近年、女性活躍推進に向け、上場企業へのプレッシャーは高まる一方となっている。これまでの動きをおさらいすると、東証が2013年4月18日付けで「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」の記載要領を改訂し、同報告書で役員・管理職への女性登用状況や登用促進に向けた取組みを記載することを要請、さらに2015年3月末決算期からは開示府令の改正により有価証券報告書に役員の女性比率を記載することが義務付けられた。また、コーポレートガバナンス・コードに「女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保」が盛り込まれ(原則2-4)、さらに、2016年4月1日からは、採用者や管理職に占める女性の割合などの数値目標を盛り込んだ「一般事業主行動計画」の策定や公表を企業に求める女性活躍推進法が施行されている。こうした中、女性の幹部登用などを進める上場企業は増えているが、コーポレートガバナンス・コードの策定において日本が手本とした英国では、さらにハードルを上げつつある。
2015年中の実現を目指してきた「FTSE100の構成企業の取締役会に占める女性比率25%」という目標を前倒しで達成した英国だが(2015年7月29日のニュース「取締役会の女性比率25%達成の英国、次は賃金格差の公表義務付け」参照)、昨年2015年には、政府の要請を受け、英製薬大手グラクソ・スミス・クラインのハンプトン会長をトップとする独立委員会が女性活躍推進に向けた新たな提言を発表、FTSE100の構成企業を対象に、新たに「2020年中に経営幹部の女性占率33%以上」という目標を打ち出している。英国では、社外取締役を中心に構成され経営監視機能を担う取締役会における女性比率は増えているものの、CEOやCOOなど常勤で経営に携わる経営幹部の女性比率は伸び悩んでおり、「33%以上」を達成している企業はFTSE100企業でさえ20%にとどまる。
FTSE100 : ロンドン証券取引所に上場する銘柄のうち時価総額上位100銘柄による時価総額加重平均型の株価指数。
提言の中でさらに注目されるのが、コーポレートガバナンス・コードの見直しだ。具体的には、・・・
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