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「デジタル・プラットフォーマー」に対する独禁法運用案の3つの問題点

デジタル経済は人間の生活を劇的に便利したが、その一方で、ある種の“怖さ”を感じることもあるのではないだろうか。その一つが個人情報の流出だ。デジタル経済は膨大な個人情報によって成り立つ。例えば、あるITサービスを利用するために、個人情報の提供を求められることも多い。

こうした中、公正取引委員会(以下、公取)は今年(2019年)8月29日に「デジタル・プラットフォーマーと個人情報を提供する消費者との取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方(案)」(本案)と題するペーパーを公表したところ。本案では、「消費者がデジタル・プラットフォーマーから不利益な取扱いを受けても,消費者がサービスを利用するためにはこれを受け入れざるを得ないような場合は,当該デジタル・プラットフォーマーは消費者に対して優越した地位にあると認定する」としている(本案の概要の「具体的考え方 1. 優越的地位の認定」参照)。要するに本案は、デジタル・プラットフォーマーが、不公正な手段で個人情報等を取得又は利用することで、消費者に不利益を与えるとともに、公正な競争に悪影響を及ぼす場合に、「対消費者」との関係で独占禁止法の優越的地位の濫用の規律を適用できることを明確にしたものと言える。

優越的地位の濫用 : 自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が、取引の相手方に対し、その地位を利用して、正常な商慣習に照らし不当に不利益を与える行為のこと。この行為は、独占禁止法により、不公正な取引方法の一類型として禁止されている。

一方、産業界からは本案に対し、「規律が及ぶ主体や取引などが極めて不透明」などとして、コンプライアンス・リスクを懸念する声が上がっている。具体的には以下の3点である。・・・

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