ライバル企業との激しい価格競争に疲れ、ついカルテルに手を染めてしまう企業・業界は後を絶たない。昨日(2016年7月12日)も、東京電力に納入する電力保安通信用機器メーカー間でカルテルがあったとして、公正取引委員会は日本電気、富士通、大井電気の3社に対し、排除措置命令と課徴金を課す旨を公表している(ただし、リニエンシー制度の利用により、日本電気は課徴金を免除され、その他2社は30%減額されている。公正取引委員会のリリースはこちらを参照)。
カルテル : 事業者間で、価格や生産量、販売地域などについて協定を結ぶこと。これにより、価格競争による価格低下を防ぐことができる。
排除措置命令 : 独占禁止法違反行為をした企業等に、速やかにその行為をやめさせ、市場における競争を回復させるために必要な措置を命じること。
課徴金 : 「違反行為対象商品等の売上高」に対し、製造業の場合は10%、小売業の場合は3%、卸売業の場合は2%。
今回の一件では、カルテルに関与したすべての企業に対しリニエンシーが適用されたが、リニエンシーが適用されるのは課徴金が減免されるのは調査開始日の前後合わせて「最大5社(ただし調査開始日以後は最大3社)」となっているため、関与する事業者が多い場合には、リニエンシーの適用を受けられないところが出てくる。リニエンシーの恩恵を得られない事業者は、公正取引委員会の調査に協力しようというインセンティブは薄い。調査に協力してもしなくても、課徴金の額に変わりはないからだ。
こうした中、公正取引委員会により設置され、2016年2月から課徴金制度のあり方についての検討してきた「独占禁止法研究会」は本日(7月13日)・・・
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