SNSなどを用いた交流関係の広がりにより以前ほどではなくなったものの、かねてから日本企業では「社内結婚」が少なくない。社内結婚には会社へのロイヤリティを高めるなどの効果もあるが、その一方で、当人同士の感情が業務に持ち込まれたり、周囲が何となく気を遣ってしまったりするなど、業務に支障が出ることもある。
ただ、だからと言って例えば社内恋愛を就業規則で禁止しようとしても、現実にその規定を運用するにあたっては、そもそも「社内恋愛」を定義することからして難しく、まして、それを理由に懲戒を科すことは公序良俗違反として無効となる可能性が高い。就業規則は、その内容も含め会社が一方的に制定することができるものだが(従業員からの意見聴取の際に反対意見が出されたとしても、就業規則の成立には影響しない)、人間の自然な感情に会社が口出しするという“前近代的”な措置に対し、従業員が反感や失望を抱き、会社へのロイヤリティを失くすおそれすらある。
もちろん、実際に職場の風紀を乱したり、会社に有形無形の損害を与えたりしたのであれば、社内恋愛とは関係なく、その事実に対して責任を問うべきだろう。それが就業規則の懲戒事由に該当するなら、粛々と懲戒処分を科せばよい。
では、これがいわゆる不倫関係であった場合はどうだろうか。配偶者がありながら他の異性と交際することは、・・・
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