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スルガ銀行問題は責任追及の局面に 監査役協会会長が異例の声明

不祥事を起こした企業では、不祥事の内容や金額的重要性によっては、第三者委員会を設置して調査を委嘱するケースが目に付く(第三者委員会の設置については【不祥事】子会社で不祥事が発覚した の「初動の対応が調査のカギを握る」を参照)。第三者委員会がとりまとめる調査報告書では、事実認定を行ったうえで、再発防止策と正しい会計処理(不祥事発覚により会計処理の訂正や追加が必要となり、売上高や利益が変動する場合)を提案するのが通常だが、この調査報告書を受けて役員の処分等が公表されることから、調査報告書は再発防止策や正しい会計処理を提案するに留まらず、「役員の法的責任」も追及しているかのように誤解している向きが少なくない。しかし、不祥事を起こした各社の調査報告書を見ると、「法的責任の有無の判断およびその追及を目的とするものではない」と明記しているものが大半となっている(例えば【失敗学第50回】省電舎ホールディングスの事例における第三者委員会の調査報告書7ページ下を参照)。日弁連の「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」(以下、日弁連ガイドライン)にも「第三者委員会は関係者の法的責任追及を直接の目的にする委員会ではない。関係者の法的責任追及を目的とする委員会とは別組織とすべき場合が多いであろう」とあるとおり(日弁連ガイドラインの1ページ下部を参照)、調査報告と責任追及はそれぞれ別組織が行うのが一般的だ。

また、調査報告と責任追及では、組織のみならず「タイミング」も異なる。調査報告は会計処理の訂正や追加の提案を通じて有価証券報告書の訂正や決算短信の訂正などにつながる場合があるため、時間的制約がある中で進められる。一方、責任追及は法的責任の認定に踏み込む以上、会社から役員への損害賠償訴訟や株主の代表訴訟に影響を与えることになる。このため、調査報告を受けてから、より慎重に、かつ時間を費やして行われるのが通常だ。不祥事の代表例として・・・

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