印刷する 印刷する

独禁法違反の審判制度廃止が企業への調査に与える影響

 入札談合、受注調整(注文による取引に際して、競争者間であらかじめ受注者を決定すること)、価格カルテル、優越的地位の濫用等の不公正な取引などの独占禁止法違反は、企業のレピュテーションを大きく傷つけることになる。平成24年度においては、独占禁止法違反を犯した延べ113名の事業者に対し、総額250億7,644万円の課徴金の納付命令が下されている。

 “確信犯”である場合はともかく、企業が公正取引委員会(以下、公取)が行う処分に対して不服を抱くケースもあろう。このような場合に活用されてきたのが「審判制度」だ。これは、公取に対して処分の不服を申し立てる手続きだが、処分を行った公取自ら当該行政処分の適否を「審判」することは公平性に欠けるとの指摘を受け、昨秋の臨時国会で独占禁止法の改正法案が成立・公布され、公布日(平成25年12月13日)から1年6か月以内に廃止されることが決定している。

 もっとも、企業にとっては実際に処分がなされた“後”の話である審判制度の廃止よりも、むしろ、それによって公取の立入検査がどのような影響を受けるのかということへの関心の方が高いだろう。これまでも、立入検査により被疑事実と無関係なものまで押収され、事業活動が行えない事態に至るといった事例も報告されており、立入検査に対する企業側の警戒感は強い。

 こうした中、独占禁止法の改正議論においては、審判制度の廃止とは別に、公取が行う調査手続の適正化確保についても検討が行われてきた。昨秋の改正時点では結論が出なかったものの、改正法の附則16条において「改めて検討を行う」ことが明記された。これを受け、現在、内閣府において、・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合はログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから