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機関投資家の株主総会出席が当たり前の時代へ

 上場会社の「実質株主」として大きな影響力を持つ機関投資家だが、株主総会の場で自ら議決権行使をすることはできない。会社法上は、株主が代理人を株主総会に出席させたうえで議決権を行使させることが認められているものの(会社法310条1項)、多くの上場会社では、代理人を「株主」に限定する定款規定を置いているからだ。この場合の「株主」とは、機関投資家の株式を名義上保有する信託銀行等ということになる。

 もっとも、多くの株式を保有する機関投資家が投資先企業のすべての株主総会に出席することは元々困難と言える。そこで機関投資家は、書面等による議決権行使を通じて上場会社に自らの“意思”を伝えてきたところだが、最近は株主総会に出席することにより企業との対話を促進させたいと考える機関投資家が増えている。こうした中、コーポレートガバナンス・コードには、「信託銀行等の名義株式を保有する機関投資家等が株主総会で自ら議決権行使を希望する場合に対応するため、上場会社は信託銀行等と協議しつつ検討を行うべきである」との原則が盛り込まれ(補充原則1-2⑤)、さらに今年(2015年)6月30日に閣議決定された「日本再興戦略 改訂2015」にも「関係団体等においてガイダンスを本年末までに策定することを促す」旨が明記された。

 これを受け、東京証券取引所に上場している会社の株式事務担当者が集まる東京株式懇話会(株懇)が中心となり、名義上の株式を保有していない機関投資家の株主総会での議決権行使について検討を行っていたところだが(2015年10月23日のニュース「場の空気が一変?機関投資家が株主総会で議決権行使も」参照)、 このほど全国株懇連合会は「グローバルな機関投資家等の株主総会への出席に関するガイドライン」を取りまとめ、機関投資家が、代理人を名義上の「株主」に限定するとの定款規定を置いている上場会社の株主総会に出席するための方法をいくつか示している。

 その中で「法的安定性が高い」と評価されているのが、・・・

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