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デジタル・ディバイドへの配慮と経費削減の間で揺れる総会資料電子化議論

ICTの進化・普及はとどまるところを知らないが、これに伴い、ICTに関する知識の有無による情報格差や経済格差が広がっている。この格差は「デジタル・ディバイド」と言われ、ICT弱者に配慮することは政府の政策課題の一つになっている(例えば総務省では、「デジタル・ディバイド解消に向けた技術等研究開発」の対象事業を公募している)。それは現在法務省で進行中の会社法改正議論においても例外ではなく、「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案」(以下、中間試案)で示された「株主総会資料の電子提供を認める」案を巡っては、デジタル・ディバイドへの配慮の要否が論点化している。

ICT : Information and Communication Technologyの略で、情報・通信に関する技術の総称。ITと同義と考えてよい。近年はITよりICTの方が用語として一般的になりつつある。

中間試案では、株主総会参考書類、議決権行使書面、(連結)計算書類事業報告および連結計算書類(以下「株主総会資料」)を株主に電子提供する案が示されたところだが(中間試案1ページ参照)、(2018年)5月9日に開催された第11回会社法制(企業統治等関係)部会では、インターネット環境にないため株主総会資料の電子提供を受けられないといった株主への配慮の必要性について検討が行われている。中間試案の「株主総会資料の電子提供を認める」案自体には反対意見はなかったため、株主総会資料の電子提供制度の導入はもはや確定したと言って差し支えない。一方、上場会社に株主総会資料の電子提供を「義務付ける」かどうかでは意見が分かれているが、この問題の解消に一役買うことになりそうなのが・・・

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