政府が今月(平成28年6月)2日に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」には、「同一労働同一賃金」の実現に向けた法改正を進めるとの方向性が打ち出されている(7ページ後半~)。正社員とパートタイム、派遣社員等との間で、「どのような待遇差が合理的であるか、または不合理であるか」を事例等で示すガイドラインを策定し、不合理な待遇差として是正すべきものを明らかにするという。さらに、この是正が円滑に行われるよう、不合理な待遇差に関する司法判断の根拠規定、非正規労働者と正規労働者との待遇差に関する事業者の説明義務などを整備するため、労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の一括改正を行う。同プランには「非正規という言葉を無くす決意で臨む」とあることからも、実現に向けた政府の決意は固く、今後、企業の人事・雇用戦略にも大きな影響が出る可能性がある。
同一労働同一賃金 : 職務内容が同一または同等の労働者に対しは 同一の賃金を支払うべきという考え方。
政府が同一労働同一賃金を志向するように、派遣社員等の中には正社員に勝るとも劣らない能力を持つ人材がいる一方で、当初期待していたよりも能力が低かったということもある。この場合、派遣先(労働者派遣の役務の提供を受ける側)が、期間満了前に派遣契約を中途解除したいと考えたとしても無理はないが、問題はそれが法的に許されるのかという点だ。この種の話はともすれば“派遣切り”“ブラック企業”といった企業の根幹を揺るがすレピュテーション問題に発展しかねないだけに、経営陣としても法的な取扱いは頭に入れておきたい。
まず前提として理解しておく必要があるのは、・・・
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