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「マタハラ」トラブルが後を絶たない理由

働く女性が妊娠や出産、育児をきっかけに人事や給与面などで不利益を被るマタニティハラスメント、いわゆる「マタハラ」によるトラブルが後を絶たない。その理由の一つとして、どこからが「マタハラ」になるのか、そのボーダーラインが理解されていないことが挙げられる。

まず基本的な法令事項から整理しておこう。労働基準法上、妊産婦は重量物を取り扱う業務や有害ガスを発散する場所での業務等(女性労働基準規則2条に列挙される24業務)に就かせてはならないことになっている(労働基準法64条の3)。したがって、これらの業務に就いている女性従業員が妊娠した場合には、担当業務を変更する必要がある。

また、それ以外にも、妊娠した従業員本人から請求があった場合に、会社が対処しなければならない事項がある。具体的には、妊産婦が軽易な業務への転換(労働基準法65条3項)、変形労働時間制の適用除外(同法66条1項)、法定時間外労働・法定休日労働・深夜労働の免除(同条2項・3項)を請求した場合には、会社は認めなければならない。さらに、三歳未満の子を養育する者による所定外労働の免除(育児介護休業法16条の8)、就学前の子を養育する者による法定時間外労働の制限および深夜労働の免除(同法17条・19条)についても、「事業の正常な運営を妨げる場合を除く」等の例外規定(各条各項のただし書き)に該当しない限り、会社はこれを拒むことができない。

変形労働時間制 : 一定期間(1か月、1年など)における1週間当たりの平均労働時間が法定労働時間(40時間)を超えない範囲内であれば、特定の日又は週に(残業手当を支払うことなく)法定労働時間を超えて労働させることができる制度

ここまでは法令を知っておけば済む話と言えるが、よりトラブルになりやすいのが、・・・

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