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形骸化する内部通報制度

企業の不祥事が発生するたびにガバナンスの欠如が指摘される。ガバナンスを改善するための仕組みの1つがコーポレートガバナンス・コードだが、不祥事を防止するという観点からすると、独立社外取締役や政策保有株式など一般に関心の高いコードよりも重要と思われるのが、【原則2-5 内部通報】だ。この原則は、上場会社に「内部通報に係る適切な体制整備」を求めるとともに、取締役会は「体制整備を実現する責務を負い、またその運用状況を監督すべき」である旨規定している。

もっとも、大企業の多くは既に内部通報制度を導入している。これは、自動車メーカーによるリコール隠し、食品メーカーによる産地偽装などが組織内部からの通報をきっかけに明らかになったことを受け、通報を行った労働者に対する解雇や不利益な取扱いを禁止するとともに事業者の努力義務などを定めた「公益通報者保護法」が2006年に施行されたからだ。

ただ、同法を所管する消費者庁の実態調査では、社内の不正をコンプライアンス担当部署に伝えたものの是正されなかった事例や、社内窓口に通報した事実が漏れ、それ以降様々な不利益取扱を受けた事例などが多数報告されているのが現状だ。こうした中、消費者庁は現在、・・・

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