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企業が頭を悩ます報酬委員会のメンバー構成

周知のとおり、(2018年)6月1日から施行されている改訂コーポレートガバナンス・コード(以下、改訂CGコード)では、任意の諮問委員会について規定する補充原則4-10①が下記のとおり見直され、諮問委員会の前に「独立した」という文言が追加されている。

※赤字が改訂部分
補充原則 4-10①
上場会社が監査役会設置会社または監査等委員会設置会社であって、独立社外取締役が取締役会の過半数に達していない場合には、経営陣幹部・取締役の指名・報酬などに係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するため、例えば、取締役会の下に独立社外取締役を主要な構成員とする任意の指名委員会・報酬委員会など、独立した諮問委員会を設置することなどにより、指名・報酬などの特に重要な事項に関する検討に当たり独立社外取締役の適切な関与・助言を得るべきである。

この改訂で最大の焦点となるのは、改訂CGコード案へのパブリックコメントとして「『独立した』および『主要な』の定義が曖昧である。過半数を独立社外取締役と明記すべきではないか」「CEOが強い権限を持つ場合などには、独立した諮問委員会が設置されたとしても、有効なモニタリングとして機能しないおそれがあるため、CEOが諮問委員会の委員となる是非に関する内容を含めた方がよい』といったパブリックコメントが寄せられていたように、何をもって「独立した諮問委員会」と言えるのかという点だ。

この点に対する東証側の回答は下記のとおりとなっている(「パブコメに対する回答」の30~31ページ参照)。

※補充原則4-10①の「独立した」の意義については、諮問委員会に求められる役割や、原則4-7(iv)において独立社外取締役が「経営陣・支配株主から独立した立場」でその役割・責務を果たすことを求められている趣旨を踏まえ、一般株主と利益相反が生じるおそれがないかとの観点から実質的に判断されるべきものと考えます。具体的な委員の構成については、個々の上場会社において、CEO等の参加の是非を含めて、そうした観点から合理的に判断されるべきものです。
※なお、補充原則4-10①を「コンプライ」する上では、独立社外取締役が諮問委員会の「主要な構成員」であることが必要となります。補充原則4-10①でいう「主要な」の意義について、独立社外取締役の人数や割合、委員長の属性等の具体的な内容については、補充原則4-10①の対象が、「監査役会設置会社または監査等委員会設置会社であって、独立社外取締役が取締役会の過半数に達していない場合」とされている趣旨も踏まえ、個々の上場会社において、指名・報酬などの特に重要な事項について、実効的に独立社外取締役の適切な関与・助言を得られるかとの観点から、合理的に判断されるべきと考えます。

当フォーラムでは、関係者への取材に基づき、「『独立した』と言うためには、構成メンバーの過半数を独立社外取締役が占め、委員長も独立社外取締役が務めていることが最低条件になると考えておく必要がある」旨お伝えしたところだが(2018年5月29日のニュース『改訂CGコードが意図する「独立した」委員会』参照)、・・・

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