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会社法改正中間試案、「無対価」の株式交付は認めず

企業買収は、市場における自社のシェアを高めたり、新規事業に進出する足掛かりにしたりするための手法として広く行われているが、現金で企業を買収すると、キャッシュフローを悪化させてしまうという問題がある。現金負担を回避する買収手法としては株式交換が考えられるが、株式交換は買収先企業の株式を「すべて」買い取る手法であるため、当該企業買収の目的が完全子会社化(100%子会社化)でないケース(例えば51%だけ取得すれば企業買収の目的を達成できるというケース)には使えないという問題がある。他には、買収先企業の株式のうち取得したい株数(例えば51%に相当する株数)を自社に現物出資してもらうという手法もあるが、この手法にも、現物出資財産(ここでは株式)の価値を調査するため検査役の選任や検査という余計な手間やコストがかかるという問題がある。

株式交換 : 買収元企業の株式と買収先企業の株式を交換する企業再編手法(会社法767条)
検査役の選任や検査 : 仮に現物出資財産の値付けが適正に行われていなければ、現物出資した者あるいは現物出資を受け株式を交付した会社の株主が損害を被ることになる。そこで会社法では、株式交付の対価として現物出資される財産が適正に評価されるよう、裁判所が選任した検査役により現物出資財産の価値の調査を求めている(会社法207条)。

こうした中、・・・

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