近年、日本企業の営業秘密が海外の競合他社に不正に取得・使用される事案が相次いでいる。2012年には新日鐵住金が韓国企業ポスコに技術情報を不正に取得・使用されたとして約1000億円の損害賠償請求訴訟を提起し、2013年には東芝がやはり韓国企業であるSKハイニックスに技術情報を不正に取得・使用されたとして約1100億円の損害賠償請求訴訟を提起したが(詳細は【役員会 Good&Bad発言集】リストラに伴う技術流出リスクへの対応参照)、このように訴訟につながった事例は氷山の一角とも言われる。
営業秘密 : 顧客名簿のような営業戦略上有用な情報のほか、企業の中で生まれた技術情報やノウハウなどを指す。特許化すると自社の研究開発状況等が他社に知られかねないため、あえて特許化せず「営業秘密」のまま保持することも多い。
その要因の1つが、不正競争防止法上、損害賠償請求訴訟(民事訴訟)では被害者である原告企業が「被告側(=加害者)が情報を入手したこと」のみならず、「これを使用して利益をあげたこと」まで立証しなくてはならないという点だ。その立証の困難さが、大事な技術情報を奪われた原告企業に訴訟提起をためらわせてきた。
こうした中、政府は・・・
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