取締役が対象となる訴訟というと、株主代表訴訟や第三者訴訟のほか、会社が取締役や元取締役を提訴する「会社訴訟」もある(会社訴訟をカバーするD&O保険については、【2015年5月の課題】D&O保険(会社役員賠償責任保険)の「悩ましい会社訴訟への対応」参照)が、会社訴訟において会社側を代表することになるのが監査役だ(会社法386条1項)。会社を代表する以上、取締役を提訴するかどうかも監査役が判断するものと解されている。
第三者訴訟 : 役員の故意や重過失によって会社または役員が第三者(取引先、従業員など)に損害を与えた場合、第三者が会社法429条(役員の任務懈怠)や民法709条((役員個人の)不法行為)を根拠に役員に対して損害賠償を請求するもの。
提訴の判断を監査役が行う趣旨は、取締役を提訴するか否かを取締役が適正に判断するのは困難であり(たとえ自分以外の取締役が提訴の対象であったとしても、“仲間意識”が働く可能性は十分にある)、取締役とは独立した立場にある監査役がこの役目を担うべきということに他ならない。
ただ、多くの上場会社や上場持株会社の子会社で社外取締役の選任が進む中、「独立した立場」という点では、今後は社外取締役が取締役の提訴において監督的な役割を果たすことも期待されよう。社外取締役は、・・・
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