最近もスイスの高級時計フランク・ミュラーのパロディー商品“フランク三浦”の商標の有効性を巡る裁判でフランク三浦側の勝訴が確定し注目を集めたが(最高裁は、商標登録を無効とした特許庁の判断を取り消した知財高裁の判断を支持し、2017年3月2日付でフランク・ミュラーの上告を棄却)、知的財産を巡る訴訟等の話題を耳にする機会は多い。ただ、実際のところ日本における知財訴訟は他国に比べて多くない。この知財訴訟の少なさに加え、原告の勝訴率の低さや(原告が勝った場合の)賠償額の低さへの問題意識から、ここ2年ほど(2015年~)政府内で議論されてきたのが「知的財産紛争処理システム」の見直しだ(2016年6月27日掲載の【特集】日本企業の思惑と逆行?「知的財産紛争処理システム」の行方 参照)。こうした中、特許庁主催の審議会「特許制度小委員会」の中間まとめ案「我が国の知財紛争処理システムの機能強化に向けて(案)」 (以下、中間まとめ案)が公表され、この問題について方向性が示されている。
知的財産を競争力の源泉とする日本企業にとって知財紛争処理システムの機能強化は一見好ましいことのように見えるが、企業の間ではむしろ警戒感の方が強かった。企業がネガティブな反応を示す大きな理由となったのが、・・・
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