(2019年)6月17日、自動車サスペンション部品の大手メーカー「ヨロズ」の定時株主総会が開催された。同社の臨時報告書によると、創業家出身である志藤会長の選任議案への賛成率は82%、会長の子息である志藤社長の同議案への賛成率は83%にとどまった。アクティビストであるレノが同社株式を5.1%保有しており(5月1日時点)、経営トップをはじめ社内取締役の選任議案に反対票を投じたものと推測される。賛成率が90%を大きく割り込んでいることから、少なからぬ投資家がレノに同調した可能性がある(ROEが直近で0.5%、5期平均で3.8%と低水準であることも、多くの反対票が投じられた一因と考えられる)。
レノは本株主総会に先立ち、買収防衛策の廃止を目的とする株主提案を要請していた。これに対してヨロズは、「当該株主提案の適法性について疑義がある」として、株主総会でとり上げることを拒否した。「適法性について疑義がある」ことの明確な理由の説明はないが、同社が公表した「株主からのレター受領に関するお知らせ」の「6.これまでの経緯について」では、2014~15年に強圧的な株主還元を要求されていたこと、他社事例に照らしても真摯に自社の中長期的な企業価値の向上を検討しているかは疑わしいことなどが指摘されており、ヨロズはレノの株主提案を「濫用的買付者による権利の乱用」であるとして、違法とみなした可能性がある。
ヨロズの対応を受け、レノは株主提案議題等記載仮処分命令を申立てたが、横浜地裁は・・・
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