現在、国土交通省や厚生労働省などが中心となって、トラックドライバーの働き方改革が進められている。一見すると、トラックドライバーを雇用する運送事業者のみに関係する話にも見えるが、実はそうではない。
トラックドライバー不足が深刻化する中、トラックドライバーの長時間労働の是正などの働き方改革を進め、運送事業者が例えば「過労運転防止義務(道路交通法)違反」といったコンプライアンス違反を起こすことがないよう、昨年(2018年)12月には「貨物自動車運送事業法」が改正されたが、 改正法には「荷主」に対しても「必要な配慮」を求める責務規定が盛り込まれている。改正法は「トラック運送事業者」に関連する部分と「荷主」に関連する部分に分けられるが、前者は今年(2019年)11月1日から施行されるのに対し、後者は7月1日から施行されている。つまり、荷主に対しては、トラック運送事業者における働き方改革を実現するために「必要な配慮」をするといった法律上の義務が既に課されているわけだ。
貨物自動車運送事業法:トラック運送事業の種類や許可、過労運転の防止、過積載の禁止などを規定する法律。トラック運送事業のみならず、宅配便やバイク便などの事業もこの法律の適用を受ける。
ここでいう「トラック運送事業者」という用語は、国土交通省や厚生労働省などのパンフレットでも使用されているが 、これには、文字通りトラックによって重量のある荷物などを運送する事業者のみならず、宅配便やバイク便も含まれることが当フォーラムの取材により確認されている。すなわち、トラック運送事業者を利用する「荷主」には、建設業者や流通業者などの“ヘビーユーザー”はもちろん、宅配便やバイク便を利用する事業者も含まれることになる。通常、上場企業であれば業種を問わず「荷主」に該当することになろう。
7月1日から施行されている「荷主」に関係する改正貨物自動車運送事業法の改正点は下記の3つである。・・・
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