大手企業による税金(主に法人税)の申告漏れのニュースをしばしば新聞報道で見かけるが(多くの場合、社会面(スキャンダルとしての扱い)で取り上げられていることも興味深い)、大手企業ともなれば、追徴課税額が天文学的な数字となることが少なくない。十億円単位は当たり前、百億円超えも決して珍しくない。売上増加や経費の圧縮によってこれだけのキャッシュを残す難しさを考えても、追徴課税を受けることによる企業のダメージは大きい。
追徴課税 : 申告漏れや脱税などの理由により、会社が本来納めるべき税金の全部または一部を納めていなかったことが税務調査などにより発覚した場合に、追加で課税を受けること。
そこで浮上するのが、追徴課税を受けたことに対する経営責任だ。巨額の追徴課税を受けるリスクがあれば、税務申告を所管する取締役は税務申告に先立ち、追徴課税のリスクが現実となる可能性について検討を行うのが通常であり、他の取締役もその判断が適正であるか監督しなければならない。その結果として巨額の追徴課税を受けたとなると、取締役の責任が問われてもおかしくないようにも思える。
ただ、過去の裁判例を調べると、取締役(監査役のケースもある)の責任が認められたケースは多くない。例えば・・・
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