「株式報酬」というと、文字通り株式をそのまま付与すればよいように見えるが、日本ではそれはできない。これは、日本の会社法が、株式の発行は金銭等の「払込み」があることを前提としているからだ(会社法199条1項2号~4号)。したがって、欧米型の株式報酬のように「株式をタダであげる(無償発行)」ということは、日本の会社法上では認められない(「タダ=払込みゼロ」を意味するため。2015年12月2日のニュース「日本で株式報酬を支給できない理由」参照)。
そこで、経済産業省が「株式報酬=役員に付与した金銭報酬債権を現物出資財産として払い込んだ上で役員に対して株式を発行するもの」と整理し、これを法務省が了承したことで、上記の「株式の発行は金銭等の「払込み」を前提とする」という会社法上の問題がクリアされ、日本でも株式報酬が実現したという経緯がある(2016年9月9日のニュース「ストック・オプションか?リストリクテッド・ストックか?」の冒頭、経済産業省 法的論点に関する解釈指針14ページ 「2. 考えられる方法」参照)。ただ、このスキームに対しては「テクニカルで分かりにくい」との指摘があり、「我が国に株式報酬を定着させるためにも、欧米のように株式を直接付与できるようにすべき」との声も聞かれる。
こうした中、法務省の法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会では、・・・
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