェックポイントを順番に見ていきましょう。

まず、会社法では、取締役会設置会社の場合、「重要な財産の処分」の決定には取締役会の決議が必要とされています(会社法362条4項1号)。

債権放棄は、「財産の処分」にあたることから、取引先の債権について債権放棄を行うにあたっては、当該債権放棄が「重要な財産の処分」に該当し取締役会決議が必要となるのではないかを事前に確認しておく必要があります。

会社の行った資産の処分が「重要」な財産の処分に該当するかどうかに関して、判例は、「重要な財産の処分に該当するかどうかは、当該財産の価額、その会社の総資産に占める割合、当該財産の保有目的、処分行為の態様及び会社における従来の取扱い等の事情を総合的に考慮して判断すべき」と述べています(最判平成6年1月20日)。すなわち、何をもって「重要」な財産の処分と考えるかについて、すべての会社に適用される画一的な基準があるわけではなく、裁判所は、会社の規模・事業の性質・当該財産の価額・取引の種類等を踏まえて、個別具体的に判断していくことになります。債権放棄は、会社への反対給付のない“無償行為”(すなわち、見返りがゼロ)なので、売買取引等の“有償行為”(すなわち、見返りが期待できる)と比較して、債権の額が多くなくても、また債権の額の総資産に占める割合が低い場合であっても、「重要」な財産の処分に該当する場合が多くなると言えます。

なお、判例では、会社における従前の取扱いも「重要」な財産の処分への該当性の考慮要素になると位置付けられており、取締役会決議により取締役会付議基準を明確化しておけば、その基準が尊重される可能性が高い(その基準に従って行動する限り違法であると言われにくい)と考えられています(もちろん、その基準自体が妥当でないと判断される余地は残されています)。このため、実務的には、取締役会で定めた取締役会規則等における基準を踏まえて「重要」な財産の処分に該当するかどうかを判断することになります。債権放棄が「重要」かどうかの判断基準は、「総資産の0.1%に相当する額程度」以下に設定されているケースが多いと言われています。

取締役会決議が必要な「重要な財産の処分」に該当するにもかかわらず、取締役会の議決を経ないで財産の処分が行われた場合の当該財産処分の効力について、判例では、原則として有効であるものの、相手方が決議を経ていないことを知っていた場合または知ることができた場合には無効になると判断しています(最判昭和40年9月22日)。そして、取締役会の議決を経ないで「重要な財産の処分」を行った取締役は、会社および第三者に対して損害賠償責任を負う可能性があります(会社法423条、429条)。

債権放棄の取締役会決議に参加する取締役が注意すべき点

上で述べたように債権放棄が「重要な財産の処分」に該当する場合には、取締役会決議を経ることが必要になります。取締役は決議にあたって、その債権放棄が取締役の善管注意義務に違反することにならないかを慎重に判断しなければなりません。この点は、「重要な財産の処分」に該当しない場合において、代表取締役が取引先に対する債権放棄の判断を行う場合も同様です。

債権放棄を行うかどうかは、その取引先の倒産から被る損害と債権放棄を行うことによる損失等を比較衡量の上で判断することになりますが、そうした判断はすぐれて“経営的”な判断となります。したがって、そうした判断が取締役の善管注意義務に違反するかどうかについては、いわゆる「経営判断の原則」が適用されることになり、一般的には、次の2点から審査が行われることになります。

(1)当時の状況に照らして、経営判断の前提となった事実認識の過程(情報収集とその分析・検討)に不注意な誤りがなかったかどうか
(2)その事実に基づく意思決定の過程および内容において著しく不合理なところはなかったかどうか

なお、こうした判断を行う際の「不注意な誤り」や「著しい不合理」の有無は、企業経営者一般ではなく、当該会社および取締役が属する業界における通常の取締役として期待される注意の程度を基準に判断されることになります。

この点、債権放棄は上記のとおり会社に反対給付のない無償行為であり、ましてや取引先は、子会社や関連会社と異なり資本関係があるわけではありませんので、情報収集した事実関係(債務者の財政状態や債務返済の可能性)を慎重に分析・検討した上で、当該取引先に対する債権放棄を行うことにより当該取引先の倒産を防止することや清算を支援することが、かえって自社の利益になるということ等を慎重に判断することが必要になります。場合によっては、取締役の負うリスクを限定するために弁護士や公認会計士等の専門家の意見を得ておくことも必要です。さらに、情報収集・分析・検討・判断を適切に行ったことを裏付ける証跡(エビデンス)を確実に保管しておくことも重要です。例えば、債権回収の交渉過程はすべて記録しておき、債権放棄に先立ち、営業部門や経理部門等の担当部署が債権放棄の稟議書を起案し、取引先の財務諸表等を添付して、組織的に判断・承認するようにします。取締役会の決議が必要なケースでは取締役会の議事録に発言内容を留めるようにします。

債権放棄をすることが確定したら、取引先に「債務を免除する」旨の文書を提出します。この文書は必ずしも公正証書等の公証力のある書面による必要はありませんが、内部統制の観点から書面を交付した事実を社内的に記録に残すために、「債務者から受領書を受け取るか、内容証明郵便等により交付することが望ましい」とされています(後述の「「放棄して終わり」ではない、債権放棄の後始末」を参照してください)。

特別背任罪にも注意!

一方、債権放棄という経営判断を行ったことが事後的に問題視され、裁判で取締役の善管注意義務に違反すると判断されてしまうと、取締役は当該善管注意義務違反の経営判断により会社に生じた損害を賠償すべき責任(民事上の責任)を負わされてしまいます(会社法423条)。さらに、当該取締役の善管注意義務違反行為により会社に生じた損害額が大きい場合や善管注意義務違反行為の態様が悪質である場合等には、当該取締役に特別背任罪が成立し、刑罰を受ける(刑事上の責任)可能性もあります。

会社法上の特別背任罪の要件は次のとおりです(会社法960条)。

(1)会社の取締役等が
(2)自己もしくは第三者の利益を図り、または株式会社に損害を加える目的(図利(とり)加害目的)で
(3)その任務に背く行為(任務違背行為)をし
(4)当該会社に財産上の損害を加えたこと
(5)当該取締役等に故意があること

任務違背 : 任務に背くこと。「違背」は「いはい」と読む。

取引先に対する債権を放棄するという経営判断が取締役の善管注意義務に違反するような場合には、一般的には、その取締役は(3)の任務違背行為を行ったと認定される可能性が高いと言えます。
したがって、その取締役に(2)の図利加害目的があり、(4)の会社の財産上の損害が生じている場合であって、(5)の取締役等の故意が認められるときには、当該取締役には会社法上の特別背任罪が成立してしまいます。

このうち(2)の図利加害目的は、一般的には本人(会社)の利益を図るためになされた行為を処罰範囲から除くために設けられた要件と考えられており、「自己または第三者の利益を図る認識(認容)があり、かつ会社の利益を図るという動機がない」場合、または「会社に損害を及ぼす認識(認容)があり、かつ会社の利益を図るという動機がない」場合に認められるとされています。取引先に対する債権放棄が取締役の善管注意義務違反とされるような場合には、図利加害目的があったとされる場合が多いと言えます。

(4)の「会社の財産上の損害」については、一般的には、経済的見地において会社の財産を評価し、行為者の行為によって会社財産の価値が減少し、または増加すべき価値が増加しなかった場合に認められると考えられています。「取引先に対して債務の支払いを免除する」という債権放棄の性質に鑑みると、債権放棄により「財産上の損害が発生している」と認められる可能性が大です。

(5)の「取締役等の故意」については、自らが取締役であること、任務違背行為および財産上の損害の発生に対して必要となりますが、このうち任務違背行為についての故意は、任務違背性を基礎付ける事実について認められれば十分であり、自己の行為が任務に違背することの認識までは必要ない(これは故意の立証が容易となることを意味します)と考えられています。取引先の債権放棄が取締役の善管注意義務違反とされるような場合には、取締役の故意があったとされる場合が多いと言えます。

以上からすれば、特別背任罪が成立する可能性をゼロにするためにも、取締役は慎重に判断するとともに、取締役会に資料を提出して実質的な議論を行い、取締役会の議事録に審議内容や発言を留める等して証跡(エビデンス)を確実に保管していくことが重要となります。

「放棄して終わり」ではない、債権放棄の後始末

債権放棄は、その意思を相手方に文書で伝えて終わりというわけではありません。投資家への開示、会計処理、税務上の取扱いにも配慮しなければなりません。

<適時開示>
上場会社は、取引先に債務不履行の恐れがあれば、その旨等を適時開示を行わなければなりません。適時開示の内容や軽微基準については「取引先が倒産してしまった」の「得意先が倒産した場合に開示すべき事項」を参照してください。

さらに、IR担当役員は、債権放棄により業績予想の修正が必要となるかどうかを検討しなければなりません。業績予想の修正については「業績予想を修正したい」を参照してください。

<臨時報告書>
また、上場会社のような有価証券報告書提出会社は、当該提出会社の前期末の貸借対照表における純資産額の100分の3以上に相当する額の債権放棄を行った場合、財務(支)局に臨時報告書を提出しなければなりません。

<会計>
債権放棄を余儀なくされるような場合、その債権は貸倒引当金の設定対象になっているのが通常です。したがって、債権放棄に伴い、貸倒損失を計上するとともに引き当てておいた貸倒引当金を取り崩すことになります(「得意先が倒産してしまった」の「会計上は3つの区分で債権を分類して評価を変える」を参照してください)。

<法人税>
法人税基本通達9-6-1(4)によると、法人の有する金銭債権について、債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し債務免除を書面により明らかにした場合、その金銭債権の額のうち債務免除をした額を、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入することが認められています。ここでのポイントは、「債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合」の「相当期間の考え方」と「債務免除を書面により行う」の「書面とは何か」という点です。この点、国税庁のサイトの質疑応答事例によると、「債務者の債務超過の状態が相当期間継続」しているという場合における「相当期間」とは、「債権者が債務者の経営状態をみて回収不能かどうかを判断するために必要な合理的な期間をいいますから、形式的に何年ということではなく、個別の事情に応じその期間は異なる」とされています。なお、債務超過かどうかの判断を行うために、当該得意先の過去数年分の決算書や信用機関の信用情報を入手する必要があります。また、「書面」については、「必ずしも公正証書等の公証力のある書面によることを要しませんが、書面の交付の事実を明らかにするためには、債務者から受領書を受け取るか、内容証明郵便等により交付することが望ましい」とされています。この「書面の交付の事実を明らかにする書類」の必要性については単に税務の観点からだけでなく、会社の内部統制として債務免除の意思を取引先に伝達したことを社内的に記録に残しておくためにも必要になります。

なお、貸倒れに該当しない債権放棄額は、法人税法上の寄附金に該当することになります(子会社等を整理・再建するために行う債権放棄等(債権放棄及び無利息貸付け等)で、相当な理由があり経済合理性を有する場合であれば、例外的に寄附金に該当しないことになります。こちらを参照してください)。寄附金に該当した場合、損金算入が制限される点には注意が必要です。

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2015/01/23 投資家対応は誰の役目?

 今後本格化する投資家との対話(エンゲージメント)に向け、上場企業は対策に余念がないことだろう。多くの企業は、投資家対応担当部署とそれを所管する取締役を決めており、経営企画担当取締役やCFOがその役割を担うことが多いようだ。ちなみに、来月(2015年2月)27日、経済産業省内に設置されている「投資家フォーラム作業部会」が開催する“模擬エンゲージメント”では、三菱重工から「グループ戦略推進室長 兼 戦略企画部長」、富士重工から「取締役専務執行役員」が対話に臨む(2015年1月16日のニュース「変革著しい三菱重工と富士重工が“模擬エンゲージメント”で投資家と対話」参照)。

 一方、米国に目を向けると、一部の投資家からは、投資家と対話を行うのが特定の取締役に限定されていることに不満の声が上がっている。こうした中、・・・

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2015/01/23 投資家対応は誰の役目?(会員限定)

 今後本格化する投資家との対話(エンゲージメント)に向け、上場企業は対策に余念がないことだろう。多くの企業は、投資家対応担当部署とそれを所管する取締役を決めており、経営企画担当取締役やCFOがその役割を担うことが多いようだ。ちなみに、来月(2015年2月)27日、経済産業省内に設置されている「投資家フォーラム作業部会」が開催する“模擬エンゲージメント”では、三菱重工から「グループ戦略推進室長 兼 戦略企画部長」、富士重工から「取締役専務執行役員」が対話に臨む(2015年1月16日のニュース「変革著しい三菱重工と富士重工が“模擬エンゲージメント”で投資家と対話」参照)。

 一方、米国に目を向けると、一部の投資家からは、投資家と対話を行うのが特定の取締役に限定されていることに不満の声が上がっている。こうした中、世界最大級の投資信託運用会社バンガード(運用資産3兆ドル)が、複数の取締役から構成される“投資家リエゾン委員会”の設置を今年から企業に求め、話題を呼んでいる(リエゾンとは「結びつき」「連携」という意味のフランス語)。

 バンガードの取組みは、複数の取締役が投資家との対話に参加することにより議論が活発化し、その結果、経営課題等が投資家と企業によって共有化され、長期的な企業価値の向上につながるということを狙いとしている。この点は、投資先企業に経営改善を働きかけることで株価上昇を達成して短期的な投資収益を獲得することを目標とするアクティビストとは明確に異なる。

 パッシブ運用会社であるバンガードはインデックス運用を行っているため、短期的に株式を売却できないという事情もこの取組みの背景にはありそうだが、株式の長期保有を目的とする投資家にも同じことが言える。したがって、“投資家リエゾン委員会”を企業に求める動きは、他の長期投資家にも広がる可能性がある。

パッシブ運用 : 東証で言えばTOPIXのような株価指数(インデックス)の値動きに連動する運用成果を目指す運用手法のこと。株価指数を構成する銘柄をポートフォリオに組み入れるなどして、運用会社はあまり裁量を加えず運用する。積極的な運用方法でないという意味で「パッシブ(消極的な)という言葉が使われている。ファンドマネジャーが独自に銘柄を選択して運用する「アクティブ運用」とは対極の関係にある。

インデックス運用 : パッシブ運用の1つで、株価指数(インデックス)を構成する銘柄を一定の条件でポートフォリオに組み入れるなどして、対象となる株価指数と同じ値動きを目指す。

 ちなみにバンガードは、この仕組みをまずは米国企業に対して求め、将来的には米国以外の国の企業に対しても拡大していきたい考えを持っているという。日本企業においても、「投資家対応は自分の担当ではない」などとは言っていられない時代が来るかもしれない。

2015/01/22 (新用語・難解用語)CSV

 Creating Shared Value(共通価値の創造)の略称で、企業が社会が抱える課題の解決に取り組むことで(社会的価値の創造)、その結果、企業にも経済的な価値がもたらされることを意味する。経営書「競争の戦略」で知られるハーバード大学経営大学院のマイケル・ポーター教授により2011年に提唱された。

 CSVはしばしばCSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)と比較される。いずれも「社会」に対する活動に関連する概念であるという点で両者は共通しているが、決定的に異なるのは、CSRが典型的には「慈善事業への寄付」のように企業利益の一部を社会に還元するという「社会貢献」的な性格が極めて強いのに対し、CSVでは社会的な課題の解決を図ることで社会に貢献しつつも「企業も利益を上げる」ことが目的とされている点だ(社会と企業で利益を“シェア”しようという考え方)。

 ここで押さえておきたいのは、CSVでは「社会にとって利益になることが企業にとっても利益になる」というように、まず「社会の利益」が先に立つという点。「企業が利益を上げることが社会の利益にもなる」という従来型の企業論理とは順番が逆になっているので注意したい。

 CSVを実現しているケースとしては、例えば、・・・

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2015/01/22 (新用語・難解用語)CSV(会員限定)

 Creating Shared Value(共通価値の創造)の略称で、企業が社会が抱える課題の解決に取り組むことで(社会的価値の創造)、その結果、企業にも経済的な価値がもたらされることを意味する。経営書「競争の戦略」で知られるハーバード大学経営大学院のマイケル・ポーター教授により2011年に提唱された。

 CSVはしばしばCSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)と比較される。いずれも「社会」に対する活動に関連する概念であるという点で両者は共通しているが、決定的に異なるのは、CSRが典型的には「慈善事業への寄付」のように企業利益の一部を社会に還元するという「社会貢献」的な性格が極めて強いのに対し、CSVでは社会的な課題の解決を図ることで社会に貢献しつつも「企業も利益を上げる」ことが目的とされている点だ(社会と企業で利益を“シェア”しようという考え方)。

 ここで押さえておきたいのは、CSVでは「社会にとって利益になることが企業にとっても利益になる」というように、まず「社会の利益」が先に立つという点。「企業が利益を上げることが社会の利益にもなる」という従来型の企業論理とは順番が逆になっているので注意したい。

 CSVを実現しているケースとしては、例えば、IT企業が我が国で大きな社会問題となっているニートを大量に雇い入れ、システムエンジニアとしての教育を施すケースが挙げられる。ここまで見ると「慈善事業への寄附」とあまり変わりないように見えるが、ニートが教育によってスキルを身に付け、自社のシステムエンジニアとして働くようになれば、人材不足が解消され、事業の拡大にもつながる。エコカーもしかり。CO₂の削減という社会の利益のために開発されたエコカーが自動車メーカーに莫大な利益をもたらしたのは周知のとおりだ。

ニート : Not in Education, Employment or Trainingの頭文字をとったもの。仕事に就いておらず、教育や職業訓練も受けていない若者を指す。

 CSV はまだまだ新しい考え方だが、スイスに本社を置く世界最大の食品・飲料会社であるネスレは既に「CSV報告書」を公表しているほか、我が国でもキリンホールティングスが「CSV委員会」を立ち上げるなどしてCSVに積極的に取り組んでいる。もっとも、エコカーの例で分かるように、「CSV」という言葉を使うかどうかは別として、早くから環境問題などに取り組んできた日本企業には既にCSVの素養が備わっている。今後は、これを「開示」という形で投資家にアピールする企業も増えてくるだろう。

 CSRは、その活動に要するコストと企業利益がトレードオフの関係にある以上、「継続可能性」という点で弱点を抱えているが、「企業の利益」にもつながることを目指すCSVはこの弱点を解消するものであり、合理的な考え方と言える。ただし、企業活動の結果として環境破壊が起こったことなどを考えれば、企業利益とは切り離された純粋な社会貢献活動としてのCSRはあってしかるべきであり、CSVとCSRの間に上下関係はない。当然ながらCSRも企業、そして社会にとって重要な活動であるということには留意する必要がある。

2015/01/21 ESG開示の義務化、世界の動向は?

近年、機関投資家の間で、企業の投資価値を測る評価項目としての地位を確立しつつあるのがESG(環境、社会、ガバナンス)だ。ESGとは財務諸表には示されない「非財務情報」であり、日本では開示が義務付けられているわけではない。

これに対し、海外ではESG情報の開示義務化が広がりつつある。その内容や方法は様々で、地域ごとに特色がある。それぞれの地域の最近の動向をまとめてみよう。

<欧州>
EU理事会は2014年9月、EU域内の大企業に対して非財務情報(および取締役会構成員の多様性に関する情報)の開示を義務づける指令を承認した。ここでの非財務情報とは、環境、社会、従業員に関する事項、人権の尊重、腐敗や贈収賄の防止などを指す。これらの非財務情報を開示しない場合はその理由を説明せよという「Comply or Explain」アプローチを採用している。同指令を受け、加盟国は「2年間」の猶予の間にこれを自国の制度として実施する必要がある。

英国では、既に2013年4月からロンドン証券取引所上場企業に対し、GHG(Greenhouse Gas=温室効果ガス)排出量の報告を義務化している。また、2013年10月の会社法改正により、上場企業に「ストラテジック・レポート」の作成を義務付けた。同レポートでは、重要なリスクや将来見通しの分析、戦略、ビジネスモデル、環境、社会、コミュニティ、人権に関する情報、コーポレートガバナンスに関する重要情報の開示が求められている。このストラテジック・レポートの内容は、IIRC(国際統合報告評議会)が「企業がどのように持続的な成長を実現しようとしているのかについて報告するもの」と定義付ける統合報告書(2014年8月の課題「統合報告書」参照)に非常に近いものだと言える。

<米国>
米国証券取引委員会(SEC)は2010年2月、制度開示書類における「気候変動情報開示に係る解釈指針」を公表している。また、2012年8月には紛争鉱物開示規則を策定した。これにより、米国の上場企業は、タンタル、タングステン、スズ、金が製品に含まれる場合には、それがコンゴ民主共和国やその周辺国で武装集団の資金源となっていないかどうかを調査し、その結果を開示することが義務付けられている。

直近で注目を集めているのは、・・・

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2015/01/21 ESG開示の義務化、世界の動向は?(会員限定)

近年、機関投資家の間で、企業の投資価値を測る評価項目としての地位を確立しつつあるのがESG(環境、社会、ガバナンス)だ。ESGとは財務諸表には示されない「非財務情報」であり、日本では開示が義務付けられているわけではない。

これに対し、海外ではESG情報の開示義務化が広がりつつある。その内容や方法は様々で、地域ごとに特色がある。それぞれの地域の最近の動向をまとめてみよう。

<欧州>
EU理事会は2014年9月、EU域内の大企業に対して非財務情報(および取締役会構成員の多様性に関する情報)の開示を義務づける指令を承認した。ここでの非財務情報とは、環境、社会、従業員に関する事項、人権の尊重、腐敗や贈収賄の防止などを指す。これらの非財務情報を開示しない場合はその理由を説明せよという「Comply or Explain」アプローチを採用している。同指令を受け、加盟国は「2年間」の猶予の間にこれを自国の制度として実施する必要がある。

英国では、既に2013年4月からロンドン証券取引所上場企業に対し、GHG(Greenhouse Gas=温室効果ガス)排出量の報告を義務化している。また、2013年10月の会社法改正により、上場企業に「ストラテジック・レポート」の作成を義務付けた。同レポートでは、重要なリスクや将来見通しの分析、戦略、ビジネスモデル、環境、社会、コミュニティ、人権に関する情報、コーポレートガバナンスに関する重要情報の開示が求められている。このストラテジック・レポートの内容は、IIRC(国際統合報告評議会)が「企業がどのように持続的な成長を実現しようとしているのかについて報告するもの」と定義付ける統合報告書(2014年8月の課題「統合報告書」参照)に非常に近いものだと言える。

<米国>
米国証券取引委員会(SEC)は2010年2月、制度開示書類における「気候変動情報開示に係る解釈指針」を公表している。また、2012年8月には紛争鉱物開示規則を策定した。これにより、米国の上場企業は、タンタル、タングステン、スズ、金が製品に含まれる場合には、それがコンゴ民主共和国やその周辺国で武装集団の資金源となっていないかどうかを調査し、その結果を開示することが義務付けられている。

直近で注目を集めているのは、SASB(サステナビリティ会計基準審議会)だ。「FASB(財務会計基準審議会)」の“サステナビリティ版”と言われるSASBは、企業が開示すべき非財務情報を業種ごとに公表しており、制度開示書類の中でこれらの開示を義務付けることをSECと協議している。

SASB : SEC(米国証券取引委員会)に提出されるアニュアルレポートにおける「業種別の非財務情報」の開示基準作成している団体。2012年設立。正式名称は「Sustainability Accounting Standards Board」。

<日本を除くアジア、途上国>
南アフリカ共和国のヨハネスブルグ証券取引所は2010年3月、上場企業に対して統合報告の適用を義務付けた。ここで公表されたガイドラインはIIRCも参考にしたと言われている。

香港とシンガポールの証券取引所でも、ESG情報の開示に関する「企業向けガイダンス」を作成しており、「推奨」から「義務付け」への移行も検討されている。

一方、我が国における制度開示では、“Governance”に関しては有価証券報告書の【コーポレート・ガバナンスの状況等】の欄やコーポレート・ガバナンスに関する報告書での情報開示が行われているものの、“Social”に関しては2015年に有価証券報告書で「女性取締役比率」の記載が義務付けられたばかりであり、“Environmental”に至っては特段の開示が求められておらず、開示に向けての動きすらないのが現状だ。ただし、上述のとおり世界はESG情報の開示義務化の流れにあり、これがいずれ日本に波及する可能性はある。上場企業としては世界の動向にも注目しておきたいところだ。

2015/01/20 飲酒運転で検挙された従業員を解雇できるか(会員限定)

 新年会が多い1月は飲酒運転が増えやすい時期でもある。飲酒運転に対して世間が厳しい目を向ける中、仮に自社の従業員が飲酒運転により検挙され、報道でもされようものなら、企業ブランドへのダメージは決して小さくない。

 それだけに、飲酒運転を犯した従業員に対し会社が厳しい姿勢で臨むのは当然と言えるが、会社が従業員を懲戒する権利を有するのはあくまで「企業秩序を維持確保するため」(最三小S52.12.13判など)であり、企業秩序に関係のない“私的行為”は懲戒の対象とならないのが原則となっている。実際、「業務外におけるバイクの飲酒運転で事故を起こした従業員を会社が懲戒解雇した事案」について解雇を無効とした判決(福井地H22.12.20判)もある。また、そもそも運転免許を必要としない職務に就いている者は、運転免許がなくても仕事はできるため、たとえ飲酒運転により運転免許が取り消されたとしても、それを理由に解雇することはできない。

 では、運転免許を必要とする職務に就いている者であれば運転免許が取り消されたことを理由として解雇できるかと言うと、それも簡単な話ではない。二種免許を失ったタクシー運転手について、「ほとんど専門性を有しない業務については、ある程度使用者側の必要性において配置転換できるし、特定の業務ができなくなっても、解雇することはできず、他の職種に就けるべき」として解雇を無効とした判決(東京地H20.9.30判)もある。タクシー運転手が運転免許を失った場合でさえも、裁判所が「解雇以外に選択肢がないか」を検討することを求めているわけだ。会社としては、たとえ就業規則で「懲戒解雇に処する」と定めていたとしても、「出勤停止」や「降格・降職」等の処分で宥恕できないかを検討するべきだろう。

宥恕 : 過ちを赦すこと

 感情論はさておき、以上のように従業員の飲酒運転に対しては短絡的に「懲戒解雇」との結論を出すべきでなく、「懲戒すべきか否か」「解雇すべきか否か」の二面から慎重な検討が求められることになる。

2015/01/20 【事業管理】新規得意先を開拓したい

 

釣った魚の餌代の方が安い!?

「1:5の法則」―――これは何を意味するのかをご存じでしょうか?

1:5の法則とは、「新規得意先に販売するコストは既存得意先へ販売するコストの5倍かかる」というマーケティング用語です。このほか、「既存の顧客離れを5%改善すれば、利益が最低でも25%は改善される」ということを意味する「5:25の法則」という用語もあります。

いずれもその意図するところは、いうなれば「釣った魚には餌をあげない」のではダメだということです。要するに、既存顧客を継続的に囲い込んでおくことこそが重要であるとマーケティング論では説いているわけです。既存顧客の購入量や購入頻度を高める仕組みを構築して、既存顧客の離反率を抑えれば、コスト面でも(1:5の法則)、収益面でも(5:25の法則)会社にプラスの効果をもたらす可能性は高くなるでしょう。

そうであれば、既存の顧客を多数抱えている会社は新規取引先の開拓を止めて、既存顧客の維持だけに注力すべきではないかと考えてしまいがちですが、果たしてそれでよいのでしょうか?

既存顧客は減っていくものと考えるべき

既存顧客を維持していくことは、会社が安定した収益を獲得していくうえで極めて重要です。しかし、既存顧客のうち特定の顧客への依存度が高まると、その顧客の業績悪化に連動して自社の収益も悪化してしまうリスクがあります。例えば、2011年の東日本大震災によって大口顧客が被災し業績が大きく低迷した結果、それに連動して供給元の会社も大きなダメージを受けてしまったというケースが少なからずありました。

また、競合他社が多い分野で事業を展開している会社は、常に競合他社との価格競争にさらされているため、既存顧客への依存度が高ければ高いほど、今後も既存顧客との関係を継続したいと考え、既存顧客からの値下げ要請に応じざるを得なくなります。

しかし、たとえ値下げ要請に応じたとしても、競合他社が品質や機能の点で差別化を図り、顧客のニーズにより適合した製品を導入してきた場合には、いくら長年付き合いのある大口の顧客であっても、競合他社にシフトしてしまうリスクがあります。

会社の業種や事業内容、製品・サービスの差別化の程度、競合他社の状況にもよりますが、既存顧客を1社も離反させることなく維持していくことは難しく、毎年何%かの既存顧客は他社に流れていくのではないでしょうか。したがって、値下げ要請や既存顧客のロストに起因する収益の減少分を何らかの形で補っていかなければ、事業を継続していくことは難しくなります。

そこで新規取引先の開拓が必要となります。既存顧客の維持に努めつつも、新規取引先の開拓をバランスよく行うことは、会社の事業継続という長期的な視点から非常に重要です。

「営業手法」と「営業先」に要注意

新規得意先の開拓は、実際のところ容易ではありません。特に最初の接点を作るのは難しく、有名企業であっても、テレアポやダイレクトメール、飛び込み営業といった旧来型の手法を用いることが珍しくありません。

新規顧客の開拓方法としては、紹介による場合の成約率が比較的高いといえます。紹介がない場合には、名簿を入手してこれを基に営業をかける手法がよく見られますが、この場合、個人情報保護法や不正競争防止法に違反していないかどうかについて留意する必要があります。また、同業他社などから引き抜いた人材のネットワークを活用するケースもよくありますが、この場合は、不正競争防止法に違反していないかどうかについて事前に検討すべきです。

もっとも、このように苦労して営業をかけた結果、新規得意先候補から良い感触を得たからといって、直ちに取引を開始するのは避けたいところです。上場会社である以上、・・・

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与信限度枠の設定ミスで多額の貸倒れや取込み詐欺も

新規に開拓してきた会社と取引を開始すべきかどうかは、どのように判断すればよいのでしょうか?

世の中には良い会社もあれば悪い会社もあります。何をもって「良い」というのかは会社を見る視点によっても変わってきますが、新規に取引を開始する上では、財務状況が健全であり、収益性に問題がなく、ビジネスに成長の余地がある会社が「良い会社」だといえます。

このような会社を「良い会社」と判断する理由は、・・・

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新規取引先の信用力を判断するポイントは?

上記のような事態を避け、自社の財産を保全する観点からも、新規取引先の信用情報に基づく与信限度枠の設定が重要になります。与信限度枠を設定するためには、取引を行うかどうかの審査の基準、与信限度枠の設定方法、承認方法、毎期の見直し方法、モニタリング方法などについて、あらかじめ社内規程を作成しておく必要があります。上場会社であれば、当然こうした社内規程は整備されているはずですが、与信管理の一連の手続(信用情報の入手方法、審査の基準、与信限度枠の設定方法、モニタリング方法)が網羅的に規定されているかどうかについて、営業担当取締役や監査役としては、いま一度内容を確認してみるとよいでしょう。

新規取引先の信用力を判断するポイントは以下のとおり・・・

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与信限度枠の設定方法は自社に合ったものを

与信調査の結果、審査などにおいて新規取引先の信用力が一定程度以上であると判断した場合、与信限度枠の設定を行います。上述したとおり、与信限度枠は「この取引先に対してはこの金額まで掛売りしてもよい」という限度額のことです。与信限度枠を設けなければいくらでも掛売りすることができてしまい、貸し倒れリスクが高まりますので、新規取引先の信用力に応じた与信限度枠を適切に設定する必要があります。

与信限度枠の設定方法(計算ロジック)は様々であり、これが正解というものはありません。例えば、・・・

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与信限度枠の承認時にやってはならないこと

既に述べたとおり、“与信管理に関する内部統制構築”の観点から、あらかじめ社内規程に与信限度枠の承認プロセスに関する規定も盛り込んでおく必要があります。

実務的には、与信限度枠の大小によって承認権限者や必要資料が変わるケースがよく見受けられます。例えば、・・・

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定例会議で報告する仕組みを

上述したとおり、“与信管理に関する内部統制の構築”については、社内審査などの承認手続の構築が不可欠ですが、これは事前統制の構築になります。次に与信限度枠を設定したら、それが守られているかどうかを事後的にモニタリングする事後統制の構築も必要です。例えば、・・・

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反社チェックの必要性と反社条項

ここまで与信調査について解説してきましたが、もう一つ忘れてはならないのが、いわゆる“反社チェック”、すなわち、新規取引先が反社会的勢力との関わりがないかどうかや、そもそも新規取引先自体が反社会的勢力ではないことの調査です。近年、反社会的勢力は組織実態を隠蔽する動きを強めていて、一般事業会社を装って経済活動を行ったり資金調達活動を行ったりするなど、その手口が巧妙化しています。その結果、反社会的勢力との取引の排除を掲げる会社であっても、知らず知らずの内に取引を行ってしまうおそれがあるため、このような調査が必要になります。

上場会社が反社会的勢力と取引を行っていたということになれば、社会的信用が失墜してしまうのはもちろんですが、・・・

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新規取引先の開拓に伴いコストの増加も

新規取引先を開拓した場合、納期を守れるような生産計画や受注方針を立てることが重要となってきます。納期遅れは取引先からの信用の失墜はもちろん、納入品が取引先の工場の工程で使用する部品などであった場合には、工場の操業停止やパート従業員の一時解雇などを招き、取引先の経営に重大な影響を与えることになります。そこで、生産計画は自社の能力に見合ったものとなっているか、販売一辺倒の受注方針となっていないか、生産調整会議(工場と営業との意思疎通を行う会議)やステアリング・コミッティ(全社的なプロジェクトを遂行する社内横断的な運営会議)で進捗状況の把握はできているか、などを確認し、適宜見直しを図っていくことが必要です。また、取引量(生産量)の拡大に伴い、品質が低下しクレーム発生につながるおそれがあります。そこで、・・・

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2015/01/20 チェックリスト:新規得意先を開拓したい(会員限定)

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■チェックリスト:新規得意先を開拓したい

チェック事項 備考 対応未了 対応済
新規得意先の決算書や外部調査機関データを与信調査用に入手しているか。 与信調査用の資料としては、以下のようなものがある。
・得意先の決算書
・外部調査機関データ(帝国データバンク、東京商工リサーチなどの企業情報データベースから入手)
・会社案内
・登記簿謄本 など
実際に得意先担当者と会ってみることも重要。
新規顧客の開拓時に名簿を入手してこれを基に営業をかける場合、営業担当取締役は個人情報保護法や不正競争防止法に違反していないかどうかを確認する社内手続きを整備・運用しているか。
新規顧客の開拓時に、同業他社などから引き抜いた人材のネットワークを活用する場合、営業担当取締役は不正競争防止法に違反していないかどうかを確認する社内手続きを整備・運用しているか。
新規取引先の信用調査に際して、営業担当取締役は外部調査機関の企業データを信用情報として入手し、内容を精査する社内手続きを整備・運用しているか。
営業担当取締役は各社ごとの与信限度枠を設けるとともに、財務担当取締役は資金繰りの管理に力を入れているか。
営業担当取締役は、取り込み詐欺のような悪質なケースをも想定して、与信管理の一連の手続(信用情報の入手方法、審査の基準、与信限度枠の設定方法、モニタリング方法)を行うよう社内手続きを整備・運用しているか。 取り込み詐欺とは、支払いの踏み倒しを前提に、信用取引(掛取引)を用いて、換金性の高い製・商品を短期間で大量に仕入れる詐欺を言う。
新規取引先の信用力の分析は多角的に行っているか。 財務比率調査、関係会社の情報や業界での評判等のチェック、登記簿謄本のチェック、取引先に赴いてのチェック等が考えられる。
監査役は、会社のリスク管理体制の一部として審査が適切に運用されているかをチェックし、社内規程やマニュアルに則って与信判断の手続きが行われているかを考慮した結果、取締役の判断に問題があると判断した場合には社長などに報告しているか。
取締役は、与信限度枠の設定方法について、自社にとって最適なものとなっているかといった観点から、見直しを図っているか。
取引先の与信限度枠は、毎期見直しを図っているか。 与信限度枠は、一度設定したら終わりではない。取引先の事業環境が変化すれば、それに応じて与信限度枠を新たに設定し直す必要がある。
取締役は、掛売上時に与信限度の残枠が信用販売の上限として機能するための仕組みを整備・運用しているか。 財務会計システムと与信限度額の管理システムの連携を図り、残枠をリアルタイムで更新していくことで、与信限度額を超える売上入力時にアラートを出す(あるいは入力不能とする)等のコントロールを整備・運用するとともに、継続的にその運用状況をモニタリングする必要がある。
効率化の観点から、与信限度枠の大小に応じて、承認権限者を変えているか。
与信限度枠の承認には管理部門も関与するようにしているか。
営業会議等で滞留債権につき入金遅れの理由と回収期日の目標を報告しているか。
取締役は、反社会的勢力との関係遮断に関する規程を整備するとともに、取引基本契約書に「反社条項」を入れ、反社チェックを専門に取り扱うリサーチ会社や企業のバックグラウンド調査会社を利用して、反社会的勢力との取引を未然に防止する体制を整備・運用しているか。
新規取引先より受注した場合、納期を守れるよう生産部門との生産計画のすり合わせを行っているか。 生産能力強化のため資金調達が必要になる場合もある。

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