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譲渡制限付株式報酬や株式交付信託は退職給与になるか?

役員へのインセンティブ報酬としてリストリクテッド・ストック(譲渡制限付株式報酬)株式交付信託(信託型株式報酬)の導入を検討する企業は多いが、その際、株式の譲渡制限解除や付与の時期が論点の一つとなることが少なくない。その意思決定に影響を与えているのが税負担だ。

リストリクテッド・ストック(譲渡制限付株式報酬) : 一定期間の譲渡制限が付された株式報酬
株式交付信託(信託型株式報酬) : 企業が自社株式の取得資金を信託銀行に拠出し、この資金を原資に取得した自社株式を、業績目標の達成度などを反映したポイントに応じ、取締役等の在任時や退任時に付与するもの

株式交付信託を例にとると、現行税法上、退任時に株式を付与すれば企業は付与時の時価相当額を損金とできるうえ、退職給与は所得税の課税()も軽いことから、役員にとってもメリットがある。このため、これまでは退任時に株式を付与する企業が多く見られた。平成29年度税制改正により、「在任時」に株式が付与される株式交付信託も損金算入の対象とされたが(2016年12月14日のニュース「在任時支給の信託型株式報酬が損金に、利益連動型のRSは損金算入不可」参照)、役員の所得税負担まで考えれば、「退任時」を選択しようと考える企業は少なくないだろう。

損金 : 法人税計算の基礎となる法人所得を減らす性質の支出等のこと。損金は企業会計上の費用とおおむね一致するが、役員賞与や固定資産の減損損失など「損金には該当しない費用」もある。

 「(収入金額(源泉徴収される前の金額)-退職所得控除額) ×1/2」が所得税の課税対象となる(他の所得と分離して所得税額を計算)。退職所得控除額は、勤続年数が20年以下の場合は「40万円 × 勤続年数」、20年超の場合は「 800万円 + 70万円 × (勤続年数-20年)」により計算される。

ただ、平成29年度税制改正では・・・

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