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M&Aをした場合のD&O保険の引継ぎ

M&Aを経営戦略の柱に据える企業も多いが、M&Aにはどうしてもリスクが伴う。例えば被買収企業において、買収前に不祥事が発生していた(しかし発覚しなかった)ような場合だ。被買収企業の過去の不祥事によって買収企業にも損失が生じた場合、買収企業の役員が善管注意義務違反等により株主から責任を追及される可能性がある。

では、このような被買収企業の過去の不祥事をD&O保険でカバーすることは可能だろうか?買収により子会社化するケースと吸収合併するケースそれぞれについて見てみよう。

まず買収により子会社化するケースだが、買収企業をA社、被買収企業をB社とすると、通常、B社を買収した時点でB社はA社のD&O保険の対象に追加されることになる(コスト削減から、それまでB社が加入していたD&O保険は「解約する」のが一般的)。このような場合、買収前のB社において生じた事由による損害賠償責任をA社のD&O保険の補償範囲とするには、保険会社との交渉による“個別対応”が必要になる。追加保険料の支払いは必要になるものの、これを補償対象としている保険会社は存在している。ただ、このような対応が可能であることを知らない保険代理店も多く、“補償漏れ”が生じている企業も少なくないようなので要注意だ。

もっとも、・・・

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