周知のとおり、「米国」を除いたTPP(環太平洋経済連携協定)が2019年の発効を目指し2018年6月に国会で可決・成立しているが、TPPの導入に伴い、独占禁止法上の新たな仕組みとして導入されるのが「確約手続」制度だ。確約手続制度とは、独占禁止法違反の疑いがある場合に、事業者(企業)が公正取引委員会に対し当該疑いを排除するための措置の実施を“確約”することで、問題の解決を事業者の自主的な取り組みに委ねるもの。TPPに参加するカナダ、ペルー、オーストラリア、マレーシアなどの国では既に同様の仕組みが存在するため、日本でもTPP協定の成立に会わせて独占禁止法を改正し、導入することになったという経緯がある(2016年12月26日のニュース「独禁法改正で導入の確約手続制度、カルテルや入札談合への適用は?」参照)。
確約手続の詳細を規定した「公正取引委員会の確約手続に関する規則」(以下、確約手続規則)は、まだ米国のTPP離脱が確定していなかった2016年12月12日に「案」が示され、パブリックコメントを経たうえで、米国の離脱(2017年1月27日)直前の2017年1月19日に制定されている。確約手続規則が施行されるのはTPPの発効日(2019年を予定)からとなるが、それに先立ち、公正取引委員会から、同委員会としての確約手続規則への対応方針を定めたガイドライン案「確約手続に関する対応方針(案)」(以下、ガイドライン案)が先月公表され、8月10日までパブコメに付されている。
ガイドライン案は確約手続に対する企業側の疑問に答えるものと言えるが(当該規則の公開草案に対する意見の概要とそれに対する公正取引委員会の考え方 参照)、その内容に対しては企業側から一部修正を求める声が上がっている。
まず・・・
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