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営業秘密保護をめぐる2つ目の“ガイドライン”に企業から懸念の声

 昨年(2015年)は、日本の法制度が「営業秘密」の保護強化に向けて大きく舵を切った年だったと言える。おさらいすると、まず同年1月には、企業側から「『営業秘密』として保護されるための要件が厳しすぎる」(2015年5月26日のニュース「行政庁が作る「ガイドライン」の法的根拠」の2・3段落目参照)と長らく不評だった経済産業省の「営業秘密管理指針」が全面改訂され、保護を受けるためのハードルを大幅に引き下げる解釈が示された。そして、昨年の通常国会では不正競争防止法が改正され、刑事罰の重罰化や、転得者の処罰対象への追加、さらに、民事上の裁判における原告側の立証責任の緩和、といった大幅なルール変更がなされた(役員会Good&Bad発言集「リストラに伴う技術流出リスクへの対応」の「刑事上の措置」、2015年7月24日のニュース「訴訟増加も!営業秘密の不正使用、立証責任が転換」参照)。

転得者 : 三次取得者。二次取得者(例えば営業秘密を盗み出した者から当該営業秘密を購入した情報ブローカー)からさらに情報を購入した者を指す。

 改正不正競争防止法は本年(2016年)1月1日に施行されたばかりであり、企業が改正の効果の大きさを実感するのはもう少し先のことになろうが、新日鐵住金、東芝という日本有数の大手メーカーが“被害者”としてクローズアップされてからわずか数年で企業の財産である「営業秘密」の保護強化に向けた動きが一気に進んだこと自体は、企業にとって悪い話ではないだろう。

 こうした中、企業の間で新たな懸念として浮上しているのが、・・・

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