「社会の公器」とも言われる上場企業にとって、障害者の雇用は重要な社会的な役割の一つである。法律(障害者の雇用の促進等に関する法律)でも、従業員を50人以上抱える事業主は、雇用する労働者に占める身体障害者・知的障害者の割合を一定率(法定雇用率)以上にすることが義務付けられている(精神障害者の雇用義務はないが、雇用した場合は身体障害者・知的障害者を雇用したものとみなされる)。法定雇用率は2013年に改正されており、民間企業では2%とされている。この率は今後上昇する見通しだ(法定雇用率の引き上げについてはこちらを参照)。
法定雇用率を達成できない企業は、ハローワークから障害者の雇入れ計画の作成を命じられることになる。常用労働者100人超の企業が法定雇用率を達成できないと、不足人数一人につき月額5万円の障害者雇用納付金が徴収される。その後も改善が認められないとなれば、企業名の公表もありうる。企業としては、障害者の雇入れが不十分であるとして企業名が公表されることだけは何としても避けたいというのが本音であろう。とはいえ、法定雇用率の達成は簡単ではない。障害者の受入れ態勢は、ハード面とソフト面の双方から構築しなければならないからだ。厚生労働省の調査によると、障害者の法定雇用率を達成できた企業の割合は48.8%(「平成28年障害者雇用状況の集計結果」より)と半数未満の状況であり、ハードルの高さがうかがえる。
こうした中、最近は“障害者雇用率改善ビジネス”も登場している。具体的には、・・・
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