ベネッセコーポレーションで発生した大規模な個人情報の漏えい事件は、企業に個人情報管理の難しさ、リスクを改めて認識させたことだろう。2003年における個人情報保護法の成立以降、企業は個人情報の取扱いには注意を払ってきたが、それでも、個人情報の流出が世間を賑わすケースは後を絶たない。
折しも、昨年(2013年)秋の臨時国会では、集団訴訟を可能にする「消費者裁判手続特例法(通称「集団訴訟法」。特定適格消費者団体が個々の消費者に代わって損害賠償請求訴訟を提起する仕組み)が成立しているが、結論から言うと、個人情報の流出自体が同法の対象になることはまずないだろう。一般に、個人情報の流出では“精神的苦痛”を受けたことによる慰謝料の支払いが問題になるが、集団訴訟法では「精神上の苦痛を受けたことによる損害」は適用対象から除外されているためだ(同法3条2項6号)。ただし、個人情報の流出に伴って金銭的な被害が発生したとなれば(例えば、クレジットカード情報が流出し、不正に使用された場合)、同法の適用対象になる(なお、同法の施行は「2013年12月11日の公布日から3年以内」とされ、まだ施行に至っていないことに加え、同法は施行後に生じた事案にのみ適用されるため、今回のベネッセの情報漏えい事件は適用対象外となる)。
ただ、訴訟を提起されるリスクがないわけではない。まず、被害者個人が・・・
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