(2019年)5月10日、改正特許法が成立し、特許訴訟に「査証制度」が導入されることとなった。同法は5月17日に公布されており、1年以内に施行される予定だ。
査証制度とは、「特許権の侵害の可能性がある場合、中立的な技術専門家が被疑侵害者の工場等に立ち入り、特許権の侵害立証に必要な調査を行い、裁判所に報告書を提出する制度」のこと。知的財産(以下、知財)は「無体物」であるため、知財訴訟において、原告が、被疑侵害者が知財権を侵害していることを立証するのは一般的には難しいと言われる。商標権や一般に販売されているBtoC製品の特許などであれば侵害の立証は比較的容易だが、製造方法やBtoB製品の特許などは一見して侵害されているかどうかが分からないため、侵害の立証には困難を伴う。
無体物 : 有形的存在でないもの
こうした中、今回特許法の改正で「査証制度」が導入され、特許権侵害の可能性がある場合には、裁判所の判断により、中立的な第三者が被疑侵害者の工場に立ち入って調査を実施したうえで報告書を作成し、訴訟の原告はその報告書の内容を侵害立証に活用できるようにした。
この説明からは、特許権侵害を侵害された企業にとってメリットがありそうに見える査証制度だが、・・・
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