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下請法の「違反行為事例」が倍増で高まるコンプライアンス・リスク

アベノミクスでは中小企業の賃上げが重要な政策課題の一つとなっているが、中小企業にはその原資が少ないのが現実だ。こうした中、政府は現在、中小企業が賃上げ原資を確保する一助となるよう、中小企業と大手企業の取引条件の改善に取り組んでいる。具体的には、下請代金支払遅延等防止法(以下、下請法)および下請中小企業振興法(以下、下請振興法)という下請業者に関連する2つの法律の運用基準の改正作業が進行中だが、これは裏を返せば、上場企業をはじめとする大手企業にとっては「規制の強化」につながることを意味するので要注意だ。

このうち下請法については、先週(2016年10月26日)公正取引委員会から「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」の改正案が公表され、パブリックコメントに付されている(意見募集の締切は11月24日)。

この改正案で注目されるのは、従来の運用基準で示されていた「違反行為事例」の数が著しく増えているという点だ。改正案の違反事例数は134と、これまでの66事例から一気に倍増している。新たに追加された違反行為事例としては、「親事業者の得意先の都合を理由とする親事業者の受領拒否」「合理性のない定期的な原価低減要請による買いたたき」「型・治具の無償保管の要請」などがある。実際に頻発している違反行為や、事業者が「問題ない」と誤解しやすい行為が追加されたのがポイントとなっている。上場企業としては、コンプライアンス担当役員を中心に、追加された事例に自社の行為が該当していないかどうか、チェックしておく必要があろう。

この下請法の運用基準の改正に並行して、・・・

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