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増資の際の「待機期間」撤廃で株価下落を回避へ

 経営陣にとって株価の下落は頭の痛い話だが、その要因の1つとなり得るのが「増資」だ。これは、増資により株式数が増えることでEPS(1株当たり利益。Earnings Per Share)やBPS(1株当たり純資産。Book-value(簿価)Per Share)の希薄化が起こることを嫌う投資家の売りが多くなるため。なかには、大量の空売りを浴び、株価が大きく下落するケースもある。実際、日本証券業協会の調査でも、増資のための有価証券届出書の提出後に空売りが急増するとの結果が出ている。

BPS : Book-value Per Shareの略称で「自己資本 ÷ 発行済み株式数」により算出され、会社が解散した場合の1株当たりの価値を示す。「1株当たり純資産」という日本語訳からは、分子は「純資産」と思われがちだが、「自己資本」なので要注意。BPSが高いほど、その企業の安全性が安定性は高いことになる。

 金融商品取引法では、上場会社が増資を行う場合には、有価証券届出書の提出から効力発生まで、原則として「中15日間」の“待機期間”を置くこを義務付けている。ただし、有価証券報告書を提出している会社については、金融庁が出している「企業内容等の開示に関する留意事項について」(企業内容等開示ガイドライン。以下、ガイドライン)によって、これが「中7日間」に短縮されている。

 待機期間が設けられている理由は、投資家が株式の取得・買付けの是非を検討するのに十分な時間を与えるためだが、その一方では、上述のとおり待機期間中に株価が下落し、当初想定していたほどの資金調達ができなくなるなどの弊害が指摘されてきた。

 こうしたなか金融庁は、・・・

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