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金融庁、FDルール運営上の「考え方」を明らかに

【セミナー開催のお知らせ】
2018年3月7日(水)にセミナー「フェア・ディスクロージャー・ルールを踏まえ、上場企業が整備すべき情報統制」を開催しました。

周知のとおり、一部の上場企業が証券会社のアナリストのみに未公表の業績情報を提供していた問題の発生などを受けて金融商品取引法が改正され、いよいよ(2018年)4月1日からフェア・ディスクロージャー・ルール(以下、FDルール)がスタートする(FDルールのポイントや導入の経緯などは、2017年11月9日のニュース「企業のタイプによって変わる「重要情報」の範囲」、2017年3月9日のニュース「フェア・ディスクロ・ルール成立までに上場会社がやるべきこと」参照)。2018年6月株主総会に向け本格化する機関投資家との対話(エンゲージメント)では、上場企業側はFDルールを念頭に「情報の公平な開示」を心掛ける必要がある。

また、株主総会の場でもFDルールを意識せざるを得なくなる。上場企業の取締役は、これまでも株主総会の場で「インサイダー情報」を流出させることにならないよう言葉を選びながら発言をしてきたはずだが、2018年4月1日以降に開催される株主総会では、FDルール上の「重要情報」に該当しないかどうかも考慮して、不用意な発言をしないよう注意しなければならない。インサイダー規制の軽微基準に該当する場合であっても、それが公表されれば「有価証券の価額に重要な影響を及ぼす蓋然性」があればFDルール上は「重要情報」に該当するためだ(軽微基準とFDルールの関係は2016年11月28日のニュース「フェア・ディスクロ・ルールとインサイダー規制、対象情報の違いは?」の最終段落参照)。

重要情報 : FDルール上の「重要情報」とは「当該上場会社等の運営、業務または財産に関する公表されていない重要な情報であって、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼすもの」をいう(金商法27条の36)。ちなみにインサイダー取引規制では「重要事実」との言い回しが使われており、FDルールの「重要情報」とは別の概念になる。
軽微基準 : 当該情報がインサイダー取引規制における「重要事実」に該当するかどうかを判定する基準であり、たとえば決算情報のうち売上高の予想値の場合、上下10%未満の変動率であれば、「重要事実」に該当しないことになる。

FDルールの施行を目前に控える中、今週火曜日(2018年2月6日)には、ようやくFDルールのガイドラインの“確定版”が金融庁より公表されている。本ガイドラインの公開草案は昨年中(2017年10月24日付)に公表されていたが、同公開草案では「何をもって重要情報とするのか」という“量的基準”は示されていなかった(2017年11月9日のニュース『企業のタイプによって変わる「重要情報」の範囲』を参照)。確定版と公開草案と比較してみると、・・・

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