今6月株主総会でも、社外取締役を含め多くの取締役が選任されることだろう。一方で、「解任」の憂き目に遭う取締役もいるかもしれない。昨年(2018年)6月1日に改訂されたコーポレートガバナンス・コード原則3-1(情報開示の充実)では、従来は経営陣幹部の「選任の方針と手続」や「選任についての説明」の開示を求めてきたところだが、改訂により「解任」についても同様の開示を求めることとされたのは周知のとおりだ。
(ⅳ)取締役会が経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続 (ⅴ)取締役会が上記(ⅳ)を踏まえて経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選解任・指名についての説明 |
ただ、「解任についての説明」等を開示する場合に注意しなければならないのが、解任する取締役に対する名誉棄損だ。
2019年5月15日のニュース「経営陣幹部の解任基準の実効性」では、ある東証一部上場会社の臨時株主総会で取締役が解任され、当該解任された取締役が会社に対し損害賠償を請求した裁判を紹介したが(取締役が敗訴(ただし、取締役は控訴)。東京地裁平成30年11月29日判決)、実はこの裁判では、会社(被告)が東証の「適時開示情報システム」(以下、適時開示)および「臨時株主総会の招集通知」(以下、招集通知)に記載した解任理由が、取締役(原告)の社会的信用を著しく低下させる名誉棄損に該当するかどうかも争点となっていた。会社が適時開示および招集通知に掲載した解任理由は以下のとおり。・・・
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